世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1208信(2014.03.17)

  • 2016年に正教会「全地公会議」
  • 教皇フランシスコ選出から1年
  • 中国との関係正常化に教皇が期待表明
  • 朴大統領が就任後初めてカトリック指導者と昼食
  • 米「ベイエリア」のメガチャーチが長老派離脱
  • 米映画「ノア=約束の舟」がアラブ3国で上映禁止
  • テンプルトン賞にチェコのハリク司祭
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎2016年に正教会「全地公会議」

 【CJC=東京】コンスタンチノープルのエキュメニカル総主教バルトロメオス1世が招集し、イスタンブールのフェネルで3月6〜9日に開かれた独立正教会首長会議は、「全地公会議」(全正教会主教会議)を2016年にイスタンブールで開催することで合意した。
 14独立正教会相互の関係を緊密にすると共にカトリック教会との関係強化を図るもの。バルトロメオス1世は、2015年開催の意向だったが、ロシア正教会のキリル総主教が、準備不足を理由に16年開催を主張したという。
 正教会が公会議と認める最後のものは紀元787年の第2ニカイア公会議。


◎教皇フランシスコ選出から1年

 【CJC=東京】教皇フランシスコが選出されて、3月13日で1年を迎えた。
 2013年3月13日、前教皇ベネディクト16世の引退に伴い行われた「コンクラーベ」(教皇選挙)で、アルゼンチン出身のブエノスアイレス大司教ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿が第266代目のローマ教皇に選出され、教皇名としてフランシスコを名乗った。
 世界の各メディアが、教皇フランシスコ選出からの1年を振り返り、特集を組むなど、教皇が教会だけでなく世界に与えた影響は大きい。
 バチカン放送は、バチカン(ローマ教皇庁)広報事務所長フェデリコ・ロンバルディ神父のインタビューを報じている。
 「この1年で中心となったのは、人々の、すなわちカトリック信者だけでなく世界中の人々の、教皇フランシスコとそのメッセージに対する大きな関心でしょう。教皇を通して、愛や関心や憐れみや連帯の言葉に触れることで、人々が心の奥底に訪れる神の愛を感じることができたのではないかと思います」
 「わたしにとってこの1年で特に印象に残ったエピソードはいくつもあります。もちろん、初めて教皇フランシスコがサンピエトロ大聖堂のバルコニーに現れた時のことはすべて忘れがたいものです。そして、聖木曜日の午後、少年院で教皇が行なった洗足式、また、ランペドゥーサ島訪問の際の、よりよい未来を求める希望と苦しみの旅の果てに、忘れられ、見棄てられた人々や、亡くなった人々に対する教皇の深い連帯、リオデジャネイロでの世界青年の日大会での若者たちや、ラテンアメリカの信者たちとの出会い、アッシジ訪問なども思い出します」。
 「また、教皇フランシスコの心にある在位中の計画を明確に、広く、詳しく知ることのできる使徒的勧告『エヴァンジェリ・ガウディウム』や、今年2月に行われた公開枢機卿会議などもあります。これらの歩みからも、いかにこの1年の内容が濃いものであったか、そして、わたしたちがいかに様々な側面に触れ、多くの出会いを持ったかがわかるのです」
 バチカン放送は、教皇は外に出て行く教会を望み、そのための構造改革が言われている。教会は今どのように変わりつつあるのか、と同神父に質問した。
 「教会はまさに歩む民そのものです。大きなダイナミズム、これが最たる特徴です。教皇はこれに大きな活力を与え、神のみ旨を求め、現代に皆の善のための使命を探し、世界の果てに向かう教会と共に歩みます。教皇はよく司牧者は群れの前と中と後ろを歩き、群れが歩み、道を見つけることを助けるようにと話します。教皇はまさにこのとおりに、教会全体に歩むように呼びかけています。この強いダイナミズムは、特にここ数年のシノドス(世界代表司教会議)の歩みの中に見られます。教会は人間的・キリスト教的体験の中心として、今特に家庭について考察しようとしています。」
 教皇フランシスコの在位1年目として思い浮かぶ重要なイメージは何か、との問いに同神父は「特に、水曜日の一般謁見です。教皇は人々に囲まれ、挨拶や微笑をおくられながら彼らとお会いになり、特に病者のもとに留まります。カテケーシスの後で教皇が広場で最初にお会いになるのが病者であることは、大きな意味を持っていると思います。苦しむ人、弱い人は教皇と教会の中で第一の場を占めています。それは福音が優先することだからです」と答えている。


◎中国との関係正常化に教皇が期待表明

 【CJC=東京】教皇フランシスコは3月5日付のイタリア紙『コリエーレ・デラ・セラ』とのインタビューで、国交のない中国について「大いなる民」と述べ、関係正常化に期待を表明した。毎日新聞が報じた。
 教皇は昨年3月、中国の習近平共産党総書記が全国人民代表大会(全人代)で国家主席に選出された際に書簡を送り、習国家主席から返信があったことを明らかにした。
 教皇は今年1月、アジア情勢について、中国の名指しは避けつつ、「宗教、文化の偉大な伝統がある国で開放的な兆候が出ていることを期待を持って見ている」と語っている。


◎朴大統領が就任後初めてカトリック指導者と昼食

 【CJC=東京】韓国の朴槿恵大統領が3月14日、青瓦台(大統領府)に、就任後初めてカトリック指導者らを招き昼食を共にした。廉洙政(ヨム・スジョン)枢機卿の叙任を祝い、教皇の韓国訪問(8月14〜18日)について話し合った模様。廉枢機卿と共にオスヴァルド・パディリャ大司教(駐韓国兼モンゴル教皇庁大使)、姜禹一(カン・ウイル)、曺圭晩(チョ・ギュマン)司教も同席した。
 朴大統領は、カトリック系の聖心女子中学・高校と西江大学を卒業した。1965年、聖心女子中学校時代に洗礼を受けた。洗礼名は「ユリアナ」。


◎米「ベイエリア」のメガチャーチが長老派離脱

 【CJC=東京】米カリフォルニア州メンロパークの長老教会(ジョン・オートバーグ主任牧師)は、会員数3000人以上の「メガチャーチ」。同性愛者への対応をめぐって内部対立が表面化していたが3月2日、加盟団体『米長老教会』(PCUSA)離脱と、2012年に発足した『カブナント・オーダー・オブ・エバンジェリカル・プレスビテリアン』(ECO)加入を、2024票対158票で決議した。
 PCUSAのサンフランシスコ中会は11日、同教会の投票結果を承認した。今後91日以内に、手続きを完了する必要があるが、教会側は礼拝堂などの資産を持って離脱する計画で、PCUSAに支払う890万ドル(約8億9000万円)は、会員の献金250万ドルと、サンフランシスコ周辺の「ベイエリア」宣教を支援している『チャーチ・オブ・ザ・パイオニア・ファウンデーション』からの助成でまかなう計画。オートバーグ牧師夫妻の居宅も売却する。
 メンロパーク教会は、サンフランシスコ周辺に開拓伝道を行い、急成長した。礼拝での生バンド演奏や、説教の同時中継に力を入れた。教会は1カ所でなく、複数の場所に立地する。米国では「マルチサイト・コングリゲーション」と呼ばれているやり方。
 PCUSAは2011年、他の主流各派と同様、公然同性愛者の聖職就任を認めたが、それ以来、反対派の離脱が続いている。離脱教会の多くがECOに加盟し、同派はすでに115教会を擁するまでになっている。


◎米映画「ノア=約束の舟」がアラブ3国で上映禁止

 【CJC=東京】ロイター通信によると、聖書に登場する物語「ノアの方舟」を題材にしたラッセル・クロウ主演映画「ノア=約束の舟」が、カタール、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)などのアラブ諸国で宗教的な理由により上映禁止となった。同作品が世界各地で公開される前のことで、今後も追随する国が出てくる可能性がある。
 配給会社パラマウント・ピクチャーズの当局者が8日明らかにした。「イスラム教の教えに反する」ためとされており、エジプト、ヨルダン、クウェートでも同様の禁止措置が取られる可能性もある、と語っている。
 映画は米国で3月28日公開される。日本公開は6月。


◎テンプルトン賞にチェコのハリク司祭

 【CJC=東京】ジョン・テンプルトン財団(本部=米ペンシルベニア州ウェスト・コンショホッケン)が宗教間の対話・交流に貢献した人に贈る『テンプルトン賞』の2014年度受章者はチェコのカレル大学宗教社会学教授(哲学)のトマス・ハリク司祭(65)に決まった。同財団が3月13日発表した。
 マザー・テレサや作家グレアム・グリーンなどの影響でカトリックに改宗、最近は異宗教の人々や、宗教伝統を重んじる人とそうでない人との間の相互理解に努めている。著作「神との忍耐」は2009〜10年の「欧州神学書」に選定された。
 テンプルトン賞は、米国の投資家ジョン・テンプルトンが1973年に創設した。宗教分野のノーベル賞とも呼ばれ、賞金はノーベル賞に匹敵する高額。


《短信》

〇北朝鮮でキリスト者33人処刑か
 金正恩第1書記が、宣教師との接触を理由に命じた、と米紙ワシントン・タイムズが報道。(CJC)

〇マレーシアが「ウルトラマン」の発売禁止
 コミック書「ウルトラマン・ジ・ウルトラ・パワー」が「公共の秩序を乱す」として2月18日、発売が禁止された。(CJC)

〇シリアで拉致された正教会聖職者ら解放
 シリアの蜂起勢力によって昨年12月に拉致された正教会の聖フェクラ修道院の聖職者らが、3月9日解放された。(CJC)

〇米合同メソジストが同性婚司式した牧師処分で揺れる
 ニューヨークのマーティン・マクリン監督が、同性婚を司式した牧師処分の審判を差し止めた。(CJC)

〇パリのノートルダム聖堂で正教会の祈祷会
 ロシア正教会の「大斎」(おおものいみ、受難節)期間の毎週金曜日に、パリのカトリック・ノートルダム聖堂で正教会の祈祷会が開かれる。ロシアのインターファクス通信が報じた。(CJC)

〇スウェーデンのメガチャーチの指導者改宗
 1983年「いのちの言葉」共同体を設立したウルフ・エクスレ牧師は夫人と共にカトリックに改宗すると語った。クリスチャン・ポスト紙が報じた。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(3月16日)=https://www.cwjpn.com
★被災地に寄り添い続ける=3年目の決意と祈り 新たに=全国の司教ら 仙台で復興祈願ミサ
★印象的な7つの言葉=就任1周年の教皇フランシスコ
★司教協の諸宗教部門=「自死」シンポ 小冊子に
★近畿カトリック5校=甲子園で友情応援へ=宮城・気仙沼市の東陵高に協力
★みそ汁はママとの約束=思い出胸に 毎朝父と台所=福岡・大名町教会=安武信吾さん、はなちゃん

 =キリスト新聞(3月15日)=https://www.kirishin.com
★公開パネルディスカッション=宗教者の震災支援問う=信徒、学者、記者らが登壇=キリスト教出版販売協会
★「宗教者九条の和」憲法講演会=〝戦争する国とならないために〟=松浦悟郎氏「平和の歩み手放さず」=孫崎亨氏「集団的自衛権必要なし」
★日本カトリック司教協議会諸宗教部門=自死めぐる小冊子発行
★東京バッハ合唱団=創立50年記念の連続公演ラスト
★台風被災のフィリピン=仏教慈善団体が教会再建を援助

 =クリスチャン新聞(3月16日)=https://jpnews.org
★ウクライナへ祈り要請=世界福音同盟など
★犠牲者ありきの核実験に歯止めを=第五福竜丸・ビキニ水爆被災事件から60年
★震災・原発・福島から見るキリスト教とは=「一般の人々 宗教者に近づいた」=他宗教の視点交え公開パネルディスカッション
★こひつじキャンプ in 台湾=福島の親子 自然と触れ合い=〝普通の生活〟奪った原発事故
★〝かおり〟のコラボで=ヤマモトカオリ・初アルバム発売記念コンサート


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