世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1241信(2014.11.03)

  • 英国国教会の聖職者約2%が神の存在信じず
  • 「神は生物を進化するように造った」と教皇
  • 教皇「教会とはわたしたち皆のこと」と強調
  • 「すべての人に尊厳を」と民間運動関係者に教皇
  • バチカンがシスティーナ礼拝堂を貸し出し
  • 「火葬希望者の葬儀しない」とギリシャ正教会
  • 日本人牧師15人が慰安婦問題訴える集会で謝罪
  • 米で教派離脱して資産争い
  • 《メディア展望》


◎英国国教会の聖職者約2%が神の存在信じず

 【CJC=東京】英国国教会の聖職者1500人に行った調査の結果、約2%が神の存在を信じていないことが分かった。調査はイングランド、スコットランド、ウエールズの聖職者を対象に、国際マーケット調査機関『YouGov』(ユーガブ)が今年8〜9月にかけて行ったもの。調査結果は10月28日に発表された。
 調査は、自分の信仰に最も近い記述を選ぶ形式で、回答者の83%という圧倒的多数が「人格的な神が存在する」を選び、さらに3%が「何らかの霊もしくは力が存在している」と答えている。
 一方、聖職者の16%が神についてはあいまいで、神は人間が作りだしたと考えている人が2%いることも分かった。9%が「神はどのような存在なのかを人間は知ることができない」という選択肢を選んでいる。
 高齢の聖職者の方が若手よりも非正統的な信仰を保持している、2011年以後に聖職に任命された人の約9割が神を信じているのに、60年代に聖職になった人は72%に留まっている。
 国教会総会(ゼネラル・シノッド)はこのような見解に対応措置は取らず、聖職者は、教義から逸脱しても制裁を受けることはない。
 『インデペンデント』紙は、総会の信徒議員アリソン・ルオフさんが、神を信じないで聖職者であることが理解出来ないと言ったことを報じている。「聖職者は近頃では場当たりのことを説教しているだけだ。もっと良い話が聞けるよう望む」と言う。


◎「神は生物を進化するように造った」と教皇

 【CJC=東京】教皇フランシスコは10月27日、バチカン(ローマ教皇庁)科学アカデミーの会合で、ビッグバン理論と進化論は、創造の全てを動かしている神の存在を否定するものではないし、神の存在は科学的な諸発見を否定しない、と語った。米カトリック系CNS通信などが報じた。
 科学アカデミーは世界各国の著名な科学者、哲学者で構成されており、24日から28日までの日程で「自然コンセプトの展開」をテーマに会議を開催した。
 「創世記の中の創造の記事を読む時、私たちは、神が何でも出来る魔法の杖を備えた魔術師だと考える危険をおかす。しかし、そのようなものではない」と教皇は述べた。「神は生物を創造し、それぞれに与えた内なる法によって、それぞれが、その真価をするように進化させた」と言う。
 「世界の始まりは〝混乱〟の結果ではない」と教皇は語る。〝愛から作られる最高の原理〟から直接来るのだ、と言う。「今日、世界の始まりとされるビッグバンは、神聖な創造者の介在と矛盾するものではなく、創造者を必要としている」と教皇は語った。「進化する生物の創造を進化論は想定しており、自然の進化は創造物の概念と対立するものではない」。
科学アカデミー会員の専門家は、この教皇発言を、天地創造に関する偽科学的コンセプトに終止符を打ち、この世界と人類は唯一の創造主によって作られたという理論を終わらせるもの、と受け止めたと見られる。
 イタリア航空物理研究所のジョヴァンニ・ベンヤミン所長は、教皇の説は今まですでにあった説だと語っている。ミラノ大学のジュリオ・ジオレッロ教授(哲学)は、教皇は教会と科学界の間に展開される「ディスカッションの過熱度を単に下げよう」としただけとの見方を示している。


◎教皇「教会とはわたしたち皆のこと」と強調

 【CJC=東京】教皇フランシスコは、バチカンで10月29日、水曜恒例の一般接見で、教会をめぐる考察として、「教会=目に見える現実と霊的な現実」をテーマに語った。
 教皇は、聖霊によって築かれたキリストの神秘体としての教会と、小教区や教区に見る現実の組織としての教会は、どちらも一つのものなのか、それは互いにどのような関係にあるのかを考えたいとして、目に見える教会について話す時、わたしたちはすぐに教皇や、司教や司祭、修道者らのことを考えがちだが、教会とは洗礼を受けた世界中の兄弟姉妹たち皆によって成り立っていることを忘れてはならないと指摘した。そして「教会とはわたしたち皆のことです。洗礼を受けたすべての人こそがイエスの教会なのです」と強調した。
 教皇はまた、感染の拡大が懸念されるエボラ出血熱に言及、エボラウィルスに感染した患者と治療に当たる医療関係者らのために祈りを呼びかけた。
 この感染症が容易に終息せず、特にアフリカ大陸の貧しい人々の間に広がっていることを憂慮して教皇は、患者たちに祈りと愛情をもって精神的に寄り添うと共に、患者たちの治療に英雄的に尽くす医師や看護師、ボランティア、修道者、団体関係者らのためにも祈られた。そして、エボラ熱の患者とこの感染症によって命を失った人々のために祈るよう求めた。


◎「すべての人に尊厳を」と民間運動関係者に教皇

 【CJC=東京】教皇フランシスコは10月28日、世界各国の民間運動関係者を接見した。
 ローマでは27日よりバチカン(ローマ教皇庁)正義と平和評議会が主催して、不定期労働者や、インフォーマルセクター労働者、移民、先住民族、小作農業者、都市周辺の貧困地域住民らの生活を向上させるための様々な民間運動に携わる人々の国際集会が開かれた。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、参加者への挨拶で教皇は、民主主義を実現し、飢えと戦争をなくし、貧しく疎外された人々をはじめ、すべての人に尊厳を保証することの大切さを指摘した。
 教皇は、土地・家・仕事を人々の「聖なる権利」として、「こういうことを言うと、教皇は共産主義者ではないかと思う人がいるかもしれないが、それは貧しい人々への愛が福音の中心であることがわかっていないからだ」「これは教会の社会教説だ」と強調した。
 多くの人々が飢えに苦しむ中、食料価格が投機目的で操作されていることを教皇は非難すると共に、農業に従事する家族の尊厳を守ることの重要性を示した。
 また、都市の華やかな発展の陰で、貧しく苦しむ人々が見棄てられている状況にも言及。すべての人が認められる都市づくりを願った。
 さらに、若い人をはじめとする多くの失業者の存在を憂慮された教皇は、人間より利益を優先する経済構造、人を消費物のように扱う「切り捨ての文化」に警告を発した。
 「世界は父なる神を忘れ、神を脇に押しやることで、孤児となった」と教皇は述べ、キリスト者はイエスの山上の垂訓に代表される福音の精神のもと、「出会いの文化」をもってすべての差別をなくしていくように、いっそうの努力を呼びかけれた。


◎バチカンがシスティーナ礼拝堂を貸し出し

 【CJC=東京】教皇フランシスコがシスティーナ礼拝堂を、企業イベントのために初めて貸し出した。
礼拝堂を借りたのは、ドイツの自動車メーカー『ポルシェ』。10月18日夕、システィーナ礼拝堂で、サンタ・チェチーリア国立管弦楽団付属合唱団が、僅か40人の聴衆のために、ロッシーニの「小荘厳ミサ曲」を演奏した。40人は『ポルシェ・トラベル・クラブ』が企画したローマ・ツアーの参加者。
 システィーナ礼拝堂の貸し出し価格は不明だが、ローマ・ツアーの価格は1人5000ユーロ(約70万円)。システィーナ礼拝堂の貸し出しによって得た資金は、教皇の慈善プロジェクトの支援にあてられる。
 ミケランジェロの天井画や大壁画で知られるシスティーナ礼拝堂は、教皇シクストゥス4世(在位1471〜84年)の依頼で、建築家のジョヴァンニ・デ・ドルチによって建築された。壁画制作には、サンドロ・ボッティチェッリ、ペルジーノ、ギルランダイオ、コジモ・ロッセリ、その他のルネサンス期を代表する画家も参加した。教皇選挙(コンクラーベ)など重要な会議や儀式が行われる。


◎「火葬希望者の葬儀しない」とギリシャ正教会

 【CJC=東京】ギリシャ正教会が10月31日、火葬は人体を尊重しない弔い方として、火葬を希望する人の埋葬式(葬儀)は執行しない方針を表明した、とAFP通信が報じている。
 正教会は声明で「人体の焼却は、文化人類学的・神学的な観点から、正教会の伝統や行動様式に沿ったものとは考えられない」と説明しているという。
 ギリシャで火葬が合法化されたのは2006年。ただ正教会は、火葬の手順を定めた新法を「虚無主義」の象徴であり「宗教弾圧」と「人体に対する敬意の欠如」だと批判しており、火葬希望者は「正教会からの離脱を表明したことになるので、教会での儀式を受ける資格を失う」と述べている。
 AFP通信によると、ギリシャではアテネとテッサッロニキの市長が、墓所不足を理由に火葬場の建設許可を繰りかえし申請しているが、これまでギリシャ国内で火葬場の建設は承認されていない。


◎日本人牧師15人が慰安婦問題訴える集会で謝罪

 【CJC=東京】韓国の聯合ニュースによると、『日韓親善宣教協力会』(尾山令仁会長)に所属する日本人牧師15人が10月29日、慰安婦問題の解決を求めソウルの日本大使館前で開催された1150回目の「水曜集会」に出席した。
 牧師らは慰安婦被害者の吉元玉(キル・ウォンオク)さんと金福童(キム・ボクドン)さんの前で謝罪文を読み上げ「日本人として同じ日本人が犯した罪に対し心から謝罪する」などと述べた。
 会長の尾山牧師は「われわれ日本人はあなた方の大切な人生を台無しにした。神があなた方の心の傷を癒してくれるよう祈っている」と述べた。


◎米で教派離脱して資産争い

 【CJC=東京】米テキサス州ヒューストンの『ウインドウッド長老教会』は今年、同性愛者許容の問題で長老教会(PCUSA)を離脱した。しかし資産処理問題で同派と対立、訴訟になっている。
 「資産問題は2008年以来、訴訟が続いている」のケビン・C・ルドルフ牧師。「教会員はほぼ1100人。その3割が、離脱総会に出席、99%という圧倒的多数で離脱を決めた」と言う。
 訴訟では、『ウインドウッド長老教会』が「財産条項」は適用されないと主張している。この条項は、PCUSAから離脱する教会がその資産を保持するには対価を支払わなければならない、というもの。
 『ウインドウッド長老教会』が離脱を決めたのは、同派総会が、独身でない同性愛者の教職を認める決定をしたため。
 問題は、離脱後も資産保持を図るところが『ウインドウッド長老教会』だけではないこと。
 テキサス州ダラスの『ハイランドパーク長老教会』もPCUSAから離脱と対価を支払うことなく資産を保持することを決めていた。ただ9月になって、780万ドル(約8億5000万円)を支払うことで決着している。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(11月2日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=死刑と終身刑の廃止訴える=「刑罰の大衆迎合主義」を非難
★トルコ訪問日程発表=教皇 11月下旬、モスクへも
★教皇=中東で続くテロを憂慮=「想像できない規模」
★5学校法人 合併へ協議=「イエズス会教育の深化」など目指す
★「イエズス会教育の深化」など目指す神名誉司教が逝去=97年まで那覇教区司教務める

 =キリスト新聞(11月1日)=https://www.kirishin.com
★「教会と地域福祉」フォーラム21シンポ〝変容する家族〟児童福祉テーマに=坪井節子氏=〝ひとりじゃない〟福音を
★日キ改革派教会が女性教職に道開く
★文化交流や福祉の向上に寄与=東南アジア文化友好協会 創立50周年
★「イスラム国」機関誌が「奴隷」強要認める
★「教会の扉はいつも開いている」=家庭についてのシノドス最終報告書

 =クリスチャン新聞(11月2日)=https://jpnews.org
★東京に新たな福音宣教の拠点=「ビリー・グラハムフォトギャラリー」オープン
★パイパー氏、カーソン氏ら講演 3都市で「LOVE JAPAN」=米中韓 日本に愛を現す
★慰安婦被害者へ日本人牧師ら謝罪=韓国ソウル水曜集会で
★広島土砂被災地=いまだ帰れず
★「良き死は良き生から」=創世ライフワークス社が終活セミナー

 = 雜 録 =
☆東京新聞(10月31日)「TOKYO発=新宿ゴールデン街=安息は週末の夜=牧師バー 説法に酔う」


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