世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1249信(2014.12.29)

  • 激動の中に世界各地でクリスマス祝う
  • 教皇がバチカン高位聖職者を痛烈に批判
  • 10年後にはいない?と教皇フランシスコ
  • 英カトリック教会では「深夜ミサ」無理に
  • 韓国で「赤ちゃんポスト」の利用急増
  • 2000年から不明の牧師「北朝鮮が殺害」と米連邦控訴裁
  • エジプトでモーゼ描いた米映画禁止
  • 《メディア展望》


◎激動の中に世界各地でクリスマス祝う

 【CJC=東京】イエス・キリストの生誕地とされるヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ベツレヘムにある聖カテリナ教会では、今年も12月24日夕からクリスマスのミサが行われた。隣接する聖誕教会前の広場には巨大なクリスマスツリーが飾られ、現地のイスラム教徒も一緒にクリスマスを祝った。AP通信によると、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長もミサに参加、「過激主義とテロ」の終結を呼びかけた。
 イスラエルとの抗争が続く中、パレスチナ自治区にいるキリスト者が各地でクリスマスを祝った。2014年夏の50日間におよぶ一時停戦から4カ月を迎えるガザ地区では、キリスト者の多くがベツレヘム訪問の許可をイスラエル側に求めたが、多くは認められなかったという。
 イラク北部クルド人自治区のアルビルでは、イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」の攻撃を逃れてきたキリスト者避難民たちが、悲しみに彩られたクリスマスイブを迎えた。
 イラクでは2014年夏、「イスラム国」が制圧したモスルからキリスト者多数が脱出、アルビル周辺で避難生活を送っている。「イスラム国」の掌握する地域ではキリスト者に対する迫害が拡大している。
 カルデア典礼カトリック教会のルイ・サコ総大主教によるとしてAFP通信は、イラクで推計15万人のキリスト者が苦しい避難生活を送っていると報じた。
 カトリック教会のフランシスコ教皇は25日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂のバルコニーから談話を発表、クリスマスのメッセージで世界平和を訴えた。イラクやシリアで「残酷な迫害」に苦しんでいるキリスト者やそれ以外の宗教や民族集団の人々に希望が与えられるよう願った。
 サンピエトロ広場には、教皇の言葉を聞こうと数万の信者たちが集まった。クリスマスのメッセージは「ウルビ・エト・オルビ」(ローマと全世界へ)と呼ばれ、その名の通り世界情勢に触れるのが慣例となっている。
 教皇は「暴力の被害者になり、人身売買の対象とされたり、兵士にもされている多くの子どもたちが救われますように」と述べた。パキスタンの学校襲撃で我が子を失った遺族にも慰めの言葉を送った。
 内戦が続くシリアや「イスラム国」の台頭で不安定化が進むイラクに言及。人々は「あまりにも長い間、進行中の紛争の犠牲になってきた」と述べた。
 また中東やアフリカ、ウクライナなどを例を示して、暴力の終結や、対話の重要性を語りかけた。エボラ出血熱の感染拡大地域で医療活動に従事する人々にも感謝のことばを贈った。


◎教皇がバチカン高位聖職者を痛烈に批判

 【CJC=東京】教皇フランシスコは12月22日発表したクリスマス・メッセージで、「キュリア」と呼ばれるバチカン(ローマ教皇庁)の高位聖職者の官僚主義を批判した。「不滅と感じる病い」から「虚飾」や「過度の計画」に至るまで、それらを「改善しようとしない教会は病身のようなもの」と警告して、教皇は、高位聖職者が「病気」のリストを持つように勧告した。
 教皇は、「親愛なる兄弟の皆さん、ゴシップのテロを意識して、それを防ごう」とも語った。


◎10年後にはいない?と教皇フランシスコ

 【CJC=東京】AFP通信によると、78歳になったばかりの教皇フランシスコは、2024年の五輪招致を目指すイタリアの五輪委員会のメンバーや選手らと会見した際、「2024年五輪招致でのローマの成功を祈っている。その時には私はいないが、あなたたちと、あなたたちの家族に神の祝福があるように」と語った。
 教皇は8月の韓国訪問から帰国する際、報道陣から「自身の世界的な高い評判についてどう思うか」と聞かれた時も、「今までに私が犯した罪や間違いのことを考え、得意気にならないようにしている。そんなには長くないはず。2年か3年で、神のもとに向かうのだから」と答えている。


◎英カトリック教会では「深夜ミサ」無理に

 【CJC=東京】クリスマスの「深夜ミサ」はカトリック教会の特徴の一つだが、英国では「深夜ミサ」を行わない教会が増えている。カトリック週刊誌『タブレット』が報じた。
 イングランドとウェールズの全50管区で調査したところ、「深夜ミサ」を行う教会が減少していることが分かった。
 イングランド北東部ミドルスブラ教区ではマイケル・マーズデン司祭が『ルルドの聖母教会』で行うだけ。
 「深夜ミサ」がなくなる最大の理由は司祭の不足。司祭1人で小教区数カ所を担任する例もあり、「深夜」どころか日曜日のミサを毎週行うことも難しくなっている。
 教会員の高齢化も進み、「深夜」に教会に集うことが困難になっている。そのためクリスマスイブの午後5時にミサの時間を繰り上げた教会もある。
 折角「深夜ミサ」を行っている教会でも、パブで酔っ払った人が来るなど、英国の教会を取り巻く環境は様変わりしている。


◎韓国で「赤ちゃんポスト」の利用急増

 【CJC=東京】朝鮮日報(日本語電子版)によると、韓国で「赤ちゃんポスト」(ベビーボックス)の利用が急増、2014年、ソウル市の12月28日までのまとめでは220人になった。2010年(4人)に比べ50倍以上の増加。市内で捨てられた乳児(228人)の96・4%を占めている。
 ソウル市冠岳区の主サラン共同体教会が2009年末、教会の壁にベビーボックスを設置した。それ以降、市内で捨てられた乳児の数は10年が20人、11年43人、12年79人と増え続け、13年には239人に急増した。
 一方、保健福祉部(省に相当)の保健福祉統計年報によると、全国で捨てられた乳児の数は10年191人、11年218人、12年235人、14年285人。全国的には緩やかに増加している中、ソウルでは急増している。専門家は「全国各地の区役所や児童養護施設に捨てられていた子どもがベビーボックスに預けられるようになっている。ベビーボックスに子どもを預ければ安心だという認識が広まった」と見ている。
 主サラン共同体教会のイ・ジョンラク牧師は「ベビーボックスは命を救う役目を果たしている。捨てられた乳児の数が増えたのは実親の出生届の提出を義務化した『入養』(養子縁組)特例法改正のせいだ」と説明した。


◎2000年から不明の牧師「北朝鮮が殺害」と米連邦控訴裁

 【CJC=東京】ワシントン発時事通信によると、米連邦控訴裁判所は12月23日、中国で2000年に消息を絶った米永住権を持つ韓国系の牧師キム・ドンシク氏について、北朝鮮に拉致され、拷問を受けた末に死亡したと結論付け、家族が北朝鮮に損害賠償を求めることは可能との判断を示した。


◎エジプトでモーゼ描いた米映画禁止

 【CJC=東京】エジプト政府が、旧約聖書『出エジプト記』を題材にした米映画『エクソダス=神と王』について「歴史的な描写が不正確だ」などとして上映禁止を決めた。
 エジプトでは2014年3月、「ノアの箱舟」を描いた米映画『ノア 約束の舟』について、宗教権威機関がイスラム教の教えに反して預言者ノアを偶像化したとして上映を禁止すべきだとする声明を出している。共同通信が報じた。


《メディア展望》

 カトリック新聞、キリスト新聞、クリスチャン新聞とも2014年の発行は終わっています。


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