世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1273信(2015.06.15)

  • 教皇がプーチン大統領と会談、「誠実な努力」促す
  • 教皇、11月にアフリカ訪問へ
  • バチカンが性的虐待の審判機関設け隠蔽の司教裁く
  • シリア正教会主教団とアサド大統領が会見
  • 世界キリスト教コミュニケーション連盟会長にメシャク氏
  • バッハの肖像画が数世紀ぶりライプチヒに〝帰還〟
  • 米ベストセラー作家J・ジェンキンズが新作『帝国の終焉使徒パウロ』
  • 《メディア展望》


◎教皇がプーチン大統領と会談、「誠実な努力」促す

 【CJC=東京】教皇フランシスコは6月10日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とバチカン(ローマ教皇庁)で会談した。会談は教皇の個人図書館で1時間行われたとされるが、非公開だった。
 プーチン大統領は同日正午、専用機でミラノ国際空港に到着、『ミラノ国際博覧会』を訪れ、ロシア館の開館を宣言した後、イタリアのマッテオ・レンツィ首相やセルジョ・マッタレッラ大統領と会談した。プーチン大統領はそれからバチカンに向かったが、教皇との会談は予定より1時間は遅れた。
 ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は記者団に、ミラノでの協議が長引いたと説明、「ミラノとローマの通りを車列がゆっくり進んだ」こととも関係しているとしたが、「移動中ずっと、遅延が伝えられ、バチカンの合意が得られていた」と語った。
 双方はウクライナ情勢などを中心に話し合い、教皇はプーチン大統領に対してウクライナ東部の和平実現に向け、「誠実な努力」を促した。
 発表によると、教皇はウクライナ和平には「多大かつ誠実な努力」が必要だと強調。その上で双方は「対話のための建設的雰囲気」の回復と「全当事者による尽力」が重要との認識で一致した。イスラム教過激組織『イスラム国』についても意見を交換した。
 ペスコフ報道官は「非常に深く、詳細な会談が行われた。当然のことながら、ウクライナの危機について言及され、カトリック、正教、そしてすべての宗教を多くの点で一つにする全人類の人道的価値観について話し合われた」と語っている。
 2人の会談は2度目で、ウクライナ危機発生後は初めて。前回は2013年11月に35分間会談した。
 教皇はロシア正教会との関係改善を目指すほか、『イスラム国』によるキリスト者迫害が懸案される中東情勢に関してもロシア側の協力を必要とする事情もあり、会談が注目されていた。
 会談の際、双方はプレゼントを交換した。プーチン氏は救世主ハリストス大聖堂の金刺繍画、正教百科事典数巻をプレゼント。教皇は「平和の天使」メダルを贈った。教皇は「このメダルは20世紀の芸術家が作ったもので、平和と公正、融和をもたらす守護天使が描かれている」と語った。
 会談後、教皇は出口までプーチン大統領を見送り、キリル総主教への挨拶を伝えた。
 教皇とプーチン大統領との会談で、教皇がウクライナ危機問題でロシアの関与を批判しなかったことにギリシャ正教側から不満が出ている。ウクライナにはギリシャ正教信徒が数百万人いると見られている。
 また、米国のバチカン大使も会談前、教皇にウクライナの領土の一体性についての懸念をより強く示すべきだと促していた模様。


◎教皇、11月にアフリカ訪問へ

 【CJC=東京】教皇フランシスコは6月12日、この11月にアフリカを訪問する意向を明らかにした。ローマで開催された聖職者の『世界リトリート』の黙想の際に発表したもの。カトリック通信Zenitが報じた。「11月にはアフリカに行く。まず中央アフリカ共和国に、それからウガンダに」と言う。引き続きケニア訪問も検討中で、その時の情勢次第としている。
 教皇フランシスコは今年各国訪問の日程が詰まっている。7月にはボリビア、エクアドル、パラグアイなど、9月にキューバと米国を訪問することが決まっている。アフリカに関しては、この1月にスリランカとフィリピン訪問の帰路、専用機上でアフリカ訪問を発表していた。


◎バチカンが性的虐待の審判機関設け隠蔽の司教裁く

 【CJC=東京】教皇フランシスコは、聖職者による性的虐待を隠ぺいした司教を罰する教会内法廷の創設を承認した。バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所が6月10日、発表した。
 子どもを性的に虐待した聖職者をかばったり、虐待の訴えに敏速に対応しなかった疑いのある司教は、教会法によって「司教職務の乱用」という罪を問われることになる。
 この新体制を実施するため、教皇は、教理省内に新しく審判機関の設立を命じた。担当者は教皇が任命し、今後5年間の審理状況を踏まえた上で、将来的な対応を検討する。
 AFP通信によると、『聖職者による虐待被害者ネットワーク』(SNAP)のバーバラ・ブレイン氏は、「児童性的虐待を犯し隠している司教に、別の司教が対応する限り、ほとんど変化は起きない」と語った。
 バチカンによると、2004〜13年の10年間に3420件の虐待被害の申し立てがあり、848人の聖職者が資格を剥奪されたという。


◎シリア正教会主教団とアサド大統領が会見

 【CJC=東京】バチカンのフィデス通信によると、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領は6月11日、シリア正教会主教団とダマスカスで会談した。主教団は、ダマスカス郊外のサイドナヤで年次主教会議を開催中。
 アサド大統領は、「テロリスト、過激派は国境線も国籍も無視しており、シリアを分裂させ、多彩な宗教共同体の共存を破壊しようとしている」と語った。
 主教団は、シリアが「全てのシリア人とその関係者の家」としてまた「国に対する凶暴なテロ攻撃にも関わらず、人間の真の価値を信じる全ての人のための聖所」であり続けたいとの希望を表明した。
 主教会議にはシリア国内だけでなく、イラク、トルコ、スウェーデン、独、オランダ、グアテマラ、ブラジル、インドの主教も出席している。


◎世界キリスト教コミュニケーション連盟会長にメシャク氏

 【CJC=東京】世界キリスト教コミュニケーション連盟は新会長にサミュエル・W・メシャク氏を選出した。任期4年。
 メシャク氏はインドのチェンナイにあるヒンドスタン聖書研究所高等教育部門の責任者。英レスター大学マスコミ調査センターで博士号取得、WACC・アジア会長、WACC・グローバル監事などを歴任。


◎バッハの肖像画が数世紀ぶりライプチヒに〝帰還〟

 【CJC=東京】ドイツの作曲家ヨハン・セバスチャン・バッハの肖像画として広く知られる作品が6月12日、数世紀ぶりにゆかりの地である東部ライプチヒのバッハ博物館に帰還を果たした。AFP通信が報じた。
 1748年に画家エリアス・ゴットローブ・ハウスマンによって描かれた肖像画で、60歳前後のバッハがかつらをつけ、手には自身作曲の楽譜を持っている。バッハの肖像画として最も良く知られている。
 クラシック音楽愛好家で昨年11月に100歳で死去した米国人富豪ウィリアム・シェイド氏の遺志で同博物館に寄贈された。現在価値は250万米ドル(約3億円)と推定されている。
 肖像画は、記念式典が12日行われたニコライ教会で一般にお目見えした。


◎米ベストセラー作家J・ジェンキンズが新作『帝国の終焉使徒パウロ』

 【CJC=東京】『レフトビハインド』(残される者たち)シリーズなどでベストセラー作家として知られるジェリー・B・ジェンキンズが新作『帝国の終焉使徒パウロ』を米ワーシー出版社から6月9日刊行した。パウロを巡る謎のいくつかに独自の答えを示しているとか。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(6月14日)=https://www.cwjpn.com
★教皇、サラエボ訪問=「平和のための働き」訴える
★社会司教委員会の連続シンポジウム=第1回 東京教会管区 札幌で開催=「現代世界憲章から何を学ぶか」
★連携目指し初会議=難民移住移動者委員会=全国から外国人支援者参加=東京
★看護学部を開設=東京純心大学
★主(キリスト)に一番近い僧侶=仏教から見る諸宗教対話=天台宗 露の団姫さん

 =キリスト新聞(6月13日)=https://www.kirishin.com
★カトリック月刊誌「あけぼの」=60年の歴史を回顧=執筆者ら招き「感謝ウィーク」
★日本宣教リサーチがレポート発表
★「大いなるもの」なしにケアできず=日本哲学会大会シンポに髙木慶子氏ら
★「障壁を取り壊すことが望み」=庭野平和賞にエスター・アビミク・イバンガ氏
★アイルランドで同姓婚合法化=バチカン機関紙は「敗北」と論評

 =クリスチャン新聞(6月14日)=https://jpnews.org
★グローバル・アウトリーチ・デイ実施=多様な表現で福音を伝える
★福祉・介護の人材育成テーマに第1回サポートネットワークシンポ=「隣人として歩む事が福祉の原点」
★恵み伝える福祉的宣教=第5回東日本宣教ネットワーク全体会議
★戦後70年にあたって=JEA「声明」採択
★横田さんを囲む緊急拡大祈祷会=「生きて再会」祈る


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