世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1238信(2014.10.13)

  • トルコ国境付近のシリアでカトリック司祭と修道女ら拉致
  • 『サマリタン・パース』がイラクとシリアへ緊急救援
  • 教皇が2015年にパリとルルド訪問へ
  • 教皇の提唱でネット学校『スコラス』=毎日新聞報道
  • ランベス会議開催を2年遅らす?
  • WCC総幹事がモスクワでキリル総主教と会談
  • スペインでヒゲ無しイエス描いた最古の聖体皿発見
  • 英で女性差別へじわり動く=東京新聞報道
  • 中国で迫害された司教相次ぎ死去
  • 《メディア展望》


◎トルコ国境付近のシリアでカトリック司祭と修道女ら拉致

 【CJC=東京】トルコ国境付近のシリアでカトリック司祭と信徒20人拉致された。エルサレムのラテン典礼総主教が10月7日明らかにした。
 10月5日夜、キリスト者が居住する小村クナイェでハンナ・ヤルフ神父が拉致された。犯人はイスラム教過激派集団『ヌスラ前線』の関係者と見られる。神父自身や犯人からの連絡はない。また村にいたフランシスコ会の修道女多数が村人と共に避難したと言う。
 バチカンの『フィデス通信』は、シリアのアレッポ駐在ゲオルゲス・アブ・カゼン代理司教が神父と共にキリスト者約20人が連行されたと語ったと報じている。「中には少年少女もいる」と言う。
 フランシスコ会の会員は1世紀以上にわたって村にいた、と総主教は述べている。
 イスラム主義戦闘団は、キリスト者、クルド族、シーア派イスラム教徒をシリアと隣国イラクで狙い打ちし、数千人を殺害、約200万人を居宅から追い出している。


◎『サマリタン・パース』がイラクとシリアへ緊急救援

 【CJC=東京】イスラム教過激派組織『イスラム国』がイラクとシリアで市民を攻撃する中で、米国の救援団体『サマリタン・パース』(本部ノースカロライナ州ブーン)は食糧、シェルター、ヒーター、マットレス、靴などの救援物資を集めている。
 イラク北部では『イスラム国』によってイラク、シリアの家族たちが居住地から追い立てられ衣料を背負っただけで、さまよっているが、冬も間近に迫り、気温も零下になることから、緊急援助が必要な状況。
 『サマリタン・パース』は10月13日、シャーロットのダグラス国際空港から子ども用のコート、ブランケット、ソックス、寝袋、シェルター用品などを空輸する計画。


◎教皇が2015年にパリとルルド訪問へ

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所は、10月7日、教皇フランシスコが2015年にフランスを訪問する意向を持っている、と発表した。
 事務所長のフェデリコ・ロンバルディ神父は、「報道陣からの質問に答える」形で声明を発表、その中で「これまでのところ、11月25日に行われる欧州議会と欧州評議会訪問計画を公表することに関連して、皆さんに言えるのは、教皇が来年、2015年にフランスへ司牧旅行をする意向を持っているということだ」と声明で述べている。
 欧州議会、欧州評議会ともフランスのストラスブールを本拠地としている。教皇は11月25日、欧州議会総会で演説する予定。
 教皇はフランス司牧訪問では、パリとルルド訪問を望んでいるという。


◎教皇の提唱でネット学校『スコラス』=毎日新聞報道

 【CJC=東京】教皇フランシスコの提唱でネット学校『スコラス』が始まった事情を毎日新聞が報じている。
 教皇がアルゼンチンのブエノスアイレス大司教当時、地元学校長らと実施していた高校生の対話の枠組みが原形。昨年3月の教皇選出時、旧知の学校長、ホセ・マリア・デルコラルさん(55)に教皇から「アルゼンチンでやっていたことを世界で展開したい」との打診があったという。
 デルコラルさんによると、目的は「教皇が掲げる『出会いの文化』に基づき、カトリック系の学校だけでなく、世界中の学校のネットワークを作ること」。
 『スコラス』はいわばネット交流サイト・フェイスブックの学校版。メンバーは各国の教師や生徒・児童で、グーグルのビデオ会話サービスを使って地球の反対側の学校と連絡を取り合い、学校生活の課題などを話し合うことができる。
 参加希望者の登録は『スコラス』のサイト(https://scholas.social/)から(英語、スペイン語、イタリア語)。


◎ランベス会議開催を2年遅らす?

 【CJC=東京】ジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教が、2018年に開催する予定のランベス会議開催を延期する、と公営放送BBCの『ラジオ4』で語った。
 同性愛聖職と女性主教に関して意見対立が続いていることから、少なくとも2年は開催を遅らせる方が良い、と判断したものと見られる。


◎WCC総幹事がモスクワでキリル総主教と会談

 【ジュネーブ=CJC】世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト総幹事はこのほどモスクワを訪問、ロシア正教会の最高指導者キリル総主教、同教会対外関係部門の責任者ヒラリオン府主教と、教会、和解などについて討議した。
 ロシア正教会はWCCに加盟している。トゥヴェイト総幹事は、同教会との連帯を表明、ウクライナの痛ましい紛争について言及した。総主教もウクライナの現状と人々の苦難については同様に評価した。
 両者は、この紛争が欧州の東西関係にもたらす悲観的な結果、また欧州さらには全世界で教会と人々の間の関係について討議した。


◎スペインでヒゲ無しイエス描いた最古の聖体皿発見

 【CJC=東京】スペインの考古学者が、イエスの姿が描かれた4世紀の皿を発見した。これまで出土した中では最古のものの一つ。
 米メディア『ハフィントン・ポスト』によると、今回の発見でキリスト教が5世紀にスペインに到達したという通説の再検討が必要になるかも知れない。また皿に描かれたイエスにヒゲがなかったことにも関心が集まっている。
 これまで描かれたイエスは長いヒゲと伸ばした髪が特徴だったが、このイエスはヒゲを剃っており、巻き毛だ。緑色の聖体用のパン皿に描かれているのはキリストと弟子ペテロとパウロと見られる。
 『フォルム・MMX』発掘計画に従事していた考古学者たちが、スペイン南部カストゥーヨの宗教建築の現場で発見したもの。パン皿の保存状態は欧州各地で発見されたものに比べても非常に良く、破片を整理して全体の81%を復元出来たという。


◎英で女性差別へじわり動く=東京新聞報道

 【CJC=東京】英北部スコットランドの名門ゴルフクラブ『ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ』(R&A)が9月、性別要件を取り払い、女性会員を受け入れることを決めたことを東京新聞が報じている。英国国教会では年内にも、500年の歴史で初の女性主教が誕生することと結びつけて、『かたくなに閉じられてきた「英国紳士」の世界で、重い扉がこじ開けられつつある』としている。
 同クラブは創立260年で、全英オープン主催者でもある。投票結果は85%の圧倒的多数で女性入会を認容した。
 東京新聞は、最高責任者ピーター・ドーソン氏が「R&Aの歴史で大変重要な日」と誇ったものの、昨年春は「性別限定のクラブは英全体の1%程度で大した問題ではない」と、決して前向きではなかったとしている。
 それを転換させたのは、外部からのさまざまな圧力だ。全英オープン開催地10カ所のうち3カ所が「女人禁制」である点に批判が集まり、政府要人が相次いで大会への参加を辞退したという。1月には大口スポンサー『HSBC』銀行の幹部が「スポンサーとして居心地が悪い」と苦言を呈したのが決定打となった。
 英国国教会は7月、主教職に女性が就くことを認めた。カンタベリー大主教はその後、女性会員を認める会則変更を否決したロンドンの名門紳士クラブを退会している。
 国教会に女性登用を求めてきた市民団体のメディア担当責任者、ジョディ・ストウェルさんは「女性たちは今ようやく声を持ち始めた」と進展に期待を込めている。


◎中国で迫害された司教相次ぎ死去

 【CJC=東京】中国地下教会の聖ヨハネ・クリゾストモ・ラン・シ司教が9月21日死去したことをバチカンの『フィデス通信』が10月8日報じた。89歳。ラン司教は1925年生まれ。54年司祭叙階、65年に拘束され、14年間強制労働を科された。教皇の承認のもと2000年に四川省東部三元(サンユアン)の補佐司教に叙階された。
 1965年から85年まで拘禁されていた洗礼者ヨハネ・ワン・ジン司教が90歳で死去した、とカトリック・ワールド・ニュース(CWN)が10月10日報じた。ワン司教は香港とマカオで神学研修を終えて50年に中国本土に戻り、翌年、司祭に叙階された。99年、75歳の時に教皇の承認のもとに山西省楡次(ユチ)司教に叙階、その後15年にわたって30人を司祭に叙階している。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(10月12日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=長寿を祝福=高齢者との集い開く
★教皇=「原因は武器売買」=中東での暴力・迫害で会議
★大阪=シンポジウム「福音と差別」=人が大切にされる社会を
★特別臨時司教総会=右近列福求め 教皇に書簡
★日本カトリック正義と平和協議会=脱核部会が発足=司教団提言の具体化目指すネットワーク

 =キリスト新聞(10月11日)=https://www.kirishin.com
★教会フリマで「異文化」交流=いのフェス2014=追悼・市川森一さん「帰ってきたウルトラマン」=「悪魔と天使の間に...」をひもとく
★「宗教者九条の和」がアピール採択
★日本人による礼拝会衆賛美歌を=「賛美歌工房」が初の歌集を発行
★フェイス・トゥ・フェイスで支援呼びかけ=チャイルド・ファンド・ジャパン
★「イスラム国」が7世紀の教会破壊=イラクの女性人権活動家も殺害

 =クリスチャン新聞(10月12日)=https://jpnews.org
★JEA宣教フォーラム=「結び目」を強めよう=「危機の時代」に生かす教会・地域ネットワーク
★被災地に臨む姿勢問う=第3回東日本宣教ネットワーク
★「教会と地域福祉」フォーラム21で坪井節子氏講演=「子どもの人権=教会のメッセージだった」=機能しない家族に届く教会の在り方模索
★宗教者九条の和「第10回シンポジウム」で三宅晶子氏=「本音言えなくなる」が戦争へ
★「賛美歌工房」が歌集を刊行=討議された新作賛美


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