世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1235信(2014.09.22)

  • ユダヤ教団体指導者が教皇と会見
  • アルゼンチン大統領、教皇との友好理由に「イスラム国から脅迫」
  • 『イスラム国』テロ警戒でサンピエトロ広場の警備強化
  • 教皇がアルバニアを初訪問
  • ニューヨークで「民衆による気候マーチ」に31万人
  • ヒットラーの生家が博物館『責任の家』に
  • リオ大司教が市内で強盗被害
  • 『U2』の「ボノ」はB・グラハム氏に詩を献呈
  • 教会や聖堂向けに新ドメイン「.church」
  • 《メディア展望》


◎ユダヤ教団体指導者が教皇と会見

 【CJC=東京】教皇フランシスコが、キリスト者は、かつてユダヤ人が経験したのと同様な「残酷な攻撃」にあえいでいる、とユダヤ教関係団体指導者の代表40人に語った。
 RNS通信によると、『世界ユダヤ人会議』(WJC)のロナルド・S・ローダー議長が明らかにした。
 ローダー氏は化粧品業界の巨大企業エスティー・ローダー創業者の一族で資産家、美術品コレクター、フィランソロピスト(慈善事業家)として知られる。 ローダー氏らは9月17日、ユダヤ教の新年「ロシュハシャナ」を控えて、バチカン(ローマ教皇庁)内の教皇宿舎で教皇と会見した。
 ローダー氏は18日、記者団にWJCと教皇は、中東でのキリスト者に対する武力攻撃を非難することで「完全に合意」し、教皇が迫害をユダヤ人に対するものに匹敵すると語ったことを明らかにした。「教皇は、今わたしたちは第三次世界大戦下にあると信じているが、これまでの大戦が一挙に始まったのとは異なり、この戦争は段階的にやってくる、と個人的に語った」。
 ローダー氏は、イラクやシリアなどで行われているキリスト者に対する虐殺や迫害に対して世界の反応がないことに驚いた、と語った。「問題は、なぜ世界は反応しないのかだ。テロリストによって何千発ものロケットが打ち込まれた時、他の国と同じようにイスラエルが自衛に動いたら、イスラエルにとても多くの関心が寄せられたが、イラク、シリア、さらには中東全域にいるキリスト者には一言も発せられていない」。
 「中東にはキリスト者が安全な国が一つある。それはイスラエルだ。キリスト者人口が増加している中東唯一の国もイスラエルだ。今日、世界は沈黙を保つという『満足』は得られない」
 ローダー氏が、教皇と最初に会ったのは、教皇がブエノスアイレスで活動していた時であり、教皇はユダヤ人とキリスト者を結びつけるという「すばらしい業」を成し遂げた、と強調している。
 ローダー氏は、キリスト者抑圧は世界の最重要課題の一つである、と繰り返し、ユダヤ人はキリスト者のために声を上げる義務がある、とニューヨーク・タイムズ紙に寄稿した、と語った。寄稿では「中東と中央アフリカの一部では、何世紀にもわたって平和に暮らしてきたキリスト者共同体自体が失われた」と主張したと言う。


◎アルゼンチン大統領、教皇との友好理由に「イスラム国から脅迫」

 【CJC=東京】共同通信によると、アルゼンチンのクリスティーナ・フェルナンデス大統領は9月20日、同国出身の教皇フランシスコとの友好関係などを理由に、イラクなどで勢力を拡大する過激派『イスラム国』から脅迫を受けたことを明らかにした。訪問先のローマで記者団に語った。
 パレスチナとイスラエルの2国家共存を支持していることも脅迫の理由という。大統領はこれに先立ち20日、バチカン(ローマ教皇庁)で教皇と会談した。


◎『イスラム国』テロ警戒でサンピエトロ広場の警備強化

 【CJC=東京】イタリアのANSA通信は9月19日、教皇フランシスコに対するイスラム過激派組織『イスラム国』によるテロ攻撃を警戒して、バチカンのサンピエトロ広場の警備が強化されたと伝えた。毎日新聞が報じた。
 教皇は、サンピエトロ広場で毎週水曜に開く一般接見ではオープンカーに乗って広場を巡回し、集まった信徒にあいさつするのが通例。一般接見の参加者に対する警備はすでに増強されているという。


◎教皇がアルバニアを初訪問

 【CJC=東京】教皇フランシスコは9月21日、初めてアルバニアを訪問した。毎日新聞が報じた。アルバニアはイスラム教徒が人口の過半数を占めるが、他宗教の信徒と共存している。イラクやシリアでのイスラム過激派組織『イスラム国』によるキリスト者などの迫害を踏まえ、教皇は過激派による宗教歪曲を非難し、宗教間対話と融和の重要性を訴えた。
 教皇はブヤール・ニシャニ大統領らとの会談で、イスラム国などの過激派による宗教紛争の深刻化に懸念を表明し「アルバニアにおけるカトリック信徒、正教徒、イスラム教徒の平和的共存・協力と相互信頼」をたたえた。
 バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所は、教皇が欧州初の訪問国にアルバニアを選んだ理由について「教皇が『辺境』に留意しているため」と説明している。


◎ニューヨークで「民衆による気候マーチ」に31万人

 【CJC=東京】「国連気候変動サミット」を控え、ニューヨーク中心部マンハッタンの街頭で9月21日、気候変動に人々の関心を集めるための行進「民衆による気候マーチ」が行われ、政治家、学者、環境団体、労働団体、学生、宗教団体、著名人など約31万人が参加した。英ロックバンド「スティング」やハリウッド俳優マーク・ルッファロ、国連の気候変動平和大使に任命されたレオナルド・ディカプリオらも参加。また国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長も「私は気候変動問題に取り組む」と書かれた白いTシャツを着用して参加した。
 これと並行して9宗派の指導者30人が炭素排出抑制へ向けて断固とした行動をとるよう呼びかけた声明「気候、信仰と希望=共通の未来に向け、さまざまな信仰伝統が共に」に署名した。
 声明は、世界教会協議会(WCC)と『平和のための宗教』(RFP)が共催した超教派会議でまとめられたもの。
 23日から開催される国連気候変動サミットに向けて、ヤン・エリアッソン国連事務総長第一次長に提出する。


◎ヒットラーの生家が博物館『責任の家』に

 【CJC=東京】RNS通信は、ナチの指導者アドルフ・ヒットラーの生家が博物館『責任の家』になる、と報じている。
 ヒットラーは1889年、オーストリア北部のブラウナウ・アム・インで生まれた。生家はその後、銀行、作業場、図書館、学校、身体障がい者用の居宅などに使われて来ている、とイスラエル紙『ハアレッツ』は伝えた。
 米国の南カリフォルニア大学ショア財団研究所によると、現在は空き家になっており、オーストリア内務省が借り入れることになった。
 『ハアレッツ』紙によると、ヒットラーの誕生日4月20日にはネオナチの「巡礼」目的地になったという。
 博物館構想は、歴史学者アンドレアス・マイスリンガー氏が提起したもので、『責任の家』は学生や若者に人類に対する犯罪や第二次世界大戦について調べることの助けになる、としている。
 マイスリンガー氏は「シンドラーズ・リスト」の製作者、ホロコースト(大虐殺)の生き残りであるブランコ・ラスティグ氏から援助を受けている。
 英紙『インデペンデント』は、ブラウナウ・アム・イン町評議会は博物館計画支持を求められており、内務省も年内には最終認可をする、と報じている。


◎リオ大司教が市内で強盗被害

 【CJC=東京】ブラジルのリオデジャネイロで9月15日夜、オラニ・テンペスタ大司教(枢機卿)が、車で移動中に強盗団に襲われた。大司教は、カトリック系ラジオ局『ラジオ・カテドラル』に向かうため大司教邸を出た直後、車に乗った3人組が拳銃を構えて取り囲んだという。しかし大司教だったことに気付いたため「許してくれ」と前置きした後で金品を渡すよう要求した。
 枢機卿と同乗していたカトリック系新聞のカメラマンの話では、強盗の男は枢機卿の頭にいったんピストルを突きつけたが、教会関係者だとわかると、「お許しを」と謝罪し、枢機卿は「我が息子よ、あなたを許す」と応じたという。
 犯人らは大司教の指輪、十字架、携帯電話、ペンのほか、同乗していたカメラマンと神学生からもそれぞれカメラと祭服を奪って逃走した。一行にけがはなく、大司教はラジオ番組で予定通りのスケジュールをこなした。
 警察は「車を奪う目的だったが、教会関係者と知っておじけづいた」と見ている。
 邦字紙『サンパウロ新聞』によると、容疑者らは後悔したのか現場の数キロ先に強奪品をすべて置き去りにしていた。知らせを受けた警察によって奪われた所持品は返却された。


◎『U2』の「ボノ」はB・グラハム氏に詩を献呈

 【CJC=東京】ネットメディア『ハフィントン・ポスト』が、世界的に著名なロックバンド『U2』のフロントマン「ボノ」を、著名な大衆伝道者ビリー・グラハム氏に深く影響を受けた人として紹介している。
 ボノは国際的な慈善活動家としても知られ、ノーベル平和賞候補に3回選ばれている。キリスト教信仰についても公然と表明、2002年にグラハム氏にペン書きの詩を贈った。ボノがビリー・グラハム氏とルース夫人をノースカロライナ州モントリートの自宅に訪問した際に作ったもの。
 数年後にボノはポップシンガーのパット・ブーンたちと「サンキュー・ビリー・グラハム」を録音した。「ビリー・グラハム牧師の健康にただ感謝する。その明るい、共感する声、南部訛りがあり、詩人でもあり、説教者でもある声。人の心をつかむ歌い手だ、と言いたい」とボノは導入部で語っている。
 一方、米アップル社は、この9月に基本ソフト『iOS8』を発表した際、購入者のために、『U2』が演奏した曲を無償配布して話題になった。


◎教会や聖堂向けに新ドメイン「.church」

 インターネットのIPアドレスやドメイン名に「.church」(教会)を付けることが可能になった。
 『インターリンク』(東京都豊島区)が、運営する『ゴンベエドメイン』で新ドメインの一般登録受付開始を9月17日発表した。取得に、教会、聖堂、モスクに関係すること等の条件はないという。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(9月21日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=見返り求めない愛を=福音とは、いつくしみを示すこと
★アフリカ・ブルンジ=修道3人殺害=マリア布教修道女会会員
★教皇フランシスコ=戦争は必ず避けられる=全て「愚かな大量殺りく」
★武蔵野ダルクの女性ハウス="危険ドラッグ"報道が直撃=差別・偏見、立ち退きへ=暴力被害と市販薬が薬物依存の引き金に
★奉献文に聖ヨセフの名を加える教令発表

 =キリスト新聞(9月20日)=https://www.kirishin.com
★キリスト教出版販売協会第57回夏期例会=〝再編〟視野に討議=版元・書店・取次の垣根どう越える?
★本屋大賞受賞で八木谷涼子氏コメント=「行きやすい」教会は「居心地良い」
★またも?セクハラで牧師が辞任=「リバイバル」掲げるヨハン東京教会で不祥事
★元気じるしの「神の共働者」へ=更新伝道会大会で棚村重行氏講演
★イスラエル大統領が「宗教の国連」提案

 =クリスチャン新聞(9月21日)=https://jpnews.org
★「愛は、あきらめない」=拉致調査報告目前に、横田早紀江さん出版
★信徒宅に被害=丹波・福知山の土砂災害
★第46回日本伝道の幻を語る会で小友聡氏=「終わりの日が近いのを意識し徹底して福音の種を蒔く」
★第15回「地方伝道を考える自立と連帯」=「教会の存在が信徒の存続を左右する」
★"Color of Tomihiro Hoshino"=若手クリスチャンアーティトら=星野富弘の詩歌う


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