世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1296信(2015.11.23)

  • 世界規模の「宗教戦争」再燃に懸念も
  • 『B・グラハム緊急応答チーム』がパリへ
  • 『イスラム国』が「聖年」期間にローマ攻撃の可能性
  • 「バチリークス」ヌッツィ氏はバチカンの召喚無視
  • 「バチリークス」でバチカンが5人告発
  • 韓国『平和行動牧師団』の牧師が北工作員と接触か
  • バチカンのクリスマスツリーは12月8日から
  •  ≪メディア展望≫


◎世界規模の「宗教戦争」再燃に懸念も

 【CJC=東京】フランスの首都パリで11月13日、イスラム過激派組織『イスラム国』による連続襲撃事件が発生した。
 世界史を揺るがした数々の「宗教戦争」の再燃を示すような動きも見られる。
 世界中に大きな衝撃をもたらした今回のテロだが、パリ以外にも『イスラム国』による攻撃が発生、中東を中心に死者、負傷者が多数出ている。
 これまでシリアとイラクにまたがる国家の建設に力を注いできた『イスラム国』が、西側での無差別攻撃に方針を大転換した可能性がある。過激派による暴力の封じ込めという課題が新段階に入った。
 国際政治では「文明の衝突」が最も目立つようになるだろうと故サミュエル・ハンチントンが予言したのは1993年。この理論は熱烈な支持者を獲得してきたが、その中には好戦的なイスラム主義者も含まれている。こう指摘したのは17日付けの英フィナンシャル・タイムズ紙。パリで大量殺人の挙に出たテロリストらは、イスラムと西側諸国は避けられない死闘を繰り広げていると考える勢力の一派だとしている。
 『イスラム国』は16日、米国の首都ワシントンとイタリアのローマを標的とする攻撃を予告する動画をインターネット上に公開した。パリでのテロと同様の攻撃を行うと警告した。
 キリスト教世界も大きな衝撃を受けている。教皇フランシスコは14日、「このようなことを人間が行うとは理解できない」と述べ、非人道的行為だと非難した。特に宗教が正当化の理由になってはならないと強調。犠牲者や家族ら「全ての人々のために祈る」と語った。
 世界教会協議会(WCC)常議員会は、パリとベイルートにおける最近のテロ攻撃を14日、強く非難した。中東教会協議会(MECC)は、レバノンのベイルートにある混雑した民間の商店街で12日に起きた爆破事件に対し、同情と怒り、そして同国の平和と安定のために働くという変わらぬ決意を、WCCと共に表明した。
 ルーテル世界連盟(LWF)も「LWFはベイルートとパリの襲撃における大規模な命の喪失を非難する」と公式サイトで発表した。
 英国国教会ジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教は、パリのテロ事件を「深刻な悲劇という絶望的なニュース」とし、「被害を受けた人たちと共に泣き、助けと正義を求めて祈る」と述べた。
 世界メソジスト協議会も「このテロリストによって動機づけられた多発的な爆破や発砲、そして人質をとるパリ襲撃を非難する」などという声明を発表した。
 世界福音同盟(WEA)は、テロ攻撃を非難するとともに、フランスとレバノンのために祈るよう諸教会に呼び掛けている。
 大規模テロ事件が発生したフランスでは、政府の国を挙げて喪に服すのに、カトリック教会も加わることを明らかにした。合同プロテスタント教会も、犠牲者への同情とともに、命の力である福音への信頼を表明している。福音同盟(CNEF)も、負傷者と犠牲者の遺族たちへの憐れみと連帯を表すとともに、教会員に対し、犠牲者やフランス全体とその当局を支えて祈るよう呼び掛けている。


◎『B・グラハム緊急応答チーム』がパリへ

 【CJC=東京】『ビリー・グラハム伝道協会』(BGEA)は11月13日夜のパリ・テロ事件で、生きながらえても衝撃を激しく受けている人に心情的なケアを行うため、専門の『ビリー・グラハム緊急応答チーム』の派遣を決めた。
 フランクリン・グラハム総裁の指揮のもと、米、加、英の連合応答チームで、フランス語を話せる、危機対応の訓練を受けたチャプレンを派遣する。
 応答チームのジャック・ムンデイ国際担当は「第二次大戦以来、フランスでは最悪の悲劇。被害者を力づけ、支援するためにわたしたちがいることを知らせたい」と語った。


◎『イスラム国』が「聖年」期間にローマ攻撃の可能性

 【CJC=東京】イタリアのアルファノ内相は11月16日、過激派組織『イスラム国』が12月8日から始まるカトリック教会の「聖年」期間中、ドローンを使ってローマを攻撃する可能性がある、と指摘した。内相は行事期間中、ローマ上空のドローン飛行を禁止する考えを議会で明らかにした。
 「聖年」期間中はローマに国内外から多数の観光客が訪れると見込まれている。


◎「バチリークス」ヌッツィ氏はバチカンの召喚無視

 【CJC=東京】「バチリークス」と呼ばれる、バチカン(ローマ教皇庁)の秘密文書を暴露したイタリア人ジャーナリスト、ジャンルイージ・ヌッツィ氏(46)がバチカン検察当局の召喚に応じることを拒否した。
 カトリック通信CWNは、『十字架の道』(仮訳)の著者であるヌッツィ氏が、バチカンの規則では、情報源の秘匿を認められていないことを拒否の理由に上げたと報じている。
 同氏は、容疑を掛けるまえに、自著で明らかにした不正財務についてバチカン自身が捜査すべきだ、と語った。


◎「バチリークス」でバチカンが5人告発

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)判事が11月21日、秘密を漏洩、暴露したとして関係者5人を告発した。
 財務部次官のスペイン人聖職者、モンシニョール・ルシオ・アンヘル・バジェホ・バルダとニコラ・マイオ助手、イタリア人の広報コンサルタント、フランチェスカ・イマコラータ・シャウキ容疑者、それに漏洩された情報を元に暴露本『十字架の道』(仮訳)を発表したイタリア人ジャーナリスト、ジャンルイージ・ヌッツィ氏と、『強欲』(仮訳)を発表した『レスプレッソ』紙エミリアーノ・フィッティパルディ記者の5人。
 モンシニョール・バルダとシャウキ容疑者は、教皇フランシスコがバチカンの財政・金融改革のために設置した委員会のメンバー。


◎韓国『平和行動牧師団』の牧師が北工作員と接触か

 【CJC=東京】脱北者のキム・リョンヒさんを北朝鮮に送還しようとしている韓国の『基督教平和行動牧師団』に所属する牧師が、北朝鮮の工作員と会うなど、国家保安法に違反する行為をしているとして、警察が捜査を始めた。
 警察庁保安捜査隊は11月13日、ソウル市鍾路区の韓国基督教会館にある牧師団の事務局と、牧師自宅を家宅捜索した。警察によると、牧師は、北朝鮮への送還を求めているキムさんの送還を進める過程で、北朝鮮の工作員と数回接触していた疑いが持たれているという。朝鮮日報日本語版が伝えた。


◎バチカンのクリスマスツリーは12月8日から

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場に毎年立てられるクリスマスツリー、ことしは12月8日から公開される。
 カトリック教会はこの12月8日から「いつくしみの特別聖年」を2016年11月20日まで設定していることから、ツリーの公開を合わせた。
 今年のツリーは独バイエルン地方から寄贈されたもので、高さ32メートル。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(11月22日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ「昼の祈り」で=テロの正当化はできない
★教皇=紛争の中央アフリカへ=訪問の延期・短縮求める声も
★"冷たい教会"終わらせて =教皇=訪問先のフィレンツェで訴える
★日韓司教、横浜で交流=戦後70年をテーマに=横須賀の基地、逗子の米軍住宅前で現地学習も
★"自分らしさ"堂々表現=「ラルシュかなの家」恒例たぶん25回目の祭り=静岡市

 =キリスト新聞(11月21日)=https://www.kirishin.com
★戦後70年企画連続インタビュー「本紙標語の実質を問う」(8)安海靖郎氏=宣教の地で知った平和の尊さ
★第23回日本福音功労賞顕彰者=中島秀一、三森春生、三木晴雄の3氏に
★小林節氏=首相の靖国参拝に異議=新宗連「信教の自由」で公開講座
★社会の中で平和語る使命がある=イグナチオ9条の会で英隆一朗神父が講演
★アジア基督教・景教研究国際大会=日本景教研究会会長・川口一彦氏報告

 =クリスチャン新聞(11月22日)=https://クリスチャン新聞.com
★若者と高齢者つなぐ=ローザンヌ・シンポジウム=キ教学校と教会の協力探る
★福音功労賞に中島氏、三森氏、三木氏=中島氏・早天祈祷会続けた祈りの人=三森氏・機会を十分に用い今日まで =三木氏・日本の石鹸洗剤業界に貢献
★キリスト教功労者に小塩氏、加藤氏=小塩氏・独キ教芸術等の普及に尽力=加藤氏・比の貧しい子どもらを支援
★若者に受け入れやすい曲を礼拝時にも歌って=福音讃美歌協会讃美セミナー ワーシップ・ゴスペル編
★放射線測定器組み立てワークショップ=日本基督教団東京北支区青年部

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