世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1232信(2014.09.01)

  • 『イスラム国』が米国人「処刑」動画を公開=シリアで誘拐のジャーナリスト
  • フォーリー氏の家族は身代金の資金集めに奔走
  • 殺害された米ジャーナリストの地元で追悼ミサ
  • ツイッターが米記者殺害画像を削除=家族の要望受け
  • 平壌で南北キリスト者が礼拝=朝鮮半島の平和と再統一願い
  • 韓国警察が統一運動家ハン・サンニョル牧師を緊急逮捕
  • 教皇の訪韓記念コイン人気=銀貨の抽選は4倍近く
  • 中国が『全能神』の取り締り強化、2カ月で信者約1000人逮捕
  • ネパールで拘禁2年の牧師釈放される
  • シリアで米国人記者2年ぶり解放=『ヌスラ戦線』が拘束
  • 警官に射殺された黒人青年の葬儀で差別根絶訴え=米ミズーリ州
  • 教皇のおいが交通事故、妻子の3人が死亡
  • 《短信》

  • 《メディア展望》


◎『イスラム国』が米国人「処刑」動画を公開=シリアで誘拐のジャーナリスト

 【CJC=東京】シリアのイスラム教スンニ派過激派組織『イスラム国』は8月19日、米国人フリージャーナリスト、ジェームズ・フォーリー氏(40)の首を切断したとする動画を公表した。
 バラク・オバマ米大統領は20日、フォーリー氏が『イスラム国』のメンバーに頭部を切断されたことを確認した。
 動画では覆面をした男が「お前たちが戦っている相手はもはや反政府組織ではない。われわれはイスラム軍だ」などと述べた。
 フォーリー氏は、シリアで誘拐され行方不明になったジャーナリスト十数人のうちの1人。同氏は、米ニュースサイト『グローバルポスト』などに記事を提供していた。
 頭をそられ、オレンジ色の囚人服を着たフォーリー氏は、動画の中で、同氏の家族、特に米空軍に勤務する兄弟に向け、米国がイラク介入をやめるよう嘆願している。過激派が書いたと思われる声明を読み上げているようだ。
 動画の最後には同じオレンジ色の服を着た別の男性が映っているが、これは米国のフリージャーナリスト、スティーブン・ソトロフ氏と見られている。
 恐怖と暴力が耐えない戦闘地域で、フォーリー氏は、インスピレーション(ひらめき、啓示)を得たと語っていた、と米紙『ウォールストリート・ジャーナル』が報じている。
 フォーリー氏はリスクを承知していた。2011年には、リビアの戦闘地域の前線で報道していた際に拉致され、44日間監禁された。さらに翌12年シリアに行った。同氏は同年11月にシリアで過激派に拘束された。
 フォーリー氏の父親ジョンさんは記者団に「息子はジャーナリストであると同時に、人道主義者でもあった」と話した。ジョンさんは、息子のフォーリー氏が公開された動画の中で「家族ともっと一緒の時間を過ごしたかった」と話していたと指摘し、涙にくれた。息子は5人兄弟の一番上だった。


◎フォーリー氏の家族は身代金の資金集めに奔走

 【CJC=東京】米国人フリージャーナリスト、ジェームズ・フォーリー氏(40)が中東でイスラム教スンニ派過激派組織『イスラム国』に殺害されるまで、同氏の家族や友人たちが同氏の解放を目指し、数百万ドルの資金集めに奔走していた。
 家族や友人たちは、『イスラム国』が要求した1億2300万ドル(約127億円)を集めることは無理だとしても、500万ドルは集められるのではないかと期待していた。フォーリー氏が働いていた国際報道専門オンラインメディア『グローバルポスト』のフィル・バルボニ最高経営責任者(CEO)が明らかにした。
 身代金を集める努力は金額以外の障害にも直面していた。米連邦捜査局(FBI)は家族に身代金の支払いを思いとどまるよう働きかけた。米司法省の当局者によると、身代金の支払いは誘拐行為をあおることになるとの懸念が理由だった。


◎殺害された米ジャーナリストの地元で追悼ミサ

 【CJC=東京】米ニューハンプシャー州ロチェスターのカトリック『アワレディー・オブ・ホーリー・ロザリー』教会で8月23日、同地出身の米国人フリージャーナリスト、ジェームズ・フォーリー氏(40)の燭火通夜が行われ、黄色いリボンを飾って生還を祈っていた住民ら200人が参加した。同氏はシリアの過激派組織『イスラム国』に2年間人質に取られ、殺害された。
 教会で24日行われたミサは、同氏を追悼する「癒やしと希望と平和のミサ」とされ、座席や通路を約900人が埋め尽くした。フランシスコ教皇から届いた電報が読み上げられた。同州選出のケリー・エイヨット上院議員、マギー・ハッサン州知事も出席した。いつもミサに参列しているフォーリー氏の両親が支援に感謝の辞を述べると、総立ちの拍手が起きた。
 ピーター・リバーシー司教は、フォーリー氏が2011年に初めて拉致されてからも、わたしたちの眼を開こうとして紛争の現場に戻った、と述べた。
 フォーリー家は、ジェームズ・フォーリー氏名義の奨学金を設定した。「彼の思い、ヒューマニティー、勇気」を教育とジャーナリズムの領域で活かすため、という。
 葬儀ミサはフォーリー氏の41歳の誕生日にあたる10月18日に行われる予定。


◎ツイッターが米記者殺害画像を削除=家族の要望受け

 【CJC=東京】インターネット上に無署名で短文を投稿出来るブログ『ツイッター』(米ツイッター社運営)が、首を切断された米国人ジャーナリストのむ画像を掲載サイトから削除した。これまでで最も思い切った行動、と米紙『ウォールストリート・ジャーナル』が報じている。
 ツイッター社は8月19日午後、イスラム教スンニ派の過激派組織『イスラム国』に殺害されたジェームズ・フォーリー氏の家族の求めに応じ、首を切られるなどの衝撃的な画像や動画の削除に取りかかった。同社のディック・コストロ最高経営責任者(CEO)は120万人に上るフォロワーに対し、「わたしたちはこれまで、そして現在も、この生々しいイメージに関連すると判断したアカウントを積極的に停止している。ご理解いただきたい」とツイートした。
 ただ、その後24時間以上たっても多くの画像が出回っており、一部のユーザーから怒りを買った、と同紙は報じている。『ツイッター』では1日当たり約5億件がツイートされており、同社スタッフは問題コンテンツを退治するため、いたちごっこを繰り広げているようにも見えると言う。
 米グーグル社の動画共有サイト『ユーチューブ』も、斬首を映す数種類の動画をシェアすることを容認してきたが、昨年10月に国際的な批判の高まりを受けて削除する姿勢に転じている。
 米フェイスブック社が提供するインターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)『フェイスブック』は、斬首動画の問題を受け、方針を変更し、画像などを掲示したいユーザーに条件を付け足した。画像や動画にはセーフガードを付けることが義務化し、未成年に閲覧できないようにした。


◎平壌で南北キリスト者が礼拝=朝鮮半島の平和と再統一願い

 【ジュネーブ=CJC】世界教会協議会(WCC=本部ジュネーブ)の発表によると、朝鮮半島の平和と再統一のための祈りが8月15日、北朝鮮・平壌のボンス(鳳水)教会で行われた礼拝で献げられた。韓国教会協議会(NCCK)が組織した代表団19人が参加した。代表団は世界教会協議会(WCC)加盟教会や超教派組織の代表で構成され、女性や青年の代表者も含まれている。
 礼拝は、NCCKと北朝鮮の『朝鮮基督徒連盟』(KCF)が共催した。2013年のWCC釜山総会によって発表された朝鮮半島の平和と再統一に関する声明で提案されたもの。この提案は、今年6月にスイスで開かれた朝鮮半島の正義と平和そして和解に関するWCCの協議でNCCKとKCFがさらに展開させていた。
 KCF議長のカン・ミョンチョル牧師は「わたしたちはイエス・キリストにおいて一つに結ばれた。イエスは、山上の説教の中で、平和をつくり出すために働く者に祝福があると言われた。それだから、わたしたちキリスト者は、平和と再統一のための召しを受けている者として、戦争のあらゆる企みを拒否すべきであり、この国の平和と再統一のために立ち上がるべきなのだ」と述べた。
 NCCK総幹事のキム・ヨンジュ牧師は「わたしたちは、南北朝鮮の平和と再統一を達成した時になってのみ、真の解放が完成されるという事実について、熟考すべきだ」と語った。


◎韓国警察が統一運動家ハン・サンニョル牧師を緊急逮捕

 【CJC=東京】韓国全州の完山警察署は8月25日、 国家保安法違反容疑で2013年、3年の刑期を終え出所した統一運動家ハン・サンニョル牧師(コベク教会)を緊急逮捕した。人的事項を管轄署に申告しなかったことで、保安観察法に違反したという。


◎教皇の訪韓記念コイン人気=銀貨の抽選は4倍近く

 【CJC=東京】韓国の聯合ニュースによると、教皇フランシスコの韓国訪問を記念し発行される『韓国銀行』(中央銀行)の記念コインの抽選倍率が、教皇の人気を反映するかのように高い倍率を記録した。
 韓国銀行と韓国造幣公社によると、8月11〜22日に予約販売を受け付けたところ、銀貨は約11万2700枚、黄銅貨は約9万9900枚の申し込みがあった。
 発行枚数は銀貨(額面価格5万ウォン=約5000円)が3万枚、黄銅貨(額面価格1万ウォン)が6万枚の合計9万枚。2005年8月に9万2000枚が発行された光復(日本植民地支配からの独立)60周年記念コインに次いで多い。
 今回の記念コインの場合、海外販売用として割り当てられた分のうち売れ残った銀貨2400枚、黄銅貨5280枚は国内販売用に転換、国内販売枚数は銀貨が2万9400枚、黄銅貨が5万9280枚に増えたがいずれも予約枚数が発行枚数を上回るほどの人気を集めた。国内販売の抽選倍率は銀貨が3・83倍、黄銅貨が1・69倍を記録した。
 抽選は9月行われ、10月中に当選者に届けられる予定。


◎中国が『全能神』の取り締り強化、2カ月で信者約1000人逮捕

 【CJC=東京】中国当局が邪教と見なす集団『全能神』の一斉取り締まりを各地で強化している。
 今年5月末に強引な布教活動で一般市民が殺害される事件が発生したことを受けた措置と見られる。公安当局は6〜7月で、『全能神』が関与した非合法な布教活動など500件以上を摘発、教団関係者約1000人の身柄を拘束した。逮捕者のなかには『全能神』のリーダーや幹部も含まれているという。北京青年報8月20日付が伝えた。
 キリスト教から分派したとされる『全能神』は1970年代に中国本土に入ったとされる。『東方閃電』『実際神』とも呼ばれ、河南省から全国に広がった。キリストが生まれ変わった女性が中国に「」光臨し、人類に審判を下すと布教。「今の中国は、大きな赤い龍(共産党)に支配されている」として、「神が率いる下で共産党を絶滅させる決戦を挑み、全能神が治める国家を打ち立てよう」と呼びかけているという。


◎ネパールで拘禁2年の牧師釈放される

 【CJC=東京】ネパールで2年間拘禁されていたチェダル・ロミ・ボテ牧師(37)が7月17日釈放されたことを、NGO(非政府組織)『殉教者の声=カナダ』が明らかにした。
 ボテ牧師は2012年10月、ネパール北東部の自宅で過激派ヒンズー教徒による焼き討ちにあい、その後逮捕された。暴徒はネパールでは禁忌(タブー)とされている牛を牧師が購入し、自分で殺し肉を食したことを非難していた。牛の殺害が犯罪行為だというもの。ただ肉食はヒンズー教徒以外には禁止されていない。
 牧師は禁固12年の判決を受け、2年近く服役していたところ、プロテスタント系のNGOなどの働きかけの結果、7月17日釈放された。
 『殉教者の声』は世界各地の宗教的な迫害を監視している。


◎シリアで米国人記者2年ぶり解放=『ヌスラ戦線』が拘束

 【CJC=東京】シリアで国際テロ組織アルカイダ系『ヌスラ戦線』に拘束されていた米国人ジャーナリスト、ピーター・テオ・カーティス氏(45)が約2年ぶりに解放された。ジョン・ケリー米国務長官が8月24日、声明を出し発表した。
 カーティス氏の家族も声明で、同氏は2012年10月、トルコ南部からシリアに渡った直後に拉致されたとし、「カタール政府は、家族は身代金は支払わずに人道的見地からの解放を働き掛けていると説明していた」と明らかにした。
 シリアでは過激派『イスラム国』が米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリー氏を殺害する映像を公開したばかりだった。
 スーザン・ライス米大統領補佐官は24日の声明で、カーティス氏は既にシリア国外の安全な場所にいると明らかにした。ゴラン高原で平和維持部隊に引き渡されたと見られる。
 シリア北部アレッポ近郊では、湯川遥菜さん(42)とみられる男性が『イスラム国』に拘束されている。
 ロイター通信によると、シリアで行方不明になっているジャーナリストは約20人。身代金目的の誘拐が多いという。


◎警官に射殺された黒人青年の葬儀で差別根絶訴え=米ミズーリ州

 【CJC=東京】米ミズーリ州ファーガソンで8月9日、黒人青年マイケル・ブラウンさん(18)が白人警察官に射殺された。事件に抗議する住民と警察の対立が激化、ジェイ・ニクソン州知事は16日、非常事態を宣言、ファーガソンに午前0時から同5時までの夜間外出禁止令を発令した。
 ブラウンさんの葬儀は25日、セントルイスの『フレンドリー・テンプル・ミッショナリー・バプテスト』教会で行われ、黒人を中心に4500人が参列した。出席した黒人系団体の代表らから人種差別の根絶や事件の再発防止を求める声が相次いだ。
 教会の外では射殺に抗議する人々もいたが、遺族側が平和的な抗議活動を求めたため概して平穏だった。事件で休校が続いていた学校も再開し、地域に日常生活が戻ってきた。
 黒人運動指導者アル・シャープトン牧師は「黒人はギャングでも凶悪犯でもない。われわれへの軽蔑には怒りを感じてきた」と語り、黒人への偏見を非難した。


◎教皇のおいが交通事故、妻子の3人が死亡

 【CJC=東京】アルゼンチン中部コルドバ州で8月19日、教皇フランシスコのおい、エマニュエル・オラシオ・ベルゴリオさん(38)が運転する車がトラックに追突し、乗っていたベルゴリオさんの妻と8カ月と2歳の子どもが死亡、ベルゴリオさんも重傷を負った。
 バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所のフェデリコ・ロンバルディ所長によると、訃報を知った教皇は「深く胸を痛め」「痛みを分かち合ってくれる人には、共に祈りをささげてほしいと願っている」という。


≪短信≫

〇エキュメニカル総主教もイラクの少数派宗教迫害を非難、対話と人道援助を13日呼びかけ(CJC)

〇ISIS(イスラム国)が教皇フランシスコに狙いを着けている、との情報に、バチカンは「根拠無い」と。(CJC)

〇シアトルのメガチャーチ創設者マーク・ドリスコル牧師が不正行為で辞任必至。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(8月31日)=https://www.cwjpn.com
★大阪大司教に前田司教=バチカンが発表=着座は9月23日
★アジアの青年2000人集う=共に祈り、交流=AYD=韓国・テジョン教区
★教皇フランシスコ=愛とゆるしが一致への鍵=ソウルで「平和と和解のミサ」
★広島教区=土砂災害地への支援を=青年信徒ら泥かきのボランティア
★一般施設で修道生活=高齢シスターの新しい試み=援助修道会

 =キリスト新聞(8月30日・休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(8月31日・休刊)=https://jpnews.org


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