世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1298信(2015.12.07)

  • COP21が政治レベル交渉へ、教皇も強く期待
  • 「武器を捨てよ」と教皇、宗教対立続く中央アフリカで訴え
  • 米ワシントンでクリスマスツリー点灯式
  • カーター元米大統領、脳腫瘍の治療成功
  • 聖書に登場するヒゼキヤ王直筆の印を発見
  • カッパドキアに使徒パウロの足跡追う
  • ≪メディア展望≫

◎COP21が政治レベル交渉へ、教皇も強く期待

 【CJC=東京】フランスのパリ近郊で開かれている地球温暖化対策の国連の会議(COP21)は12月7日、閣僚級会合が始まった。先進国と発展途上国の間で温室効果ガスの削減目標や資金支援の在り方を巡って対立が続くなか、双方の妥協点を探る政治レベルの交渉が本格化する。
 COP21は、京都議定書に代わる2020年以降の新たな枠組みへの合意を目指し、実務者レベルの作業部会では合意文書の草案がまとまった。
 会合の冒頭、議長国フランスのファビウス外相が「残された時間は少ないが、合意するために妥協点を見いだす努力を続けなければならない」と呼びかけた。
 教皇フランシスコは11月30日、アフリカ歴訪を終え、ローマへ戻る機中で記者団の質問に答え、地球温暖化を食い止めるのは「今しかない」と警鐘を鳴らした。
 教皇は「問題は毎年悪化し、限界に来ている。私たちは自殺寸前の状況に達している」と強い言葉で警告。COP21の参加者らはこの状況に気付いているとし、議論の進展を期待した。
 教皇は6日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で開いた祈りの集いでも、COP21の成功を祈り、「未来の世代のため、気候変動の影響を減らすためにあらゆる努力が行われるべきだ」と述べ、新たな枠組み合意へ向けた決断を促した。
 教皇は「貧困と闘い、人間の尊厳を開花させる努力がパリでなされなければならない」と強調した。
 教皇は今年6月、地球温暖化について「今世紀にとてつもない気候変動と、生態系の未曽有の破壊が起き、深刻な結末を招きかねない」と警告し、国際社会に行動を呼びかける重要文書を発表している。


◎「武器を捨てよ」と教皇、宗教対立続く中央アフリカで訴え

 【CJC=東京】アフリカ中央部を歴訪に乗り出した教皇フランシスコはウガンダ、ケニアに次いで11月29日、最後の訪問国、中央アフリカを訪れ、同国で続く宗教間衝突の当事者らに対し武器を置くよう求める平和のメッセージを送った。
 教皇は、首都バンギの大聖堂で行ったミサで、許しと和解に捧げられる「いつくしみの特別聖年」の始まりを象徴する「聖なる扉」を開いた。12月8日開始の特別聖年だが、「聖なる扉」の開放は象徴的な始まりを意味する。
 ミサで教皇はさらに、「現世の武器を不正に使う全ての者に訴える。こうした死の道具を捨てよ」と呼びかけた。
 歴訪の最終日30日、キリスト、イスラム両教徒が激しく対立するバンギの「PK5」地区にあるモスク(イスラム礼拝所)を教皇は訪れた。AFP通信によると、教皇は演説で、イスラム教徒とキリスト教徒の抗争が続く同国情勢を念頭に「イスラム教徒とキリスト教徒は兄弟姉妹だ」と述べ、融和と協調を訴えた。
 教皇はモスクに集まった大勢の人を前に「われわれは憎悪や報復、そして神や宗教の名の下に実行される暴力に対してノーと言わなくてはならない」と力説。モスク到着時には数千人が道路脇に並び、バチカン国旗を振って出迎えた。
 教皇はバンギのバルテレミ・ボガンダ・スタジアムでミサを行った後、帰国の途についた。


◎米ワシントンでクリスマスツリー点灯式

 【CJC=東京】米首都ワシントンのホワイトハウスそばにある広場で12月3日、バラク・オバマ大統領一家と女優リース・ウィザースプーンによる「ナショナル・クリスマスツリー」の点灯式が行われた。
 AFP通信によると、リース・ウィザースプーンが司会を務め、ポップ・パンクバンド「フォール・アウト・ボーイ」、ロック・グループ「クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング」、アロー・ブラックらがパフォーマンスを披露した。


◎カーター元米大統領、脳腫瘍の治療成功

 【CJC=東京】ジミー・カーター元米大統領(91)が12月6日、脳に見つかった腫瘍の治療が成功したことを明らかにした。地元ジョージア州プレーンズのマラナタ・バプテスト教会で担当している日曜学校の生徒らに話した。地元メディアが報じた。
 ノーベル平和賞受賞者で世界的な人道支援活動でも知られるカーター氏は、8月に肝臓の腫瘍摘出手術を受けたが、その際に脳内4か所にがんの一種であるメラノーマ(悪性黒色腫)が見つかったと公表していた。
 カーター氏が明らかにしたところでは、直近に受けたMRI(磁気共鳴画像装置)検査では、メラノーマがすべて消え、新たながんもなかったという。
 カーター氏が「今週スキャンを受けたら、がんはなくなっていた」と報告したところ、教会にいた全員が立ち上がって拍手したと言う。


◎聖書に登場するヒゼキヤ王直筆の印を発見

 【CJC=東京】イスラエル・ヘブライ大学の発掘チームが12月2日、聖書「列王記下」に登場するユダヤの王ヒゼキヤの直筆とみられる王印を、エルサレム旧市街のシルワン地区にある古代のごみ捨て場で発見した。1センチ弱の長さの粘土に書かれたもので、古代ヘブライ文字と、二つの翼をもつ太陽が刻まれているという。
 ユダ王国のヒゼキヤ王の統治は紀元前700年ごろ。エルサレムを大都市に作り上げることに貢献し、偶像を撤去したことで知られる。
 ヘブライ大学のエイラト・マザル氏は「イスラエルまたはユダヤの王の王印が科学的な考古学の発掘で発見されるのは初めて」と述べている。


◎カッパドキアに使徒パウロの足跡追う

 【CJC=東京】『ユネスコ』が世界遺産に指定したカッパドキアは、新約聖書時代にはアルメニアやガラテアに近く、使徒パウロの足跡をたどろうとするキリスト者には巡礼地となっていた。
 パウロが最初にキリスト者共同体を設けたのはカッパドキア。ローマ人がキリスト者に拷問を初めて加えたのもカッパドキアだった。周辺に見られる自然の洞穴は、迫害された教会にとって絶好の隠れ家となった。始めはローマ人から、後にはイスラム教徒による迫害から逃れるためだった。
 トルコ紙『フリエット』によると、現在のネヴシェヒルの地下に、ヒッタイト時代にまで遡る都市が発見された。
 「発掘作業が完了すれば、カッパドキアの歴史が書き直されよう」とネヴシェヒルのハサン・ウンヴェル市長。「重要な発見があった。長いトンネルと、人々が皆一緒に住めるだけのスペースが見つかっている。亜麻仁油製造所、教会、さまざまな居住スペースをつなぐトンネルも珍しい」と言う。
 発掘の一部は2017年に公開予定。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(12月6日)=https://www.cwjpn.com
★教皇アフリカ中部3カ国訪問
 =ケニア=人類の選択肢は明白「環境保護か破壊か」
 =ウガンダ=殉教者に倣い、信仰を行動で示す
★エリート教育に警鐘=教皇 キリスト教学校の役割語る
★本音で分かち合い=若者に"人生を考える"教育=「人間塾」塾生シンポジウム公開セミナー
★世界連邦岡山県宗教者大会=共に平和祈る=倉敷市の大本岡山本苑

 =キリスト新聞(12月5日)=https://www.kirishin.com
★上智大学キリスト教文化研究所聖書講座=カトリックとルター派、一つになれない理由ない
★多民族・多文化共生社会の実現へ=第3回「マイノリティ問題と宣教」国際会議
★キリストの愛で始まる新しい人生=F・グラハム氏伝道大会に3万8千人
★救世軍=「社会鍋の日」制定
★教皇がアフリカを初訪問

 =クリスチャン新聞(12月6日)=https://クリスチャン新聞.com
★1,480人が招きに応答=首都圏セレブレーション=「罪赦す唯一の道選んで」
★第3回「"いのちと死"ともに祈る会」=自死遺族の魂に触れる
★カンバーランド=「戦後70年」決議
★テロ厳戒=ベルギー=危機の時代に、 欧州で福音を伝えること(寄稿・ミラノ賛美教会牧師・内村伸之)
★大分で「9条にノーベル賞」講演会=石垣義昭共同代表、伊藤真弁護士ら

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