世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1276信(2015.07.06)

  • 教皇が南米歴訪開始
  • 教皇南米訪問に酸素ボンベやコカの葉も用意
  • ナイジェリアの教会で自爆テロ、聖職者ら5人死亡
  • 『イスラム国』が初めて女性を斬首
  • パキスタンのキリスト者夫婦に集団暴行
  • 米でガールスカウトが寄付金10万ドル返還
  • 性的少数者が韓国・大邱で「クィア祭り」
  • 《メディア展望》


◎教皇が南米歴訪開始

 【CJC=東京】教皇フランシスコは7月5日、南米3カ国への訪問に出発した。今回の訪問で教皇はエクアドル、ボリビア、パラグアイを9日間の日程で訪れる。
 5日午前9時過ぎ(現地時間)、ローマのフィウミチーノ国際空港をアリタリア航空特別機で教皇は、最初の訪問国エクアドルの首都キトへ向け出発、キト郊外のマリスカル・スクレ国際空港に午後2時45分(現地時間)到着した。同3時10分、特別機から降りた教皇は、折からの風に着用した帽子を飛ばされるという歓迎を受けた。地上ではラファエル・コレア大統領が出迎えた。教皇は「最も弱い人たち、最も傷つきやすい少数派は中南米全体が今も負っている債務だ」と述べた。歓迎式典後、教皇は都心部へ向け小型車フィアットに乗り込み、途中で専用車「パパモービル」に乗り換え移動した。沿道では市民数千人が歓迎した。政争の反映か、教皇に向かって「やめろコレア」と叫ぶ声も聞こえた。午後6時前、宿泊先のバチカン(ローマ教皇庁)使節館に到着した。押し掛けて来た信徒たちが「顔を見せて」と叫ぶ歓迎に、教皇は8時40分、外へ出てきて、歓迎に感謝、「アヴェ・マリアの祈り」を共に祈ろうと呼びかけた。そして最後に「お隣が眠れない」と帰宅を促した。
 今回の訪問は、教皇フランシスコにとって、9回目の海外司牧訪問(イタリアを除く)。南米訪問としては、着座直後の2013年のブラジル(リオデジャネイロ)に続く2回目。
 エクアドル、ボリビア、パラグアイの3カ国にとって、教皇訪問はいずれも今回が2度目。ヨハネ・パウロ2世は1985年にエクアドル、88年にボリビア、パラグアイへ最初の訪問を行っている。
 3カ国のカトリック教会も、教皇訪問に際し、「喜びをもって福音を伝えよう」(エクアドル)、「教皇フランシスコと福音の喜びを告げよう」(ボリビア)、「喜びと平和のメッセージ」(パラグアイ)などをそれぞれモットーとして掲げた。


◎教皇南米訪問に酸素ボンベやコカの葉も用意

 【CJC=東京】教皇フランシスコが7月5日からエクアドル、ボリビア、パラグアイの南米3カ国を歴訪することが決まって以来、78歳と高齢の教皇が標高4000メートル級のボリビア高地で万一のことがあっては、と健康維持のための用意も周到に進められた。
 教皇は若い時に病気で肺の一部を摘出している。体調急変に備えて酸素ボンベを携行し、高山病に効果があるとされるコカの葉をかむ対策も取られた。
 ボリビアでは、国際空港がある標高約4100メートルの町でカトリック信者と交流し、その後、標高約3600メートルの中心都市ラパスで、エボ・モラレス大統領らと面会する。高地滞在は数時間に及ぶ。身体への負担が心配されており、ボリビア政府は1日、教皇の体調管理のため、医療関係者ら約2千人を動員すると発表した。「携行できる小型の酸素ボンベや救急車を準備している」という。
 教皇は、地元住民と同じように乾燥させたコカの葉をかむことを希望しているとも報じられ、同国政府は教皇用の葉を準備して迎えるという。麻薬コカインの原料となるコカは、各国で栽培が厳しく規制されているが、疲労回復の効果などから、ボリビアでは人々が伝統的に葉をかんだり、茶として利用している。


◎ナイジェリアの教会で自爆テロ、聖職者ら5人死亡

 【CJC=東京】米メディアCNNによると、ナイジェリア北東部ポティスクムにある『レディームド・クライスト・チャーチ・オブ・ゴッド』教会で7月5日、男が自爆し、牧師1人と信者4人が死亡した。
 警察と目撃者らがCNNに語ったところによると、死者の中には子ども2人とその母親が含まれている。
 犯行声明は出ていないが、攻撃の手口や標的、場所などは、イスラム過激派『ボコ・ハラム』の過去の犯行と共通している。
ポティスクムはヨベ州の商業中心都市で、これまでもボコ・ハラムによるとみられるテロで多数の死者が出ている。


◎『イスラム国』が初めて女性を斬首

 【CJC=東京】過激武装集団『イスラム国』がシリアで初めて民間人の女性を斬首した。『シリア人権監視』団体のラミ・アブドルラーマン所長によると、斬首は東部デリゾール県で6月末に行われた。キリスト教通信ANSが報じた。
 デリゾールでは女性が夫と共に斬首された。別の1人も東南部アルマヤディーンで夫と共に斬首された。魔術を使ったことが理由とされている。これまで姦通などを理由に拘束された女性は投石で処刑されており、斬首が伝えられたのは今回が初めて。
 『シリア人権監視』は、『イスラム国』がイスラム教の断食月「ラマダン」には昼間にアルマヤディーンで男性5人を公開の場で十字架刑に処したと伝えている。


◎パキスタンのキリスト者夫婦に集団暴行

 【CJC=東京】パキスタン東部パンジャブ州マッキ村で6月30日、イスラム教を冒涜した疑いを掛けられたキリスト者夫婦が、イスラム教徒の群衆に殴り殺されそうになっていたところを、駆け付けた警察官によって救出される事件があった。AFP通信が報じた。警察は後に、事件をあおったとしてイスラム聖職者1人を拘束した。地元警察署長が7月2日、明らかにした。
 キリスト者夫婦は、さまざまな大学名とその大学のスローガンなどが書かれた古い広告用の布地を手に入れ、自宅の敷き布団に使っていた。
 そのスローガンの中から、イスラム教の聖典コーランが出典とされるアラビア文字が見つかり、地元の理髪師と聖職者2人が冒涜だとして夫婦を糾弾した。「村のイスラム教徒たちが集まり、自分たちが何をしたのか分からないままの2人を引きずり出し、殴り殺そうとしているところだった」と、警察署長がフェイスブックに投稿した。
 署長は後にAFPの取材に「警察官の到着が間に合い、2人は群衆から救助され、ラホールのキリスト教指導者らに引き渡された」と語った。
 聖職者1人は逮捕されたが、もう1人の聖職者と理髪師はいまだ拘束されていない、とAFP通信。


◎米でガールスカウトが寄付金10万ドル返還

 【CJC=東京】米ワシントン州西地区ガールスカウト連盟が10万ドル(約1200万円)の寄付金を返却した。寄付者の条件に「トランスジェンダーの少女を支援するために使用しない」としていたため。
 同連盟ミーガン・ファーランド会長は、10万ドルの寄付者が、5月に入って「トランスジェンダーの女子に寄付を使わないことを保証し、それができないのであれば返金を求める」と通達してきたと説明している。
 同連盟は「ガールスカウトはすべての女子のもの」という方針に基づき返金を決定、6月29日に新たに10万ドルの寄付を募るキャンペーンを開始した。30日朝の時点で目標額を上回る寄付が集まっていると言う。
 全米ガールスカウト連盟はこの5月に性転換少女の入隊を正式に受け入れている。


◎性的少数者が韓国・大邱で「クィア祭り」

 【CJC=東京】韓国紙『ハンギョレ新聞』によると、同国大邱市の中心部で7月5日午後、同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーなど性的少数者の祭り『第7回大邱クィア祭り』が行われた。
 大邱キリスト教総連合会は近接した場所で同性愛反対祈祷会を開いた。
 周辺の主要道路『東城路』には「同性愛はただ愛であるにすぎない」「同性愛を防ぎましょう」と書かれた横断幕が掲げられた。保守団体メンバーたちが祭りが開かれているブースの周りに来てイベントを邪魔した。
 午後5時過ぎ、『大邱クィア祭り』のメインイベントであるパレードが始まった。組織委員会は当初2・5キロをパレードをする計画だったが、保守団体との衝突を避け、経路を変更、約2キロに短縮した。
 ペ・ジンギョ組織委員会共同代表はパレード車両に上がり、参加者に向かって「今日、この堂々としたパレードで今まで皆さんの毀損された自尊心を回復し、今後の364日を幸せに暮らそう」と訴えた。
 保守団体メンバーらは十字架や「同性愛エイズ伝染危険行動」などと書かれたプラカードを持ってパレードに続いた。興奮した保守団体メンバーの一部が突然パレードの行列に飛び込み、これを防ぐ警察ともみあいになった。保守団体メンバーのイ氏と呼ばれる男性(54)はパレードが始まるとすぐ人糞をばら撒き、激しく反発した。
 この日『大邱クィア祭り』に参加した人は警察推定で約600人、保守団体メンバーは1050人と見られる。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月5日)=https://www.cwjpn.com
★沖縄・慰霊の日=カトリック平和巡礼=那覇教区 押川司教=今の政治・社会では「終戦を実感できない」
★ミサの変更=実施に向けて=司教協から小冊子発行=配布と解説、順次進める
★教皇、トリノを訪問=聖骸布の前で祈る=ドン・ボスコ生誕200年を記念
★歴史的協定に調印=バチカンとパレスチナ=2国家共存での解決支持
★バチカン=討議要綱を発表=10月の「家庭」シノドス

 =キリスト新聞(7月4日)=https://www.kirishin.com
★〝癒しの旅路〟継続訴え=マイケル・ラプスレー司祭来日=アパルトヘイト撤廃に献身
★「罪」考えずに「救い」考えられず=日本福音主義神学会東部部会に鈴木浩氏
★一連の性虐待事件で「謝罪」公表 聖公会京都教区常置委員長名で
★教皇が回勅で「環境的回心」呼びかけ
★宗教者が「戦争法案」撤回を要求

 =クリスチャン新聞(7月5日)=https://jpnews.org
★沖縄戦70年「慰霊の日」 にキリスト者の祈り=語り継ぎ、未来に平和を
★福澤牧人さんがネパール大地震現地報告=雨期を乗り切る備え必要=ユーオーディアがチャリティーコンサート
★聖学院・清水正之新学長=日本思想と信仰を講演=「国民道徳」「相対主義」超え
★「心へのケアといやし」=アルフォンス・デーケン氏講演=愛表す〝ユーモア〟を最期まで
★同志社CISMOR講演会「国際協力と宗教」=助け合う努力の積み重ね=ODAの現場から元JICA・三木隆文氏


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