世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1253信(2015.01.26)

  • 最古のマルコ福音書パピルス断片か
  • 世界教会協議会と世界福音同盟代表が協働の可能性探る
  • バチカンと世界教会協議会が情報交換
  • アジア再征服図る、と教皇訪問に露メディア
  • カトリックとルーテル派が「宗教改革500年」記念
  • 「蟻の町のマリア」の「英雄的徳行」認定
  • 長崎県知事が教皇に年内訪問要請
  • 安倍首相、エルサレムの旧市街を視察
  • 《メディア展望》


◎最古のマルコ福音書パピルス断片か

 【CJC=東京】聖書マルコによる福音書のパピルス断片が、エジプトのミイラマスクから発見された。現存するものとしては最古の可能性がある。米メディア『ブレイズ』が報じた。
 ミイラマスクのために使われていたパピルスをはがして検査したところ判読出来る文字が発見され、紀元90年ごろのものと判定された。
 パピルスは公開される前にさらに検査することになっているが、本物であることが確認されれば、マルコによる福音書について新たな発見も予想される。
 米ケンタッキー州ルイビルのボイス大学のデニー・バーク教授(聖書学)は、問題のパピルスが1世紀のものなら「重大な発見」だと言う。「新約聖書のテキストで1世紀の証拠を得られることは予想されていなかった。マルコによる福音書の断片がエジプトで発見されたとなると、驚きはさらに大きい。現物はそれよりも数十年前にペンで書かれていたことと推測させられる」と、教授は自身のブログに書き込んでいる。
 『ブレイズ』は、断片について研究者が触れたのは2012年2月だった、と報じている。


◎世界教会協議会と世界福音同盟代表が協働の可能性探る

 【CJC=東京】世界教会協議会(WCC)と世界福音同盟(WEA)代表が1月20、21日にスイス・ジュネーブ近郊のボセーで会合、将来の協力可能な領域について検討した。
 会合では双方の活動を紹介、社会と教会の近況、福音派の動きとエキュメニカル(教会一致を目指す)活動に関し検証、キリスト者としての証しの重要さを強調しつつ、参加者は全世界の諸共同体のニーズに共に応答する方法を探った。
 参加者は、聖書を読み、ミッション(宣教)とエバンジェリズム(伝道)に関する類似した、また多様な理解について思索した。
 苦難の中にある世界に対する連携した応答の重要性を認め、双方は協力の可能性のある分野がさらにあるか探るため会合を継続することで合意した。
 WEA側の参加者は、ウィルフ・ガッセル副総幹事、ゴードン・ショウエル副総幹事ら6人、WCC側はジョルジュ・レモプーロス総幹事代行ほか6人。


◎バチカンと世界教会協議会が情報交換

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)諸宗教対話評議会当局者が世界教会協議会(WCC)代表と1月20日会談、今後の計画について情報交換を行った。
 会談後にバチカンが発表した声明では、「情報を交換し、様々な問題の検証のため共同イニシアティブへの展望を持ってこれまで数年にわたって協働してきた両組織間の将来の協力を検討する機会となった」としている。
 バチカンはWCCには加盟していないが、各プログラムには参加するなどオブザーバー的位置にある。


◎アジア再征服図る、と教皇訪問に露メディア

 【CJC=東京】スリランカとフィリピンの2か国を教皇フランシスコが訪問したことに、ロシアの電子メディア『ロシアの声』(日本語版)は、深刻な危機に陥ったカトリック教会としてはアジアに目を向けざると得ないのが、という見方をしている。
 教皇フランシスコは今回の訪問の半年前に韓国を訪れた。教皇の韓国訪問は25年ぶりだった。バチカン(ローマ教皇庁)はなぜ今、これほどアジアに関心を持っているのか?
 『ロシアの声』は、東洋学者で歴史家のウラジーミル・コロトフ氏が、欧州におけるカトリック教会の権威失墜が理由だとの考えを示して、次のような発言を紹介している。
 「欧州におけるカトリック教会は、深い危機に陥っている。西洋社会の完全なる道徳的水準の低下、キリスト教を含む宗教的聖人の愚弄などが見受けられる。バチカンはこれらの状況の中で、世界的発展の牽引役であり、巨大な人的および物質的ポテンシャルを有しているアジアへ関心を向けずにはいられないのだ」。ただ「カトリックはアジアで、植民地支配と一緒に進歩を遂げた。16世紀、征服者たちはカトリック教徒になることを拒否した人たちを全て殺害し、カトリックを受け入れた人々で傀儡政権の未来のメンバーを形成した。未だにアジアの外交力はカトリック教徒たちに頼っている。例えば、ベトナムの親米傀儡政権の全指導者がカトリック教徒だったのも、偶然ではない」という。
 ただ、バチカンにとって再びアジアを征服するのは容易なことではない、としてコロトフ氏は「カトリックは、大乗仏教が信仰されているアジア諸国でしか根付いていない。小乗仏教が広まった国では、カトリック導入の試みは成功しなかった」と指摘する。
 かつて、アジアにおけるカトリックの主な伝道者となったのは、修道会『イエズス会』だった。コロトフ氏は、欧州におけるバチカンの基盤が崩れ去ろうとしている今、バチカンは、大きな人的および経済的資源があるアジアへ、自分たちの使節団を派遣しているのだ、と見ている。


◎カトリックとルーテル派が「宗教改革500年」記念

 【CJC=東京】カトリック系Zenit通信の1月20日報道によると、ルーテル世界連盟(LWF)とカトリック教会の教皇庁キリスト教一致推進評議会は、「宗教改革」記念の前年2016年秋にエキュメニカル(教会一致を目指す)な行事を共催すると発表した。
 13年に発表されたカトリックとルーテル派の合同報告書『対立からコミュニオン(交わり)へ2017年のルーテルとカトリックの宗教改革共同記念』に示された主題の下で進められてきたこれまでの活動の継続として、また対話を通じて受けた共同の賜物を表すためとしている。特に17年が「宗教改革500年」であることを念頭においたという。17年は双方がエキュメニカルな対話を開始して50周年にもあたる。
 報告書「対立からコミュニオン(交わり)へ」は、国際的なレベルで宗教改革の歴史を双方が共に記述する最初の試みだった。報告書は、16世紀の宗教改革の際に問題となった神学上の諸問題を特定し、そのエキュメニカルな展開を追跡している。
 報告書は、全世界のカトリック、ルーテル教会双方に提示される式文資料の共同作成の基礎をなすものにもなる。
 「宗教改革を記念するLWFの原則の一つは、エキュメニカルな責務という精神において行うことである。そこでわたしたちは、17年に先立つ行事計画の検討を始めるため、カトリック教会と長期にわたる対話に基づいて方策を探求するこの機会を歓迎する。報告書はこの探求のためのよい基盤を提供してくれている」と、LWF総幹事マルティン・ユンゲ牧師は述べた。
 キリスト教一致推進評議会議長のクルト・コッホ枢機卿は「神の問題の中心性と、キリスト中心の探究に共に集中することで、双方は宗教改革のエキュメニカルな記念の可能性を持てよう。単に実際的な形だけではなく、ルターが再び光をあてた、十字架につけられ復活したキリストへの信仰の深い意味で、ルーテルとカトリックは宗教改革のエキュメニカルな記念をする可能性を持つ」と語った。


◎「蟻の町のマリア」の「英雄的徳行」認定

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)列聖省は1月23日、第二次大戦直後に東京・隅田川沿いの貧しい人々が暮らす地域で住民の救済に尽くし、28歳で死去した北原怜子さんに対し、生前の徳や殉教により聖性が認められた「福者」とするための「英雄的徳行」を認定したと発表した。
 北原さんは1929年に東京で生まれ、昭和女子薬学専門学校(現在の昭和薬科大)を卒業後、49年、カトリック信者となった。その後、孤児など貧困者救済に活躍していたコンベンツァル聖フランシスコ修道会のゼノ・ゼブロフスキー修道士と出会った。それを機に墨田区の自宅近くにあった廃品回収業者たちが居住する「蟻(アリ)の町」に住み込み、子供たちの教育などに献身、「蟻の町のマリア」と呼ばれた。58年死去。
 コンベンツァル修道会日本管区では、北原怜子さんを「福者」とするため、列福運動を進めてきた。


◎長崎県知事が教皇に年内訪問要請

 【CJC=東京】長崎県の欧州訪問団は1月20日、中村法道知事らがバチカン(ローマ教皇庁)を訪れ、ピエトロ・パロリン国務省長官(枢機卿)らと会談した。教皇フランシスコの長崎年内訪問を要請した知事に対し、バチカン側は「教皇に熱意を伝える」と約束した。
 長崎新聞によると、訪問団は長崎輝章・駐バチカン日本大使が同行。パロリン国務省長官をはじめ、世界遺産を所管するジャンフランコ・ラバージ文化評議会議長(枢機卿)、ポール・リチャード・ギャラガー外務局次官(大司教)、ジュゼッペ・ベルテッロ市国政庁長官(大司教)の4人と個別に面談した。知事は教皇訪問と、日本政府が正式推薦を決めた「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の世界文化遺産登録へ支援を求めた。
 2015年の教皇の国外訪問日程は固まっており、現時点で日本は含まれていない。だがパロリン長官は「今年は教会群の正式推薦が決まり、さらに信徒発見150年に被爆70年となれば多くの訪問要請があるだろう」と述べ、年内訪問の可能性も残っていると訪問団に伝えた。
 ラバーシ議長は、正式に教会群を推薦する意向を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に伝え、支援に向け担当者を置いたと明らかにした。「ユネスコは宗教性に批判的な場合がある。日本と西洋文化の16世紀からの対話をメーンに据えた方がよい」と助言したと長崎新聞は報じている。


◎安倍首相、エルサレムの旧市街を視察

 【CJC=東京】イスラエルを訪問している安倍晋三首相は1月19日、ユダヤ教、キリスト教、それにイスラム教の聖地があり、ユネスコの世界遺産にも登録されているエルサレムの旧市街を視察した。NHKなどが報じた。
 安倍首相は、昭恵夫人と共に旧市街を訪れ、まずイエス・キリストが十字架に架けられたとされるゴルゴダの丘に建てられた『聖墳墓教会』を訪れ、教会の内部にあるイエスが息を引き取ったとされる場所などを見て回った。
 このあと首相は、ユダヤ教の聖地でユダヤ教徒にとって大切な祈りの場になっている「嘆きの壁」も訪れ、みずから壁に触れるなどして説明を聞いた。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(1月25日)=https://www.cwjpn.com
★教皇=フィリピンを訪問=家庭守るよう呼び掛ける=台風被災者を現地で励ます
★阪神淡路大震災から20年=関連各所で 追悼と祈り
★「表現の自由 限度ある」=パリ新聞社襲撃事件で教皇
★信徒発見150周年=特使決まる
★広島教区=列聖目指しシンポ=「津和野殉教者」を知る

 =キリスト新聞(1月24日)=https://www.kirishin.com
★街場の〝祈り〟背負って=宗教者がDJ「8時だヨ! 神さま仏さま」の魅力
★秘密保護法施行で「牧師の会」が集会=ノンフィクション作家・田中伸尚氏が講演
★WCC総幹事も来日、講演=第4回9条世界宗教者会議で
★「信徒の友」50年で感謝礼拝=姜尚中氏「ミッションに忠実に」
★事業功労者に村岡崇光氏=聖書協会クリスマス礼拝で講演

 =クリスチャン新聞(1月25日)=https://jpnews.org
★日本宣教の夜明け信じ祈る=断食祈祷聖会2015
★安倍首相の伊勢神宮参拝に教界が抗議声明
★長崎の入管施設で牧師・司祭らが協力合同クリスマス礼拝=収容外国人と〝御名〟で集う教会
★3民族混成"天下の嘉農"の史実を映画化=製作・脚本のウェイ・ダーション氏に聞く
★西欧でキリスト者減少=各地で教会閉鎖相次ぐ


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