世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1258信(2015.03.02)

  • シリア北東部で『イスラム国』がキリスト者拉致
  • 教皇が『イスラム国』のキリスト者迫害を非難
  • 教皇が私信で麻薬密売増加を「メキシコ化」と表現
  • メルケル独首相がバチカン訪問、教皇と会見
  • 過激派シオニストがキリスト教会に放火
  • 独ケルン大聖堂の価値はなんと3600円
  • 無神論者がスペイン語聖書アプリで年1200万円売り上げる
  • 少女に性的暴行加えたフィリピンの牧師逮捕
  • 庭野平和賞に反『ボコ・ハラム』活動家
  • 《メディア展望》


◎シリア北東部で『イスラム国』がキリスト者拉致

 【CJC=東京】シリア北東部ハサカ州のハブール川流域の村で2月下旬、過激派集団『イスラム国』がアッシリア系キリスト者220人以上を拉致した。『イスラム国』が3月1日、拉致したキリスト者のうち少なくとも19人を解放したことが確認された。ただ未解放の人たちをめぐる不安はなお解消されていない。
 英国に本部を置くシリア人権監視団体は2月26日、「『イスラム国』は3日間、シリア北東部の地域を攻撃し、クルド人戦士と衝突し、ハサカ市近郊のキリスト者の住む10の村を制圧したあと、220人のアッシリア人を拉致した」と発表した。さらに、「23日、ハサカ州タル・シャミラム村で、90人のアッシリア系キリスト者が拉致された」と報告している。
 アッシリア民主組織のバシル・サエディ氏は、男性16人と女性3人が3月1日、ハサカ市の聖母マリア教会に無事戻ってきたと述べた。同氏によると、19人は全員タルゴラン村出身。
 サエディ氏は、19人の年齢が50歳ぐらいかそれより上で、解放には年齢が関係した可能性があるとしている。アッシリア人権ネットワークは、19人は非イスラム教徒に課される税金を払ったあと、シャリア(イスラム法典)裁判所の命令によって解放されたと伝えている。金額は不明。


◎教皇が『イスラム国』のキリスト者迫害を非難

 【CJC=東京】教皇フランシスコは3月1日、シリアやイラクで過激派組織『イスラム国』によりキリスト者らが迫害を受けていることについて「容認できないほどの残忍さ」と強く非難した。AFP=時事通信などが報じた。
 教皇はバチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で行われた祈りの後、「(残虐行為が)早急に終わることを一心に願う」と述べた。


◎教皇が私信で麻薬密売増加を「メキシコ化」と表現

 【CJC=東京】米メディアCNNによると、教皇フランシスコが私信のなかで用いた表現がメキシコ政府の反発を買い、バチカン(ローマ教皇庁)が釈明に追われる出来事があった。
 発端は、教皇が友人に送った個人的な電子メール。このなかで、教皇は母国アルゼンチンで麻薬密売が増えていることを「メキシコ化」という表現を使って嘆いた。
 教皇は「『メキシコ化』を回避する時間がまだ残っていればいいのだが。メキシコ人司教たちから話を聞いたが、ひどい状況だ」と書いたと伝えられている。
 これを受けてメキシコのミード外相は「教皇の私信に関して伝えられている発言について、悲しみと懸念を表明したい」と述べ、抗議文を送る意向を表明した。
 バチカン高官は2月25日、フランシスコ教皇が「メキシコ化」の表現を使ったことを認めるとともに、「メキシコの人々に不快感を与えたり、麻薬密売との戦いにおけるメキシコ政府の対応を過小評価したりする意図はなかった」と述べた。


◎メルケル独首相がバチカン訪問、教皇と会見

 【CJC=東京】ドイツのアンゲラ・メルケル首相が2月21日、バチカン(ローマ教皇庁)を訪問、教皇フランシスコと会見した。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、会談では、今年6月ドイツ・バイエルン州で行なわれるG7サミットに言及。同サミットで扱う国際的テーマの中でも特に貧困と飢餓との闘い、人間の搾取と女性の権利、環境保全などの問題が取り上げられた。
 また、世界のいくつかの地域における人権と宗教の自由をめぐる問題、社会のまとまりを育むための精神価値の重要性などにも話題が及んだ。最後に、ヨーロッパ情勢について意見を交換、特にウクライナ紛争に対する平和的解決への努力が強調された。
 メルケル首相は、教皇との会見後、バチカン国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿および外務局長リチャード・ギャラガー大司教とも会談した。


◎過激派シオニストがキリスト教会に放火

 【CJC=東京】イスラエル国家・文化の再建を図る「シオニズム」運動の中の過激派(シオニスト)集団が、パレスチナ・ヨルダン川西岸のベツレヘム近郊で2月25日、モスクに放火したが、翌26日にはベイトルモガッダス・エルサレムにあるキリスト教会に放火した。パレスチナの『ヴァファー通信』が報じた。
 過激派集団は、教会の壁に反キリスト教的なスローガンや、イエス・キリスト、預言者ムハンマドを侮辱する文句を書いたという。
 ベツレヘム近郊にあるモスクに放火した際にも、モスクの壁にアラブ人やイスラム教徒に対する差別的な言葉を書いている。


◎独ケルン大聖堂の価値はなんと3600円

 【CJC=東京】ドイツ西部ケルンとその周辺のカトリック教会を統括するケルン大司教区の総資産が、2013年末時点で33億5000万ユーロ(約4500億円)に上り、帳簿上はバチカン(ローマ教皇庁)を上回ることが分かった。時事通信が報じた。世界遺産のケルン大聖堂は売却不可能なため、象徴的な価値として「27ユーロ(約3600円)」と算定している。
 教会財務の不透明性への批判を受け、同教区が初めて収支を公開したもので、内訳を見ると、世界のカトリック教会の中でも有数と言われる、同教区の裕福さが裏付けられた。
 総資産のうち約7割が有価証券で、2割弱は教会や学校、商業用施設などの不動産。ケルン大聖堂は立地する26区画と大聖堂自体に、それぞれ1ユーロの価値をつけたという。
 収入は教会税を中心に8億ユーロ超。人件費や慈善活動、教育などに支出をした結果、残った黒字額は5900万ユーロだった。


◎無神論者がスペイン語聖書アプリで年1200万円売り上げる

 【CJC=東京】かつてはモルモン教徒、今は無神論者だという米国のトレバー・マッケンドリックさんが、家賃支払いの足しにでもなれば、とスペイン語聖書をiPhoneで読むアプリを作成、売り出したところ、今では年間10万ドル(約1200万円)以上の収入を得ていると『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』が報じた。
 マッケンドリックさんが大喜びしているか、というと、自分が本当と信じていない聖書を販売していることにジレンマを感じているようだ。
 それはそれとして、スペイン語の聖書が、たとえ質は悪くても、とても多くの売り上げを上げていることに着目したマッケンドリックさん、他よりも髙品質なアプリを作ることで、スペイン語聖書の市場が明るいことが分かった。聖書本文をネットで見るだけでなく、音声版も発表したら、これが大当たり。制作費も素材が聖書なだけに安上がりな所にメディアの関心を集めたと見られる。

(写真参考=iPhoneで見るスペイン語聖書。https://www.ibtimes.com/atheist-sells-bible-app-iphone-grosses-100000-year-1805602/)


◎少女に性的暴行加えたフィリピンの牧師逮捕

 【CJC=東京】マニラの大衆紙テンポが2月26日、ミンダナオ地方サンボアンガのプロテスタント系教会で、10歳の少女に性的暴行を加えた疑いで男性牧師が逮捕された、と報じた。
 邦字紙マニラ新聞によると、少女は牧師に性的暴行を受けたと姉に告白、牧師から少女に誘いの連絡が再び入ったため、警察が教会でおとり捜査を実施し、牧師を逮捕した。


◎庭野平和賞に反『ボコ・ハラム』活動家

 【CJC=東京】第32回庭野平和賞を『障壁なき女性たちのイニシアティブ』会長でペンテコステ派のエスター・アビミク・イバンガ牧師に贈る、と同財団が2月28日発表した。賞金2千万円。
 授賞理由は「様々な宗教・民族グループの間に平和を打ち立てるよう活発に活動」し、『ボコ・ハラム』による女性誘拐を非難したこと。
 同牧師はナイジェリアでキリスト者の家庭に生まれた。大学で経営学を学んだ後、ナイジェリア中央銀行に勤務。1995年に『ジョス国際キリスト教伝道所』を設立、主席牧師に就任。2010年に『障壁なき女性たちのイニシアティブ』を創設、同団体の会長として、ナイジェリア国内を中心に、平和構築のための女性の訓練や社会的弱者の権利擁護、国内避難民や貧困者への援助、紛争状態にあるコミュニティ間の対話・調停活動などで活躍している。
 贈呈式は5月14日、東京で行われる。

(写真参考=イバンガ牧師。https://www.npf.or.jp/)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(3月1日)=https://www.cwjpn.com
★教皇、新枢機卿を親任=「奉仕に心開く教会に」
★教皇フランシスコ=エジプト人犠牲者のため祈る=キリスト者という理由で殺害
★長崎・国宝 大浦天主堂=献堂150年祝う
★日本の信徒発見の聖母=典礼式文を中央協公開
★大航海時代の日欧文化交流史=無料のオンライン講座=上智大学が3月末から

 =キリスト新聞(2月28日)=https://www.kirishin.com
★映画「ヴァチカン美術館天国への入口」公開=ワイン片手にキリスト論
★憲法9条の素晴らしさを世界へ=ノーベル平和賞受賞目指してシンポ
★〝社会の同調圧力になびかないで〟=石浜みかる氏が2・11集会で講演
★旧約聖書学「彷徨」これからも=東京女子大・守屋彰夫氏が最終講義
★「イスラム国」がエジプト人キリスト者斬首

 =クリスチャン新聞(3月1日)=https://jpnews.org
★各地で「2・11信教の自由を覚える集い」=私たちの問題意識のルーツ問う=崔善愛さん
★今年こそノーベル平和賞!=「憲法9条」実行委 衆議院議員会館でシンポ
★オセアニア在住日本人を愛する集会=旅行者減でも人集まる=ニュージーランド・渋沢憲一さん
★JEA社会委員会が声明=自衛隊海外派兵口実に邦人人質殺害事件を用いないで
★正田真次氏が急逝=元KGK主事、学座・とうごまの葉の下代表


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