世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1302信(2016.01.04)

  • 2015年「世界のキリスト教・注目ニュース」
  • 教皇がバチカンで「神の母聖マリア」に捧げる新年ミサ
  • バチカンの『パレスチナ』国家承認発効
  • 米カトリック週刊誌が同性愛カップルを「時の人」に
  • 北朝鮮が牧師無期判決めぐるカナダの批判に反発
  • 米で銃を持った男が教会に、牧師は祈りと抱擁で受け入れ
  • ≪メディア展望≫

◎2015年「世界のキリスト教・注目ニュース」

 CJC通信を発信する『世界キリスト教情報』が1月2日、2015年の「世界のキリスト教・注目ニュース」を編集しました。14年の「世界のキリスト教・教会十大ニュース」と選定基準を変え、複数の記事が描き出す注目点をまとめました。(順不同)

★「キリスト教社会」の欧米で信徒が減少、影響広がる。
 教会閉鎖も各国で相次ぎ、英国国教会が農村部で10年内に消滅するとの予測も出るほど。オランダ・カトリック教会も小教区の大幅減小を余儀なくされている。2014年中に信徒23万6467人減少した米南部バプテスト連盟では宣教師800人削減を図っている。
 イエズス会運営の英ヘイスロップ大学が2018年に閉校を発表、米聖書協会が長年本拠としていたニューヨークの『バイブルハウス』を売却しフィラデルフィアに移転、米最大のキリスト教書店『ファミリー・クリスチャン・ストアーズ』が倒産処理手続を申請した。

★「世界人口の77%は宗教抑圧の下で生活」
 宗教や公共問題に関する人々の意識を調査する米機関『ピュー・リサーチ・センター』の報告書によると、2014年から15年にかけて、世界総人口の77%が宗教を「高度、極度」に抑圧される中で生活している。前回2007年の調査では68%だった。
 報告書はまた、調査した198国の中で102国ではキリスト者が政府や社会集団のいずれか、または双方から攻撃されていることを明らかにした。

★争乱のなか、聖地は閑散としたクリスマス。
 ベツレヘムもエルサレムも世界中からの大勢の観光客や巡礼でにぎわうが、2015年10月以降はイスラエルとパレスチナの緊張が激化、ベツレヘムはイスラエル側と隣接しており、連日の衝突が繰り返されている。治安面の懸念から客足が遠のき土産物屋は閑散としている。高級ホテルはイスラエル軍が使用する催涙弾のガスにさらされ、宿泊客が例年の3割程度に落ち込んだという。それでもクリスマスには、恒例のミサが行われ平和への祈りがささげられた。

★『イスラム国』のキリスト者迫害続く中、難民救済も課題に。
 シリアやイラクで過激派組織『イスラム国』によりキリスト者らが迫害を受けている。教皇フランシスコは3月1日、「容認できないほどの残忍さ」と強く非難した。『イスラム国』は4月、キリスト者殺害の映像を公開するなど挑発姿勢を崩していない。一方、急増する難民への対応がキリスト教側の課題になっている。

★教派間の「対話」進む
 バチカン(ローマ教皇庁)とルーテル世界連盟(LWF)が、双方の違いよりも、共通の信仰を強調して「宗教改革500年」を2017年に記念する計画を6月17日発表した。
 バチカンは世界教会協議会(WCC)とも情報交換を進めており、WCCは世界福音同盟代表と協働の可能性探っている。WCC代表団がモスクワ総主教とも会談した。
 カナダと米国の『合同教会』が10月17日、フルコミュニオン関係に入った。

★教皇フランシスコがキューバ、米国などを和解の訪問。
 教皇は、キューバ、米国を9月訪問、国連総会でも演説した。教皇は1月にスリランカ、フィリピンフィリピン、6月にサラエボ、11月下旬にはアフリカ3か国を相次ぎ司牧訪問、中国との関係改善にも意欲を示している。

★教皇フランシスコが環境問題で初の回勅『ラウダート・シ』を6月18日発表。
 教皇はこの回勅を通して、地球はわれわれの家であるとして、地球が上げている叫びに耳を傾け、皆の共通の家を保全し、責任をもってその美しさを守るために「方向性を変えていく」よう、「環境的回心」を呼び掛けた。

★「結婚に失敗した信者も常に教会の一員」と教皇フランシスコ
 教皇は、結婚に失敗し、別の人との新しい関係を選んだ人々をいかにケアするかについて、教会はこのような状況がキリスト教の秘跡に矛盾するものであることは十分に承知しているが、教会の眼差しは、常に人々の善と救いを願う母の心を汲むものであると教皇は指摘した。
 また、この新しい関係を小さな子どもたちの立場から見つめる時、こうした状況を生きる人たちへの現実的な受け入れのあり方を共同体内に育てることが急務だと知ると述べた。
 教会はこの数十年間、秘跡としての結婚に失敗した後、新しい関係を築いた信者たちを、愛と真理のうちに、兄弟愛をもって注意深く受け入れる必要性を理解してきたと教皇は指摘、これらの人々は決して破門されたのではなく、常に教会の一員であるということを忘れてはならないと注意を促した。

★バチカンが児童性的虐待問題で司教の管理責任問う新法廷を教皇承認。
 教皇フランシスコが、カトリック聖職者による児童性的虐待問題に適切に対処しなかった司教の処罰を判断する法廷の新設を承認した。バチカン(ローマ教皇庁)が6月10日発表した。

★米最大の長老派教会で同性婚挙行
 米最大の長老派教会『PCUSA』は3月17日、より寛容な結婚の定義を盛り込んだ新たな教会規則『ブック・オブ・オーダー』を確定した。それに反発する教会の関係断絶が進む中、9月3日、同性愛者間の結婚式をケンタッキー州ルイビルにある本部のプレスビテリアン・センター・チャペルで挙行した。


◎教皇がバチカンで「神の母聖マリア」に捧げる新年ミサ

 【CJC=東京】2016年1月1日、教皇フランシスコは、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で開いた祈りの集いで「平和の敵は戦争だけではない。自分のことしか考えず、心を閉ざす無関心が平和の敵だ」と語り、また大聖堂で行った「神の母聖マリア」の大祝日の新年ミサでは、戦争を逃れた難民らの苦境に触れ、「より正しく、兄弟愛に満ちた世界」の建設を訴えた。

 カトリック教会の典礼暦は、1年の最初の日を「神の母聖マリア」に捧げると共に、戦争や分裂、憎しみや飢餓などのない平和な世界を願い「世界平和の日」としている。今年の「世界平和の日」のテーマは、「無関心に打ち勝ち、平和を獲得する」。


◎バチカンの『パレスチナ』国家承認発効

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は1月2日、『パレスチナ』を正式な国家と認めるパレスチナとの包括協定が今年に入って発効したと宣言した。バチカン、パレスチナ双方は昨年6月、包括協定に調印した。これに対し、イスラエルは激しく抗議していた。

 AFP=時事通信によると、バチカンは声明で、包括協定について「パレスチナにおけるカトリック教会の活動に関する合意であり、中東における対立の平和的解決を支援するものだ」と強調した。


◎米カトリック週刊誌が同性愛カップルを「時の人」に

 【CJC=東京】米週刊紙『ナショナル・カトリック・レポーター』が、「パーソン・オブ・ザ・イヤー」(時の人)に同性愛カップルを選出した。選ばれたのはグレッグ・バーク氏とマイケル・デレオン氏で、2人はケンタッキー州ルイビルで同性愛関係にあると共に積極的なカトリック活動家として知られていた。

 2015年6月、連邦最高裁は、このカップルが原告として訴えた案件のほか、オハイオ州、ミシガン州、テネシー州からの3件の訴えと合わせたオーバーグフェル対ホッジス裁判で、同性婚合憲の判決を下した。全米で同性婚が合法化されるきっかけとなった。

 同紙は「バークが性的指向を理由にボーイスカウトの指導者を解雇された際に、2人の結婚に注目が集まった。ケンタッキー州における同性婚禁止への異議申し立てをしてくれる原告を探していたルイビルの弁護団からの申し出を2人が受け入れ、その結果、歴史に残る出来事が起こった」と指摘している。2人は今回の選出について、「驚いたが、深く感動した」と言う。


◎北朝鮮が牧師無期判決めぐるカナダの批判に反発

 【CJC=東京】北朝鮮で拘束された韓国系カナダ人牧師ヒョンス・リム氏に無期労働教化刑(無期懲役に相当)を言い渡した判決をカナダ政府が批判していることについて、同国外務省が12月22日、「カナダ政府は謝罪し再発防止措置を取るべきなのに、われわれを非難するのは黙過できない」と反発した。北朝鮮の朝鮮中央通信報道として、共同通信が伝えた。

 北朝鮮の最高裁は16日、リム氏が北朝鮮の体制転覆を図ったとして無期労働教化刑を言い渡している。


◎米で銃を持った男が教会に、牧師は祈りと抱擁で受け入れ

 【CJC=東京】米ノースカロライナ州フェイエットビルの教会で、礼拝中にライフル銃と実弾を持って入ってきた男をラリー・ライト牧師がなだめ、祈りと抱擁で受け入れる出来事があった。地元紙フェイエットビル・オブザーバーなどの報道として、米メディア『CNN』が伝えた。

 12月31日、大晦日の深夜。同牧師が約60人の信者を前に、銃犯罪のため理由なく殺害された人々について語っていた時、ライフル銃と実弾が入った弾倉を持った男が教会の中に入ってきた。

 元陸軍兵の牧師は、一目で男の銃は本物と判断した。そこで男に歩み寄り、「何かお手伝いできることはありますか?」と話しかけた。もし男が向かってきたら、がっしりした長身の体格を生かして相手を阻むつもりだったという。しかし男は牧師に、自分のために祈ってほしいと懇願した。

 牧師は男からライフル銃を受け取って助手に渡し、その場にいた4人が1人ずつ男を抱きしめた。牧師は男のために祈りをささげ、言葉をかけたという。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(1月3日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=世界平和の日メッセージ=無関心を克服し平和の実現を
★教皇、一般謁見で注意を促す=救いは お金では買えない=イエスは 見返りを求めない
★マザー・テレサ=9月にも列聖へ
★教皇フランシスコ=メキシコ訪問へ=2月、最貧都市など日程に
★都立高の夜間定時制=存続求めて署名活動=夜間中学講師のキリスト者ら

 =キリスト新聞(年頭休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(1月3・10日)=https://クリスチャン新聞.com
★クリスチャン・フードセイフティ・フォーラム=教会を食料支援の拠点に
★PMPM@NAGOYA2で山口氏=とりなしの祈りの中「抵抗権」行使を
★アフラック社長がクリスマスメッセージ= 「何を第一にすべきか考える時」=「国会クリスマス晩餐会2015」
★バックストン聖会で工藤弘雄氏=彼はいかに多くを捨てたか
★マコトフジムラ氏ら絵画・音楽・神学のコラボを広島で=芸術が与える回復に意義

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