世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1266信(2015.04.27)

  • 震災被害のネパールへキリスト教会も救援模索
  • 『ワールド・ビジョン』は現地で活動へ
  • WCC代表団がモスクワ総主教と会談
  • アルメニアで「集団虐殺」追悼式典
  • 『ジハーディスト』がパリの教会襲撃計画?
  • 教皇が9月下旬訪米の往路にキューバ訪問
  • バチカンは仏大使候補になお態度保留
  • バチカンに自爆テロ計画?容疑者10人逮捕
  • 聖職者独身制に独カトリック神父が不満も
  • イタリアが離婚に必要な別居期間を6カ月に
  • 「持ち寄り愛餐」で米教会に死者が
  • 《メディア展望》


◎震災被害のネパールへキリスト教会も救援模索

 【CJC=東京】ネパール中部で4月25日、マグニチュード7・8の巨大地震が発生、ネパール政府の災害担当者は27日、死者が3218人、負傷者も6500人以上に上ったと明らかにした。インドや中国など周辺国も含めた死者は約3300人になっている。ネパール政府当局者は死者数が8000人を超える可能性があるとの見方を示している。
 地震で雪崩が発生、少なくとも17人が死亡した世界最高峰エベレスト(8848メートル)のベースキャンプ付近など高地では数百人が取り残され、救助を待っている。
 ネパールの国際空港はカトマンズの『トリブバン国際空港』だけ。同空港は相次ぐ余震で断続的に閉鎖され、27日朝になっても到着便は「キャンセル」や「遅延」が相次いでいる。
 このためネパール入りを目指す各国の緊急援助隊の中には、経由地で足止めされている隊も。
 カトリック教会の救援組織『国際カリタス』は、『米国カリタス』がインド駐在事務所を通じて救援物資を送る体制を整え、『カリタス・インド』も救援活動開始準備をしている。『カリタス・パキスタン』も人員派遣などの準備を始めた。現在、インドから陸路でのネパール入りを検討しているが、インド側でも地震の被害があり、実現には時間が掛かりそう。
 世界教会協議会(WCC)とアジア・キリスト教協議会(CCA)は26日、ネパールと近隣の被害地域に宛てた緊急人道支援を呼び掛ける声明を発表した。


◎『ワールド・ビジョン』は現地で活動へ

 【CJC=東京】米宣教専門『アシスト・ニュース』によると、救援団体『ワールド・ビジョン』は援助物資配布のためスタッフを動員、すでに200人がネパールで仮設シェルター、食糧、衛生キット、飲用水、緊急医療処置などの提供準備に入っている。


◎WCC代表団がモスクワ総主教と会談

 【CJC=東京】世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ=トゥヴェイト総幹事らがモスクワを訪問、4月22日、ロシア正教会の最高指導者キリル総主教、同教会対外教会関係責任者ヒラリオン府主教と会談した。少数派キリスト者に対する暴力とウクライナが取り上げられた。
 トゥヴェイト総幹事は、ウクライナに於ける苦痛に満ちた抗争について述べながらも、WCC加盟教会であるロシア正教会との連帯を表明した。キリル総主教は、現状とウクライナの人たちの苦難について評価を共有した。
 総幹事は会談後、「わたしたちは、キリスト者として、ウクライナに平和を回復するために出来ることは何でもしなければならない」と語った。


◎アルメニアで「集団虐殺」追悼式典

 【CJC=東京】アルメニアの首都エレバンで4月24日、オスマン・トルコ帝国によるアルメニア人迫害犠牲者の追悼式典が開かれた。
 同日は、第一次大戦期の1915年に迫害が始まって100年目に当たる。アルメニア政府は「2年間に最大150万人が殺害されたジェノサイド(集団虐殺)だ」と主張しており、「虐殺」とは認めないトルコと歴史認識を巡る対立が続いている。
 式典にはロシア、フランス、キプロス、セルビアの4カ国首脳が出席。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「我々は過去の悲劇を回想しつつ、お互いを尊重できるよう学ぶ必要がある」と演説した。
 アルメニア正教会は23日、犠牲者を聖人とする「列聖式」を行った。同教会の列聖式は約400年ぶり。
 トルコ最大の都市イスタンブールでは24日、アルメニア正教会で初めて追悼式が開かれ、閣僚が出席した。レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、迫害を「悲しむべき出来事」「痛みを分かち合う」とする声明を送った。ただ大統領は、23日「アルメニアが主張していることは根拠がない」と語り、虐殺との見方を改めて否定している。


◎『ジハーディスト』がパリの教会襲撃計画?

 【CJC=東京】フランスの捜査当局は4月22日、パリ郊外で複数のキリスト教会を狙ったテロを計画していたなどとして、イスラム教『ジハーディスト』(聖戦主義者)の24歳の男を19日拘束した、と発表した。アルジェリア国籍の情報工学の学生だが、氏名は明らかにされていない。
 学生は19日、銃弾でケガをしたとして、自ら救急車を呼んだため、警察官が男の自宅や車を捜索した。その結果、複数の自動小銃やピストルなどとともに過激派組織『イスラム国』などについてアラビア語で書かれた書類やメモなどが見つかったという。警察は、このメモから男がパリ郊外の教会でテロを計画していたことが明らかになったとしている。
 男はシリアにいる何者かとテロについて連絡を取り合っていたとされているが、背後関係や誰かから指示を受けていたかなどはまだ分かっていない。
 男は、19日にパリ郊外で女性が殺害された事件にも関与した疑いが持たれ、当局はテロ計画との関係や共犯などについて捜査を進めている。
 AFP通信によると、マニュエル・ヴァルス首相は、フランスが「予期されないテロの脅威」に直面している、として「テロリストはフランスを分裂させようとしている。わたしたちの応答はもちろん、市民を保護することにあるが、このテロリストの脅迫に、団結して共に行動する決意を示すことでもある」と市民に呼び掛けている。


◎教皇が9月下旬訪米の往路にキューバ訪問

 【CJC=東京】教皇フランシスコが9月下旬に米国を訪問する際、往路にキューバを訪問する。バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所長のフェデリコ・ロンバルディ神父が4月22日発表した。教皇がキューバ政府と同国カトリック司教団の招待を受け入れたと声明で明らかにしたが、具体的な旅程には言及していない。
 教皇フランシスコの米国、キューバ訪問は一昨年3月の着座後初めて。教皇のキューバ訪問は先々代の故ヨハネ・パウロ2世(1998年1月)、前任のベネディクト16世(2012年3月)に続き3人目。
 教皇はキューバ訪問後、9月23日にホワイトハウスでバラク・オバマ米大統領と会談し、24日に米議会上下両院合同会議で教皇として初めて演説する。教皇は25日にニューヨークの国連本部でも演説し、カトリック信徒家族の集い「世界家庭大会」が開かれる米東部ペンシルベニア州フィラデルフィアを26〜27日に訪れる。


◎バチカンは仏大使候補になお態度保留

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は、フランスの新バチカン駐在大使候補に同意するか態度を決めていない、とローマの『Iメディア』が報じている。
 これまではフランスが提示していたローレン・ステファニーニ氏を、同性愛者であることを理由にバチカンが拒否、と伝えられていた。
 『Iメディア』は、同氏と教皇フランシスコの会見は「特に和やか」で、2人は共に祈った、としている。教皇は、大使としての役割をどのように果たすのか、ステファニーニ氏に質したと言う。


◎バチカンに自爆テロ計画?容疑者10人逮捕

 【CJC=東京】イタリア警察は4月24日、地中海上のサルデーニャ島に潜伏していた国際テロ組織『アルカイダ』系武装集団を摘発し、10人を逮捕した。さらに他の8人についても逮捕状を取り、行方を追っている。検察当局は、武装集団が2010年にバチカン(ローマ教皇庁)での自爆テロを準備していた疑いが濃厚、と述べた。
 容疑者18人はパキスタン人とアフガニスタン人。09年10月にパキスタン北西部ペシャワルの市場で子どもや女性など100人超の死者を出した自動車爆弾テロへの関与が疑われている。事件は当初、アフガニスタンの反政府組織『タリバン』の犯行と見られたが、『タリバン』は関与を否定していた。
 容疑者のうち2人は、11年5月に潜伏先のパキスタン北部で米軍特殊部隊に殺害された『アルカイダ』最高指導者ウサマ・ビンラディン容疑者の警護役だった可能性がある。


◎聖職者独身制に独カトリック神父が不満も

 【CJC=東京】ニュースサイト『イロリオ』がドイツ紙『ツアイト』などの報道として、カトリック教会の神父は古来伝統として独身制を採用してきたが、これに不満を持つ聖職者が少なくないことがドイツの教会内調査で明らかになった、と伝えている。
 調査を行ったのはイエズス会のエックハルト・フリック神父を中心とした教会内研究者グループ。8600人の司牧者にアンケートを取った。うち約半数が司祭。
 司祭の約3分の1が現行の独身制を重荷に感じており、4分の1は、もし人生をやり直せるなら独身生活は選びたくない、と回答した。彼らにとってとりわけ負担なのは、性生活、配偶者、子どもを断念せねばならないなどという。


◎イタリアが離婚に必要な別居期間を6カ月に

 【CJC=東京】イタリア下院で4月23日、離婚までに要する別居期間を3年から6カ月に大幅に短縮する法案が、賛成398票、反対28票の圧倒的多数で可決された。
 ロイター通信によると、カトリック系日刊紙『アッベニーレ』は、法案を「家族に対する退廃的な後退」と糾弾したが、法案への反対表明は他にはほとんど見られず、カトリック教会の影響力低下が浮き彫りとなった。
 イタリアでは、離婚が合法化されたのが1970年。5年間の別居が離婚検討の条件とされたが、87年にこの期間が3年に短縮されている。


◎「持ち寄り愛餐」で米教会に死者が

 【CJC=東京】米オハイオ州ランカスターのクロスポイント・フリーウイル・バプテスト教会で4月19日、「日曜の〝持ち寄り愛餐〟(ポトラック)」を行ったところ、教会員24人が食中毒にかかり、1人が死去する事態が発生した。宣教専門アシスト・ニュースが報じた。
 保健当局は原因究明のため、教会のゴミ箱から食品を採取するとともに、ポトラックに持ち寄った教会員宅の容器を調べ、ボツリヌス菌による中毒の可能性が高いとして、抗毒素を手配、23人が入院している病院に送った。22日の記者会見で明らかになった。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(4月26日)=https://www.cwjpn.com
★アルメニア人「虐殺」100年=教皇の表現にトルコ政府反発
★「世界召命祈願の日」メッセージ=「約束の地」への脱出
★日本カトリック・ボランティア連絡協議会 総会・宮城大会=希望持てない子どもたち=被災地に限らず、全国で異変
★東北被災地ベース担当者ら集まる=活動の課題 共有
★主教会がメッセージ=日本聖公会=戦後70年で

 =キリスト新聞(4月25日)=https://www.kirishin.com
★福祉・教育・教会のネットワーク作り=人材育成が急務=講師、パネリストらが意識共有
★日基教団=春季教師検定試験
★「中部臨床宗教師会」発足
★リチャード・ヘイズ氏招き国際シンポ=「和解と平和」めぐり長崎・東京で
★アルメニア人殺害は「ジェノサイド」=教皇発言にトルコ反発、駐バチカン大使召還

 =クリスチャン新聞(4月26日)=https://jpnews.org
★子どもが来ない?=CS教師セミナー、4/14の窓=「少ないからこそチャンス」
★「イエス様 あなたを愛してます!」=名古屋目抜き通りを祈りつつ行進=マーチ・フォー・ジーザス・ジャパン2015
★日本同盟基督教団=セクハラ相談窓口開設=時代の要請 秋から運用開始
★牧師が事務局=市民に選挙を取り戻すプロジェクト=「知恵に満ちた評判の良い人」を=超党派の市民と議員が学び高め合う交流勉強会
★蔦田公義氏逝去=イムマヌエル綜合伝道団、アジア福音同盟で要職


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