世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1286信(2015.09.14)

  • 教皇が婚姻無効裁判の効率化促す自発教令
  • キューバが教皇訪問控え囚人3522人釈放へ
  • 教皇のアフリカ訪問は11月25〜30日に
  • 米長老教会が同性愛者の結婚式挙行
  • 米カリフォルニア州議会で「死ぬ権利」法案可決
  • 北アイルランド自治政府崩壊の危機?
  • ロシアでキリストの創造神名乗る教祖逮捕
  • ≪メディア展望≫

◎教皇が婚姻無効裁判の効率化促す自発教令

 【CJC=東京】教皇フランシスコは9月8日、婚姻無効裁判の効率化を促す2件の自発教令を発布した。バチカン放送(日本語電子版)などが報じた。
 カトリック教徒が結婚の事実を取り消す「婚姻無効」の手続きを改正するもの。寛容な教会を目指す改革の一環と見られる。
 カトリック教会は伝統的に民法上の離婚を認めず、教会裁判所が特別な場合のみ、婚姻無効を宣言してきた。この手続きを経ずに離婚して再婚した場合は姦淫(かんいん)の罪を犯したとみなされ、一部の儀式に出ることを禁じられる。
 教皇はかねて、婚姻無効の手続きには数年にも及ぶ期間と多額の費用がかかることを指摘し、「あきらめてしまう人も多い」と懸念を示していた。
 自発教令は、『ミティス・ユデックス・ドミヌス・イエズス』と、『ミティス・エト・ミゼリコルス・イエズス』の2件。「温和な裁判官、主イエス」の意味を持つ前者はラテン教会法に、「温和でいつくしみ深きイエス」の意味を持つ後者は、東方教会法に対応して記された。
 教皇は教令の前文で、キリスト教的家庭の基盤・原点である婚姻の、信仰と教えにおける一致を保護することは教会の課題であると強調した。
 一方で、多数の信者たちが婚姻問題に関する自分の良心に対処することを望みながらも、教会の裁判システムへの物理的・精神的距離から、それを諦めていることが多いとも指摘した。
 教皇は、2014年10月に開かれた前回のシノドス(世界代表司教会議)でも、婚姻無効裁判の迅速化と近づき易さを望む意見が司教たちから上がったことを踏まえ、婚姻の無効を促進するためではなく、裁判の迅速性を図る意味で、この教令を記したと述べている。
 婚姻無効裁判は、婚姻の「無効」(本来の無効性)を審理するもので、有効な婚姻を「無効化」するためのものではないと再確認した上で、今回の改革の主な要点を示している。
 婚姻の無効が宣言されるためには、これまでは同一の判決が二つ必要とされていたが、ただ一つの判決で十分と変えられた。
 また、この改革では、婚姻無効裁判の中心を司教に置いている。各教区司教は教区の裁判所を設け、その長は常に1人の聖職者でなくてはならない。裁判官団が構成できない場合は、聖職者であるただ1人の裁判官でよい。
 さらに、教令は、裁判の無償性を述べている。裁判所の人員への適切で尊厳ある報酬の他は、裁判の進行にかかる費用の無償を保証するよう求めている。
 AFP通信は、バチカン(ローマ教皇庁)の専門家らが、これまで1年にわたって検討してきたと報じている。
 『婚姻の無効化に関する検討委員会』を率いてきたピオ・ビト・ピント枢機卿は記者団に、今回の改革は18世紀半ば以来最大のものと述べた。
 手続きを簡素化したことで、今後手続きの申請増加が見込まれるが、ピント枢機卿は、この書簡は婚姻無効化が認められる特別な条件を改めるものではないと述べ、今回の改革が事実上、教会による離婚の承認につながるのではという見方を払しょくした、とAFP通信。


◎キューバが教皇訪問控え囚人3522人釈放へ

 【CJC=東京】キューバ政府は、教皇フランシスコが9月19〜22日に同国を訪問するのを前に、囚人3522人の釈放を決めた。共同通信が、キューバ共産党機関誌『グランマ』の11日報道として伝えた。
 釈放の対象は、罪状が比較的軽微な高齢者や未成年者、病気を患っている者など。「国家の安全を脅かした罪」を犯した者は「人道的な理由」がない限り対象外で、反体制派の政治犯は原則として含まれていないと見られる。
 キューバ政府は1998年の教皇ヨハネ・パウロ2世の訪問後にも約100人の政治犯を釈放。教皇ベネディクト16世の訪問を控えた11年にも政治犯を含む2900人の釈放を発表している。


◎教皇のアフリカ訪問は11月25〜30日に

 【ローマ=CJC】聖座(バチカン=ローマ教皇庁)報道事務所は9月10日、教皇フランシスコのアフリカ訪問の日程を発表した。
 教皇はまず11月25日から27日にケニアを訪問、続いて27〜29日にウガンダ、最後に中央アフリカを29、30の両日訪問する。


◎米長老教会が同性愛者の結婚式挙行

 【CJC=東京】米長老教会(PCUSA)が9月3日、同性愛者間の結婚式をケンタッキー州ルイビルにある本部のプレスビテリアン・センター・チャペルで挙行した。折しも同日、自らのキリスト教信仰と矛盾するとして、同性カップルへの婚姻証明書の発行を拒んでいた同州ローワン郡のキム・デービスさんが、連邦地裁判事によって収監されている。
 挙式したのはポール・ケンプ、ロブ・ガルトニーの2人。司式はデービッド・マクスウエル牧師が行い、友人、家族、職場の同僚などが立ち会った。
 マクスウエル牧師は、コリントの信徒への手紙一13章をもとに、社会と教会との間には結婚に関する意見で違いがある、として「聖書的な結婚の概念は、現代の考えとは非常に異なっている」と説教した。


◎米カリフォルニア州議会で「死ぬ権利」法案可決

 【CJC=東京】米カリフォルニア州の議会が、安楽死や尊厳死をめぐる「死ぬ権利」法案を賛成多数で可決した。ジェリー・ブラウン州知事が法案に署名すれば発効する。
 法案が提出されたのは、2014年11月、末期の脳腫瘍と診断され、カリフォルニア州から、尊厳死が合法化されているオレゴン州に移住したブリタニー・メイナードさんの死。メイナードさんはインターネット上に動画で尊厳死を予告する映像を公開、実行した。
 同州下院では法案を賛成43、反対34で、州上院でも賛成23、反対14で可決した。
 カリフォルニア州で法案が発効されれば、「死ぬ権利」を認めるのはモンタナ州、オレゴン州、ワシントン州、バーモント州、ニューメキシコ州に続いて6番目となる。


◎北アイルランド自治政府崩壊の危機?

 【CJC=東京】英国とアイルランドが、北アイルランド自治政府の政治的危機について、プロテスタントとカトリック双方に権力分担政府を維持するよう求め、事態の鎮静化を模索している、とロイター通信が伝えた。
 カトリック過激派のアイルランド共和軍(IRA)の元メンバーが殺害されたことをめぐる混乱で、自治政府のピーター・ロビンソン首相が9月10日辞任、1998年の和平合意以来の危機となっているもの。
 アイルランドのエンダ・ケニー首相は、権力分担政府の崩壊回避の可能性は限定的とし、崩壊すれば通常の議会再開に戻すには時間がかかるとの見方を示した。


◎ロシアでキリストの創造神名乗る教祖逮捕

 【CJC=東京】ロシア治安当局は9月14日までに、自らを「私はクージャ神。キリストを創造した」などと名乗る新興宗教団体の教祖、アンドレイ・ポポフ容疑者(38)を詐欺容疑で逮捕した。
 インタファクス通信によると、治安当局の家宅捜索で、モスクワの教団施設から約9000万円相当の現金を発見した。。
 当局はポポフ容疑者とその教団を危険視し、信者への虐待容疑などで捜査を開始。昨年の家宅捜索で約4億8000万円相当の現金、大蛇や希少動物を押収するなど、教団の監視を強めていた。
 ポポフ容疑者は、元信者への暴力や周辺住民とのトラブルが絶えなかったとされる。
 同容疑者は勾留にあたっての審問で「目がよく見えない」などと述べ、無罪を主張している。時事通信によると、風貌などから、ロシア政府系テレビは、オウム真理教元代表の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚に例えたことがある。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(9月13日)=https://www.cwjpn.com
★全宇宙の美しさのうちに=神を思い、生命を守るように=教皇「世界環境保護祈願の日」
★教皇=いつくしみの特別聖年=「誰も排除しない」と強調
★ミャンマー少数民族=難民、深刻な人権侵害=ロヒンギャへの迫害続く=安藤勇神父に聞く
★過去最高107組集う=布池教会で結婚誓約更新式=名古屋
★着座記念="松浦"ワインで被災地支援=名古屋=「AJU自立の家」小牧ワイナリー

 =キリスト新聞(9月12日)=https://www.kirishin.com
★安保法案に抗う〝うねり〟を=「殺さない、殺させない」学者・宗教者が声上げる
★「学者の会」会見にキリスト教大学も
★都教職員有志がメッセージ=〝教室に平和の種を〟1千人超が賛同★点字月刊誌『信仰』が100周年=戦時中も途切れず「日本の盲界の光に」
★魂への配慮に生きる共同体に=DPC主催デール記念講演に加藤常昭氏

 =クリスチャン新聞(9月13日)=https://クリスチャン新聞.com
★9・1PPM@国会2=大学生、憲法研究者=安保法案に対し発言=怒りでなく希望に向かって
★国会前デモに駆けつけた牧師、信徒ら=平和を願い祈る
★脱カルト協会創立20周年で「公開講座」=裁判より予防が大切
★上智・立教有志=安保法案廃棄求め集会=「学生に武器取らせない」=ミッション系大学・教会関係者ら参加
★だれの子どももころさせない=ママの会・相模原市でデモ

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