世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1295信(2015.11.16)

  • 教皇がパリ同時テロを「神に対する侮辱」と非難
  • 「バチカン暴露本」の背後に改革への抵抗も
  • 南北宗教団体による平和大会が北朝鮮で開催
  • ブラジルで『十戒』が大ブーム=モーセの紅海割りで高視聴率
  • 米の『ノアの方舟』テーマパークが来年7月オープン
  • ルーテル世界連盟が石田順朗牧師死去で弔意
  • ≪メディア展望≫


◎教皇がパリ同時テロを「神に対する侮辱」と非難

 【CJC=東京】パリ同時多発テロを受け、ローマ教皇フランシスコは11月14日、「このようなことを人間が行うとは理解できない」と述べ、非人道的行為だと非難した。イタリアのテレビの電話取材にコメントしたもの。
 教皇は、このような行為が「正当化されるいかなる理由もない」と批判し、特に宗教が正当化の理由になってはならないと強調。犠牲者や家族ら「全ての人々のために祈る」と語った。
 教皇は「どうして人間の心がこのような恐ろしいことを思いつくのか」と述べ、「暴力と憎しみの道は問題を解決しない」と指摘した。


◎「バチカン暴露本」の背後に改革への抵抗も

 【CJC=東京】カトリックの総元締めとされるバチカン(ローマ教皇庁)が機密文書漏えい事件で揺れている。
 文書を暴露したジャーナリスト2人の著書が11月5日、イタリアで発売された。長年にわたる放漫財政や一部聖職者の「強欲ぶり」が明るみに出て、改革を進める教皇フランシスコへのバチカン内部の抵抗が浮き彫りになった。バチカンは11日、漏えい容疑で2日までに逮捕した高官ら2人に加え、ジャーナリスト2人の捜査を開始したと発表している。
 暴露本は、イタリア人ジャーナリスト、ジャンルイージ・ヌッツィ氏(46)の『十字架の道』(仮訳)と、『レスプレッソ』紙エミリアーノ・フィッティパルディ記者(41)の『強欲』(仮訳)の2冊。
 バチカン当局は今月2日、財務部次官のスペイン人高位聖職者(モンシニョール)ルシオ・アンヘル・バジェホ・バルダ容疑者(54)と、イタリア人広報コンサルタント、フランチェスカ・イマコラータ・シャウキ容疑者(32)を文書漏えい容疑で逮捕したと発表した。11日にはジャーナリスト2人に協力した高官も捜査対象とする方針を表明した。
 暴露本によると、世界各地の教会から貧窮者支援のために寄付された義援金「ペトロのペンス」の6割がバチカンの財政赤字の穴埋めに回されていた。また、カトリックの崇敬対象である「聖人」や「福者」の認定のために届いた巨額の寄付金が使途不明になっている。
 バチカンが保有する不動産は市場価値が約27億ユーロ(約3550億円)と評価されているが、その管理もずさんで、アパートが聖職者らに格安で賃貸されていた。またベルトーネ前国務長官(80)の床面積数百平方メートルの「豪華アパート」の改修費の一部として、20万ユーロ(約2640万円)がカトリック系小児病院の財団から拠出されていた、という。
 社会的弱者に寄り添う「貧者の教会」を掲げる教皇は就任以来、バチカンの構造改革に取り組んでいるが、内部には不満がくすぶる。ヌッツィ氏は自著『聖堂の中の商人たち』発表会で「50平方メートルの小さなアパートに暮らす教皇は改革を進めようとしているが、多くの困難に直面し、抵抗に遭っている」と障害を指摘した。
 バチカンでは10月、再婚信徒や同性愛者の処遇を巡り保守派が教皇に反旗を翻し、教義の厳格適用を求める保守派と、現実路線の改革派の対立が表面化したばかり。教皇は8日、日曜恒例の祈りの集会で、漏えい事件について「機密資料を盗み出すことは罪だ」と非難する一方、「事件で、改革から注意がそらされることはない」と改革路線の推進を強調した。
 しかし教皇は「皆さんの支援により前進している改革の足が引っ張られることはない」と強調、多数の参列者らを前にバチカンの組織改革を進めていく意思を示した。


◎南北宗教団体による平和大会が北朝鮮で開催

 【CJC=東京】韓国の対外放送KBSワールドは、南北の宗教団体の代表らが参加する「平和大会」が11月9日から2日間、北朝鮮東南部の金剛山で開かれたと、北朝鮮の朝鮮中央通信が10日報じたことを紹介している。
 平和大会で南北の宗教団体の代表らは、自主統一、平和と繁栄への道は南北共同宣言を実行してこそ開かれるという意見で一致したという。
 大会には、北朝鮮の宗教人協議会会長で、朝鮮カトリック教会中央委員長のカン・ジヨン氏ら、北側の代表団と、キリスト教、カトリック、仏教など韓国の7宗教団体の代表約140人が参加している。


◎ブラジルで『十戒』が大ブーム=モーセの紅海割りで高視聴率

 【CJC=東京】ブラジルの邦字紙『ニッケイ新聞』が、現地のTVドラマ界では今、『レコルデ』局で放映中の『十戒』を題材にした大河ドラマが空前のヒットとなり、話題を呼んでいる、と11月10日付の現地紙『フォーリャ』のサイトを紹介した。
 今年3月から放送を開始した「オス・デース・マンダメントス」で、旧約聖書のモーセの「十戒」を題材にしている。
 月〜土のブラジルの夜9時以降はこの50年間、『グローボ』局のドラマが独占していた。ところがこの「十戒」は、この時間の『レコルデ』局の番組としては前例がないくらいに健闘し、最近では『グローボ』局の視聴率を抜く事態まで起きていた。
 特に10日の放送がかねて話題となっていたのはこの日、主人公モーセが紅海の中を渡る「出エジプト」の回が放映されることになっていたから。
 宗教界にも影響を及ぼした。ペンテコステ派の実力者、シラス・マラファイア牧師はこの日、「十戒」の放送時間中に行う予定だった集会の時間を、「これでは信者が来ない」との理由でずらしたという。マラファイア牧師はこれを「レコルデ局の陰謀だ」とまで語っている。

 サンパウロ大都市圏での視聴率は、最高で31ポイント、平均でも28ポイントを記録した。これに対し『グローボ』局の番組は最高21ポイントで平均19ポイント。同局のお膝元リオデジャネイロでも、「十戒」が最高34ポイントだったのに対し、21ポイントに留まった。
 『レコルデ』局でモーセが紅海を割ったその瞬間、『グローボ』局はニュースの時間で、別名「赤線」と呼ばれるリオのジョアン・グラール高速道で起こった銃撃戦の模様を流していたという。


◎米の『ノアの方舟』テーマパークが来年7月オープン

 【CJC=東京】ロイター通信などによると、旧約聖書に登場する物語『ノアの方舟』を題材にしたテーマパークが米ケンタッキー州で計画され、設立団体は2016年7月7日にオープンの予定で、年間140万人の来場者を見込んでいる。
 テーマパーク『アーク・エンカウンター』(方舟との遭遇)は、同州北部ウィリアムズタウンで現在建設中。方舟をかたどった実物大の木造レプリカもある。
 関係するキリスト教団体『アンサーズ・イン・ジェネシス』のケン・ハム代表は11月12日の記者会見で、「間違いなく、世界最大のキリスト教アトラクションの一つ」と言う。
 同団体は「創造博物館」も運営しており、天地創造をはじめ、聖書に記載された通りの出来事が実際に起きたとの立場をとっている。
 州当局は2014年夏、開発計画に税控除措置を与えると決めたが、12月になってそれを取り消した。開発業者が同じ原理主義的なキリスト教信仰を持つ労働者しか雇わないと表明したことが、当局の懸念を招いたようだ。


◎ルーテル世界連盟が石田順朗牧師死去で弔意

 【ジュネーブ=LWI・CJC】ルーテル世界連盟(LWF)は、11月4日、87歳で死去した同連盟元神学研究局長の石田順朗牧師に弔意を表明した。
 「これまで2回、石田博士は、わたしたち世界規模の共同体に、大きな貢献と栄誉をもたらした。2回目はわたしたちの歴史の中でも重要な時であった。彼は、アジアの教会とルター神学に消すことの出来ない足跡を残した」と同連盟のマルチン・フンヘ総幹事がLWI通信を通じ、弔意を示した。
 石田氏は1928年、沖縄・宮古島で仏教徒の家庭に生まれ、キリスト者になった後、55年に日本福音ルーテル教会牧師に叙された。同派稔台、久留米、市ヶ谷各教会を牧会後、64年から4年間、LWF・アジア担当幹事を務めた。
 さらに78年から86年まで研究部門で活動したが、その最中、77年には、福音の尊厳に関する教会の立ち位置を明らかにする「ステータス・コンフェッショニス」を宣言した。これは当時行われていた南アの人種隔離政策「アパルトヘイト」は信仰の問題として否定すべきだ、としたもの。
 石田氏は、キリスト者とマルキストの関係、ルーテル派と他宗教信徒、キリスト教と人権、礼拝の文化的コンテキスト、などの分野の研究で指導力を発揮した。
 その後、シカゴ・ルーテル神学大学院世界宣教室室長、九州ルーテル学院大学学長、九州ルーテル学院大学長などを歴任した。神学博士。
 遺族はグロリア夫人(58)。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(11月15日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=家庭はゆるし合う場=「一日をけんかで終わらせない」
★教皇フランシスコ=迫害は全キリスト者を一致させる共通の体験
★神戸から宮崎へ=新聖堂に被災ステンドグラス=宮崎教会
★科学者、宗教者が対話=核兵器廃絶に向け協力確認=世界パグウォッシュ会議を受け長崎カトリックセンターで開催
★バチカン=文書漏えいで逮捕

 =キリスト新聞(11月14日)=https://www.kirishin.com
★いのり☆フェスティバル2015=神奈川・相模大野で初開催=能楽・弦楽器と響き合う聖書
★「季刊『教会』」100号で記念礼拝=歴代編集委員らが25年の歩み回顧
★11年ぶりに日韓NCC共同協議会=NCC議長・小橋孝一氏が報告
★いのちなきところ正義なし=聖エジディオ共同体が死刑考えるシンポ
★バチカンが代表団の訪中を確認

 =クリスチャン新聞(11月15日)=https://クリスチャン新聞.com
★全面改訂の新しい翻訳=名称は『聖書 新改訳2017』に=宗教改革500年にちなんで
★英ケンブリッジ大に欽定訳聖書の草稿が
★キリシタンゆかりの地に福音=明日への希望届け=決心者101人=ラブソナタ大分
★飢餓、貧困の子どもたちに靴箱を=サマリタンズパース=オペレーションクリスマスチャイルド
★セレブレーション・地域別決起集会=「あなたが石を動かして」

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