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2019年度卒業論文集「神学の射程と諸相 5」刊行

 『神学の射程と諸相 5: 2019年度 同志社大学神学部 小原ゼミ 卒業論文集』(Kindle版)を刊行しました。

 力作揃いなので、関心ある方は、ぜひ読んでみてください。以下に、目次と私の序文を記しておきます。

 なお、これまでの『神学の射程と諸相』の一覧は「卒業論文集」のページでご覧いただけます。

【目次】
序文(小原克博)
1.食べることと神学──食の神学に関する一考察(石井優衣)
2.優生思想とキリスト教(田川智香子)
3.労働観と宗教──日本の伝統的職業倫理の再検討(瀧﨑絢子)
4.被抑圧者の宣教学・牧会学(鳥井新平)

 本書は、私が同志社大学 神学部で2019年度に指導した4編の卒業論文を含んでいる(論文の配列は著者姓のアルファベット順)。これらの卒業論文は神学や宗教研究に関わるものであるが、いずれも、古くから論じられてきた課題を現代的な文脈でとらえなおそうとしている意欲作である。「食べる」「命」「働く」「学ぶ・伝える」といった人間にとって普遍的とも言える課題が、これらの論文の中では多角的に論じられている。そして同時に、神学や宗教研究がどのような視点や射程を持っているかについても、読者は触れることになるだろう。
 本書に掲載された卒業論文の執筆者のほとんどは、私のゼミで2年間学びを共にした学生たちである。毎学期の発表・レポート作成を繰り返し、また、夏にはゼミ合宿を行い、時にはコンパや旅行を通じて、学びと親交を深めてきた。2019年度はこれらに加え、同志社の山小屋・新心荘への登山(11月)、自転車による琵琶湖一周(12月)も忘れがたい思い出となった。空調の効いた、快適な学びの場としての教室を抜け出し、予測不可能な自然の荒々しさや美しさに触れることによって、普段眠っている野性的な知の回路が動き出せばと思う。
 これまでも卒業論文集として『神学の射程と諸相』(1〜4)を刊行してきたが、変化の著しい時代の中で、その時々の学生の関心を照らし出しており、時代の「定点観測」としての役割も負っているように思う。この卒業論文集でも、グローバル・フードシステム、新型出生前診断、働き方改革など、今、我々が直面している課題が取り上げられている。
 今日、学術論文の多くはインターネット上で公開され、自由に閲覧できるようになったが、卒業論文については意外と実物を手にする機会は少ない。これから卒業論文を書こうとする者にとっては、本書がよい手がかりとなることを願っている。
 本書の一つひとつの論文が「神学の射程」の広がりを示しているだけでなく、論文を完成させ卒業していく学生たちのこれからの「人生の射程」をも示しているようである。執筆者の一人ひとりが自分の論文に愛着を感じているように、完成に至るまで伴走してきた私も、一つひとつの論文にいとおしさを感じている。本書を多くの人に読んでいただきたいと思う。
2020年2月
同志社大学 神学部 教授  小原克博

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