世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1209信(2014.03.24)

  • 教皇がマフィアに「悪事を働くのをやめるよう」呼びかけ
  • 米誌が「世界で最も偉大な指導者」に教皇フランシスコ選定
  • バチカン図書館が所蔵文献をデジタル化
  • WCCが世界ユダヤ人会議代表と会談
  • 「銃が当たる」米の教会イベントに賛否
  • ケニアの教会で武装集団が発砲し4人死亡
  • 中国地下教会の范忠良司教死去
  • 「同性愛憎悪の牧師」フェルプス氏死去
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎教皇がマフィアに「悪事を働くのをやめるよう」呼びかけ

 【CJC=東京】教皇フランシスコは3月21日、ローマの聖グレゴリオ7世教会で開かれたマフィアの犠牲者の遺族らとの祈りの集いで、マフィアに「悪事を働くのをやめるよう」呼び掛け、組織犯罪に反対するカトリック教会の態度を示した。
 バチカン(ローマ教皇庁)からほど近い教会に1000人を超える人々が参加した祈りの集いでは、殺害された幼児たちや、1992年、車に仕掛けられた爆弾の爆発で殺害された有名な反マフィアのジョバンニ・ファルコーネ判事を含め、マフィアの暴力による犠牲者842人の名前が読み上げられた。
 教皇は「マフィアの男も女も...生き方を変えなさい。悪事を働くのをやめて、改心しなさい」「現在の道を下り続けるなら地獄行きとなる、それを避ける時間はまだある」と語り掛けた。
 マフィアのドンたちは伝統的にミサに出席、盛大な葬儀が教会で行われることも多く、善良なカトリック献金者を装っている。
 祈りの集いに先立ち、反マフィア協会『リベラ』の副会長、マルチェロ・コッジ神父はAFP通信の取材に対し、教皇が「明らかにしたいのは、福音とマフィア、福音と腐敗、福音と違法は手に手を取って協力することはできないということだ」と語った。
 3月13日に就任1年を迎えた教皇は、『宗教事業協会』(バチカン銀行)の透明性の向上に取り組んできた。バチカン銀行は資産約60億ユーロ(約8480億円)。教会の力の源泉である一方、同協会に設けられた聖職者の口座がイタリアの保守政治家やマフィアの借名口座として使われ、マネーロンダリング(資金洗浄)の温床だったとも指摘されてきた。
 バチカン銀行の透明性向上は、カトリック教会に張り巡らしたマフィアの利権ネットワークを教皇が暴露しようとしているとも見られ、マフィアの反発は十分に予想出来る。
 南部カラブリア州でマフィア対策に当たっているニコラ・グラテッリ検事は昨年11月、カトリック教会の金融事業の抜け穴を悪用してきたマフィアが教皇の改革に対して神経をとがらせている、と地元紙に語っており、ここへ来て、教皇がマフィアに生命を狙われる恐れも浮上している。


◎米誌が「世界で最も偉大な指導者」に教皇フランシスコ選定

 【CJC=東京】米経済誌『フォーチュン』は3月20日発売の4月7日号で、「世界で最も偉大な指導者50人」を発表し、1位にローマ教皇フランシスコを選んだ。同誌がこの種のリストを発表するのは初めて。ビジネス、政治、軍事、宗教など各界で現役活躍中の人々を選んだという。
 2位にアンゲラ・メルケル独首相、5位に現職のバラク・オバマ大統領でなくビル・クリントン元大統領を、「U2」のシンガー、ボノを8位に、ダライ・ラマを9位に選んでいる。


◎バチカン図書館が所蔵文献をデジタル化

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は3月20日、バチカン図書館が所蔵する手書きの文献をデジタル化して保存する、と報道事務所で記者会見し発表した。デジタル化したものは、同図書館のウエブサイトに、高解像度の画像データとして掲出される。
 『NTTデータ』と契約し、図書館が所蔵する約8万2000冊の中から4年かけて約3000冊のデジタル化を進める。最終的にはバチカン図書館の所蔵する約8万冊(約4千万ページ)全てをデジタル化する計画。
 記者会見には、バチカン・アルキビスト兼司書のモンシニョール・ジャン・ルイ・ブルゲス、館長のモンシニョール・ケサーレ・パッシニ、NTTデータの岩本敏男社長らが出席した。
 NTTデータが提供するデジタルアーカイブシステムで管理できるようにする。費用は約1800万ユーロ(約25億円)と見られる。バチカンが民間企業と巨額の有償契約を締結するのは珍しい。
 バチカン図書館は15世紀に設立された。現存する図書館では、世界最古の図書館の一つ。神学や歴史、美術関連などの貴重な文献を所蔵するが、ヒツジなどの皮を加工した羊皮紙や、パピルスと呼ばれる古い紙に書かれた文献は、将来劣化して読めなくなることが懸念されていた。


◎WCCが世界ユダヤ人会議代表と会談

 【ジュネーブ=CJC】世界ユダヤ人会議のマラム・スターン次席副総裁とマイケル・D・コルソン駐ジュネーブ代表が3月20日、世界教会協議会(WCC)本部を訪問、オラフ・フィクセ=トゥヴェイト総幹事らと会談した。
 双方は、欧州各地で散発している外国人排斥、宗教の過激化などに関し、今後の協力の可能性を多方面にわたって討議した。また気候変動問題については、キリスト者とユダヤ教徒が、世界の善のために、他の信仰者と共に取り組むべきものだ、という点で一致した。
 トゥヴェイト総幹事は、世界が直面している「道徳的な挑戦」に言及する中で、協働への期待を表明した。


◎「銃が当たる」米の教会イベントに賛否

 【CJC=東京】銃規制に揺れる米国で、ケンタッキー州のローンオーク・ファースト・バプテスト教会が、賞品に銃が当たるイベントを3月6日開催した。ピストルやライフル、ショットガンなど25丁はすべて寄付による。教会側は「人々をキリストに向け」ようと企画したもので、銃を保有する権利を認めた「合衆国憲法修正第2条」と偉大な野外活動をたたえるイベントだという。
 「アウトドア・チャンネル」で人気の狩猟番組の司会チャック・アリスター牧師がゲスト。同氏はケンタッキー・バプテスト連盟の役員でもあり、連盟はウェブサイトでこのイベントを紹介し「チャックの職務は、神と銃、そして(南部の)男たちのためにある」と、この2年で3000人を神との出会いに導いたと、宣伝していた。
 ただAFP通信によると、現地紙『クーリエ・ジャーナル』は、このイベントが同州の宗教界の怒りを買っていると報じた。ケンタッキー州キリスト教会協議会元会長のナンシー・ジョー・ケンパー牧師も「教会は、地域社会の人々に対して武装することを奨励すべきではなく、イエスの教えの通り、隣人を愛することを奨励すべきだ。教会が配布した銃で無実の人が亡くなることなどがあれば、あまりに恐ろしい」と非難している。
 しかしアリスター牧師は、銃の配布は「教会に属していない人々」への素晴らしい方法だと反論している。同牧師はクーリエ・ジャーナル紙に「人々が魅力を感じるものは何か。ケンタッキーでは猟だ。我々はそうした人々に、気軽に武器を持つ権利について語っている」と言う。


◎ケニアの教会で武装集団が発砲し4人死亡

 【CJC=東京】ケニア南東部モンバサ近郊リコニで3月23日、武装集団がジョイランド教会を襲撃し、無差別に発砲した。同国警察幹部によると4人が死亡、17人が負傷した。武装集団は逃走し、犯行声明は出ていない。
 モンバサでは17日、大型爆弾を所持していた男2人が警察に逮捕され、テロへの警戒が強まっていた。


◎中国地下教会の范忠良司教死去

 【CJC=東京】中国「地下」カトリック教会の指導者、ヨセフ・范忠良(ファン・ツォンリャン)上海司教が3月16日、自宅で死去した。96歳。
 1918年12月18日、江蘇省梅隴鎮(現・上海市徐匯区長橋新村)生まれ。 38年8月、修道会イエズス会に入会。51年、司祭叙階。55年、「反革命」容疑で逮捕され58年、懲役20年の判決を受け、青海省で服役した。85年2月、当時の青海司教から秘密に司教に叙階され、上海教区協働司教となった。
 2000年3月、上海教区司教に着座したが、中国政府の承認を得られないまま。中国天主教地下司教団団長でもある。
 中国当局は、范司教の葬儀ミサを徐家匯聖イグナチオ大聖堂で執行することを容認した。カトリック系CWNが報じた。同司教は「地下教会」の指導者であることから、当初出された申請を却下していた。


◎「同性愛憎悪の牧師」フェルプス氏死去

 【CJC=東京】同性愛を神はどんな罪よりも憎んでいる、と批判、葬儀場に出掛けて死者や遺族を冒涜するなどの極端な行動で知られる米カンサス州トペカのウエストボロ・ バプティスト教会の創設者フレッド・フェルプス氏が3月19日夜死去した。84歳。


《短信》

〇イスラエル外務省が大規模スト
 イスラエル外務省職員が3月23日、給与引き上げなどを求めて大規模なストライキに入った。5月に予定されている教皇フランシスコのイスラエル訪問に影響が出る懸念も出ている。(CJC)

〇教皇がウクライナ大司教と会談
 3月17日、クリミアで宣教中のカトリック司祭の安否について、キエフ=ハリフのスヴィアトスラフ・シェフチェク大司教と会談した。(CJC)

〇パリのサクレクール聖堂にいたずら書き
 パリはモンマルトルの丘にあるサクレクール聖堂が、神や権威を冒涜し、聖堂焼き討ちを呼び掛けるいたずら書きの被害に遇っていることが3月19日判明した。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(3月23日)=https://www.cwjpn.com
★教皇、8月に韓国訪問=青年の集いと列福式で
★教皇フランシスコ=サタンと対話はしない=聖書の言葉で身を守る
★全ベース会議、仙台教区サポート会議=見直し、新計画、それぞれに=3年目迎えた被災地の支援
★東京教区=追悼と復興祈る=「思いつづける」集い開催
★「また非合法化か?」=クリミア=恐れるカトリック共同体

 =キリスト新聞(3月22日)=https://www.kirishin.com
★精神障がい者の〝タラント〟生かし社会に周知を=共同作業所「ホサナショップ」のビジョン
★東日本大震災3周年礼拝=〝「他者の痛み」想起する群れに〟=東京YMCA
★WCC総幹事バチカン訪問=教皇と会見
★教皇8月韓国訪問=朴大統領と会談も

 =クリスチャン新聞(3月23日)=https://jpnews.org
★東日本大震災から3年=悲しみ、苦しみを宝に=天からの希望、慰めある
★イエスの愛伝えたい=「明日へ」〜東日本大震災メモリアルコンサート
★教会内優先の発想 もう終わりに=東日本大震災から3年を迎えての祈りの集い
★3・11超教派一致祈祷会で高田篤美氏=「活動支えたゼカリヤ4・6」
★高齢者増加にともない東京に新拠点=東中野キングス・ガーデン開設準備祈祷会


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