世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1294信(2015.11.09)

  • アルバニアのティラナで「迫害世界フォーラム」
  • 就任直後の教皇がバチカン放漫財政に激怒
  • 機密漏えいでバチカン高官ら2人逮捕
  • 「機密資料を盗み出すことは罪」と教皇
  • 米聖公会に最初のアフリカ系総裁主教
  • 中国が宗教示す服装を規制対象に
  • チェチェン大統領が暗殺計画者らを許す
  • ≪メディア展望≫


◎アルバニアのティラナで「迫害世界フォーラム」

 【CJC=東京】「差別、迫害、殉教=キリストに共に従う」をテーマにアルバニアの首都ティラナで11月2日から4日まで「グローバル・クリチャン・フォーラム」が開催された。
 「差別、迫害、殉教=キリストに共に従う」をテーマにしたこのフォーラムには、カトリック、正教会、プロテスタントの教会関係者が集い、世界のキリスト者の現状を語る声に耳を傾けた。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、3日間の開催期間中、参加者らは毎朝ティラナの正教会の司教座聖堂、アルバニア福音教会センター、カトリック司教座聖堂に集い、ただ一つの苦しむ教会としての歩みに一致、連帯できるよう祈った。
 フォーラム参加者に宛て教皇フランシスコはメッセージを送った。メッセージは、教皇庁キリスト教一致推進評議会議長クルト・コッホ枢機卿によって読み上げられた。
 この中で教皇は、中東や、アフリカ、アジアなど各地で広がるキリスト者に対する差別と迫害に、深い悲しみと憂慮を示した。
 時に命を犠牲にするまでに、キリストを証しする多くの兄弟姉妹たちの苦しみにわたしたちは無関心でいることはできないと教皇は強調した。
 これらキリスト者たちの苦難と殉教は、カトリックや、正教会、聖公会、プロテスタント諸教会にとって共通の体験であると述べた教皇は、洗礼を受けたすべての人はキリストの体、キリストの教会に属しているということを、今日の殉教者たちがわたしたちに理解させてくれるようにと祈った。
 そして、すべてのキリスト者たちがこの深い真理を一つの招きとして、より一層の愛と相互理解のうちに、キリスト教一致への歩みを続けていくことができるようにと願いを示した。


◎就任直後の教皇がバチカン放漫財政に激怒

 【CJC=東京】2013年に選出された直後、バチカン(ローマ教皇庁)の「手に負えない」体制を目の当たりにした教皇は、教会の幹部らを前に、膨れ上がる人件費、チェックなしの支出、そして不当な代金を請求する業者との裏取引のせいで教会の財政は破たんに向かっているとして、怒りをあらわにした、とAFP通信が報じた。
 教皇の怒りの声を耳にしたのは、一握りの枢機卿やバチカン経済部門機構改革委員会の委員だけのはずだった。だがこの時、ひそかに発言が録音されていた。
 それから2年、録音された音声が、イタリアの著名な調査報道ジャーナリスト、ジャンルイージ・ヌッツィ氏の新著『聖堂の中の商人たち』の中で再現された。
 11月4日に出版記念会見を行なったヌッツィ氏によると、フランシスコ教皇とバチカン内部の利権享受者との消耗戦は現在も続いており、教会変革に向けた闘いに教皇が勝利できるかどうかはまったく不透明だそうだ。
 ヌッツィ氏は、世界各地のカトリック信者が「ペトロのペンス」という献金制度を通じてバチカンに寄せた献金のうちの6割がバチカンの赤字の補てんに使われ、2割が準備金口座に回されており、本来の目的である慈善活動のために教皇が受け取るのは2割に留まっているという。
 このほど刊行されたエミリアーノ・フィッティパルディ氏の著書も、「ペトロのペンス」について同様の指摘をしている。2013年の同制度での献金総額は3億7800万ユーロ(約500億円)という。


◎機密漏えいでバチカン高官ら2人逮捕

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は11月2日、イタリア人ジャーナリストに機密文書を漏えいした疑いでバチカン高官ら2人を逮捕したと発表した。2人とも、教皇フランシスコがバチカンの財政・金融改革のために設置した委員会のメンバー。
 伊紙『スタンパ』(電子版)によると、両容疑者はコンピューターに保存されていた機密文書を持ち出し、イタリア人ジャーナリスト2人に漏えいした疑い。機密文書に基づき、教皇の進める改革への抵抗勢力の存在などを暴露したジャーナリストの最新刊が5日に出版されることが明らかになったため、逮捕に踏み切ったと見られる。
 逮捕されたのは財務部次官のスペイン人聖職者、モンシニョール・ルシオ・アンヘル・バジェホ・バルダ(54)と、イタリア人の広報コンサルタント、フランチェスカ・イマコラータ・シャウキ容疑者(33)。
 バチカンは漏えいについて「教皇が寄せた信頼の重大な裏切り」と非難した。シャウキ容疑者は捜査協力に同意したため2日に釈放された。
 バルダ容疑者は保守的な活動で知られる『オプスデイ』の会員。教皇が2013年7月に設置した改革委員会の取りまとめ役を務めた。シャウキ容疑者は同委員会のメンバーだった。委員会は昨年、バチカン財政・金融の透明性を向上させるための機構改革について教皇への助言をまとめ、解散している。


◎「機密資料を盗み出すことは罪」と教皇

 【CJC=東京】教皇フランシスコは11月8日、バチカン(ローマ教皇庁)の聖職者らによる機密情報漏えい事件に関し「機密資料を盗み出すことは罪だ」と非難した。バチカンのサンピエトロ広場で開かれた日曜恒例の祈りの集会で語った。
 しかし教皇は「皆さんの支援により前進している改革の足が引っ張られることはない」と強調、多数の参列者らを前にバチカンの組織改革を進めていく意思を示した。


◎米聖公会に最初のアフリカ系総裁主教

 【CJC=東京】米聖公会はマイケル・カリー主教(62)を総裁主教に任命した。任命式は11月1日、首都ワシントンのナショナル大聖堂で行われた。信徒約200万人強を数える同派では最初のアフリカ系総裁主教。
 人種間の一致と経済的な不平等の克服を訴えたカリー総裁主教は、「わたしたちは神の子だ。わたしたち全てがそうだ。わたしたちの人種は問題ではない、宗教も、階層も、ストライプも、タイプも問題にならず、わたしたちは神の子なのだ」とあいさつした。
 そして「わたしたちがこの世に召し出され、遣わされたのは、今あるものを守るためではなく、あるべきものを夢見て、そのために働くためだ」と述べた。
 カリー総裁主教はニューヨーク州バッファロー出身、同州ジェネバのホバート大学、エール神学校などで学び、ノースカロライナ大主教を15年間務めた。


◎中国が宗教示す服装を規制対象に

 【CJC=東京】新疆ウイグル自治区の独立を目指す「過激派」対策の一環として、中国の最高裁判所は11月1日、一定の衣装着用を規制した。国営メディア『環球時報』(グローバル・タイムズ)が報じた。
 「そのような衣服の着用を他人に強要するものは、監視の対象とされ、拘留、または最高3年の禁固刑に処す」という。


◎チェチェン大統領が暗殺計画者らを許す

 【CJC=東京】ロシアのメディア『スプートニク』によると、チェチェン共和国のテレビ局『グローズヌィ』は、同共和国の治安維持機関はラムザン・カディロフ大統領の暗殺計画を未然に食い止めたことを明らかにした。暗殺計画は10月末に実行される計画だったという。
 同テレビ局は、悪意を持った計画は明らかであったにもかかわらず、カディロフ大統領は未遂者の若者らを許し、更正のチャンスを与えたと報じた。
 テレビ報道によれば、チェチェンの都市アルグンにはワッハーブ主義者らが多く、今回カディロフ大統領暗殺計画を練っていた20人の若者らもその影響を受けていた。同大統領は『イスラム国』戦闘員らの影響もありえるとしている。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(11月8日)=https://www.cwjpn.com
★各大陸代表の司教団=気候変動への対応訴える
★教皇の特別一般謁見=世界が期待している諸宗教の平和への協力
★韓国の7大宗教=死刑廃止で共同声明
★人身取引 過酷な現状=バチカンで国際シンポジウム
★「地上の平和」学校開く=安保法反対行動を振り返る=東京=日本カトリック正義と平和協議会

 =キリスト新聞(11月7日)=https://www.kirishin.com
★戦後70年企画連続インタビュー「本紙標語の実質を問う」(7)=手束正昭氏=「現実的平和主義」を求めて
★平和のための宗教者の使命とは=カトリック司教協議会諸宗教部門がシンポ
★功労者に小塩節氏、加藤信子氏=日本キリスト教文化協会が顕彰★聖書的世界観から地上の生を考察=D・ホリンジャー氏が「創造の神学」語る
★安保法廃止求め、日基教団議長声明

 =クリスチャン新聞(11月8日)=https://クリスチャン新聞.com
★長期にわたる「おとなのひきこもり」深刻化=役割与え、自信を持たせる=MCC特別講演会で回復した当事者語る
★セレブレーション大会まであと1か月=フラッシュモブで街中アピール
★北朝鮮・調査に死亡裏付け無し=「第16回横田早紀江さんを囲む拡大祈祷会」
★対立こえて平和の道筋示す=来年香港で開催「第6回東アジア青年キリスト者大会」
★死者4千人 昨年の2倍=8日に「迫害下教会のため祈祷日」

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