世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1256信(2015.02.16)

  • 英国国教会が農村部で10年内に消滅?
  • オランダ・カトリック教会で小教区大幅減も
  • 『イスラム国』がエジプト人キリスト者斬首映像公開
  • デンマークで「表現の自由」集会などに銃弾
  • ヨルダン軍パイロット焼殺前に大量の鎮静剤
  • 「米国人人質が死亡」、オバマ大統領が確認
  • 教皇が新枢機卿20人叙任式
  • イラン副大統領がバチカンで教皇と会談
  • 曽野綾子氏コラムを「アパルトヘイト賛美」と海外メディア
  • ビヨンセがグラミー賞授賞式で「プレシャス・ロード」歌う
  • 米最大のキリスト教書店が破産申請
  • イタリアの「歌手」修道女が日本デビュー
  • 《メディア展望》


◎英国国教会が農村部で10年内に消滅?

 【CJC=東京】英国国教会では会員の高齢化進んでおり、その死去に伴い、新会員を緊急に増加させない限り、同派の中核とも言える農村部の多くで10年以内に教会が消滅する可能性がある、との発言が総会で行われた。英紙テレグラフが2月10日報じた。
 この「警告」は、同派の近代化計画への高額投資に関する論議の際に行われた。カンタベリー大主教ジャスティン・ウエルビー氏が総会議員に、それぞれの信仰について率直に話すために「臆病、半信半疑、罪の意識」などをひとまず置くよう呼び掛けた。
 それに続いてジョン・スペンス財務委員長が、教会の常時出席者は毎年1%ずつ減少、また会員の3分の2は今や55歳以上だと語った。


◎オランダ・カトリック教会で小教区大幅減も

 【CJC=東京】オランダ・カトリック教会は、同国北部フローニンゲン=レーワルデン教区の80小教区(各個教会)を今後3年間で19に縮減する。バチカン(ローマ教皇庁)機関紙『ロッセルバトレ・ロマノ』が報じた。
 2008年に着座したゲラルド・デコルテ司教は、「新宣教戦略」を立てなければならず、小教区縮減を好機と捉える、と言う。
 「信仰共同体としての80個所は残る」と言うデコルテ司教。今後はプロテスタント教会と集会場所を共有したり、学校の講堂などで会合するとも語っている。


◎『イスラム国』がエジプト人キリスト者斬首映像公開

 【CJC=東京】イスラム過激派組織『イスラム国』は2月15日、リビアで拘束したエジプトのキリスト教『コプト正教会』の信者21人を斬首する場面を写したとする映像を、インターネット上で公開した。
 映像は、リビアのトリポリ県内で撮影したとされ、浜辺で黒装束の男らがオレンジ色の服を着て手錠をかけられた人質を斬首する場面が写っている。
 コプト正教会は声明で、斬首されたのはエジプト人コプト教徒であることを確認したと発表、犯人らには裁きが下ると「確信している」と述べた。
 AFP通信によると、映像は「血で署名された十字架の民へのメッセージ」と題され、最初の数秒間にスクロール表示される文章は、人質を「十字架の民、敵のエジプト教会の信者」と紹介している。


◎デンマークで「表現の自由」集会などに銃弾

 【CJC=東京】デンマークの首都コペンハーゲンで2月14日、「表現の自由」を語り合う集会会場のカフェ『クルットエンデン』に約30発の銃弾が撃ち込まれた。
 『クルットエンデン』はミニコンサートも開かれる文化施設。集会には、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を描いた隣国スウェーデンの画家ラーシュ・ビルクス氏(68)が参加していた。しかし容疑者は狙いを絞らず乱射、参加者の男性(55)が死亡、警戒中の警官3人が負傷。容疑者は奪った乗用車で逃走した。
 厳戒態勢の中で、『クルットエンデン』から約3キロ離れたシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)が襲撃された。容疑者がシナゴーグの外で警備中の若いユダヤ人男性と警官に発砲。男性を殺害し、警官2人を負傷させた。
 その後、容疑者は徒歩で逃走、中心部の駅近くで警察に職務質問を受けた際に突然発砲し、応戦した警察官に射殺された。
 襲撃は両事件とも単独犯と見られ、同一容疑者の犯行の可能性が大きい。
 ユダヤ教関連施設も狙う連続テロは、パリで起きた週刊紙シャルリーエブド本社襲撃に始まる一連の事件と共通している。コペンハーゲン警察は「同じシナリオを計画していた可能性もある」と見ている。
 仏週刊紙襲撃事件で犯行を認めた国際テロ組織アルカイダ系『アラビア半島のアルカイダ』(AQAP)は、2013年に攻撃対象リストを明らかにしていたが、それには、今回の事件で狙われたとみられる画家ラーシュ・ビルクス氏を含む画家や編集者の名前が並んでいる。


◎ヨルダン軍パイロット焼殺前に大量の鎮静剤

 【CJC=東京】カタールのアルジャジーラ通信によると、イスラム過激派組織『イスラム国』は、ヨルダン空軍のパイロット、ムアーズ・カサースベ中尉(26)を焼殺した動画をインターネット上に公開した。
 『イスラム国』は、ヨルダン政府との交渉が決裂した後、同中尉をを生きたまま檻の中で焼殺したと表明した。サウジアラビアのメディアは、同中尉は殺害される前に大量の鎮静剤を投与されたと報じている。
 サウジアラビアのニュースサイト「burnews.com」によると、「イスラム国」メンバーは、殺害前にカサースベ中尉に大量の鎮静剤を飲ませたことを認めている。殺害される際、本人に何が起きているのか悟らせず、わめき散らすことがないようにした。感覚器官もすぐに焼き尽くされたため、本人は痛みを感じていないという。
 同中尉が殺害される際、怖がっている様子がなかったのも、鎮静剤が効いていたためと見られる。


◎「米国人人質が死亡」、オバマ大統領が確認

 【CJC=東京】イラクとシリアで活動するイスラム過激派組織『イスラム国』は2月6日、ヨルダン軍のシリア北部ラッカ郊外での空爆によって、が拘束していた「米国人女性が死亡した」と主張する声明をインターネット上で発表した。
 英メディアBBCなどによると、『イスラム国』は声明で「6日正午過ぎからヨルダン軍の空爆を受け、人質の米国人女性が死亡した。『聖戦士』にけがはなかった」と主張した。
 声明は、女性が「アリゾナ州出身のケイラ・ミュラーさん」だとしており、住所や電話番号、メールアドレスも公開した。
 バラク・オバマ米大統領は10日、『イスラム国』が拘束していた米国人女性人質、ケイラ・ミュラーさん(26)が死亡した、と発表した。死亡の時期や原因には触れていない。
 ミュラーさんが2013年8月にシリア北部アレッポに入った後、行方不明になっていた。オバマ大統領は声明で、ミュラーさんが誘拐前、シリア難民の支援を行っていたことなどを説明、その人道的活動を「憎しみに満ちた恐るべきテログループの行動の対極にある」とたたえた。


◎教皇が新枢機卿20人叙任式

 【CJC=東京】教皇フランシスコは2月14日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂で新枢機卿20人の叙任式を行った。
 フランシスコ教皇による枢機卿任命は2013年3月に就任して以来2回目。
 教皇は、枢機卿の責務について「名誉職のようなお飾りではない」と強調、「いかなる不正も容認しないように、強い正義感を持つ必要がある」と述べた。
 東南アジアのミャンマー、南太平洋の島国トンガ、大西洋の島国カボベルデから初めて枢機卿が誕生、「貧者のための教会」を掲げる教皇の途上国重視の姿勢が浮き彫りになった。北米からの任命はなかった。 新枢機卿20人のうち教皇選挙会議(コンクラーベ)に参加できる80歳未満は15人。内訳はアジア・オセアニア5人、欧州5人、中南米3人、アフリカ2人。9人が途上国の出身者。
 今回の叙任により、枢機卿は計227人、うち80歳未満は125人となった。
 125人中、欧州は57人と半数を割り込み、中南米(18人)、北米(18人)、アジア・オセアニア(17人)、アフリカ(15人)の非欧州勢が多数派となった。
 教皇はバチカンの組織改革を進めているが、内部に抵抗がある。世界各地の教区で司教を務めている枢機卿の協力が必要とされ、今回の枢機卿の人選が、改革の行方に影響を与えると見られる。


◎イラン副大統領がバチカンで教皇と会談

 【CJC=東京】イランのモウラーヴェルディ・家族女性問題担当副大統領が2月12日、バチカン(ローマ教皇庁)で教皇フランシスコと会談し、二国間、多国間の関係や国際問題などについて話し合った。『IRNA通信』によるとしてイラン・ラジオ(日本語電子版)が報じた。
 副大統領は、会談後の記者会見で、暴力や過激派を非難する教皇フランシスコの立場を支持した。また、イランの核活動と、双方の利益が維持される形での最終合意に関する教皇の強調に触れ、「教皇は、協議の継続を支持し、核問題の解決に制裁や理不尽な要求を用いることを否定した」と語った。
 さらに、教皇は、女性を生産と愛情の象徴として捉えているとし、「世界の管理には、女性や母親の目線が必要であり、多くの情勢不安や精神的な問題は皆、世界にそのような捉え方が存在しないことによるものだ」と述べた。


◎曽野綾子氏コラムを「アパルトヘイト賛美」と海外メディア

 【CJC=東京】作家の曽野綾子氏が「日本でも移民を受け入れた上で、居住区を分けた方がいい」と2月11日付の産経新聞コラムで主張した件について、ロイター通信や『ウォール・ストリート・ジャーナル』など海外メディアが批判的に報じた、とネットメディア『ハフィントン・ポスト』が紹介している。
 曽野氏がコラムでアパルトヘイト(人種隔離政策)を実施していた南アフリカに触れ、日本も移民を受け入れ、人種ごと居住区を分けたほうが良い、と主張したことについて、ロイター通信は「政府のブレーン、アパルトヘイトを賛美し、首相に恥をかかせる」との見出しで報じ、政治評論家の感想として、「日本にダメージを与える発言。(オリンピックを控えた)東京は海外からのイメージダウンを避けようと必死になるだろう」と報じたとしている。
 『ウォール・ストリート・ジャーナル』はブログで、「もし記事に誤りがあるなら、私はそれを正します。私も人間ですから、過ちを犯します。しかしこの記事について、誤りがあるとは私は思いません」という曽野さんのコメントを掲載した、と報じている。
 さらに『ハフィントン・ポスト』は、刺激的な論説で知られるアメリカのウェブメディア『デイリービースト』が、「新聞コラムニストが日本にアパルトヘイトを望む」という見出しで、曽野さんが安倍晋三首相の教育再生実行会議に加わっていた、いわば首相のブレーンだったことを詳細に記述し、取材に対し「曽野綾子さんのコラムはいつも掲載している連載もの。多様な意見があるべき、と考えるのは自然」と産経新聞がコメントした、と報じている。


◎ビヨンセがグラミー賞授賞式で「プレシャス・ロード」歌う

 【CJC=東京】世界最高の音楽賞ともされるグラミー賞、2015年の最優秀R&Bパフォーマンス賞などを受賞したビヨンセが授賞式で、ゴスペルソング「プレシャス・ロード」を歌った。
 「プレシャス・ロード」は、1965年にマーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師などが先導した公民権運動の行進を描き、今年のアカデミー賞作品賞にノミネートされている映画「セルマ」の中で、レデシーが歌っている。
 その「プレシャス・ロード」をビヨンセがグラミー賞授賞式で歌う理由を、グラミー賞から一夜明けた2月9日に、自身のオフィシャルウェブサイトとユーチューブに掲出した動画で明かしている。
 米ネットメディア『ハフィントン・ポスト』によると、動画には、彼女のグラミー賞のパフォーマンスのリハーサル映像と、彼女のバックシンガーたちが人種的な不平等についての思いを語る様子がうつっている。
 そしてビヨンセ自身も幼い頃に母親のティナさんがマヘリア・ジャクソンによるオリジナルバージョンをよく聴いていた、と振り返り、この曲を歌ったのは、父親であり元マネージャーでもあるマシューをはじめとするアフリカ系アメリカ人男性たちに敬意を表したかったからだと明かしている。
 「この世で生き、闘い、涙を流し、そして光と情熱をうちに秘める、そんな本物の男性たちを表現したかったんです」と、ビヨンセは動画のなかで語っている。「アフリカ系アメリカ人男性たちの強さと弱さを表現するいい機会ではないかと思いました」と言う。


◎米最大のキリスト教書店が破産申請

 【CJC=東京】米最大のキリスト教書店『ファミリー・クリスチャン・ストアーズ』(FCS=本社ミシガン州グランドラピッズ)が連邦倒産法第11章による倒産処理手続を申請したことが2月11日明らかになった。日本の民事再生法に相当するもので、250以上の書店閉鎖や4000人近くいる従業員の解雇は避ける、と言う。
 チャック・ベンゴチー会長兼CEOは「再建方法を慎重に、祈りをもって検討した。今回の申請は、顧客、関係者、販売員などへ奉仕するため、事業を継続させようとするもの」と声明で述べている。


◎イタリアの「歌手」修道女が日本デビュー

 【CJC=東京】イタリア放送協会(RAI)のオーディション番組『イタリアの声』で2014年6月優勝し、ユニバーサルミュージックと契約したクリスティーナ・スクッチャ修道女(26)が3月に日本デビューすることが2月10日、分かった。
 クリスティーナ修道女はローマ教皇の「外に出て神の御言葉を広めなさい」という教えや、修道院長の勧めもあり、オーディション番組に出演、アリシア・キーズの「No One」を披露、優勝した。
 クリスティーナさんは、「ウルスラ修道女会」会員。栄冠を勝ち取るとすぐに神への感謝の言葉を口にし、控えめな口調で「イエスにここに来て欲しい!わたしがここにいることは、私自身ではなく、天上にいるあのお方のおかげです」と喜びを語っていた。
 『スポーツ報知』紙によると、3月11日に日本で発売するデビューアルバム「Sister Cristina」には、坂本九さんの名曲「上を向いて歩こう」のカバーが収録される。昨年11月発売の欧州盤は大ヒット。同修道女からCDを手渡された教皇フランシスコも喜んでいたという。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(2月15日)=https://www.cwjpn.com
★記念ミサに約2千人が参列=高山右近 帰天400年=来賓にフィリピンのタグレ枢機卿=神戸
★教皇=ウクライナの平和訴える=「キリスト者同士の戦争はつまずき」
★教皇=ロメロ大司教の殉教を認定
★新たな取り組み報告=東北被災地の支援者集まる=仙台・元寺小路教会
★歴代教皇が集めた傑作=最新の技術で立体撮影=映画=『ヴァチカン美術館4K3D天国への入口』

 =キリスト新聞(2月14日)=https://www.kirishin.com
★寄稿=フランスの政教分離(ライシテ)における「冒涜」の意味=竹下節子(比較文化史家)
★「すべての災害は『不自然』」と強調=ヘイフマン教授、津波・福島災害を考察
★武力によらない事態の打開を=後藤健二さん殺害受け、集会や声明
★西欧全域でキリスト者減少=各地で教会閉鎖相次ぐ
★キューバで革命以来初のカトリック教会建設へ

 =クリスチャン新聞(2月15日)=https://jpnews.org
★湯川遥菜、後藤健二さん殺害=犠牲を無駄にしないで=テロ、戦争の脅威が迫る
★治安維持法で獄死=詩人・尹東柱没後70年=福岡、京都、東京で遺稿を巡回展示=親族や詩人・高銀が来日講演
★「荒れ野の40年」演説の元独大統領=ヴァイツゼッカー氏死去=罪の歴史の「想起」と和解を実践
★WEA・WCC協働領域探る=苦難の世界へ連携し応答
★カトリックとルーテル派共同で「宗教改革500年」行事=16年秋に


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