世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1280信(2015.08.03)

  • 教皇訪問の直前、米国で歓迎熱が急冷?
  • 教皇がiPadで「世界青年の日」参加登録
  • ブラジルで修道女殺害
  • 北で拘束のカナダ人牧師が「体制転覆」告白
  • 中国が『全能神』信者14人を投獄
  • 中国温州で教会の十字架撤去にキリスト者抗議
  • イスタンブールで『イスラム国』リーダー逮捕
  • クルド武装組織との和平「不可能」とトルコ大統領
  • 「拘束、政府として確認せず」と菅官房長官
  • WCC代表団が核の脅威の終結求め広島・長崎巡礼へ
  • 欧州在住ユダヤ人のスポーツ祭典が独で初めて開催
  • キエフで聖職者の頭に何者かが2度発砲
  • 米の「ヘビ遣い」教会で噛まれた信者が死ぬ
  • 《メディア展望》


◎教皇訪問の直前、米国で歓迎熱が急冷?

 【CJC=東京】英紙『フィナンシャル・タイムズ』が7月28日付けで、「9月の教皇訪米を前に、米国人、特に保守派が78歳のアルゼンチン人教皇に対して冷たくなったように見える」という記事を掲載した。
 教皇フランシスコが2013年にカトリック教会のトップに選出された時、米国のカトリック教徒の間では、新教皇の謙虚なスタイルや改革志向の計画、新大陸のルーツが米国における教会の命運を復活させるかもしれないとの期待が沸き起こった。
 しかし米ギャラップ調査では、米国人の間で教皇を好意的に見ている人の割合は14年2月の76%から59%に低下した。これは前教皇のベネディクト16世への評価を上回っているものの、ヨハネ・パウロ2世が教皇在任中にほぼ一貫して記録していた水準を下回る。
 『フィナンシャル・タイムズ』紙は、これを「明らかな幻滅感」とし、グローバル資本主義に対する教皇フランシスコの批判がここ数カ月でエスカレートした後に生じたものと言う。
 教皇は7月の中南米訪問で、縛りのない自由市場を「悪魔の糞」「狡猾な独裁」と呼び、先頃の回勅では、自然を略奪しているとして大企業を非難した。
 「教皇のメッセージに、米国が特に厳しい観衆であることは間違いない」と言うのは、ボストンのカトリック系ウェブサイト『クラックス』のジョン・アレン副編集長。
 「ある意味で、彼はとにかく我々の教皇ではないという認識がある。それは反資本主義がどうこうというだけでなく、中心よりも周縁を持ち上げる教皇の意欲の問題もある。大半の基準で我々(米国)は中心だ」
 教皇が、ボリビアのエボ・モラレス大統領から贈り物としてハンマーと鎌を象った十字架を受け取ったことも、本能的に社会主義を警戒し、場合によっては嫌悪感を覚える多くの米国人にとって、特に不愉快だったかもしれない、と言う。
 「ポーランド人のヨハネ・パウロ2世とドイツ人のベネディクト16世の時は、保守派はバチカンが完全に共産主義に反対していることが分かっていた」と言うのは、英国のカトリック週刊誌『タブレット』のキャサリン・ペピンスター編集長。
 「だが、フランシスコについては、それほど確信を持てない。保守派は、中南米出身というルーツから、教皇は解放の神学者で隠れ左派だと心配している」
 失望感は、米国の保守派の間で広がっていると見られる。保守派層では、教皇フランシスコに好意的な人が72%から45%に落ち込んだ。
 リベラル派も熱意を失っているようだ。左寄りの米国人の教皇支持率は、ギャラップの調査で82%から68%に低下した。
 教皇が同性愛や離婚、女性司祭職に対するカトリック教会の頑なな態度を和らげるために十分迅速に動いていないことが原因である可能性がある。
 『フィナンシャル・タイムズ』紙の指摘に、肝心のバチカン側の見方は、となると「教皇はカトリック教徒であり、右派でもなければ左派でもない」と静観の構えのようだ。


◎教皇がiPadで「世界青年の日」参加登録

 【CJC=東京】教皇フランシスコは7月26日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で行われた「お告げの祈り」に臨み、集まった信者らを前に、タブレット型端末『iPad』(アイパッド)」を使って、来年ポーランドのクラクフで開催される「世界青年の日」の祭典への参加登録を済ませた。
 このイベントへの登録は教皇が一番乗り。


◎ブラジルで修道女殺害

 【CJC=東京】ブラジル・サンパウロ州グアラティングエタの『ラ・エストレラ・ドラッグ・リハビリテーション・センター』で7月24日、イルマ・オデテ・フランシスカ修道女(65)が強盗に襲われ、背中を8カ所ナイフで刺され死去した。
 フランシスカ修道女は、『シエッセンのフランシスコ姉妹会研究所』の会員。バチカン(ローマ教皇庁)のフィデス通信が報じた。


◎北で拘束のカナダ人牧師が「体制転覆」告白

 【CJC=東京】人道援助活動のために北朝鮮を訪問中の1月に身柄を拘束された韓国系カナダ人のイム・ヒョンス牧師(60)が7月30日、平壌の人民文化宮殿で記者会見した。会見には北朝鮮メディアの他、中国など現地駐在メディアの記者も出席した。イム牧師が公の場に姿を表すのは拘束後初めて。
 記者会見の席でイム牧師は、北朝鮮の体制転覆を狙った活動を行っていたこと、2月にエボラ出血熱の侵入防止措置に違反して「違法に」平壌に入ったことを告白したという。
 イム牧師は1月30日に中国経由で北朝鮮入りした。同牧師は、カナダ・オンタリオ州ミッシサウガの『ライト・コリアン長老教会』を主管している。信徒は約3000人という。
 同教会は北朝鮮北東部の羅津で孤児院や保育所、老人介護施設などを運営しており、ライザ・パク報道担当は、イム牧師の渡航は「定期的なもの」だったと述べている。
 パク報道担当は7月30日、CNNに寄せた声明で「イム牧師に対する罪状や容疑についてコメントはない。ただ、イム牧師自身が開始し、支えてきた北朝鮮における人道援助活動は、人々の暮らしを向上させるためだった」と指摘した。
 パク担当はまた「イム牧師が100回以上も渡航する動機になったのは、北朝鮮の人々への大きな愛だった」と主張している。
 イム牧師は記者会見で「援助の名目で北朝鮮各地を訪ねた目的は、政府転覆に向けた基礎を築き、米韓両政府の政策に利するような宗教国家を作るためだった」と述べたという。
 牧師は8月2日、平壌の鳳岫(ポンス)教会で礼拝に参加した。牧師は、参加者らの前で「懺悔するためこの場に立った」と"反省"の弁を述べた。
 カナダ外務省は「問題解決に努力しているが、新たな情報を得てはいない」と、牧師の釈放については確認していない。
 イム牧師は夫人と共に韓国から1986年にカナダへ移住した。


◎中国が『全能神』信者14人を投獄

 【CJC=東京】中国の裁判所2カ所が、新興宗教『全能神』の信者14人に禁固18カ月から3年の判決を下していたことが明らかになった。
 東北部遼寧省盤錦市の裁判所は7月25日、「カルト」を広めようとしていたとして信者5人を有罪とした。
 中部湖北省シキ県の裁判所も7月26日、「カルト組織を使って法の公使を阻害した」として信者9人を有罪にしている。


◎中国温州で教会の十字架撤去にキリスト者抗議

 【CJC=東京】時事通信などによると、中国浙江省温州市のキリスト者らが最近、地元当局による十字架撤去の動きに反発を強め、抗議活動を行っている。
 温州市はキリスト者が多いことで知られる。当局は2014年ごろから、キリスト教に対する締め付けを強化。「違法建築」を理由に教会の屋根にある十字架の撤去を進め、信者との間で摩擦が起きていた。
 米国の中国語サイト博訊新聞網は、カトリック温州教区全体聖職者が7月28日アピール文を発表し、「十字架を守るため、わたしたちは闘っていく」と宣言した。


◎イスタンブールで『イスラム国』リーダー逮捕

 【CJC=東京】ロシアの通信『スプートニク』によると、トルコ警察がイスタンブールで行った特殊作戦で、過激派集団『イスラム国』のリーダーの1人、ハリス・バイアンスク氏が、自宅で妻とともに逮捕された。
 バイアンスク氏はアブ・ハンザラの名でも知られる。イスタンブールで『イスラム国』戦士の勧誘や、プロパガンダ用の記事の作成を行っていたという。


◎クルド武装組織との和平「不可能」とトルコ大統領

 【CJC=東京】トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は7月28日、アンカラで会見し、少数民族クルド人の非合法武装組織『クルディスタン労働者党』(PKK)との和平交渉について、「国家の統一と連帯を脅かす者と和平交渉を進めることは不可能だ」と述べた。交渉の破綻を示唆したと見られる。
 大統領は憲法で政治的中立を求められており、実際の和平交渉はアフメト・ダウトオール首相が担う。首相は、トルコ軍がテロ対策としてPKK拠点空爆を再開した後の7月25日、和平交渉について「歴史的かつ戦略的に重要であり、我々は支持する」とし、引き続き交渉を推進する考えを示している。


◎「拘束、政府として確認せず」と菅官房長官

 【CJC=東京】シリア取材に向かったフリージャーナリストの安田純平氏(41)と連絡が取れない状態が1カ月以上続き、過激派組織に拘束されている可能性も指摘されている。
 菅義偉官房長官は7月31日午後の会見で、「そうした報道があることは承知している。政府としては、ありとあらゆる情報網を関係方面に駆使しながら情報収集に努めている」「拘束されたことについては、政府として確認していない」と述べた。
 菅官房長官は7月9日の会見でも「邦人ジャーナリストが拘束されているという情報には接していない」と述べていた。
 安田氏は2004年にイラクで武装勢力に拘束された経験があり、解放後もシリアやイラクで取材を続けてきた。


◎WCC代表団が核の脅威の終結求め広島・長崎巡礼へ

 【CJC=東京】米、独、日、韓国、ノルウェー、オランダ、パキスタンなど世界教会協議会(WCC)加盟7カ国の教会指導者たちが、8月初旬から、70年前の原爆で多く死者を出した広島と長崎への巡礼を始める。WCCが発表した。
 1945年8月6日と9日の原爆投下を覚え、広島と長崎の両市を訪問する。


◎欧州在住ユダヤ人のスポーツ祭典が独で初めて開催

 【CJC=東京】欧州などに住むユダヤ人による、4年に1回のスポーツの祭典『欧州マカビ競技会』が7月28日始まった。
 大会は今回で14回目。第二次世界大戦終結から70年、ドイツとイスラエルの国交樹立50年という二つの節目を記念し、初めてのドイツ開催。
 メイン会場は、ナチスが国威発揚に利用した1936年のベルリン五輪の会場。ヨアヒム・ガウク大統領は「歴史の曲折を経て、ユダヤ人のアスリートたちがここに集まった。全ての人々に寛容の精神と、互いの良き未来を願う心を期待する」と演説した。
 8月5日まで欧州を中心に世界約40カ国から約2200人が参加する。


◎キエフで聖職者の頭に何者かが2度発砲

 【CJC=東京】ウクライナの首都キエフのスターリングラード英雄広場で7月26日未明、何者かがウクライナ正教会ロマン・ニコラエフ教会の主任司祭の頭をめがけて2度発砲した。司祭は一命を取り留めたものの重体だという。
 警察は犯人を2人と見て、捜査を行っている。ロシア通信『スプートニク』が報じた。


◎米の「ヘビ遣い」教会で噛まれた信者が死ぬ

 【CJC=東京】米ケンタッキー州ベル郡の『モシー・シンプソン・ペンテコスタル教会』で7月26日、日曜朝の礼拝の際、信者のジョン・デービッド・ブロックさんが毒蛇に噛まれた。ブロックさんは治療を拒否し、4時間後に兄弟宅で死去した。
 郡警察が調査しているが、ブロックさんは健康問題を抱えており、それが蛇毒に影響した可能性もある、と言う。
 ブロックさんは36年間、鉱山労働者として働き、『ホーリネス』の熱心な信者だった。同派の教会の中には、礼拝の中で蛇を扱うところがある。それは新約聖書マルコによる福音書16章18節を根拠にしている。
 そこには、「信じる者には次のようなしるしが伴う」として、「手で蛇をつかみ、また、毒を飲んでも決して害を受けず、病人に手を置けば治る」 と記されている。
 そこで『ホーリネス』の信者は、神が蛇の噛むのを止め、噛んでも、神が毒から救う、と信じている。
 ケンタッキー州では1942年以来、「蛇遣い」を違法としているが、今日でも「蛇遣い」を行うホーリネス教会は、ジョージア、アーカンソー、ミシシッピ、アラバマなど南部諸州に存在する。礼拝時に礼典の一部として実施しているのは300教会と見られる。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(8月2日・休刊)=https://www.cwjpn.com

 =キリスト新聞(8月1日)=https://www.kirishin.com
★戦後70年企画連続インタビュー「本紙標語の実質を問う」(1)島薗 進氏=宗教は「人間の安全保障」の基礎
★日基教団「平和を求める祈り」公開
★安保関連法案に聖公会が緊急声明
★安保関連法案でキリスト者も集会
★衆議院での強行採決に抗議

 =クリスチャン新聞(8月2日)=https://クリスチャン新聞.com
★「戦争には意味がない」=「信州夏期宣教講座エクステンション」で渡辺信夫氏証言
★噴火事故の御岳山麓で「星野富弘 花の詩画展」=皆さんの心 癒されるように
★「安保反対」騒然の国会前で祈り=為政者、平和のため=牧師、信徒、学生ら自発的に駆けつけ
★東京オリンピックを覚える集会=教会とスポーツ界に仕える=教育・パラリンピック・アジア・東北とも連携
★十字架の愛を叫ぶ=クリスチャン・ロック専門レーベル=「Calling Records」設立

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