世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1210信(2014.03.31)

  • 教皇と米大統領が人権と国際法強調
  • 教皇が性的虐待問題諮問委員8人指名
  • バングラデシュの少数派抑圧阻止をWCC呼び掛け
  • シリア反政府勢力がキリスト者の町攻撃
  • 日本人牧師がソウルの慰安婦少女像前で謝罪の祈り
  • 英誌『タブレット』がローマ通信員解任
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎教皇と米大統領が人権と国際法強調

 【CJC=東京】教皇フランシスコは3月27日、米国のバラク・オバマ大統領をバチカン(ローマ教皇庁)宮殿に迎え会見した。
 教皇フランシスコとオバマ大統領の出会いは今回が初めて。同大統領のバチカン訪問は2009年7月のベネディクト16世との会見以来、2度目。約50分にわたった会談では、国際情勢について意見が交換され、特に紛争地域での人権と国際法の尊重、双方の話し合いによる問題解決の必要が強調された。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、バチカンと米国の関係、教会と国家の協力の観点からは、宗教の自由、命の権利、良心的拒否の権利がテーマとなったほか、移民法改革についても言及された。最後に、世界における人身売買の根絶を共に目指すための取り組みが確認された。
 会談後、オバマ大統領はジョン・ケリー国務長官ら随行員を教皇に紹介した。ケリー国務長官は、今年1月にバチカンを訪れ、教皇庁国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿(当時、大司教)とシリアをはじめとする中東問題などについて話し合っている。
 贈り物の交換で、大統領はホワイトハウスで栽培している野菜と草花の種を詰め合わせた皮張りの箱を教皇に贈った。この箱には米国のカトリック教会として一番古いバルティモアの大聖堂に使われていた板が用いられている。一方、教皇は、平和の天使が浮き彫りにされた記念のメダルと、ご自身の著書「使徒的勧告=エバンジェリ・ガウディウム」を手渡された。
 大統領は、会見の最後に、自分と家族のために祈って欲しいと教皇に願った。
 大統領は教皇との会見後、バチカン国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿や外務局長ドミニク・マンベルティ大司教とも会談した。


◎教皇が性的虐待問題諮問委員8人指名

 【CJC=東京】教皇フランシスコが3月22日、聖職者による子どもへの性的虐待問題に関する諮問委員会の委員8人を指名した。諮問委員会は2013年12月5日創設が発表された。
 委員の中には、被害者の1人として被害者の人権のための活動を行ってきたアイルランドのマリー・コリンズさん、米国の被害者のスポークスマンを務めてきたショーン・パトリック・オマーリー大司教(ボストン教区)やフランスや英国の精神科医もいる。
 ポーランド元首相で、駐バチカン大使を10年以上務めたハンナ・スホツカ氏も就任する。
 今回指名された8人は、委員会の権限と義務を明確にする内部規定を作成する予定。その他の地域を代表するメンバーは、後日指名されるという。
 コリンズさんは13歳の時、病院で司祭から性的虐待を受け、1997年に司祭を告訴。現在はインターネットによる性的虐待の被害者を保護するNGOを設立している。


◎バングラデシュの少数派抑圧阻止をWCC呼び掛け

 【ジュネーブ=CJC】バングラデシュの人権擁護活動家がジュネーブのWCC(世界教会協議会)で3月26日会合を開き、同国の少数宗教・民族に対する厳しい抑圧に、国際社会が関心を高めるよう呼び掛けた。
 抑圧の背景には、宗教的過激主義、原理主義、安全意識の欠如などがあるという。
 総人口1億5300万人とされるバングラデシュはイスラム教が支配的な国だが、少数宗教・民族が約2000万人存在する。
 会議は「バングラデシュの人権と人間の安全保障」という主題のもとWCCの国際問題に関する教会委員会とバングラデシュ少数派協議会が開催した。


◎シリア反政府勢力がキリスト者の町攻撃

 【CJC=東京】シリアの反政府勢力はイスラム主義を強調する「アルカイーダ」の影響を受けているとされ、トルコ国内に潜伏しているが、国境を越え、アルメニア系とキリスト者市民の多いケサブの町に攻撃を加えている。
 カナダのアンドリュー・ベネット宗教の自由大使は「アルメニア教会が冒涜され、アルメニア系市民は居宅から追い出されている。アルメニア使徒教会とアルメニア・カトリック教会信徒など、シリアのキリスト者への攻撃が続いている。これは認められない」と声明で指摘した。
 アルメニア・カトリック教会の首長ネルセス・ベドロス19世タルモウニ総主教はフィデス通信に、「銃声を聞いたキリスト者は早朝に脱出するものの、中にはパジャマ姿で、何も持ち出せないままだ。反政府軍はトルコ国境の山岳部からやって来る。多くが重武装だ」と語っている。


◎日本人牧師がソウルの慰安婦少女像前で謝罪の祈り

 【CJC=東京】韓国の聯合ニュース(日本語電子版)によると、3月28日午後、ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦を象徴する少女像の前に、つえをついた日本人・平野耕一牧師が立った。体が不自由なため、同伴者の助けを借りながら牧師は少女像に近づいた。そして少女像の隣にある椅子をつかみ、祈りをささげ始めた。
 平野氏は東京ホライズンチャペルの設立者。前日、韓国福祉宣教連合会などが主催した討論会「和解のための韓・日宗教界の役割」に参加、同日、日本の過去の過ちについて謝罪するため韓国人牧師3人と共に少女像を訪れた。
 平野氏は、旧日本軍による慰安婦被害者がどれほど大きい辱めを受けたのか推し量ることもできず、日本人牧師として少女らとその家族に謝罪するしか出来ないことが恥ずかしいとした上で、日本に戻れば、謝罪して祈らなければなければならないと信徒に伝えると述べた。
 また、植民地時代に日本が行った犯罪により、苦痛を得た韓国人に対し、もう一度心より謝罪すると述べた。


◎英誌『タブレット』がローマ通信員解任

 【CJC=東京】英国の革新系カトリック週刊誌『タブレット』がローマ通信員のロバート・ミケンズ記者を3月26日解任した。前教皇ベネディクト16世に関し、その死を期待するような発言を「ラットの葬儀」と題してフェースブックに3月2日書き込んだことを理由に上げている。
 福者教皇ヨハネ23世の秘書を務め、98歳と最高齢で2月22日指名されたローリス・カポヴィッラ枢機卿に触れたもので、「もっと昔になされるべきだった。これは『ラットの葬儀』のためだと思うか」と問いかけていた。
 この書き込みが英紙テレグラフのダミアン・トムソン記者の目に留まって3月24日報道され、一気に関心が高まり、2日後の解任発表となった。。
 「ラット」は英語では「rat」でネズミ(卑怯者)。フェースブックでは「r」が大文字で表記されており、ベネディクト16世の姓「ラッツィンガー」に引っかけているのは明らか。


《短信》

〇「紙の教会」の坂茂氏にプリツカー賞
 米ハイアット財団が3月24日、「紙の教会」「紙のカテドラル」などで知られる建築家の坂(ばん)茂氏(56)にプリツカー賞を授与する、と発表した。(CJC)

〇台湾基督長老教会が学生デモ是認するアピール文発表
 台湾基督長老教会(PCT)は3月25日、「中国とのサービス貿易協定の違法採択に反対する学生たちによる公然のデモに関する是認とアピール」を議長および総幹事名で発表した。(CJC)

〇独カトリック教会「ぜいたく司教」辞任
 教皇フランシスコは3月26日、独西部リンブルク教区のフランツ=ペーテル・テバルツファンエルスト司教の辞任申請を認めた。(CJC)

〇信仰で何が重要かで教会は登場しない米国
 信仰で何が重要か、バーナ・グループが調査したところ、米国人は祈り、家族や友人、聖書を読む、子どもなどが出たが、上位10件の中に教会が登場しなかった。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(3月30日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=父は子に寄り添い 教え、導き、愛するように
=聖ヨセフの祭日
★バチカンと聖公会、イスラム指導者=人身売買撲滅で協定
★マフィア「回心を」=教皇、犠牲者遺族と祈り
★文献、電子化へ=バチカンと日本企業提携
★支援活動の写真展=仮設入居者"招待"の日も=福島・松木町教会

 =キリスト新聞(3月29日・休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(3月30日)=https://jpnews.org
★福岡「希望の祭典」1万人=決心者255人=教会協力の"実"
★世界に原発の根本問う=日基教団 仙台で東日本大震災国際会議を開催
★東京聖書学院=苦しい時にこそ御言葉が=社会人クリスチャン講師に特別講座
★故郷の支援と宣教に重荷を=クリスチャン県人会・東北・福島
★交わりが民族主義を超える=日韓教会協力会議2014


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