世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1226信(2014.07.21)

  • 英国国教会がついに女性主教容認
  • クロアチア議会が同性パートナーシップ法可決
  • イラク北部モスルからキリスト者集団脱出
  • 教皇がイラクのキリスト者に連帯と祈り
  • ISISが修道女ら5人を解放
  • ISISが預言者ヨナの墓を破壊
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎英国国教会がついに女性主教容認

 【CJC=東京】英国国教会は7月14日、イングランド北部ヨークで開いた総会で、同派歴史上で初めて女性主教を容認する議案を可決した。反対意見も出たが、国民の関心が高まる中、男女平等の流れを踏まえ歴史的な方針転換が行われた。 同派の霊的最高指導者、ジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教の、女性主教容認に向けた働き掛けが奏功した。初の女性主教は、年内にも選任される見通し。
 デービッド・キャメロン首相は、ウェルビー大主教が「この問題で強力なリーダーシップを発揮した」と称賛、ツイッターに、「教会と平等の精神にとって素晴らしい日」になったと、歓迎の意向を投稿した。
 投票結果の内訳を見ると、主教部会が賛成37、反対2、棄権1、聖職者部会は賛成162、反対25、棄権4、信徒部会が賛成152、反対45、棄権5だった。
 女性聖職者の任命は1970年代から議論されてきた。執事は80年代、司祭は90年代にそれぞれ認められたが、女性主教の導入をめぐっては2012年11月の総会では、主教、聖職者の両部会が3分の2以上の賛成で女性主教を認めていたものの、信徒部会は132票対74票で、必要な3分の2には5票足りなかった。同派総会は主教、聖職者、信徒の3部会で構成されている。
 容認議案は今後、英国議会での承認手続きを経てエリザベス女王の承認を得られれば、11月に開かれる教会総会で発効することになる。


◎クロアチア議会が同性パートナーシップ法可決

 【CJC=東京】AFP通信によると、クロアチア議会は7月15日、同性カップルを人生のパートナーとして登録することを認める法案を賛成95、棄権10で可決した。反対は0。これで同性カップルも、養子を取ることを除けば異性カップルと同じ権利を享受できるようになる。
 同国では昨年、教会が支援する団体の働き掛けで実現した国民投票で、結婚の定義を「男女間の結びつき」とする憲法改正案が承認された。ゾラン・ミラノビッチ首相の中道左派政権は、同性愛者の権利向上に取り組む姿勢を示し、今回の採択となった。
 カトリック教会の影響が強く、保守派が多数を占めるクロアチアで同法が可決されたことを同性愛者の権利向上を求める活動家らは歓迎している。
 一方、昨年の国民投票を実施に導いた団体『家族の名において』は新法を、「誠実さと民主主義の基本的なルール、そしてクロアチア憲法に反する」ものと強く批判している。


◎イラク北部モスルからキリスト者集団脱出

 【CJC=東京】イラク北部モスルから7月19日までにキリスト者が集団脱出した。英BBC放送などが伝えた。
 シリアとイラクの大部分をイスラム過激派組織が支配し、『イラク・シリア・イスラム国』(ISIS)と自称している。ISISは、改宗しないキリスト者に、預言者ムハンマドの時代にユダヤ教、キリスト教の信徒に課したのと同様の「人頭税」(保護税)を求め、「剣」の力で執行すると宣言していた。
 モスルでは、キリスト者に対してイスラム教への改宗か人頭税の支払いを強制する布告が出された。期限とされた19日正午までに、キリスト者が脱出した。
 2003年にはキリスト者6万人が居住していたモスルだが、今年6月までには3万5000人に減少、ISIS支配下でさらに脱出者が急増していた。


◎教皇がイラクのキリスト者に連帯と祈り

 【CJC=東京】教皇フランシスコは、バチカン(ローマ教皇庁)で7月20日行われた日曜正午の祈りの席で、中東やウクライナなどの緊迫した情勢に言及した。
 イラク北部モスルで、イスラム教スンニ派の過激派組織による脅迫を受け、キリスト者が現地を集団で脱出していることに対し、教皇は深い憂慮を表明した。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。
 教皇は、イラクをはじめ中東各地で古くから存在するキリスト教共同体が、他の住民との共存のもとに社会の善に貢献してきたその歴史にも関わらず、今日、迫害によって住み慣れた土地を何も持たずに追われていく状況に遺憾の意を表明した。
 サンピエトロ広場の巡礼者はもとよりすべての信者に向け、教皇は緊張と闘争の続く世界の地域、特に中東とウクライナのために祈りを呼びかけ、平和の神が皆の心に対話と和解への真の望みを呼び起こしてくれるようにとの願いを表明した。
 教皇は「暴力には、暴力をもっては勝てない。暴力には平和で打ち勝つべき」と強調した。


◎ISISが修道女ら5人を解放

 【CJC=東京】イスラム過激派組織『イラク・シリア・イスラム国』(ISIS)が、イラク北部モスルで拘束していたカルデア典礼カトリック教会の修道女ら5人を同じ北部のドホークで釈放した。情報サイト『クリスチャン・ヘッドラインズ』が7月16日報じた。
 修道女たちはモスルで孤児院を運営していた。
 ISISがモスルなどを支配下に置いて以来、キリスト者への迫害が増加しており、脱出したものも数千人に達している。


◎ISISが預言者ヨナの墓を破壊

 【CJC=東京】イスラム過激派組織『イラク・シリア・イスラム国』(ISIS)がイラク北部ニーナワー県で、聖書に登場する予言者ヨナの墓を破壊した、と語った。英紙『メール』(電子版)が報じた。
 ISISはこのところ教会、墓、神殿などの破壊を進めており、イスラム教の聖地メッカまで遠征して、毎年巡礼数百万人が参拝に訪れるカーバ神殿を破壊する計画もあると言う。


《短信》

〇韓国で教皇フランシスコ訪問控えて歓迎熱高まる
 8月14〜18日の教皇フランシスコ訪問を控え、デパートの文化センターに関連講座が登場するほど。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月20日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=イタリア南部を司牧訪問=青年の失業は社会の「敗北」
★聖地の教会指導者=「集団的処罰」を批判
★教皇フランシスコ=性虐待被害者と面談=ミサでゆるしを願う=未成年者への危害「容赦しない」と確約
★バチカン=広報体制見直しへ=英国の元香港総督起用
★エクソシスト国際協会公認

 =キリスト新聞(7月19日)=https://www.kirishin.com
★口惜しさ胸に刻んで=あの日、牧師たちは何をつぶやいたのか=7・1の記録(上)
★WCCが「釜山」後初の中央委開催
★カトリック司教協議会など集団的自衛権行使容認の閣議決定に抗議
★「憲法9条再解釈」に懸念=WCC中央委が声明
★キリスト教会館がヘイトの対象に=「反日の牙城」と名指しでデモ

 =クリスチャン新聞(7月20日)=https://jpnews.org
★早稲田奉仕園がヘイトスピーチの標的に
★「一つの変更が歯止め失う」=集団的自衛権行使容認危惧する市民の声
★署名急増「憲法9条にノーベル平和賞を」=7月7日に14万筆超える
★教会でのセクシャルハラスメント=例外なく加害者になっている現実と向き合うことから
★スーダン=当局が教会堂を破壊


 ◆世界キリスト教情報◆ご案内
☆活動紹介・メールマガジン(整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お
申し込みは
https://homepage3.nifty.com/cjc-skj/で。
☆ニュースレター(PDF)・同報メール(無整形テキスト)『週刊・世界キリ
スト教情報』お申し込みは
ckoriyama@gmail.com=ご連絡いただく際は「@」を半角にしてください
☆『週刊・世界キリスト教情報』既刊号は下の各サイトで
・ニュースレター=PDF
https://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/
・メールマガジン
https://blog.livedoor.jp/skjweekly/
・同報メール
https://cjcskj.exblog.jp/
☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください
https://www.kohara.ac/church/
........................
☆CJC通信(メディア向けですが、どなたでもお読みいただけます。転載使用
ご希望の方は巻頭の連絡先までお申し込みください)
https://blog.livedoor.jp/cjcpress/
☆CJC通信速報(Twitterを利用しています)
https://twitter.com/cjcpress/

月別の記事一覧