世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1243信(2014.11.17)

  • 「キリストに妻子がいた」と英新刊が議論呼ぶ
  • 『イスラム国』が米国人カッシグ氏斬首
  • 教皇、キリスト者に対する暴力を深く憂慮
  • 「必要なのは〝壁〟ではなく〝橋〟」と教皇
  • ワシントン大聖堂で初のイスラム教の祈り
  • 中国で聖書印刷が年間1億2500万冊に
  • モルモン教の創始者に40人もの妻が
  • 路上生活者のためシャワー設置を教皇が命令
  • 《メディア展望》


◎「キリストに妻子がいた」と英新刊が議論呼ぶ

 【CJC=東京】イエス・キリストがマグダラのマリアと結婚し、子どもも複数もうけていたことを示す新証拠を発見したという書籍が11月12日にロンドンで出版された。
 この新刊『失われた福音』は、ロンドンの大英図書館に収蔵されている古文書と付随の手記2通の新たな解読結果に基づいたものという。
 創世記に登場するヨセフの物語が詳細に語られているこの古文書『ヨセフとアセナテ』はシリア語で書かれており6世紀ごろのものとされている。宗教学者の多くは、この文書は、ユダヤ人の族長ヨセフが異教徒と結婚するに至った理由を説明したもの、としている。
 しかしイスラエル系カナダ人のドキュメンタリーフィルム作家シムチャ・ジャコボビッチとカナダ人学者のバリー・ウィルソンの両氏は、実際にはイエスとその妻、子どもたちの物語を暗号化したものとし、その暗号を解読したと主張している。それによると、マグダラのマリアは「イエスの夫人であっただけでなく、共なる神であり、共なる救世主」であったという。
 AFP通信によると、両氏は声明で、「これは、求婚、結婚、子ども、そしてキリストが成し遂げようとしたことが暗号化された象徴的な形で示されている」と説明している。「初期の教会には対立が多かったため、重要な文献は、このような形で隠され、それを破壊しようとする試みから守られていた」のだという。
 英国国教会は、筆者らの主張を一蹴している。オックスフォード大学のダイアメイド・マカロック教授(教会史)は、筆者らの主張は「間違った解釈」に基づいたものだと指摘。「彼らは、これがキリストの人生についての寓意だと言いたいのだろうが、それは違う」と語った。


◎『イスラム国』が米国人カッシグ氏斬首

 【CJC=東京】イラクとシリアで活動する過激派集団『イスラム国』(ISIS)が11月16日、米国人アブドル=ラーマン・カッシグ氏を斬首して処刑したと主張、動画を公開した。カッシグ氏は2013年10月に人道支援活動を行っているところを拘束された。同氏はイスラム教に改宗する前はピーター・カッシグ氏として知られていた。
 動画は、覆面した男性が足元に斬られた血まみれの頭を置いて立っている姿を映し出した。男性は英国風のアクセントで「これが米国市民ピーター・エドワード・カッシグ」と話している。
 画像はジハディスト(聖戦主義者)のウエブサイトとトゥイッターに掲出されたが、真偽は確認されていない。同じ動画にはシリア軍関係者とされる18人が首をはねられる様子も映っていたという。
 『イスラム国』は10月3日に英国人アラン・ヘニング氏殺害画像を投稿した際、次にカッシグ氏の命を奪うと警告していた。


◎教皇、キリスト者に対する暴力を深く憂慮

 【CJC=東京】教皇フランシスコは11月12日、バチカンで行った一般接見で、世界各地のキリスト者が信仰を理由に迫害・殺害されている状況に対し、深い憂慮を表した。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。
 教皇は、キリスト者たちは自分たちの国で安全に平和に生活し、信仰を自由に表明できる権利を持っていると強調、地域・国際社会の政治責任者、そしてすべての善意の人々に、迫害されているキリスト者たちを助けることができるよう、この問題に対する関心を高めて欲しいと要望した。


◎「必要なのは〝壁〟ではなく〝橋〟」と教皇

 【CJC=東京】教皇フランシスコは11月9日、日曜正午の祈りの席で、ベルリンの壁崩壊から25年に言及した。
 1989年11月9日、ベルリンだけでなく、ヨーロッパと全世界のイデオロギー的分裂の象徴であった〝壁〟が崩壊したことは、突然ではあったが、時には命をも犠牲にした、多くの人々の長い闘いと、祈り、苦しみが可能にしたことであった、と、教皇はこの歴史的出来事を振り返り、その中で教皇ヨハネ・パウロ2世の果たした重要な役割を指摘した。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。
 「壁のあるところには、閉じた心があります。必要なのは壁ではなく、橋です!」と教皇は話した。


◎ワシントン大聖堂で初のイスラム教の祈り

 【CJC=東京】米ワシントン大聖堂で11月14日、イスラム教徒が重んじる「ジュマア」(金曜日)の祈りを導くよう招かれ、参集者で一杯になった。大統領の葬儀式場にもあてられた、キリスト教の「聖所」でイスラム教の祈りが行われたのは初めてのこと。
 今回の「祈り」のアイデアは、大聖堂のジーナ・ギランド・キャンベル司祭とイブラヒム・ラスール南ア大使が、ネルソン・マンデラ元南ア大統領の追悼式典計画の際に知り合ったことから出てきたものという。
 ワシントン大聖堂は聖公会ワシントン教区の主教がいる主教座大聖堂。


◎中国で聖書印刷が年間1億2500万冊に

 【CJC=東京】無神論国家の中国ではあるが、聖書印刷では世界一と見られる。政府公認の援助団体『愛徳基金会』が聖書協会世界連盟(UBS)の技術的・資金的な援助協力を得て南京に1988年開設した愛徳印刷会社が2013年までに、国内で使用される10言語で6500万冊、国外向けに90言語で5900万冊以上の聖書を印刷した。
 中国は無神論国家であることを標榜しており、憲法は、公認組織内で礼拝する人には宗教信仰の自由を保障している。
 公式統計では、国内のキリスト者は3000万人弱とされているが、民間の予測ではカトリック、プロテスタント合わせて1億人に上る。
 政権を確保している中国共産党の党員数8670万人を超え、15年以内に世界最多のキリスト者が存在する国になる、と見る専門家も。キリスト者差別にも関わらず、毎日3千人から1万人がキリスト教に入信し、1949年には100万人だったキリスト者が今では1億人を数えるほどになった、とも言われるほど。
 一方、米国のキリスト教抑圧監視団体『オープンドアーズ』の「世界監視リスト」では中国は37位に位置づけられている。この数カ月で、教会300カ所以上を対象に、会堂から十字架を撤去されたり、強制的に取り壊されている。
 米国に本拠を置くキリスト教抑圧監視団体『対華援助協会』の主宰者ボブ・フー氏は「文化大革命以来の最悪の迫害」として、「信徒多数が襲われ、病院に運ばれている。1教会に対し警察官数千人が動員されたこともある。文革以来なかったことだ。恐ろしい」と言う。
 フー氏はしかし、中国のキリスト者の遠い将来に関しては「非常に楽観的」で、最近の抑圧増加は中国の「教会成長のニューウエーブ」につながるもの、と言う。


◎モルモン教の創始者に40人もの妻が

 【CJC=東京】米国のキリスト教系『末日聖徒イエス・キリスト教会』(通称モルモン教会)は、創始者ジョセフ・スミスに30〜40人の妻がいたことが分かったと明らかにした。
 同教会はこれまで妻が1人しかいないとしてきたが、このほど初めて「慎重に見積もってもその数は30〜40人」だったと認めたもの。
 スミスは神から特別な啓示を受けた預言者とされてきた。同教会によれば、スミス本人は複数の女性との結婚を望まなかったが、1834〜42年に天使が3回現れて結婚を迫ったという。
 スミスの結婚相手はほとんどが20〜40代だったが、最年長は56歳、最年少は14歳だった。


◎路上生活者のためシャワー設置を教皇が命令

 【CJC=東京】教皇フランシスコが、バチカン市国のサンピエトロ広場周辺で暮らす路上生活者のためにシャワー設置を命じた。AFP通信が報じた。教皇に最も近い補佐役、慈善活動を担当するコンラート・クラジェウスキー大司教と、ある路上生活者との出会いがきっかけとなっている。
 バチカンを訪れる巡礼者や観光客のための公共トイレを改修し、路上生活者が体や衣服を洗えるよう、3カ所のシャワーを設置する作業が11月中に始まる。設置場所は、豪華な宮殿住まいを辞した教皇フランシスコが暮らす質素な建物のすぐそば。またこうした取り組みがすでにローマ市内の10カ所の小教区(教会)で進行中という。
 AFP通信によると、クラジェウスキー大司教が10月、サンピエトロ広場に続く大通りを歩いていた際、サルデーニャ島出身の路上生活者の男性と出会った。大司教はイタリア紙『スタンパ』とのインタビューで、その男性が「その日、50歳の誕生日を迎えることや、路上で10年生活していることを話してくれた」と語った。
 大司教はこの路上生活者を夕食に招待することに決めた。男性は最初、「私は臭うから」と言って断ったが、大司教に説得されて夕食を共にすることに。その席で、ローマでは飢え死にする心配はないが、清潔でいることの方が難しいと話し、大司教がすぐに行動に移した。
 シャワー設置では、ある建設会社が無償工事を申し出たほか、慈善活動に熱心なイタリアのテノール歌手、アンドレア・ボチェッリが寄付金を出した、とAFP通信。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(11月16日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=司教は奉仕者で牧者=立身出世を求めない
★婚姻無効の手続き=教皇フランシスコ=迅速化、無料化 促す
★右近、来年列福承認か=列聖省長官、公式巡礼団に語る
★反差別訴えデモ=ヘイト・スピーチ停止要求=東京・新宿
★福島の課題聞く=宗教者ら公開学習会=WCRP日本委員会

 =キリスト新聞(11月15日)=https://www.kirishin.com
★イスラエル発掘調査50周年インタビュー=月本昭男さん(聖書学者、立教大学名誉教授)
★宗教者が「死刑」と「いのち」考察=国際シンポ「いのちなきところ正義なし」
★孤児たちが健全に育つ社会を=「世界孤児の日」制定目指すフォーラム
★チャペルコンサート1千回=霊南坂教会で毎週水曜23年
★英国国教会聖職者約2%が神の存在?

 =クリスチャン新聞(11月16日)=https://jpnews.org
★三浦光世さん逝去=作家の綾子さんをかげで支え続け
★改革派で政治基準条項変更=女性牧師、教職をどう考えるか
★田内千鶴子生誕100周年記念して=児童中心の「東京宣言」=国連世界孤児の日制定推進ハイレベルフォーラム
★第29回関東聖化大会でスミス氏=御言葉、血潮、聖霊を通してとりなす神
★ヴォーリズ精神に学ぶ「いのちと平和」=ヴォーリズ・メモリアルin近江八幡で姜尚中氏講演


 ◆世界キリスト教情報◆ご案内
☆活動紹介・メールマガジン(整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お
申し込みは
https://homepage3.nifty.com/cjc-skj/で。
☆ニュースレター(PDF)・同報メール(無整形テキスト)『週刊・世界キリ
スト教情報』お申し込みは
ckoriyama@gmail.com=ご連絡いただく際は「@」を半角にしてください
☆『週刊・世界キリスト教情報』既刊号は下の各サイトで
・ニュースレター=PDF
https://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/
・メールマガジン
https://blog.livedoor.jp/skjweekly/
・同報メール
https://cjcskj.exblog.jp/
☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください
https://www.kohara.ac/church/
........................
☆CJC通信(メディア向けですが、どなたでもお読みいただけます。転載使用
ご希望の方は巻頭の連絡先までお申し込みください)
https://blog.livedoor.jp/cjcpress/
☆CJC通信速報(Twitterを利用しています)
https://twitter.com/cjcpress/

月別の記事一覧