世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1261信(2015.03.23)

  • 巨大サイクロン被害のバヌアツに救援難航
  • 米長老教会が同性婚を受容
  • 教会経営はビジネス専門家が適任か
  • 原発は「バベルの塔」と教皇懸念
  • 教皇が9月25日に国連総会で演説
  • 教皇専用車にピザの「宅配」!
  • 『イスラム国』が外国人医療従事者20人拉致
  • 《メディア展望》


◎巨大サイクロン被害のバヌアツに救援難航

 【CJC=東京】マグニチュード6・7の地震から半月、3月13日から14日に掛けて南太平洋の83の島々で構成されるバヌアツを巨大サイクロン「パム」が襲った。勢力はカテゴリ最高の「5」で、中心気圧は910ヘクトパスカルを下回り、風速では毎秒約55メートルを超え、最大風速は80メートルを超え、簡素な造りの家々が吹き飛ばされた。「村々が丸ごと消滅した」との目撃情報もある。首都ポートビラでは8メートルの高波で洪水が発生した。
 バヌアツ政府は15日、死者多数を出す被害となったポートビラなどに非常事態を宣言した。
 仙台で開催された第3回国連防災世界会議に出席したバヌアツのボールドウィン・ロンズデール大統領はNHKに、サイクロンによる被害は「壊滅的だ」と述べて、被害が国の広い範囲に及んでいる可能性を示したうえで、対応に当たるため16日急ぎ帰国の途に着いた。
 また同国赤十字社のハニントン・アラトア社長は15日、仙台で記者会見し、各地で電力と通信が遮断されているため確かな情報はまだないとしたうえで、サイクロンによる死者数は首都以外で44〜46人に上るとの未確定情報を明らかにした。「個人的見通しとしては、もっと多いと思う」と語った。被害は国の人口のおよそ半分に当たる13万人に及んでいる可能性があると説明、「国土全体がサイクロンの被害を受けた。感触と直感では、非常に甚大な被害が予想される」と述べ、被害状況把握の困難さが救援活動を妨げていると指摘した。
 天候回復を待って、バウアフィールド国際空港が運用を再開、支援物資や救助隊を搬送するオーストラリアやニュージーランドの軍用機が到着した。同空港は、17日には民間機の乗り入れが可能になった。
 世界の子どもたちを支援する『ユニセフ』(国連児童基金)はバヌアツ国内に備蓄している支援物資を配布する一方、フィジーのスヴァにあるユニセフ物資倉庫から、追加の緊急支援物資の輸送を開始した。
 国連人道問題調整室(OCHA)は17日、ポートビラがあるエファテ島や離島のタナ島などを含め、全土で死者24人が確認されたと明らかにした。確認が難航していた離島の死者が含まれ、合計の死者数は増えた。
 周辺の島々の被害状況は依然として把握できていない。国際援助団体『CAREインターナショナル』や赤十字などは、被災者のための水や食料、避難所が不足しているとして、各国に支援を呼びかけている。ただポートビラ周辺以外、特に各島に物資を送るのに時間が掛かるのは必至で、餓死者が多数出ることも懸念されている。
 キリスト教関係救援組織も活動を始めたものの、本格化はこれからで、まずは募金を進め、具体的な方策を検討する段階。
 教皇フランシスコは15日、日曜正午の祈りの集いで、バヌアツが大型サイクロンによって受けた深刻な被害を憂慮、犠牲者や負傷者、家屋を失った人々のために祈り、国民に連帯を表明した。そして、救助と支援のために現地に速やかに赴いた人々に感謝を述べた。
 世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ=トヴェイト総幹事は16日、バヌアツのサイクロンによる破壊に憂慮と悲しみを表明、太平洋地域にある国々のWCC加盟教会に宛てた書簡の中で、同地域の人々と教会のための祈りを伝えた。


◎米長老教会が同性婚を受容

 【CJC=東京】米最大の長老派教会『PCUSA』(信徒180万人)は3月17日、数年に渡る討論の結果、より寛容な結婚の定義を盛り込んだ新たな教会規則『ブック・オブ・オーダー』を確定した。
 「修正第14条F」と呼ばれる新しい文言は、結婚を「男性と女性の間の」とある個所を「2人の間の」に修正する。
 同派は昨年6月19日、デトロイトで開催した総会で、ゲイとレスビアンの結婚式を教会で牧師が執行することを認める議案を76%対24%で採択した。併せて『ブック・オブ・オーダー』の修正案も採択された。
 ただ正式決定には、同派を構成する172中会(地域教会集合体)の過半数が批准する必要があり、3月17日までに86中会が同性結婚への支持を表明し、過半数に達した。
 「今日は私たちにとって、とても喜ばしい日。自分たちの教会共同体に入ることを何十年も待ち続けた」とLGBT(女性同性愛者、男性同性愛者、両性愛者、性転換者・異性装同性愛者など)擁護団体『モア・ライト・プレスビテリアン』の共同議長ロビン・ホワイト牧師は米電子メディア『ハフィントン・ポスト』に語っている。
 修正規則が実際に施行される6月まで、さらに多くの中会が支持を表明すると見られる。
 ただ全ての中会が変更に賛成することはなさそう。17日時点で41中会が反対を明らかにしている。修正についても「2人の間の」との表現は「伝統的には男女の間で」発生するものであるとの説明を付け加えられている。保守派とリベラル派の間に存在する緊張感に配慮したものであることは明らかだ。修正に反対する聖職者が同性婚執行を拒否することも認められる予定。
 同派がLGBTへの寛容姿勢を強めるにつれ、脱退する教会も出ている。『ハフィントン・ポスト』によると、2005年の1万959加盟教会が13年には1万38教会にまで減少した。その中には、解散した教会もあれば、より保守的な『アメリカ長老教会』(PCA)や『ECOプレスビテリアン』に加盟した教会もある。双方とも、公然同性愛の聖職者を牧師に任命することはなく、同性結婚へ寛容な態度を示していない。


◎教会経営はビジネス専門家が適任か

 【CJC=東京】社会に出た人が、「召命」を受けて、神学校に学び「第二の人生」を聖職者として過ごすケースは稀ではない。しかしそれだけで良いのか。
 特に聖職者不足に悩まされている教会では、その「有効活用」も課題のはず。
 聖職者になると、本来の仕事に付随するものがたくさんあり、それに忙殺され、疲れてしまう例も見受けられる。教会堂一つを取ってみても、建設計画から始まって、完成後も修理・改修などが必要となる度に、時間を取られてしまう。
 米国の専門通信CWNによると、ニューヨーク・ミッドタウン地区の聖家族カトリック教会のジラルド・E・マレイ神父は信徒320人に奉仕している。「時間の4分の1は、管理に割かれている。専門の教会マネージャーがいれば、もっと説教準備や研究に時間が取れるのだが」と言う。
 そこで発想を転換しよう、と米カトリック教会ニューヨーク大司教区が、「教会経営」に関しては、ビジネスマン信徒の希望者を訓練して委ねる計画を打ち出した。
 信徒としても、第二の人生を、自己の専門を生かしつつ、教会に仕えることが可能なら、その道を選ぶ人も出て来そうだ。問題は「専門」の前に、社会と教会の違いを、「専門家」に教えるとなると、教える方も「専門家」である必要があること。
 ニューヨーク大司教区は、ペンシルベニア州フィラデルフィア近郊にあるカトリック系ビラノバ大学『教会経営とビジネス倫理センター』と提携して、2年間の電子教育を行い、試験に合格したら「教会経営修士」号を授与することにした。
 同大学は2008年に教会経営で修士号を得られる課程を開設したが、これまでの所、年間修了者は20人以下に留まっている。
 今回大司教区が建てた構想では、「教会経営修士」課程のカリキュラムを財務報告、ファンドレイジング(募金管理)、ヒューマンリソーシス(人材管理)、民法・教会法、戦略策定などで構成する。会計実務などの実習科目はニューヨーク大司教区の要請に応じた内容になっている。
 大司教区としては50人を受講させ、授業料は大司教区と受講生が合格したら採用する予定の小教区(教会)が負担するという。


◎原発は「バベルの塔」と教皇懸念

 【CJC=東京】教皇フランシスコは3月20日、バチカン(ローマ教皇庁)を公式訪問(アドリミナ)した日本の司教団と会見。東日本大震災の福島第1原発事故に関連し、人間のおごりと現代文明のひずみの一例として原発の開発に警鐘を鳴らした。
 教皇は「人間は神の定めた自然のおきてに逆らってはいけない」と指摘。原発を旧約聖書の「バベルの塔」になぞらえ「天に届く塔を造ろうとして、自らの破滅を招こうとしている」と表現し、「人間が主人公になって自然を破壊した結果の一つ」と述べたという。毎日新聞が報じた。
 教皇は広島、長崎への原爆投下と第二次世界大戦終結から70年を迎えることに触れ、核兵器製造を「人類の悪行」と非難したという。日本司教団は教皇が日本に向けた平和のメッセージを発表するよう依頼した。
 教皇は来年、日本で予定される列福式に「可能なら行きたい」と述べたという。


◎教皇が9月25日に国連総会で演説

 【CJC=東京】教皇フランシスコは9月25日、国連総会で演説する。パン・ギムン(潘基文)国連事務総長が3月19日明らかにした。
 教皇は国連事務総長、ジョン・ウィリアム・アッシュ総会議長と個別会談を行い、さらに国連職員とも懇談する。


◎教皇専用車にピザの「宅配」!

 【CJC=東京】誰にも気づかれずにこっそり外出してピザを食べに行ってみたい。教皇フランシスコの願いの一部が叶えられた。イタリア・ナポリでピザ店『ドン・エルネスト』を営むエンツォ・カシアリさんが3月22日、街を専用車で移動中の教皇にピザを届ける出来事があった。しかし誰にも気づかれないはずはなかった。そこで米メディア『CNN』も報じた。
 カシアリさんの特製ピザはナポリ風の薄い生地に「Il Papa」(イタリア語で「教皇」の意味)の文字をあしらい、バチカン国旗にあわせて黄色いチェリートマトをトッピングしたものだったという。
 『CNN』の映像には、柵を乗り越えたカシアリさんが教皇を乗せたオープンカーに駆け寄って両手でピザを差し出し、教皇が受け取る様子が映っている。「ピザを渡すと微笑んで『ありがとう』と言ってくれた」(カシアリさん)そうだ。


◎『イスラム国』が外国人医療従事者20人拉致

 【CJC=東京】米メディア『CNN』によると、リビア中部シルト市内にある病院が3月16日、イスラム過激派『イスラム国』のグループに襲われ、医療従事者約20人が拉致された。
 拉致されたのは全員が外国人で、フィリピン人が大半を占め、ほかにウクライナ人、インド人、セルビア人もいたという。
 『イスラム国』が昨年末に同市を占拠し、病院もその支配下に入った。職員らは情勢悪化を受け、トリポリへ逃れるためにバスを待っていたと見られる。病院関係者によれば、ISISはスタッフが去ってしまうと仲間が負傷した際に治療する者がいなくなるため、引き留めようとして犯行に及んだ可能性がある。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(3月22日)=https://www.cwjpn.com
★自国語ミサ開始50年=教皇=「神を理解し信仰を生きる助けに」
★首相の靖国参拝違憲訴訟=神父も意見陳述=東京地裁
★シリア北部=「イスラム国」攻勢で=キリスト者「危険な状態」に
★教皇フランシスコ=特別聖年開催を発表=「いつくしみの聖年」
★「ラルシュ」創立者にテンプルトン賞=ジャン・バニエさん

 =キリスト新聞(3月21日)=https://www.kirishin.com
★3月21日「キリスト教学校合同フェア」=「聖書」土台に人間教育=カトリックとプロテスタントの小・中・高37校参加
★キリスト教学校教育同盟がアンケート実施
★ブラジル・プロテスタント教会の急成長をもたらした聖書協会の働き(渡部信)
★バハマ区の女性が式文作る=平和の実現願う「世界祈祷日」礼拝各地で
★非暴力・反暴力への思想問う=「宗教者九条の和」憲法講演会に岡野八代氏

 =クリスチャン新聞(3月22日)=https://jpnews.org
★東日本大震災から4年=「被災者」の側で立ち続ける
★2時46分に黙祷=石巻・登米・南三陸・気仙沼の教会合同で東日本大震災追悼記念会
★第4回ケアチャーチ講座=教会と福祉の実践を考える=制度の狭間にある人々にも目を向け
★若者に届く福音を、若者に託し、期待する=KGK青年宣教シンポジウム「若者と生きる教会」
★北海道YMCA公開セミナーで岡村直樹氏=大人が青年への接し方を変えると良好な関係作れる


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