世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1242信(2014.11.10)

  • 教皇と世界福音同盟の使節が会見
  • バチカンに「75歳定年制」
  • バチカンがバーク最高裁長官解任
  • バチカン『生命アカデミー』会長が〝尊厳死〟批判
  • 松浦司教ら元慰安婦暮らす施設を訪問し謝罪
  • 米国でホームレスに食事与えて有罪に?
  • トリノの聖骸布が来春公開へ
  • 《メディア展望》


◎教皇と世界福音同盟の使節が会見

 【CJC=東京】教皇フランシスコは11月6日、カトリック教会と福音派共同体双方の共通の関心事である地球規模の問題に関し協力可能な領域について討議するため訪問した世界福音同盟の使節と会見した。使節は世界福音同盟(WEA)のジェフ・タニクリフ総幹事ら代表者からなるグループ。会見にはバチカン(ローマ教皇庁)キリスト教一致推進評議会の幹部も同席した。
 タニクリフ総幹事は、演説で「福音派とローマ・カトリック関係の新時代」に導けるような明確な行動概要を示し、「わたしたちはそれぞれの伝統の間における違いを認めるが、それでも過去に共有してきた共通の務めを確認し、それらの上に立つことができるよう祈る」と語った。
 福音派は、「ペンテコステの諸伝統、改革派、バプテスト、単立などの人たちや教会を含む非常に多彩な集団」としてタニクリフ氏は、「わたしたちは、主イエス・キリストへの共通の信仰と、神の国に仕える願いを共にしており、個人の霊的な革新や変容を促す心、そしてイエスを全世界に知らせる情熱を持っている。キリストに従うことを求める点で、わたしたちは今を福音派とローマ・カトリック関係の新時代と見ている」と言う。
 「カトリックと福音派の間に地域レベルの提携関係が多数あると世界が知るのが大事なことで、それらは悲惨な社会問題に対する大規模な協働へと展開しつつある」と同総幹事。
 会見で、WEA側は『キリスト教ゆりかご基金』(CCF)、核兵器廃絶、極貧の人たちの正義などを、WEAとそのパートナー、そしてバチカン各関係部門との間で協働の可能性がある実際的な分野として提案した。
 グローバルなレベルでの協力強化という点では大きな可能性があるが、双方の間には、共通の関心事の領域にさえ、協働への障害と歴史的になってきた神学的な違いがある。そこでタニクリフ氏は、神学的な共通点と相違に関する議論がこの新たなアプローチの一部になるようにとも示唆した。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇は席上、カトリックと福音派の兄弟愛と協力がますます深まることに期待を表明した。
 教皇は、キリスト教徒間には初代教会の頃からすでに意見の相違が見られたが、残念ながらその分裂は現在のわたしたちの共同体間にも見られると述べ、このような状況は、福音を世に広く宣べ伝えるようにとの主の命を果たすための、わたしたちの力を削いでしまっていると語った。
 わたしたちの分裂の現実は、キリストの唯一の衣の美しさを損ねているが、洗礼を受けたすべての人々の中にある恵みによって作られた深い一致を完全に壊すものではないと教皇は強調、キリスト者がこの分裂を克服し、共に秘跡を祝い、御言葉を述べ広め、愛徳を実践するならば、福音宣教の効果はより大きいはずであると述べた。
 教皇は、多くの国々でカトリックと福音派の友好関係と協力が育っていること、相互の偏見や誤解を解くためのキリスト教一致推進評議会と世界福音同盟神学委員会による共同の努力にも喜びを表明した。

注=画像参考≪タニクリフ総幹事(左から2人目)と教皇フランシスコ≫(WEAのサイトから)
https://worldea.org/news/4483/wea-secretary-general-visits-pope-francis-sees-%E2%80%98new-era-in-evangelical-and-roman-catholic-relations%E2%80%99


◎バチカンに「75歳定年制」

 【CJC=東京】教皇フランシスコは11月5日、バチカン(ローマ教皇庁)の行政組織で働く高位聖職者に対し、「75歳定年制」を指示た。これまでは75歳以上の聖職者には退職が「奨励される」だった。
 世界各地の教区司教についても適切な理由がある場合、退職を要請できるとした。引退を拒む司教には、退職を促す公式な手続きが義務化されると見られる。
 今回の決定は、ピエトロ・パロリン国務長官(枢機卿)の要請を3日に教皇が承認した形を取っている。
 教皇は、85歳で異例の生前退位を表明した前教皇ベネディクト16世を、「偉大な勇気と謙遜の人」と称賛しており、自身も生前退位の可能性を示唆したことがある。


◎バチカンがバーク最高裁長官解任

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は11月8日、ライモント・レオ・バーク最高裁長官(枢機卿)を解任したと発表した。バーク枢機卿は、慈善福祉団体『マルタ騎士団』のチャプレンに任命された。この職務は引退枢機卿に用意される儀礼的なもので、実権も責任もないとされる。
 バーク枢機卿は、同性愛や再婚を容認しない保守派の『重鎮』で教皇批判の急先鋒とされ、このほど開催された「家庭シノドス」(枢機卿会議)でも、教皇フランシスコの意向に歯止めを掛けたと見られている。


◎バチカン『生命アカデミー』会長が〝尊厳死〟批判

 【CJC=東京】末期がんで余命半年を告げられた米国人女性ブリタニー・メイナードさん(29)が11月1日に予告通り安楽死を選んだ問題で、バチカン(ローマ教皇庁)『生命アカデミー』のカラスコ・デ・パウラ会長は4日、「人を裁くのではないが、行為は批判されるべきだ」「尊厳とは、自ら人生を終わらせることとは違う」として、メイナードさんの選択を批判した。『生命アカデミー』は、バチカンで生命倫理問題を担当している。
 メイナードさんは今年1月1日に脳腫瘍と診断された。その後、余命6カ月と宣告されたことから、衰弱が激しくなり過ぎる前に、自らの命を終えることを決めた。カリフォルニア州から自死のほう助が合法とされるオレゴン州に移り、尊厳死を求めて運動をし、『コンパッション・アンド・チョイシズ』(憐れみと選択)という提言団体の看板となっていた。
 10月に入って、インターネット上で公開した動画で「11月1日に死にます」と表明、予告通りに薬を服用し死去した。

注=画像参考≪米誌ピープル10月27日号の表紙に掲載されたメイナードさん≫
https://trend-news-gogo912.blog.so-net.ne.jp/upload/detail/m_cover-768.jpg.html


◎松浦司教ら元慰安婦暮らす施設を訪問し謝罪

 【CJC=東京】第20回韓日司教交流会に参加するために韓国を訪問した日本の司教らが11月10日、交流会の一環として旧日本軍の慰安婦被害者が共同生活を送るソウル近郊の施設『ナヌムの家』(京畿道広州市)を訪れ、慰安婦被害者らに謝罪し、日本で慰安婦問題が正しく認識されるよう努力すると伝えた。韓国の聯合ニュースが報じた。
 松浦悟郎・大阪補佐司教は、日本が被害者に対して傷を残したことを深く反省しているとした上で、亡くなった被害者の方々にも申し訳ないと重ねて謝罪した。また日本国民が慰安婦に関する歴史問題を正しく認識できるよう、日本の教会でも熱心に努力すると強調した。 
 11日から13日までソウル大司教区庁で開催される交流会は、今年は「国家主義を超える福音的人生」をテーマに開かれ、韓国側から24人、日本側からは16人が出席する。
 交流会は1996年2月に日本で「韓日教科書問題懇談会」が行われたのが始まりで、両国が持ち回りで開催している。


◎米国でホームレスに食事与えて有罪に?

 【CJC=東京】米フロリダ州フォートローダーデールで11月5日、ホームレスに食事を与えることを禁止する新しい条例に違反したとして、救援活動家アーノルド・アボット氏とフォートローダーデール『ザ・サンクチュアリ』教会のドウェイン・ブラック牧師、同州コーラルスプリングス『セント・メリー・マグダレン・エピスコパル』教会のマーク・シムズ牧師の3人に召喚状が渡された。
 90歳になったアボット氏と牧師2人は、貧しい人やホームレス数百人に毎週食事を与えていた。
 フォートローダーデール市が施行した新条例では、炊き出し場所は住宅地から最低500フィート(約150メートル)離れなければならず、1ブロックに1カ所しか作れない。住宅地の環境維持などを図って、ホームレスを締め出す条例は、この2年間で30市以上が制定しており、フォートローダーデール市が最近の例。
 アボット氏と2人の牧師は、有罪となれば各々500ドル(約5万7千円)の罰金と最大60日間の収監処分になる。


◎トリノの聖骸布が来春公開へ

 【CJC=東京】十字架で処刑された直後のイエス・キリストを包んだと伝えられる亜麻の布「聖骸布」が、イタリア北部トリノの大聖堂で来年4月19日から6月24日まで一般公開される。教皇フランシスコも現地を訪れる。トリノ近郊出身で、修道会サレジオ会を設立したジョバンニ・ボスコ神父の生誕200周年を記念するもの。
 チェーザレ・ノルシリア・トリノ大司教らが11月5日、バチカン(ローマ教皇庁)で記者会見し発表した。
 一般公開は5年ぶりで、2000年代に入って3度目。前回は40日間で300万人が訪れた。来年は同時期に、近くのミラノで万国博覧会が開かれる。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(11月9日)=https://www.cwjpn.com
★世界のイスラム指導者=「イスラム国」を非難
★全国教区広報担当者会議=教区報制作 実践的に学ぶ
★教皇フランシスコ=ビッグバンや進化論=神の存在と矛盾しない
★「貧困との闘いを」=教皇=草の根活動家らに促す
★袴田さんも登壇=死刑廃止で国際シンポ=聖エディジオ共同体・日本など東京で

 =キリスト新聞(11月8日)=https://www.kirishin.com
★第31回ヨーロッパ・キリスト者の集い=「寄留の民」への宣教に使命=異郷の地で覚える葛藤に向き合う
★教皇、刑法専門家との接見で死刑非難
★上智学院など合併前提に協議
★日基教団、第39回総会で新人事
★功労者に松居直氏、徳善義和氏=日本キリスト教文化協会が顕彰式

 =クリスチャン新聞(11月9日)=https://jpnews.org
★教会学校スターターキットでCS再生に光明=地域の子どもに福音を
★沖縄・普天間=「基地はいらない」=ゴスペルで訴え続ける
★OCC・靴箱送り先フィリピンを訪問=教会は安全な遊び場
★横田早紀江さんを囲む拡大祈祷会=日朝交渉の成功祈る
★「吉野作造と賀川豊彦」展=吉野作造記念館でシンポ開催=デモクラシーとキリスト教問う


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