世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1269信(2015.05.18)

  • バチカンが『パレスチナ国家』を正式承認へ
  • 教皇がパレスチナ自治政府のアッバス議長と会談
  • 教皇、パレスチナ人修道女を「聖人」に認定
  • 『イスラム国』がイラクのラマディ制圧か
  • 国際カリタス新会長にフィリピンのタグレ枢機卿
  • 地中海渡航の難民2452人をイタリア救出
  • ネパールで韓国医療チームが宣教ビラ配布
  • 中央アフリカ民兵組織が少年兵ら解放に合意
  • 「トリノの聖骸布」からイエスの子ども時代の顔復元
  • 《メディア展望》


◎バチカンが『パレスチナ国家』を正式承認へ

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)と『パレスチナ国家』間の合同委員会による非公式会合が、バチカンで5月13日開かれた。
 昨2014年2月ラマラのパレスチナ外務省で行われた公式会合以来の会合。2000年2月に署名された基本協定に続く包括協定の起草作業が行われた。
 合同委による協定起草作業はこれで終了した。両国による調印は「近い将来」とされており、具体的な日程は明らかにされていない。
 協定が調印されれば、バチカンは『パレスチナ国家』の存在を法的文書の形で初めて公式に認めることとなる。バチカンは長年、イスラエルとパレスチナの2国家共存こそ、聖地パレスチナの平和に向けた最善の策だとの立場を取ってきた。
 バチカン広報事務所長のフェデリコ・ロンバルディ神父は12年11月に国連がパレスチナ自治政府に「非加盟オブザーバー国家」としての参加資格を認めて以降、バチカンもパレスチナを国家として扱ってきたと指摘し、バチカンの対パレスチナ政策には一貫した継続性がある、と主張している。
 会合には、バチカンからは国務省外務局次長アントワン・カミレリ神父、パレスチナ政府からは多国間関係問題のための外務大臣補佐ラワン・スレイマン氏らが参加した。
 カミレリ外務局次長によれば、協定はカトリック教会の活動の自由や、管轄、個人的法規、信仰の場所、社会福祉活動、メディア、税務、所有権などを扱っているという。
 パレスチナのヨルダン川西岸地区における教会の財産や人員の権利についても取り決めが行われたと見られている。
 教皇フランシスコやカトリック指導者らはこれまで、繰り返しパレスチナ、特にベツレヘムや西岸地区でのキリスト教徒の減少に懸念を表明してきた。


◎教皇がパレスチナ自治政府のアッバス議長と会談

 【CJC=東京】教皇フランシスコは5月16日、バチカン(ローマ教皇庁)を訪問したパレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長と会談した。
 会談は約20分間行われ、パレスチナとイスラエルの和平交渉再開への期待と平和への「勇気ある決断」が国際的な支援を受けられるようとの期待を表明した。
 教皇はアッバース氏を「平和の天使」と呼び歓迎したという。双方の良好な関係を印象付けた形。


◎教皇、パレスチナ人修道女を「聖人」に認定

 【CJC=東京】バチカンからの報道によると、教皇フランシスコは5月17日、サンピエトロ広場でミサを行い、19世紀オスマン帝国時代のパレスチナで活動したマリー・アルフォンシーヌ・ガッタス修道女とマリアム・バウアルディ修道女を含む4人を聖人に認定した。ミサには、パレスチナ、イスラエル、ヨルダンからの巡礼者約2000人が出席した。前日に教皇と私的に会見したパレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長も出席した。
 教皇は信徒らに、このパレスチナ人修道女2人と、同時に列聖されたフランスとイタリア出身の別の2人の「光輝く規範」にならうように呼びかけ、「彼女らの輝かしい先例がわれわれを鼓舞している」と強調した。
 アッバス議長は2人の聖人認定を歓迎し、「教皇フランシスコとカトリック教会が、パレスチナで育った美徳の種に目を向け、関心を向けてくれたことに感謝する。パレスチナは戦争の地ではない。聖なる美徳の地であり、そうあることが神の意思だった」と語った。
 同議長は前日にも声明で「パレスチナは戦争の地ではない。キリスト教徒とイスラム教徒は聖地を共有し、我々の国の設立を求めていく」と述べていた。


◎『イスラム国』がイラクのラマディ制圧か

 【CJC=東京】ロイター通信によると、過激派組織『イスラム国』は5月17日、イラク西部のラマディを完全に制圧したと表明した。ラマディは、イスラム教スンニ派が大半を占めるアンバル州の州都。
 「イスラム国」は声明で、ラマディでイラク軍の戦車を接収し、同軍の兵士「数十人」を殺害したとしている。
 米国防総省は、報道官が会見で、『イスラム国』の発表を確認するか、との質問に「状況について確固とした声明を出すのは尚早」と発言。「ラマディでの激しい戦闘に関する報告や報道をモニターし続けている。状況は流動的で戦闘が続いている」と述べた。


◎国際カリタス新会長にフィリピンのタグレ枢機卿

 【CJC=東京】カトリック救援組織『国際カリタス』は4年に一度の総会を5月12日から17日までローマで開催、会長オスカル・アンドレス・ロドリゲス・マラディアガ枢機卿の後任にルイス・タグレ枢機卿(マニラ大司教)を選出した。アジアからの会長は初めて。
 今回総会は「一つの人間家族、創造への配慮」を主題に開かれ、全世界から代議員300人が参加した。
 タグレ新会長は1977年マニラ生まれ。82年叙階、2001年イムス司教、11年マニラ大司教、12年11月に枢機卿に叙せられた。


◎地中海渡航の難民2452人をイタリア救出

 【CJC=東京】イタリアの沿岸警備隊は5月15日、地中海で難民や移民とみられる計2452人を14日に救出したとツイッター上で発表した。救出の活動は11回にわたったとしている。米メディアCNNが報じた。
 国際移住機関(IOM)の調べでは、イタリアに到着した難民や移民らは今年1月1日から5月7日までの間で約3万4570人。地中海などを航行し、イタリアの沿岸部への接近を目指す間に死亡したのは1780人としている。


◎ネパールで韓国医療チームが宣教ビラ配布

 【CJC=東京】ネットメディア『フォーカス・アジア』によると、韓国・聯合ニュースは、ネパール地震の被災地に派遣された韓国救援チームの一部が、プロテスタントの宣教用チラシを配布し、ヒンズー教徒の多い地元メディアから非難されたと報じている。
 韓国の国際開発協力団体『グッド・ピープル』がネパールに派遣した災害医療チームの1人が、診療現場で地元住民に対してメッセージを載せたチラシを配布したという。チラシは英語で書かれていた。
 医療チームは8人で構成され、5月9日から被災地ラメチャップ地域の病院で緊急医療支援活動を行っていた。
 『グッド・ピープル』は13日にホームページに掲載した文章の中で陳謝した。


◎中央アフリカ民兵組織が少年兵ら解放に合意

 【CJC=東京】イスラム、キリスト両派間の衝突が続く中央アフリカで、民兵組織が少年兵ら子どもをすべて解放し、今後も組織に勧誘しないことに合意した、と国連児童基金(ユニセフ)が5月5日発表した。6000〜1万人が対象になると見込まれている。


◎「トリノの聖骸布」からイエスの子ども時代の顔復元

 【CJC=東京】イタリア国家警察の鑑識チームが「トリノの聖骸布」からイエス・キリストの子ども時代の顔を復元した映像を5月5日公開した。
 「トリノの聖骸布」は6月から2カ月間、特別公開される予定で、警察によるイエス・キリストの顔復元は、この公開に合わせて行われた。
 警察の鑑識チームは「トリノの聖骸布」の写真からイエス・キリストの顔の復元を行い、さらにその映像を元に、科学捜査で用いられている顔の再現法で、年齢を若くした幼少時代のイエス・キリストの顔の再現を行った。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(5月17日)=https://www.cwjpn.com
★教皇=ネパール大地震=犠牲者のため祈り=援助要員への連帯示す
★教皇フランシスコ=結婚について連続講話=不平等は「醜聞」
★ノートルダム教育修道女会=ネパールの修道女ら無事=救援活動も開始
★校長・理事長・総長管区長の集い(東京)="最後のとりで"と期待も=生徒ら年2千人減でも大切な役割
★平和賞も創設=シグニスジャパンの映画賞

 =キリスト新聞(5月16日・休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(5月17日・休刊)=https://jpnews.org


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