世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1259信(2015.03.09)

  • 「世界人口の77%は宗教抑圧の下で生活」調査
  • 北朝鮮入国の韓国系カナダ人牧師が消息不明
  • 「違法」司教の台湾訪問が懸念招くとUCAN通信
  • 「お年寄りへの感謝・尊重・理解を」と教皇
  • 教皇が「国際女性の日」で祈り、創造力を賛美
  • イタリアがバチカン銀行と顧客情報を交換も
  • 『イスラム国』がシリアのキリスト者攻撃
  • 『イスラム国』が6歳の幼女も釈放
  • 北朝鮮がエボラ出血熱による隔離措置解除
  • 「統一協会」合同結婚式へ日本から約800人参加
  • ユネスコが世界遺産「長崎の教会群」推薦書受理
  • 《メディア展望》


◎「世界人口の77%は宗教抑圧の下で生活」調査

 【CJC=東京】宗教や公共問題に関する人々の意識を調査する『ピュー・リサーチ・センター』(本部・米ワシントン)が発表した報告書によると、2014年から15年にかけて、世界総人口の77%が宗教を「高度、極度」に抑圧される中で生活している。前回2007年の調査では68%だった。
 報告書はまた、調査した198国の中で102国ではキリスト者が政府や社会集団のいずれか、または双方から攻撃されていることを明らかにした。


◎北朝鮮入国の韓国系カナダ人牧師が消息不明

 【CJC=東京】カナダのトロント西郊ミシサガにある韓国系プロテスタント教会『ライト・コリアン長老派教会』のヒョン・スー・リム主任牧師(60)が人道活動のために1月末に北朝鮮に入った後、連絡が取れなくなっている。トロント・スター紙(電子版)が3月1日報じた。
 リム牧師は1月31日に中国経由で北朝鮮に入国。中国にいる教会関係者にその日に連絡を入れたのを最後に消息が途絶えた。牧師は2月4日に北朝鮮を出国する予定だった。
 同教会のライザ・パク広報担当は、エボラ出血熱阻止のため3週間の観察期間を定めている北朝鮮の検疫政策によるものではないか、と見ている。ただ牧師は北朝鮮に100回以上、人道目的と宣教のため入国しており、「予定より遅れることもあったが、これほど長期にわたることはなかった」と言う。
 カナダ政府が対応しており、パク広報担当は情報が不足している中でヒステリックにならないよう、呼び掛けている。。
 ただトロント・スター紙の報道を、韓国の聯合通信が伝え、それを掲載したソウルの英字紙『コリア・タイムズ』など、牧師が北朝鮮当局に拘束されているのではないか、と見る向きも出ている。


◎「違法」司教の台湾訪問が懸念招くとUCAN通信

 【CJC=東京】中国政府がバチカン(ローマ教皇庁)の承認なしに叙階した「違法」司教の1人が、この春節(中国の正月)の間に台北を訪問したことに、台湾カトリック教会が困惑している。バチカンが、中国政府の一方的な叙階を認める用意が出来ているのでは、との推測に火が着いたとするアジア専門のカトリック通信『UCAN』の報道を紹介する。
 台湾を訪問した中国北部・安徽教区のヨセフ劉新紅(リュウ・シンホン)司教は、2006年5月にバチカンの承認なしに叙階された。劉司教は4日間の訪問を2月26日に終えたが、台湾訪問中に現地の内外宣教者と会談している。
 同司教は台北市に隣接する新北市の神学校『聖博敏神学院』に滞在した。同神学校には中国本土の司祭、修道女、神学生多数が学んでいる。
 しかし台湾の信徒は劉司教が、バチカン非認可の中国本土司教8人の1人だとは気づいておらず、台北のヨハネ洪山川(ホン・シャンチュアン)大司教はUCAN通信に、訪問について事前には知らされなかったと語っている。
 訪問は、劉司教がイエズス会のマルコ・ファン神父と、外国人神父や台湾人神父も一緒に食事している光景を、ある女性信徒がフェイスブックに投稿したことで、初めて明らかになった。「訪問をフェイスブックの写真で初めて知った」と洪大司教は語っている。
 劉司教は、台湾滞在中、他の聖職者とミサを公式に共同司式することはなかった、と語っている。ただ私的にミサを司式した、とUCAN通信に語っており、これはバチカンの怒りを買う可能性がある。
 「私は病床にある司祭を訪問したのだ」と劉司教は安徽教区に戻ってから語っている。
 ファン神父は、本土の神学校で劉司教を教えたことがある。ただ自分が劉司教を招請したのかについては言明を避けている。
 「違法」中国人司教と海外の教会関係者との会合は、激しい論議を呼ぶものと考えられる。北京政府による一方的任命の正当化と見られ、バチカンの権威を危うくすることになるからだ。
 昨年4月、昆明教区のヨセフ馬英林(マ・インリン)「違法」司教が、中国政府が手配した宗教代表団の一員として台湾を訪問している。しかし同司教は台湾南部の寺院で仏教僧侶と会見しただけだった。
 劉司教の訪問は、共産党が1949年に中国で政権を獲得して以来初めて相互関係を確実なものにすることを目指して昨年に協議が再開され、バチカンと「北京」の間の改善はされたがなお微妙な関係の時期に行われた。
 「劉司教は安易に台湾を訪問出来たわけではない。何か背後にあるに違いない」と中国の教会観測筋は、問題の微妙さを理由に、匿名で語った。「ローマ(バチカン)は、『違法』司教8人という重要問題を、中国政府への応答として解決しようとしているのかもしれない」
 公式にはバチカンは、重要課題である司教任命権を「北京」(中国政府)が諦めるべきであり、また信教の自由に関するこれまでの政策改善を要求するという立場を維持している。
 しかしここへ来て、バチカン内部の状況が変わり、最近の窮状脱出の方法として叙階について妥協することにしたとの推測が盛り上がっている。
 バチカンの公式通信『フィデス』のジアンニ・ヴァレンテ記者が複数の本土司教と行ったインタビューは、香港のヨセフ・陳枢機卿など北京に対し柔軟姿勢を取ることに反対する関係者からの批判を呼んでいる。
 教会観測筋は「中国・バチカン関係をめぐってローマと中国の外側の教会との間に異なる二つの路線が出てきたことは明らかだ」と語っている。


◎「お年寄りへの感謝・尊重・理解を」と教皇

 【CJC=東京】教皇フランシスコは3月4日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で行われた水曜日恒例の一般接見の際、1万2000人の信者を前に「医学の発達により人間の寿命は延びたが、寿命に対して社会が広がってくれない」と述べ、高齢者が増加する一方で、尊重と理解をもってお年寄りを受け入れる態勢が社会において十分でないと指摘した。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。
 教皇は、若いうちは歳をとることを考えなくてすむが、実際に老人になった時、特に経済的問題や病気、孤独を抱えている場合に、高齢者を無視する、効率優先にできた社会の欠陥を知ることになると語った。
 教皇はブエノスアイレスの大司教時代、老人たちの限界は自分たちの限界でもあるということを理解し受け入れることができず、若い人だけを必要とする社会のエゴイズムのために打ち捨てられた多くの高齢者たちの現実に触れたと、疎外され孤独に生きる老人たちのエピソードを想起した。
 教会の伝統は、「叡智の宝庫」である高齢者に常に愛情と連帯をもって寄添うことを教えてきたと教皇は強調した。
 AFP通信によると、教皇は「高齢者の切り捨ては大罪だ」と言明、「お年寄りはエイリアンではない。私たちも間もなく、あるいはいずれ、必ず年をとる。つい、そのことを考えないようにしがちだが」と語った。


◎教皇が「国際女性の日」で祈り、創造力を賛美

 【CJC=東京】教皇フランシスコは「国際女性の日」の3月8日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で行った日曜の祈りの際、「私たちの生活の中で、女性の存在がどれほど重要かを再確認する機会だ。女性が軽んじられている世界は貧弱な不毛の地だ」と語り、女性の創造力を賛美した。共同通信が報じた。
 教皇は「女性は生命を生み出すだけでなく、創造力や忍耐、優しさを持って感じ、異なる視点で世界を見る力を授けてくれる」とたたえた。


◎イタリアがバチカン銀行と顧客情報を交換も

 【CJC=東京】イタリア政府はバチカン(ローマ教皇庁)の財政管理組織『宗教事業協会』(バチカン銀行)との間で、それぞれの顧客の情報交換を柱とする協定の合意に向け協議している、と主要紙『レプブリカ』などが3月7日報じた。相互に運営の透明性を高め、脱税対策を強化する狙いがあると見られる。
 バチカンのフェデリコ・ロンバルディ報道事務所長は「透明性を目指すため双方で話し合いをしている」と述べるにとどめ、協議の進捗状況には触れなかった。
 バチカン銀行はマネーロンダリング(資金洗浄)などの疑惑が絶えず、教皇フランシスコは改革に乗り出し、財政内容の公開などを進めている。


◎『イスラム国』がシリアのキリスト者攻撃

 【CJC=東京】シリア北東部ハサカ県のアッシリア人キリスト者が多数居住する町を、過激派集団『イスラム国』が3月7日早朝、襲撃した。
 『イスラム国』が2月28日、一帯を襲撃、教会堂を破壊し、キリスト者250人を拉致してから1週間後に当たる。米国の支援を受けたクルド人兵士にキリスト者も参加、『イスラム国』との間に激戦が交わされた。
 現地はハサカ県を縦断するハブール川沿いにあり、『イスラム国』にとってはイラクとシリアの勢力圏を結ぶ重要地点だが、多数派のキリスト者と少数派クルド族の双方とも『イスラム国』としては敵対視している。
 今回の交戦はハブール川の渡河点とされるトール・タマーで行われた。『イスラム国』の狙いは、昨年6月から支配下においたイラク第二の都市モスルとシリアの拠点との連係強化にあると見られる。
 イラク軍も米国の援助の下、モスル奪還を計画しており、現地のキリスト者は戦闘激化を控え、脱出するか、クルド族と協力して戦闘に参加するか選択を迫られている。


◎『イスラム国』が6歳の幼女も釈放

 【CJC=東京】シリア北東部ハサカ州のハブール川流域の村で2月下旬、過激派集団『イスラム国』がアッシリア系キリスト者220人以上を拉致、『イスラム国』は3月1日、拉致したキリスト者のうち少なくとも19人を解放したが、3日になってテル・ゴラン村に住んでいた幼女マリアナ・ミルザちゃん(6)も釈放した。マリアナちゃんの両親は1日に釈放されていたが、それは母親が妊娠していたことが判明したためと見られる。
 今回テル・シャミラム村のヤトゥロウン・マルコ氏とワルディヤ・ヨナン夫人も同時に釈放された。3人はハサカ市の聖マリア教会に保護されている。『AINA』(アッシリア国際通信)が報じた。


◎北朝鮮がエボラ出血熱による隔離措置解除

 【CJC=東京】北朝鮮が、エボラ出血熱対策の入国制限を解除したことがわかった。日本のテレビニュース『NNN』の取材に、北朝鮮の航空会社『高麗航空』は3月3日、「エボラ出血熱による外国人の隔離措置が解除された」と明らかにした。同航空はこれにより、週3日に減便していた平壌と中国・北京を結ぶ便を4月から7月にかけ、週5日に戻すという。
 また読売新聞報道によると、中国国営『新華社通信』も、北朝鮮当局が3日、エボラ出血熱対策として昨年10月から続けていた入国者の隔離措置を解除したと伝えた。北朝鮮は約4か月にわたり、自国民を含む全ての入国者を3週間隔離するなど、出入国を厳しく制限していた。
 アフリカの一部地域からの入国者に対する隔離措置は続けられるが、中朝関係者などによると、停止されている観光や商用ビザ発給は近く再開される見通し。
 北朝鮮当局は隔離措置の解除について、北朝鮮駐在の各国大使館などに通知したとも伝えられる。


◎「統一協会」合同結婚式へ日本から約800人参加

 【CJC=東京】宗教団体『統一神霊教会』(統一協会)の合同結婚式が韓国ソウル近郊の加平(カピョン)で行われ、80を超える国から、3800組のカップルが参加した。
 白いウエディングドレスやタキシードに身を包んだ男女が、会場を埋め尽くした。
 式には、日本からも、約800人の新婚の参加者がいたという。
 「統一協会」は、日本では、霊感商法の被害を訴える裁判が相次ぎ、合同結婚式が一時、社会問題化したこともある。


◎ユネスコが世界遺産「長崎の教会群」推薦書受理

 【CJC=東京】『国連教育・科学・文化機関』(ユネスコ)は3月3日、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の世界文化遺産への推薦書を、正式に受理したことを明らかにした。読売新聞が報じた。
 日本政府が1月下旬に提出した推薦書の要件や記載事項などに不備がない点を確認した。今後は、ユネスコの諮問機関『国際記念物遺跡会議』(イコモス)による本格調査が始まり、2016年に遺産登録の是非をユネスコの世界遺産委員会に勧告する予定という。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(3月8日)=https://www.cwjpn.com
★臨時司教総会=戦後70年メッセージ発表
★使徒的書簡 中央協から発行=『奉献生活の年にあたって すべての奉献生活者の皆さんへ』
★「福島」問題の中で奮闘=児童養護施設「堀川愛生園」=職員住み込み、補充難しく=東日本大震災から4年=子どもたちに寄り添う
★ウクライナの教会指導者=教皇に訪問を願う
★難民に厳しい冬=シリア人、高原でテント生活=レバノン

 =キリスト新聞(3月7日)=https://www.kirishin.com
★「建学の精神」活かすには?=キリスト教・仏教・神道の大学が実践紹介
★〝支援と宣教は分けられない〟=東日本大震災から4年を前にシンポ
★「特定秘密」以外の動向にも注視必要=2・11集会で井堀哲弁護士が講演
★〝平和への聞き乗り越え、和解を〟=政治学者・中野晃一氏が講演
★ロンドンで宗教者が「共存巡礼」

 =クリスチャン新聞(3月8日)=https://jpnews.org
★詩人・尹東柱が夢見た世界=没後70年 評伝著者宋友恵氏講演=各地で遺稿・遺品巡回展
★「イスラム国」シリアでキリスト教徒90人拉致
★子どもの貧困、虐待...石井十次の働きを現代に=〝自己責任〟こえ〝寄り添い〟=岡山・YMCAせとうち「社会的養育を学ぶ連続学習会」
★7つの確信で自信と平和の人生を=キム・サンボク先生出版記念 来日講演
★石巻・登米・南三陸・気仙沼合同で=東日本大震災4周年追悼記念集会


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