世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1212信(2014.04.14)

  • 教皇「児童への性的虐待という悪に個人的に許しを」
  • バチカン銀行「透明性高めて存続」を教皇了承
  • イエスの「妻」記述のパピルスは古代のものと研究論文
  • 避妊解禁は合憲と比最高裁
  • ノルウェー教会総会は同性婚挙式案を否決
  • シリアでオランダ人神父殺害される
  • 地中海の漂流難民6000人をイタリア海軍救出
  • 国連安保理が中央アへのPKO部隊派遣承認
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎教皇「児童への性的虐待という悪に個人的に許しを」

 【CJC=東京】教皇フランシスコは4月11日、国際カトリック児童事務局の使節と会見した。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇は使節への挨拶で、より良く構築された社会は、子どもと高齢者を大切にする社会であると述べ、子どもたちは未来を担い、歴史を前進させる力であり、高齢者は人民の知恵を備え、それを伝える役割があると語った。
 教皇は教会関係者による未成年の虐待に言及。司祭たちによる児童への性的虐待という悪に対し、個人的に許しを乞いたいと述べた。そして教会はそれが与えた被害を自覚しており、この問題に対する対処と処罰において一歩も引くことなく、強く立ち向かう必要を感じていると表明した。
 また教皇は、子どもたちを労働力として搾取すること、少年兵士として徴兵することなど、あらゆる形の未成年への暴力を無くすように訴えたほか、20世紀の歴史の悲劇に見られたような、子どもたちを一つの思想に染め、独裁的な道を歩ませるための作為的教育を行なうことがないようにとも警告した。
 国際カトリック児童事務局(本部パリ)は1948年、子どもたちの保護を目的に、教皇ピオ12世の希望により創立されて以来、子どもたちの権利を守り、推進するために活動、1989年国連で採択された「こどもの権利条約」にも貢献してきた。


◎バチカン銀行「透明性高めて存続」を教皇了承

 【CJC=東京】教皇フランシスコは4月7日、教会の資産を管理・運用してきた『宗教事業協会』(バチカン銀行)について、透明性を高めた上で存続させるべきだとする勧告を了承した。
 バチカン銀行は政治家やマフィアの資金洗浄の温床になっているとの疑惑が絶えず、その改革はバチカンの財務改革の焦点とされ、欧州の金融監督当局からも改善を求められた。
 教皇は昨年3月の就任以来、有識者による調査委員会を設置、廃止も含めて改善策の検討を進めた。今年2月には財務省を新設、バチカン銀行は財務省の下で、バランスシートを初公表するなど、法令順守と透明性向上を図ってきた。


◎イエスの「妻」記述のパピルスは古代のものと研究論文

 【ケンブリッジ(米マサチューセッツ州)=CJC】ハーバード神学校は4月10日、広範な科学的検証の結果、「イエスは彼らに言った。『私の妻は...』」などの語句が含まれているパピルス断片は古代の記録で、6世紀から9世紀のもの、とサイトで発表した。内容自体は、2〜4世紀にまでさかのぼる可能性があるという。同神学校のカレン・L・キング教授の研究論文が、4月10日発行の神学専門誌『ハーバード・セオロジカル・レビュー』に掲載された。
 論文は、「研究チームが、GJW(イエスの妻の福音書)紙片とヨハネの福音書の紙片とを比較し、化学組成と酸化パターンが古いパピルスと一致するとの結論を下した」と述べ、「最新の研究はこのように、GJWのパピルスとインクが古代のものという結論を支持している」と言う。AFP通信が報じた。
 キング教授は、断片の存在を2012年9月18日、ローマで開催された国際コプト研究大会で初めて発表、それを『イエスの妻の福音』と名付けた。断片は4×8センチの大きさで、片側に8行にわたり、黒いインクで「イエスは彼らに言った。『私の妻は...』」などと書かれていた。「彼女は私の弟子になれるだろう」という文面もあった。
 イエスが結婚していたことや女性を弟子にしたことに言及した福音書は「聖書」に存在しないことから、キリスト教世界では、イエスは未婚だったとされてきた。教授の発表をきっかけに、宗教的な理由による独身や、教会内での女性の役割などをめぐる長年の議論が再燃した。断片自体についても、バチカン(ローマ教皇庁)や真正性を疑問視する神学者が現代の捏造だと主張してきた。バチカンは機関紙ロッセルバトレ・ロマノに「下手な偽造」と否定する記事を28日付けで掲載した。
 英ダラム大のフランシス・ワトソン教授も新約聖書の外典「トマスによる福音書」の写本を切り張りした偽物と指摘する論文を発表した。
同教授はロイター通信に、20世紀以降に偽造専門家が金銭目的で「古いパピルスの上に書き加えた可能性がある」と指摘もしている。
 キング教授は、断片を、史的イエスが結婚していたことを示す証拠ではない、と存在公表以来、強調してきた。むしろ、キリスト者が処女であることと結婚して子どもを持つことのどちらがより良いか、という初期キリスト者の論議にかかるものとしている。「断片の主な趣旨は、母や妻である女性がイエスの弟子になれることを確認している独身の処女を高く評価することが進んだ初期キリスト教では激しく議論された原則だった」と説明する。


◎避妊解禁は合憲と比最高裁

 【CJC=東京】AFP=時事通信によると、フィリピン最高裁は4月8日、避妊具使用などを解禁する人口抑制法は合憲と判断した。
 人口抑制法は長年の運動が実り2012年にようやく議会で可決されていた。しかし、カトリック教会の支援を受けたグループが最高裁に違憲と申し立て、法律施行は一時差し止めとなっていた。


◎ノルウェー教会総会は同性婚挙式案を否決

 【CJC=東京】ノルウェー教会総会は4月8日、同性婚のための式文案を賛成51票、反対64票で否決した。ノルウェーは2009年、ヨーロッパ諸国の中でも早く同性による結婚と養子縁組を認めている。しかし人口の8割弱が属するノルウェー国教会は、教会での同性婚挙式を認めない決定をしたもの。
 ノルウェー情報の英語サイト『ザ・ローカル』によると、昨年10月、司教の内8人が、同性婚容認の姿勢を公表したが、同性婚反対の司教4人との協議で、総会では同性婚を認めないもののより簡素な挙式を支持することで合意したという。


◎シリアでオランダ人神父殺害される

 【CJC=東京】シリアで長く宣教してきたイエズス会のフランス・ファン・デル・ルフト神父(75)が4月7日、ホムスで殺害された。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。
 神父は武装した男たちに、他のキリスト者と共にいたブスタン・アル・デイワンの修道院から連れ出され、こめかみをピストルで撃たれて死亡した。1966年に宣教師としてシリアを訪れ、人々のために奉仕してきた神父は、シリアの内戦が拡大する中も、市民と苦しみを共にするためにホムスに残っていた。
 神父は3ヵ月前にインターネットを通して国際社会にホムスの窮状を訴え、「イスラム教徒と共に、わたしたちは困難で痛ましい状況を生き、様々な問題で苦しんでいます。もっとも深刻な問題は飢えです」と述べていた。


◎地中海の漂流難民6000人をイタリア海軍救出

 【ジュネーブ=CJC】イタリア海軍は4月11日までの4日間で、リビア西部のズワラを出発したものの地中海を漂っている40隻以上のすし詰め状態の船から計約6000人の難民を救出した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が同日発表した。
 UNHCRの声明によると、過去4日間にシチリアやカラブリア沖合で救出された移民の多くは女性や子どもで、中には新生児や保護者のいない子どももいた。暴力や紛争、迫害から逃れてきた人々が多く、シリア、エリトリア、ソマリア、ナイジェリア、ガンビア、マリ、セネガルから脱出して来た。
 UNHCRによると、今年、船でイタリアに到着した難民は約1万8000人。昨年は約4万3000人で、内戦から逃れてきたシリア人が最も多く1万1300人以上だった。


◎国連安保理が中央アへのPKO部隊派遣承認

 【CJC=東京】国連安全保障理事会は4月10日、イスラム、キリスト両教徒間の衝突で宗教対立が激化し、内乱状態が続いている中央アフリカ情勢について会合を開け、国連平和維持活動(PKO)部隊の派遣を承認する決議案を全会一致で採択した。
 部隊は兵士1万人、警官1800人で構成し、9月中旬に現地展開を完了する。


《短信》

〇レズビアン専用墓地がベルリンに
 欧州では初の可能性があるレズビアン(女性同性愛者)専用の埋葬地が4月6日、独ベルリンにあるルーテル教会ゲオルゲン教会区の森林墓園に開設された。AFP通信が報じた。(CJC)

〇ヨハネ・パウロ2世を撃った銃を生家の博物館で展示
 故ヨハネ・パウロ2世教皇の暗殺未遂事件で使用された銃が4月7日、同教皇が幼少期を過ごしたポーランド南部バドビツェの家で公開された。この家は現在、博物館となっている。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(4月13日)=https://www.cwjpn.com
★教皇=夫婦は神の愛のイコン=けんかしても「国連呼ぶ必要ない」
★変わる教皇庁=梅村司教が実感=典礼書の日本語改訂訳再提出で
★カラカサン=国際結婚と子育て=「困難」さ、フォーラムで体験談=神奈川・鹿島田教会
★宣教司牧への取り組み=「信徒台帳」精査したら=見えてきた実像と課題=小倉教会
★カジノビル建設に反対=韓国・チェジュ教区の委員会

 =キリスト新聞(4月12日)=https://www.kirishin.com
★地域のニーズにどう応える?=「教会と地域福祉」フォーラム21=創設シンポで関係者ら議論
★03年版『新生讃美歌』から10年=バプ連、将来見据えて検討作業進める
★「アンダーソン宣教師」紙芝居に
★「ロゴスフィルム」10年、自主上映募る
★教皇と米大統領が人権と国際法強調

 =クリスチャン新聞(4月13日)=https://jpnews.org
★「日本に希望を運ぶ」=世界最大洋上書店=「ロゴス・ホープ号」長崎、金沢に5月初寄港
★イエスの生涯をバレエで=「メサイア」公演=ABC‐Tokyoバレエ団
★米の教会イベントに賛否=「賞品に銃が当たる」
★DRCnet=新たな信頼関係の構築を=名称を「東日本大震災」から「災害救援」に
★「心友」が人生の光に=聖学院大学新学長に姜尚中氏


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