世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1268信(2015.05.11)

  • 「移民に連帯を」と教皇、諸キリスト教会関係者の集いで
  • カストロ議長が教皇と「私的に」会見
  • カストロ議長、教皇との会見で信仰心戻る?
  • スイスで同性婚を祝福した神父が譴責される
  • 日曜礼拝で牧師が「神が私をお呼びです」と急逝
  • 中国浙江省で屋根上の十字架撤去が400カ所超す
  • オスカー像は偽りの偶像、とナタリー・ポートマン
  • この10年間で傷つけられた聖地10カ所
  • トランスジェンダーの敬称は「Mx.」に?
  • 《メディア展望》


◎「移民に連帯を」と教皇、諸キリスト教会関係者の集いで

 【CJC=東京】教皇フランシスコは、5月7日、欧州カトリック司教協議会会議(CEEC)と欧州教会協議会(CEC)の合同委員会の関係者と会見した。欧州のカトリック司教団が集うCEECに対し、欧州教会協議会は、欧州の120教会・キリスト教共同体からなる組織。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇は会見で、ヨーロッパのキリスト者が対立していた時代を振り返る一方、今日状況は大きく変わり、互いの違いはいまだ存在しても、エキュメニズムの歩みを助けるためにこの合同委員会の活動があることに喜びを表明した。
 特に2001年、ストラスブールで署名された『エキュメニカル憲章』はCEECとCECの協力の実りであり、キリスト者の完全な一致を目指す長い道のりの中で、大きな希望となっていると語った。
 教皇は、第2バチカン公会議のエキュメニズムに関する教令は、キリスト者間の分裂を「すべての人に福音を述べ伝えるという最も聖なる使命の妨げ」と述べていると、指摘した。


◎カストロ議長が教皇と「私的に」会見

 【CJC=東京】教皇フランシスコは5月10日、バチカン(ローマ教皇庁)でキューバのラウル・カストロ国家評議会議長と「私的に」会見した。約50分間の会見で、カストロ議長は、キューバと米国の歴史的な国交正常化交渉開始に向けて教皇が行った仲介に謝意を伝えた。バチカン広報事務所長のフェデリコ・ロンバルディ神父が明らかにした。
 キューバ元首のバチカン訪問は1996年のフィデル・カストロ前議長以来。
 議長は随行のブルノ・ロドリゲス・パリジャ外相を伴い、パウロ6世ホールの隣にある部屋で教皇と会見した。会見はスペイン語で行われた。
 議長は、教皇の「謙虚さと英知」に「非常に感銘を受けた」と述べ、9月に教皇がキューバを訪問する際、教皇のすべてのミサに出席すると約束した。教皇は即位後初となる9月の米国訪問に合わせてキューバに立ち寄る予定。


◎カストロ議長、教皇との会見で信仰心戻る?

 【CJC=東京】キューバのラウル・カストロ国家評議会議長と教皇フランシスコが5月10日、バチカンで初めて会見したが、米メディアCNNによると、カストロ議長は会見後、教皇の教えのおかげで宗教に対する姿勢の軟化を決意しただけでなく、自身も再びカトリック教徒として祈りをささげたい気持ちになったと表明した。
 カストロ議長は「教皇の説話は全部読んだ。もし教皇がこうした発言を続けるのなら、遅かれ早かれ私も再び祈りをささげるようになり、カトリック教会の信者に戻るだろう。これは冗談で言っているのではない」と語った。
 キューバでは兄のフィデル・カストロ前国家評議会議長が1961年に「私はマルクス・レーニン主義者であり、生涯それを貫く」と宣言して以降、カトリックなどの宗教を信仰する国民が厳しく弾圧された時期もあった。
 1992年の憲法改正で宗教に対する差別は禁止されたものの、米国務省の昨年の年次報告書によれば、キューバ政府は依然として宗教活動に対する規制を続けているとされた。
 CNNは、カストロ議長が10日、「私はキューバ共産党の共産主義者だ。党は信教を許してこなかったが、今は信者も我々の一部であることを認める。これは重要な一歩だ」と言明したと報じている。


◎スイスで同性婚を祝福した神父が譴責される

 【CJC=東京】同性カップルに対し公式な結婚は認めてはいないが、パートナーシップ証明は行っているスイスで昨年、レズビアンカップルを祝福したゲオルク・シュムッキ神父がザンクト・ガレン司教から譴責された。電子メディア『スイスインフォ』が報じた。
 シュムッキ神父はこれまで数組の同性カップルを祝福してきた。最初の1組は内密に行ったが、次第に教会内で祝福するようになり、ザンクト・ガレン教区のマルクス・ビュッヒェル司教が譴責するまでになった。
 ビュッヒェル司教は、同性カップルが役所で式を挙げることに問題はないとする一方、カトリック教会がこうしたカップルを祝福することには反対する。同性カップルを祝福すれば、結婚は男女の結びつきとする教会の考えに反すると主張している。


◎日曜礼拝で牧師が「神が私をお呼びです」と急逝

 【CJC=東京】米ルイジアナ州ニューオーリンズのアルジアーズ地区にある『グレーター・セイントメリー・バプテスト教会』で5月3日朝、礼拝でケネス・グリーン牧師(56)が「詩篇」によって説教している最中、「神がお呼びとあれば私は喜んで天に召されたい。心の準備は出来ています」と口にすると、突然その場に倒れ込んだ。現地メディア『WDSUニュース』が伝えた。
 駆けつけた救急隊員によって病院に搬送されたが、死亡が確認された。遺族はジョーン夫人と子ども3人。


◎中国浙江省で屋根上の十字架撤去が400カ所超す

 【CJC=東京】中国東部浙江省で2014年に入って始まった、カトリックとプロテスタント教会の屋根上に置かれた十字架撤去が400カ所以上になった。建築法規に違反したことを理由としているが、キリスト教の急速な拡大に懸念を抱いた共産党政権の反応と見られる。
 最近示された新規制案「浙江省宗教建築規範」は、十字架は教会堂の正面に貼り付けなければならず、壁面全高の10分の1以下と制限された。さらに十字架などのシンボルは、周辺と調和したものでなければならない、とされている。
 実態調査と新規制案作成に関与した浙江省建築研究所のファン・シェンラン氏は、屋根上の十字架が新規制案では認められないことを確認したが、理由は説明していない。


◎オスカー像は偽りの偶像、とナタリー・ポートマン

 【CJC=東京】2012年に映画『ブラック・スワン』でアカデミー主演女優賞を獲得したナタリー・ポートマンが、米専門紙『ハリウッド・レポーター』とのインタビューで、アカデミー受賞者に渡される副賞のオスカー像が「フォルス・アイドル」(偽りの偶像)だから、壁に飾らない、と語った。
 「子どもにアブラハムの物語を読んだことがある。その時に偶像を礼拝しないように言った。オスカー像を壁には掛けたら、偶像を礼拝することになる」と言う。
 ポートマンは、エルサレム生まれ。英語とヘブライ語が母語で日本語も達者。


◎この10年間で傷つけられた聖地10カ所

 【CJC=東京】ネットメディア『ハフィントン・ポスト』が2005年にシリアのウマイヤド・モスクが破壊されて以来、戦火、目先だけの経済成長、自然災害によって破壊されてきた聖地10カ所を紹介している。
▽2015年、ネパール=仏教とヒンズー教の寺院が地震で倒壊。
▽2014〜15年、イラク=古代アッシリアの遺跡が『イスラム国』に破壊された。
▽2013年、ベリーズ=道路工事用の土砂を採取するため国内最大のマヤ文明のピラミッド「ノームル」がほぼ壊滅。ベリーズ国立考古学研究所によると、遺跡は少なくとも2300年前に作られ、ベリーズ北部で最も重要な遺跡だったという。
▽2013年、フィリピン=ボホール島の地震で教会群が倒壊。セブ島のバシリカ・ミノレ・デル・サント・ニーニョ(サント・ニーニョ教会)は1565年に建てられたフィリピン最古のカトリック教会。
▽2013年、シリア=アレッポのウマイヤド・モスクが内戦で破壊された。
▽2012年、マリ=トンブクトゥのイスラム聖者廟が武装組織に破壊された。
▽2011年、サウジアラビア=メッカのイスラム遺跡が開発で破壊、改築された。
▽2011年、ニュージーランド。クライストチャーチ大聖堂が地震で倒壊。
▽2010年、ハイチ=ポルトーフランスの大聖堂が地震で倒壊した。
▽2008年、ミャンマー=ヤンゴンの寺院がサイクロン「ナルギス」で倒壊。


◎トランスジェンダーの敬称は「Mx.」に?

 【CJC=東京】英語辞書として著名な『オックスフォード・イングリッシュ・ディクショナリー』(OED)がトランスジェンダーなどの敬称として性的に中立な「Mx.」を次の版から採用することを検討している。同辞書のジョナサン・デント副編集長は、新語について「人々の必要に英語が対応する一つの形なのだ」と語った。「Mx.」が最初に使われたのは1977年の雑誌に掲載された論文と言う。
 これも著名な辞書『メリアム=ウエブスター』は、「Mx.」が英国では新聞雑誌や公式文書、大学、銀行などでも使用される例が増えているが、米国では良く用いられているわけではないので、当面採用は見合わせる、としている。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(5月10日・休刊)=https://www.cwjpn.com

 =キリスト新聞(5月9日)=https://www.kirishin.com
★「MESSIAH」を皆クリスチャンで=サントリー大ホールでの指揮を前に姜春東氏に聞く
★ネパール大地震で死者5千人超=キリスト教界も救援開始、募金呼び掛け
★〝苦しみ共にする人道援助を〟=大澤真幸氏が「純粋平和主義」強調
★浦和ルーテル学院が新築移転=浦和美園の新校舎で感謝礼拝
★WCC代表団がモスクワ訪問

 =クリスチャン新聞(5月10日)=https://jpnews.org
★30日が本番=グローバル・アウトリーチ・デイ前に提唱者初来日=世界同時に福音を伝える
★津波で流された会堂が再建=気仙沼第一聖書バプテスト教会
★ネパール大地震 宣教師、団体ら窓口に=支援届かない地域助けて
★みんなを生かす神の御国を=第15回国家晩餐祈祷会で廣瀬薫氏=石破茂国務大臣も駆けつけ挨拶
★クリスチャン音楽家による「メサイアコンサート」=5月23日サントリーホールで


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