世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1153信(2013.02.25)

  • ベネディクト16世が最後のアンジェラスの集い
  • 教皇が『コンクラーベ』に関する自発教令準備か
  • べネディクト16世のツイートも終了へ
  • 教皇退位でローマへの旅行予約が急増
  • 香港の陳枢機卿がバチカンを直接批判
  • 不況の米国でメガチャーチは「成長」
  • ハギア・ソフィアのモスク化に正教会は反対
  • タンザニアでペンテコステ派牧師の首切る
  • 《メディア展望》

◎ベネディクト16世が最後のアンジェラスの集い

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は2月24日、在位中最後となる日曜正午のアンジェラスの祈りの集いで、世界各国の巡礼者に感謝の言葉を述べた。
 退位を数日後に控えたベネディクト16世の祝福を受けようとする巡礼などで、バチカンのサンピエトロ広場は朝から一杯になり、入り切れない人たちは大聖堂前のコンチリアツィオーネ通りなど周辺の道を埋め、10万人を超えたと推定される。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、宮殿の窓辺に姿を見せたベネディクト16世は、祈りの前の説教を行ったが、人たちの拍手で何度も中断され、そのたびに教皇は笑顔で「ありがとう」と答えた。
 説教では「主の変容」のエピソード(ルカ9・28b〜36)をテーマに、イエスの変容が弟子たちを連れて山の上で祈っている時に起きたことを教皇は強調、この出来事のすぐ前に自分の死と復活を予告しているイエスは、変容を通して弟子たちにその栄光の先取りを見せることになった、と語った。
 主の変容の観想から学ぶこととして、教皇は祈りの大切さを特別に強調、祈り無くしては、使徒職も慈愛の業も、単なる活動主義となってしまうと、指摘した。
 教皇は最後にイタリア語で、集いに参加した人たちに感謝の礼を述べ、この特別な時にある自身と教会のための祈りに感謝を表しながら、「祈りの中でわたしたちはいつも近くにいます。すべての皆さん、ありがとう」と呼びかけた。


◎教皇が『コンクラーベ』に関する自発教令準備か

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)広報事務所長フェデリコ・ロンバルディ神父は2月20日、教皇べネディクト16世が退位前に、次期教皇を選出する『コンクラーベ』について定めた使徒憲章中のいくつかの点を明確にするための自発教令発表を準備する可能性があることを明らかにした。
 それがコンクラーベ開催日程に関わるものかどうかは20日時点では判断できないと言う。さらに同神父は21日には『コンクラーベ』の開催日程は、使徒座空位期間に枢機卿たちによって決定されるだろうと述べている。
 自発教令について、同神父は、使徒憲章を大きく変更するものではないと思われると語った。


◎べネディクト16世のツイートも終了へ

 【CJC=東京】教皇べネディクト16世は退位する2月28日の前日に、最後のツイートを「@Pontifex」というアカウントへ投稿するとバチカン放送が明らかにした。
 バチカン(ローマ教皇庁)広報評議会のポール・タイ次官が、アカウントに関する疑問に答えた。
 「@Pontifex」は、教皇のために2012年12月設定された。ベネディクト16世が退位してから新教皇が選出されるまでの「使徒座空位」中は休眠状態になると見られる。
 「@Pontifex」を開設した際、バチカンはベネディクト16世固有のアカウントにならないように配慮した。新教皇が活用するかどうかは本人に委ねられている。
 教皇自身が最初にツイートしたのは2012年12月12日。「@Pontifex」には現在、150万人を超えるフォロワーがいる。


◎教皇退位でローマへの旅行予約が急増

 【CJC=東京】オンライン旅行予約では欧州大手の『エクスペディア』が2月19日明らかにしたところによると、教皇ベネディクト16世が2月末での退位を表明して以来、ローマへの旅行予約が同社に殺到している。イタリア国内だけでなく、フランスや教皇の出身国ドイツからの予約が急増しているという。
 ローマ行き航空券の予約は退位表明から24時間もたたずに急増した。フランス語予約サイトで26%増、イタリア語サイトで50%増、ドイツ語サイトで60%増。


◎香港の陳枢機卿がバチカンを直接批判

 【CJC=東京】香港カトリック教会引退司教の陳日君枢機卿が、バチカン(ローマ教皇庁)の中国に対する「融和策」が、当局の教会規制を容認する結果になったと指摘、初めてバチカンを直接批判した。
 政府公認の教会は「全部が政府の奴隷」と陳枢機卿がカナダの週刊紙『カトリック・レジスター』に語った。政府は長年にわたって、教会管理策を探り、思うままにやって来たと言う。
 陳枢機卿は、中国の公認教会は「実質的に分離教会」だと言う。教皇が中国の司教を「分離」と決めつけないのは、中国の教会自体にそう指示出来ないからだとして、公認教会の管理は実質的に政府が握っている、と指摘する。
 陳枢機卿は、これまでも北京政府を信教の自由を侵害する、と公然非難してきたが、バチカンを直接批判したことはなかった。「これまでずっと私は、聖座について語ることを控えてきた。しかし、今はバチカン当局者が責任を取るべきとの結論に達した」と言う。


◎不況の米国でメガチャーチは「成長」

 【CJC=東京】米国の経済はまだ足取り堅調とは言えないが、「メガチャーチ」の中には2012年には献金が増え、スタッフ増強を検討している所も出ていることが分かった。
 テキサス州ダラスに本拠を置く「教会シンクタンク」の『リーダーシップ・ネットワーク』が礼拝出席2000人以上の729教会を対象に調査したところ、最近の不況で「非常にマイナスの影響がある」と回答したのは3%、「いくらか影響がある」としたのが47%だったが、3分の1は全く影響がないと言う。
 さらに83%の教会が2012年など直近の会計年度で収支均衡を予想している。礼拝献金も2011年より増えている所が大多数。
 学校や結婚式場としての会堂利用などの副収入をあてにしている所もあるが、収入を教会員の献金によっている所がほとんど。
 回答教会の全部が、献金をオンライン、銀行間振替やキオスクでの振り込みなど電子的に受け取っている。
 支出を見ると、ほとんどが、10%以上を地域の「スープキチン」(炊き出し)から世界宣教に充てている。
 会計堅調の結果か、次年度にはスタッフの手当を1%は引き上げる予定の教会がほとんど。また増員も計画している所が多く、人員削減を行うという教会は6%に留まった。


◎ハギア・ソフィアのモスク化に正教会は反対

 【CJC=東京】イスタンブールの名所『ハギア・ソフィア』(アヤソフィア)をイスラム教のモスクに転用する請願がトルコ国会に提出されたことに、正教会指導者バルトロメオス1世(コンスタンチノープルのエキュメニカル総主教)が2月29日、強硬な反対論を展開した。
 『ハギア・ソフィア』は4世紀にキリスト教の聖堂として建設された。1453年に東ローマ帝国がオスマン帝国に征服されてからはイスラム教のモスクになったが、ケマル・アタチュルクの政治改革によって、1935年以来、『トルコ共和国博物館』として使用されている。
 日刊紙『ミッリイェト』によると、バルトロメオス1世は「聖ソフィアは博物館のままにしてほしい。1000年以上もキリスト教の教会だった。世俗化した建物を再び奉献するのなら、キリスト教会にすべきだ。モスクとして建てられた物ではないのだ」と言う。
 現在、国会はレジェップ・タイイップ・エルドアン首相の与党『公正発展党』(AKP)が絶対多数を占めており、請願が採択される可能性は高い。
 エルドアン首相が政権の座について以来、1万7000以上のモスクが新設された、と『ミッリイェト』紙は報じている。


◎タンザニアでペンテコステ派牧師の首切る

 【CJC=東京】アフリカ・タンザニア北部ブセレセレにあるペンテコステ系『アセンブリーズ・オブ・ゴッド』のマタヨ・カチリ牧師が2月11日、狂信団体に襲撃され、首を切られた。
 同派世界宣教部門の現地指導者マイク・マックラフリン氏は「キリスト者に対する敵意と暴力がアフリカ各地で強まっており、信徒兄弟姉妹、特に牧師のことを心配している」と言う。
 タンザニアの同派管理者バルナバス・エムトカンバリ氏は、キリストのように信仰に留まれ、と信徒に訴えている。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(2月24日)=https://www.cwjpn.com
★ベネディクト16世の教皇職=宗教指導者として世界に深い印象=信仰への回帰も呼び掛ける
★教皇在任中 最後の「灰の水曜日」=謙遜の重要性説く
★教皇庁文化評議会の総会=「青年文化」テーマに=日本からも出席
★正平協=「なぜ今、奄美か」=全国会議で教会迫害史
★横浜教区=堅信の秘跡学ぶ=春期典礼研修会開く

 =キリスト新聞(2月23日)=https://www.kirishin.com
★教皇ベネディクト16世退位=今月末に、"生前退位"600年ぶり
★「ローザンヌ運動」=新総裁にマイケル・オー氏=名古屋・キリスト聖書神学校校長
★日本YMCA同盟がスポーツ界に緊急提言=「いじめと体罰」なくせ
★公益性問われるのは「俗」の面=新宗連・宗教法人研究会第1回公開シンポ
★渡辺禎雄生誕100年=聖書版画集・新教出版社=版画展・教文館

 =クリスチャン新聞(2月24日)=https://jpnews.org
★信教の自由を守る日記念講演会=日本軍が中国でしたことは「略奪、強盗、強姦」=「従軍慰安婦」の身体検査を行った元衛生兵が証言
★映画「わすれないふくしま」=放射能で、いのちと絆が壊されていく
★2・11集会=条例施行後の大阪 学校の危機=根本は国家基軸の問題=「キリスト者こそが真の国家・社会つくれる」
★2・11集会=宗教改革から学ぶ抵抗の道=「聖書から国家を教え続ける必要ある」=JECA関東集会で星出卓也氏
★新カンタベリー大主教が就任=女性主教を支持、同性婚には反対


 ◆世界キリスト教情報◆ご案内
☆活動紹介・メールマガジン(整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは
https://homepage3.nifty.com/cjc-skj/で。
☆ニュースレター(PDF)・同報メール(無整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは
cjcpress@gmail.comまで。
☆『週刊・世界キリスト教情報』既刊号は下の各サイトで
・ニュースレター=PDF
https://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/
・メールマガジン
https://blog.livedoor.jp/skjweekly/
・同報メール
https://cjcskj.exblog.jp/
☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください
https://www.kohara.ac/church/
........................
☆CJC通信(メディア向けですが、どなたでもお読みいただけます。転載使用ご希望の方は巻頭の連絡先までお申し込みください)
https://blog.livedoor.jp/cjcpress/
☆CJC通信速報(Twitterを利用しています)
https://twitter.com/cjcpress/

月別の記事一覧