世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1283信(2015.08.24)

  • 『カナダ合同教会』と米UCCがフルコミュニオン関係に
  • 「いつくしみの聖年」控えバチカンに巡礼者専用通路
  • キューバで「聖書ブーム」発生
  • 『イスラム国』がシリアの著名考古学者を斬首
  • 『イスラム国』がシリア中部で修道院破壊
  • 世界遺産のパルミラの神殿を『イスラム国』が爆破
  • 韓国・延世大学工学部で「創造科学」講義
  • 《メディア展望》


◎『カナダ合同教会』と米UCCがフルコミュニオン関係に

 【CJC=東京】カナダのプロテスタント最大教派『カナダ合同教会』と米『合同キリスト教会』(UCC)が「フルコミュニオン」関係に入ることになった。
 『カナダ合同教会』は1925年、長老派、メソジスト、会衆派が合同して成立した。
 米『合同キリスト教会』は1957年、会衆派と改革派とで形成され、一時は信徒200万人を擁していたが、現在は97万9000人と半減状態。バラク・オバマ大統領も所属しているという。
 両教会は、LGBT(女性同性愛者、男性同性愛者、両性愛者、性同一性障害含む性別越境者などの人々を意味する頭字)を受け入れ、女性聖職などを含め社会正義と平和問題に積極的であることなどで類似性が認められる。

※注=フルコミュニオンとは、それぞれの教会が相互に同じ教理を分かち合う。相手の聖餐に参加するので、「完全相互聖餐(完全相互陪餐)」と日本語に訳せるが、原義では相手の教職を認めることなども含まれる。


◎「いつくしみの聖年」控えバチカンに巡礼者専用通路

 【CJC=東京】今年12月8日開幕する「いつくしみの特別聖年」で、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂の「聖年の扉」を目指す巡礼者のために、専用の通路が設けられることが明らかになった。
 教皇フランシスコは、選出から2年を迎えた今年3月13日、「いつくしみの特別聖年」開催の旨を発表。4月11日、「神のいつくしみの主日」の第一晩課の際に、特別聖年布告の勅書を正式に発表した。
 「御父のように、いつくしみ深い者となりなさい」(ルカ6・36)をモットーにしたこの特別聖年は、今年12月8日、「無原罪の聖母」の大祝日、サンピエトロ大聖堂の「聖年の扉(ポルタ・サンタ)」の開門により始まり、2016年11月20日、「王であるキリスト」の大祝日にこの扉を閉じることで終了する。
 聖年中、大聖堂の「聖年の扉」をくぐるために多くの巡礼者が訪れることが予想されるのに対応して、聖年の運営に当たる教皇庁新福音化推進評議会が、巡礼を行なう人のための専用の歩行者通路を設置する予定である、と発表した。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、この専用通路は、聖天使城(カステル・サンタンジェロ)から始まり、大聖堂に向かうメインストリートであるコンチリアツィオーネ通りに沿って続き、ピオ12世広場を経て、サンピエトロ広場へと向かう。


◎キューバで「聖書ブーム」発生

 【CJC=東京】米国との国交回復に踏み切ったキューバでは、キリスト教に対しても抑圧姿勢が弱まったことから、1959年の社会主義革命以降初めて、カトリック教会の建設が進められるなど、宗教活動の自由化がどれほど進むか注目される事態になっている。
 これまで教会の中でだけ使用が認められる一方、一般書店では販売出来なかった聖書も5月には規制が撤廃された。
 聖書の需要、さらにはキリスト教への関心が高まったことを、「聖書ブーム」と呼ぶ向きもある。7月に宣教団体がキューバに送り出した聖書は8万3000冊に上ると見られる。
 米国聖書協会(ABS)は、「人口1100万、識字率もほぼ100%のキューバでは、社会的・経済的・政治的改革の中でキリスト教も予想以上に成長している。それはキューバ市民の多くが、神の言葉の中に生きる指針を見出したいと考えているからだ」と指摘する。
 この9月、米国の前に教皇フランシスコが来訪することへの期待も高まっている。教皇が米国とキューバの関係修復に努めたことは広く知られている。


◎『イスラム国』がシリアの著名考古学者を斬首

 【CJC=東京】イスラム教過激派組織『イスラム国』は8月18日、シリア中部パルミラで遺跡の発掘・保全に当たっていた著名な考古学者ハレド・アサド氏(82)を斬首した。
 『アラブ・イギリス理解推進協議会』(CAABU)の責任者クリス・ドイル氏は、英紙『ガーディアン』に、アサド氏が1カ月以上前に『イスラム国』に拘束され、パルミラの古代の文化財について尋問を受けていたが、協力を拒否したために処刑されたと述べている。
 パルミラの遺跡は、約2000年の歴史があるシリアを代表する遺跡の一つ。1980年には、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産に登録された。


◎『イスラム国』がシリア中部で修道院破壊

 【CJC=東京】イスラム教過激派組織『イスラム国』は8月20日、シリア中部カルヤタインで、シリア典礼カトリック教会の聖エリアン修道院を破壊した。
 『イスラム国』は、同修道院が「神以外の崇拝に使われていた」との名目で、ブルドーザーを使った破壊行為に及んだという。


◎世界遺産のパルミラの神殿を『イスラム国』が爆破

 【CJC=東京】イスラム教過激派組織『イスラム国』は8月23日、シリア中部パルミラで、世界遺産に認定された古代都市遺跡の中でも保存状態がよいバール・シャミン神殿を爆破した。
 AFP通信によると、シリア文化省で文化財保護を担当するマムーン・アブドルカリム氏は、『イスラム国』が大量の爆発物を仕掛けてバール・シャミン神殿を爆破したとし、「神殿内部は破壊され、神殿を囲む列柱も倒壊した」と語ったという。
 パルミラではこれまでに墓やライオン像などを『イスラム国』が破壊してきたが、神殿の破壊は今回が初めて。


◎韓国・延世大学工学部で「創造科学」講義

 【CJC=東京】進化論に対抗して、"聖書無誤謬"を主張する「創造科学」論が韓国のプロテスタント系『延世(ヨンセ)大学』で、9月から始まる2学期の授業として開設される。日刊紙『ハンギョレ新聞』(日本語電子版)が報じた。担当はチェ・ユンシク電気電子工学科教授。同大では14年前にも同じ授業が開設されたことがあるという。
 受講申請を控え、学生たちはフェイスブックを通じて「総合大学であんな科目を教えるのは国際的な恥さらし」「この科目の開設が容認されたら、アフリカのブードゥー教の呪術も医学と認定しなくてはならない」などと批判している。
 同紙によると、講義開設者のチェ教授は8月10日、「創造論が正しく、無条件に進化論が誤りだという趣旨ではないが、当惑している」と語った。チェ教授は「キリスト教徒として工学を学び教える立場で、信仰と科学の間の悩みを感じてきた。このような悩みを学生と話してみようということであり、創造科学を育成しようというものではまったくない」と語った。
 これに対し科学哲学者であるソウル大のチャン・デイク自由専攻学部教授は11日、「授業計画書によれば創造科学を科学として教えようとしている。定説を否定するニセ学問を一つの考えとしてでなく一定の理論かのごとく教えようとするのは、教育者の義務に反する」と指摘した。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(8月23日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=家庭にはお祝いが必要=生活が真に人間らしくなる
★教皇、9月1日を環境保護の祈願日に
★宗派超え 広島でシンポ=「二度と戦争を起こさない」
★地元の人員増など検討=東北被災地の支援者ら会議=仙台・元寺小路教会
★髙見大司教=米国務次官と会談=核兵器問題など意見交換

 =キリスト新聞(8月22日・休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(8月23日)=https://クリスチャン新聞.com
★原爆投下70年目=広島・長崎の教会=武力によらない愛による平和実現を=広島・長崎キリスト者共同平和アピール
★第21回英連邦戦没捕虜追悼礼拝=和解は困難、だから続ける=アジア太平洋への戦争責任、歴史認識を問う
★ヤスクニの闇に灯を!第10回キャンドル行動=安保、派兵の矛盾を問う
★卞牧師裁判=高裁控訴棄却=最高裁上告へ
★『われ土方なれど』著者=全日本リバイバルミッション主幹=滝元明氏逝去

月別の記事一覧