世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1278信(2015.07.20)

  • 中国がバチカン任命の司教を10年経て承認
  • ローマで鉱山に関係者の現状を省察する会議
  • 聖ヨハネ・ボスコ生誕200年で教皇が書簡
  • 元気の秘訣は「薬物じゃない」と教皇
  • 教皇へのフォロワーが2200万人超す
  • 米ボーイスカウトは同性愛リーダー禁止撤廃へ
  • シリアでメルキト典礼司祭が誘拐の可能性
  • 『フランシスコ会』神父は釈放される
  • ジンバブエ教会が『性と信仰ネットワーク』設立
  • 《メディア展望》


◎中国がバチカン任命の司教を10年経て承認

 【CJC=東京】香港などのカトリック系メディアは、中国陝西省西安近郊、周至教区のマルチン・ウー・キンジン司祭(47)が7月10日、周至の『無原罪の聖母マリア大聖堂』で司教に叙階された、と報じている。
 同司祭は2005年にバチカン(ローマ教皇庁)の承認を受けて、司教に叙階されたが、中国政府が難色を示したため、「秘密叙階」となり、これまで公然と司牧活動を行うことは出来なかった。
 10日の叙階式典は、同省楡林教区のヤン・シャオティン司教と西安教区のアントニー・ダン・ミンヤン司教が共同司式した。ヤン司教は中国天主教(カトリック)司教会議副議長。司祭73人も参加した。
 「聖堂内は素晴らしい雰囲気が保たれていたが、外側には制私服の警察関係者が多数おり、緊迫した状況だった」と匿名の教区関係者はUCAN通信に語った。
 「叙階は政治的なものに過ぎない」と、「ヨセフ」と名乗った参列者の1人は語る。「表面では、ウー司教のために全てが行われたように見える。実際には叙階前夜、司祭たちは皆政府の監視下におかれていた」。
 「司祭は信徒3人だけの同行が認められ、同じ宿舎に泊められ、そして当日は一緒に大聖堂に送られた」と「ヨセフ」氏。
 「大聖堂の中では当局が電気、放送、食事から演説や垂れ幕などまで全てを事前にチェックした」と言う。
 「ヨセフ」氏によると、司教の担当教区からの記念銘板は、「信仰を守り、キリストに忠誠を」と書かれていたため、公開を許されなかった。
 バチカンに認められたものではないと見られる認証状は、式典で、省政府や北京から派遣された宗教関係者列席の下で読み上げられた。
 これまでの例から見ると、秘密裏に叙階された司教が政府の認可を得るには、教皇の指令なしに叙階された「違法司教」とミサを共同司式し、中華天主教愛国協会に加盟することが条件のようだ。
 ウー司教は、昨年「違法」の司教協議会会長マ・インリン司教とミサを共同司式したという。UCAN通信は両司教に問い合わせたが、確認は拒否された。バチカンからも司教任命が認可を得てのものとの確認を取ろうとしたものの、いまだ成功していない。
 ウー司教は、2005年に米国留学から帰国後にバチカンの承認を受けて秘密に叙階された。そのことを教区の司祭に明かしたのは06年5月22日のことだった。
 そして9月には政府の尋問を受け、大聖堂から所属不明の集団によって拉致されたが、5日後に解放されている。
 07年3月、再教育のため喚問され、所在不明となったが、西安教区の小神学校に軟禁されていることが、その後明らかになった。
 近年は監視が緩和され、訪客と会談したり、非公開にミサを行うことは出来るようになった。しかし昨年まで自身の教区に戻ることは許されなかった。


◎ローマで鉱山に関係者の現状を省察する会議

 【CJC=東京】バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇庁正義と平和評議会は7月17日、鉱山に様々な形で関わる人々の現状を省察する会議を開催した。
 「省察の日=神と一致し、叫びに耳を傾けよう」と題した、3日間にわたる会議には、アフリカ・アジア・南米から、鉱山事業による被害や搾取を受けた共同体の代表約30人が参加し、体験を分かち合い、未来に向けての行動提案を行なう。
 教皇フランシスコは、同会議に際し、教皇庁正義と平和評議会の議長ピーター・タークソン枢機卿にメッセージを託した。その中で教皇は、この会議が、鉱山事業によって直接的・間接的にネガティブな影響を受けた多くの人々、家族、共同体の叫びを反響させるものとなるようにと要望した。


◎聖ヨハネ・ボスコ生誕200年で教皇が書簡

 【CJC=東京】教皇フランシスコは、聖ヨハネ・ボスコ生誕200年に際し、サレジオ会総長に宛て書簡を送った。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。
 聖ヨハネ・ボスコ(ドン・ボスコ、1815〜88)は、19世紀の聖人・司祭。イタリア統一運動と産業革命によって社会や、都市、労働、宗教をめぐる環境が大きく変化していった時代、勤労少年や受刑者など、社会の片隅で生きる貧しい若者たちとの出会いによって、青少年教育に尽くすことを決意、「オラトリオ」を通した教育事業を開始した。59年にサレジオ修道会、72年に聖マリア・マザレッロと共同で扶助者聖母会を創立した。
 サレジオ会総長アンヘル・フェルナンデス・アルティメ神父に宛てた書簡で、教皇は、若者たちのための聖人を与えてくださった神に感謝を捧げると共に、ドン・ボスコの霊的・司牧的遺産の本質を思い起こし、それを勇気をもって生きるようにと会員らを励ました。
 ドン・ボスコが第一に教えることは、ただ見ていないで、第一線に立ち、しっかりとした宗教性に基礎を置いた、神から創られ愛された人間としての、精神面・愛情面を備えた統合的教育を若者たちに提供すること、と教皇は強調した。


◎元気の秘訣は「薬物じゃない」と教皇

 【CJC=東京】南米3カ国を歴訪した教皇フランシスコは7月13日、パラグアイの首都アスンシオンから帰国する飛行機の中で記者会見したが、元気の秘訣を記者に質問され、「薬物の摂取」は自分には必要ないと答えた。AFP=時事通信が報じた。
 「私が薬物をやっていると言いたいのだろうね!」と、教皇はジョークを飛ばし、「私を助けてくれているのはマテ茶だ」と、母国アルゼンチンで人気の伝統的なカフェイン入りのお茶の存在を挙げた。
 「コカは試したことない。それははっきりさせておかないと」と教皇は笑みを浮かべてコメントした。AFPによると、ボリビア当局は、海抜3600メートルにあるボリビア・ラパスの高度に対応するために、教皇がコカの葉をかんだことを否定しないと発表していた。


◎教皇へのフォロワーが2200万人超す

 【CJC=東京】教皇フランシスコが運営する九つのツイッターアカウントのフォロワー数が7月15日、合計で2200万人を上回った。AFP通信が報じた。ネットサイト『イル・シスモグラフォ』によると、教皇は毎日2万人のフォロワーがいたが、このほど南米を訪問した8日間では2万9000人に上昇した。
 教皇のアカウントは9言語で編成されている。最も多いのは教皇の出身地アルゼンチンの母語スペイン語のアカウントで900万人を超える。次いで英語が約650万人。
 ツイッターの内容は、教皇の説教や演説の中から担当者が引用、作成し、教皇の承認を得たものという。
 AFP通信によると、教皇もバラク・オバマ米大統領のフォロワー6000万人には及ばない。世界でもっともフォロワーを持っているのは米国のエンターテイナー、ケイティ・ペリーで7250万人とか。


◎米ボーイスカウトは同性愛リーダー禁止撤廃へ

 【CJC=東京】米ボーイスカウト連盟常議員会は、同性愛リーダー禁止撤廃を大多数の賛成で決定した。これを受けて全国理事会が方針変更について7月27日採決する。全国理事会が変更を決定すれば、即時施行することになる。
 今回の提案では、各隊は、成人リーダーを決定する際に、その信仰が隊員の信仰と合致する人を選ぶことは可能としている。


◎シリアでメルキト典礼司祭が誘拐の可能性

 【CJC=東京】アッシリア人権団体の発表としてバチカン(ローマ教皇庁)のフィデス通信は、シリア南部スワイダー県シャーバのメルキト典礼カトリック教会のアントワーヌ・ブートロス司祭(50)が7月12日、近隣のサマ・ヒナダート町へ日曜ミサ執行のため自動車で出掛けたが、到着せず、運転していたアルサイード・アブドゥン氏ともども行方がつかめていない、と報じた。
 カネ目当ての拉致か、過激派ジハーディストの犯行の可能性がある、と同通信は見ている。


◎『フランシスコ会』神父は釈放される

 【CJC=東京】シリアで宣教活動をしているカトリック修道会『フランシスコ会』のディーヤ・アジズ神父は7月4日から連絡が取れなくなり、拉致されたと見られていたが、9日、過激派勢力『アルナスラ戦線』によって釈放された。同勢力は、拉致には関与していない、と主張している。


◎ジンバブエ教会が『性と信仰ネットワーク』設立

 【CJC=東京】性的差別の是正に向けて教会が取り組みを強化するため、『性と信仰ネットワーク』をジンバブエ教会協議会(ZCC)が設立した。ZCCが6月29日から7月2日まで、北東部ニャンガで開催した準備会議の席上行われた。
 各教会が性的格差などについて、正義の視点から向き合い、深い洞察と感覚をもって地域社会に貢献出来るようにする狙い。
 ネットワーク設立には世界教会協議会のHIV/AIDS対策ハラレ事務所が協力した。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月19日)=https://www.cwjpn.com
★教皇、南米3カ国を歴訪=エクアドル訪問=福音の力を伝える
★外国人"使い捨て"=国会上程中の法案は「問題」=移住連、参院議員会館で集会=外国籍信徒に大きな影響与える可能性も
★思春期の心に焦点=児童施設協会の全国会議=金沢
★「時のしるし」伝えた60年=新しい宣教に挑戦へ=月刊誌『あけぼの』休刊=女子パウロ会
★教会と精神科医=互いの協力不可欠=独自活動の濱田秀伯医師に聞く

 =キリスト新聞(7月18日)=https://www.kirishin.com
★リアリティある物語として=ドン・ボスコの生涯を漫画化=監修・浦田慎二郎神父インタビュー
★この時代に見張り人として立つ=日本同盟基督教団が戦後70年宣言
★贈答用に使えるギフトカタログを=8月に関係者ら集うイベントも
★結果に執着せず今やるべきことを 日本臨床パストラルケア研究会に河野義行氏
★立教大で映画「ルンタ」上映会=「チベット人の非暴力に学びたい」学生が企画

 =クリスチャン新聞(7月19日)=https://jpnews.org
★BREAK THROUGH=世界最大級の教会学校主任牧師ビル・ウィルソン氏来日=「あなたは何を見ているか」=一人の人が変化生み出せる
★被災地支援拠点のクリスチャンキャンプ場=被災した礼拝堂再建=復興のシンボルMorigo礼拝堂で感謝礼拝
★日本宣教学会が10年=「小さき者の視座で」=本田哲郎氏=福音宣教を議論
★北星学園・高橋一理事=明治学院で講演=大学の自治、キリスト教主義の課題投げかける
★海外版「県人会」発足で松本章宏氏=一緒に網を引く者に


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