世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1299信(2015.12.14)

  • バチカンがユダヤ教との関係を神学的に考察
  • 教皇のミサと共に「いつくしみの聖年」開幕
  • 中国で拷問が「深く定着」と国連委警告
  • 核兵器廃絶決議案を166カ国の賛成で国連採択
  • ウイクリフが203言語聖書翻訳計画開始
  • 各国「ユーバージョン」に見るお気に入り聖句
  • ≪メディア展望≫

◎バチカンがユダヤ教との関係を神学的に考察

 【CJC=東京】第2バチカン公会議(1962〜65)で、諸宗教との関係を記した公文書『ノストラ・アエタテ』(我らの時代に=キリスト教以外の諸宗教に関する教会の態度についての宣言)が発布されて50年をを迎えるのを機に、カトリックとユダヤ教の関係を神学的に考察する文書をバチカン(ローマ教皇庁)が12月10日発表した。
 今回発表されたのは、バチカン・キリスト教一致推進評議会の『ユダヤ教との宗教関係委員会』が作成した『神の賜物と招きは取り消されないものなのです(ローマの信徒への手紙11・29)・カトリックとユダヤ教関係の神学的考察』。
 10日の記者会見には、キリスト教一致推進評議会議長クルト・コッホ枢機卿、ユダヤ教側からデビッド・ローゼン師(米ユダヤ教委員会=AJC=宗教間問題国際担当)も出席した。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、今回の文書は、公会議後の50年間に大きく進展したユダヤ教とカトリックの関係に感謝を表しつつ、未来に向けて対話のさらなる前進を願い、対話を通して、互いをよりよく知り、さらなる和解を育て、共に正義と平和、環境保護、あらゆる形の反ユダヤ主義との闘いに取り組むことを呼びかけている。
 文書は、『ノストラ・アエタテ』が与えた影響を振り返ると共に、ユダヤ教とカトリックの神学的対話の基本と指針を示し、それぞれの立場から見た御言葉における神の啓示、旧約聖書と新約聖書の関係などについて考察している。
 そして、ユダヤ教とカトリックの対話を通して、互いをよりよく知り、さらなる和解を育て、共に正義と平和、環境保護、あらゆる形の反ユダヤ主義との闘いに取り組むことを呼びかけている。


◎教皇のミサと共に「いつくしみの聖年」開幕

 【CJC=東京】カトリック教会の典礼歴で「無原罪の聖母」を祝う12月8日、バチカン(ローマ教皇庁)で行われた教皇フランシスコのミサと共に、「いつくしみの特別聖年」が開幕した。2016年11月20日、「王であるキリスト」の大祝日まで続く。
 教皇は、ローマ教皇選出から2年を迎えた今年3月13日、「いつくしみの特別聖年」開催を発表した。復活祭後の4月11日、「神のいつくしみの主日」の第一晩課の際に、特別聖年を布告する勅書を公布している。
 教皇は8日朝、バチカンのサンピエトロ広場で「いつくしみの聖年」の開幕ミサを司式、聖年の「聖なる扉」(ポルタ・サンタ)をくぐることで、神のいつくしみの神秘に参与し、すべてを変容する神の愛の恵みに出会って欲しいと願った。ミサの後半、教皇はサンピエトロ大聖堂の「聖なる扉」(聖年の扉)を祈りと共に開いた。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、「聖年の扉」を通り、大聖堂内に入場した教皇は、こうべを垂れ、長く静かな祈りを捧げた。前教皇ベネディクト16世も扉をくぐった。教皇は前教皇と固く握手を交わした。この後、ミサ参加者らが次々に聖年の扉をくぐった。
 教皇は先日のアフリカ訪問の際、中央アフリカの首都バンギで、司教座聖堂の聖なる扉を聖年開幕に先立ち開かれている。聖年開幕と共に、世界の各教区でも、司教座聖堂に設けられた聖なる扉が開かれる。
 教皇は、13日「待降節第3主日」にローマのラテランの聖ヨハネ大聖堂および城壁外の聖パウロ大聖堂で、年明けの1月1日「神の母マリア大祝日」には聖マリア大聖堂で聖年の扉を開く。


◎中国で拷問が「深く定着」と国連委警告

 【CJC=東京】国連の「人権条約に基づく拷問禁止委員会」は12月9日、中国に対し、横行している当局による拷問を中止し、秘密拘禁施設を全て閉鎖するとともに、弁護士や活動家に対する大規模な弾圧をやめるよう強く求めた。AFP通信などが報じた。同委員会はまた、拘禁中の死亡が相次いでいることや、虐待を行った者の説明責任の欠如についても警告した。
 同委員会は、中国人の代表団に聞き取り調査を行った結果をまとめた報告書の中で、「有罪の根拠として自白を過度に重んじる刑事司法制度において、拷問や虐待が深く定着しているとする報告が多いことに、深い懸念を表明する」と述べている。
 また、最近の法改正で、容疑者を「指定された場所での居住監視」下に拘束することが最大6カ月まで認められた点で、拘束場所がしばしば秘密にされているとして、強い懸念を表明した。


◎核兵器廃絶決議案を166カ国の賛成で国連採択

 【CJC=東京】国連は12月7日に開かれた総会本会議で、世界の指導者に被爆地訪問を促す内容を盛り込んだ核兵器廃絶決議案を166カ国の賛成で採択した。核兵器の使用がもたらす人道上の影響への意識を喚起するためのもの。
 昨年は賛成した米、英、フランスを含む16カ国が棄権に回り、中国やロシア、北朝鮮の計3カ国は反対した。


◎ウイクリフが203言語聖書翻訳計画開始

 【CJC=東京】世界各地で聖書を未だ手にしていない人のために、現地語への訳出を進めている『米ウイクリフ聖書翻訳協会』(本部フロリダ州オーランド)が明らかにしたところでは、同協会は2015年に203言語への訳出や改訳に着手した。
 同協会はさらに「ビジョン2025」計画を打ち出した。2025年までに訳出を求められている言語全てに着手しようという。
 これまで3377言語に着手した。すでに聖書が訳出されたのは531言語、旧訳か新約は完成しているのが1329言語、分冊としては完成しているのが1023言語の2883言語に達している。


◎各国「ユーバージョン」に見るお気に入り聖句

 【CJC=東京】米誌『クリスチャニティ・トゥデイ』によると、ネット上で聖書を提供するメディア『ライフ・チャーチ』が2008年に提供を始めた「ユーバージョン・バイブル・アプリ」のダウンロード数が2億件を越えた。現在900言語で1200種類の聖書を提供している。
 『ユーバージョン』によると、米国とブラジルで最も読まれる聖句は「ローマの信徒への手紙」12・2。「あなたがたはこの世に倣ってはなりません。むしろ、心を新たにして自分を変えていただき、何が神の御心であるか、何が善いことで、神に喜ばれ、また完全なことであるかをわきまえるようになりなさい。」(新国際訳=NIV、邦訳は新共同訳による)
 メキシコ、英国、韓国ではイザヤ書41・10。「恐れることはない、わたしはあなたと共にいる神。たじろぐな、わたしはあなたの神。勢いを与えてあなたを助け/わたしの救いの右の手であなたを支える。」(NIV、邦訳は新共同訳による)
 ナイジェリア、南ア、フィリピンはエレミヤ書29・11。「わたしは、あなたたちのために立てた計画をよく心に留めている、と主は言われる。それは平和の計画であって、災いの計画ではない。将来と希望を与えるものである。」(NIV、邦訳は新共同訳による)
 カナダではエフェソの信徒への手紙1・23。「教会はキリストの体であり、すべてにおいてすべてを満たしている方の満ちておられる場です。」(ニューリビングトランスレーション=NLT、邦訳は新共同訳による)
 中国ではコリントの信徒への手紙一10・13。「あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。」(NLT、邦訳は新共同訳による)
 『ライフチャーチ』の開発担当ボビー・グリュンワルド牧師は「紙がユーバージョンを通じてなされておられることは信じられないほどだ。持ち運び出来る道具を聖書にされたのだ。誰もが行く先々に持ってゆく。インストールされたのが2億件という規模だ。個々人の数え切れない瞬間が聖書を読むことにあてられている」と語る。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(12月13日)=https://www.cwjpn.com
★教皇=アフリカ3カ国歴訪
 中央アフリカ=「暴力には愛と平和で」=首都バンギでいつくしみの「扉」開く
       =「神はサラーム(平和)」=モスクを訪問し協働呼び掛ける
★気候変動パリ会議=合意は「変革的に」=バチカン代表が促す
★ドン・ボスコ生誕200周年閉幕=青年や子どもたちと「サレジオ家族」など1500人集う=東京
★東北=全ベース会議・仙台教区サポート会議=ベースの生活 分かち合う
★「小共同体で諸宗教対話」に焦点=AsIPA(アシパ)総会に参加=タイ・バンコク

 =キリスト新聞(12月12日)=https://www.kirishin.com
★上智大学キリスト教文化研究所聖書講座=カトリックとルター派、一つになれない理由ない
★教皇がアフリカを初訪問
★カンバーランドが戦後70年の決議
★多民族・多文化共生社会の実現へ=第3回「マイノリティ問題と宣教」国際会議
★キリストの愛で始まる新しい人生=F・グラハム氏伝道大会に3万8千人

 =クリスチャン新聞(11月29日・休刊)=https://クリスチャン新聞.com

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