世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1304信(2016.01.18)

  • カンタベリーで世界聖公会首座主教会議
  • カンタベリー大主教が内部の「緊張」認める
  • 世界聖公会首座主教会議が米聖公会を3年間加盟停止
  • アラーとイエスは同じ神か?米大学で論議
  • イエメンで「国境なき医師団」病院に砲撃、4人死亡
  • 『イースター』を固定祝日に各教派が前向き
  • ≪メディア展望≫

◎カンタベリーで世界聖公会首座主教会議

 【CJC=東京】世界聖公会38管区の首座主教会議が1月11日、霊的最高指導者カンタベリー大主教ジャスティン・ウエルビー氏の招請により、6日間の日程で開始した。

 カンタベリー大聖堂で、夕べの祈りと共に始まった会議は、事前に同性愛容認に反対するアフリカの主教が離脱するのではないか、との推測も出るほどに「分裂」の危機にさらされていた。

 ウエルビー大主教は、英公営BBC放送に「分裂は災害ではない」と語っていた。「神はわたしたちの失敗に勝って偉大である。しかし失敗は失敗だ。わたしが和解を望んでいるが、和解がいつも合意を意味するわけではない。実際に、まずそうはならない」と言う。


◎カンタベリー大主教が内部の「緊張」認める

 【CJC=東京】1月11日から16日まで英カンタベリーで開催された世界聖公会首座主教会議で、霊的最高指導者カンタベリー大主教ジャスティン・ウエルビー氏は開会演説から、内部に深い緊張関係があることを認めた。大主教は、お互いのためにキリストのような愛の精神を求め、宣教を通じた一致の表現に焦点を絞るよう促した。


◎世界聖公会首座主教会議が米聖公会を3年間加盟停止

 【CJC=東京】世界聖公会首座主教会議は1月14日、米聖公会に対し、共同体の将来について反省することを求め、3年間加盟停止を決定した。決定は3分の2以上の賛成で行われた。米聖公会の同性愛容認を公然非難してきたアフリカの主教が「離脱」をほのめかし影響力を発揮したと見られる。

 米聖公会は2003年に公然同性愛者のジーン・ロビンソン司祭をニューハンプシャー主教に選出したが、それに反発した教会が離脱、『北米アングリカン教会』など並行教会への「忠誠」を示す事態になった。2015年7月には、聖職者が同姓婚の司式を認めたが、これは『聖公会共同体』内の大多数の教会では行われていない。

 聖公会共同体の声明は「これらの問題の重要性を考慮すると、3年間、米聖公会はエキュメニカルなまた超教派な組織の代表ではない」といている。さらに「教義や教会政治に関する問題についての決定には参加しない」としている。「聖書の教えに従って、教会の伝統的教義は、結婚を1人の男性と1人の女性の貞節な生涯にわたるものとする。ここに集まったものの大多数はこの教えを再確認した」という。

 今回の措置は、同性愛者を犯罪人扱いにしたと受け取られかねず、聖公会内部にも、この人たちをも「加盟停止」するのか、と英国国教会総会議員のクリスティーナ・リーズさんなどは指摘している。一方、実際に聖公会に影響はない、と見る向きもある。もはや立ち帰ることはないし、罪でもないことを悔い改めることは出来ない、とワシントン大主教区の前キャノン(参事司祭)ジム・ノートン氏。

 聖公会共同体は全世界44加盟教会で構成されており、信徒総数は8500万。米聖公会は信徒数180万だが、大統領の多くは聖公会信徒で、影響力は信徒数では量りきれないものがある。


◎アラーとイエスは同じ神か?米大学で論議

 【CJC=東京】キリスト教徒とイスラム教徒は同じ神を崇拝しているのか。この問いをめぐり、イリノイ州のウィートン大学で論争が巻き起こった。米紙『ウォールストリート・ジャーナル』1月7日付け(日本語版11日付け)が「オピニオン」欄でボストン大学のスティーブン・プロテロ教授(宗教学)の主張を掲載している。

 同大学で政治学を教えるラリシア・ホーキンス准教授は昨年12月、交流サイト(SNS)のフェイスブックに投稿した。そして休職処分を受けた。その投稿とは、クリスマス前の「アドベント」の間、頭にスカーフを着用していたというもので、「わたしはイスラム教徒と宗教的な連帯の中にいる。彼らは、わたしのようなキリスト教徒と同じように聖典の民なのだから」と書いた。ウィートン大は、一連の話し合いの後でホーキンス氏の解雇手続きに入った。

 ウィートン大はキリスト教系の大学で、教職員は毎年、福音派プロテスタント教徒としての自覚を確認するため、信仰を約束する文書に署名することになっている。ホーキンス氏がフェイスブックに投稿した翌日、大学はキリスト教とイスラム教の「根本的な違い」を強調した声明を発表。その違いの中には「人類に対する神の啓示や、神の法、救済の道、祈りを捧げる人の生活に関する教えが含まれる」としている。大学が後に説明したところによると、ホーキンス氏を休職扱いにしたのはヒジャーブ(イスラム教徒の女性が身につけるスカーフ)をかぶったことが理由ではなく、キリスト教徒とイスラム教徒が「同じ神を崇拝している」というコメントを含む「神学上の発言」が理由だと説明した。

 イスラム教とキリスト教はともに、ただ一つの神を信じている。創造主であり、審判であり、預言者を通して話し、その言葉が聖典にまとめられている神だ。それでもこの二つの宗教は、同じ山の頂上へ続く2本の登山道というわけではない。キリスト教徒はコーランにある神の啓示を信じていない。一方、イスラム教徒はイエスが神の顕現であると信じていない。

 プロテロ教授は、複数の宗教や文化の共存を肯定する多元主義を装うこと、つまり、すべてのもしくは大半の宗教的な伝統が同じ真実に依拠していると装うことは、ウィートン大をはじめ、どこの言い争いにとっても解決にはならない、と主張している。


◎イエメンで「国境なき医師団」病院に砲撃、4人死亡

 【CJC=東京】国際医療NGO『国境なき医師団』は1月10日、イエメン北部ラゼーで運営する病院が同日に砲撃を受け、4人が死亡、10人がけがをしたと発表した。複数の建物が倒壊したという。イエメンで同医師団が支援する病院が攻撃されたのは、この3カ月で3回目。

 医師団は「医療施設の場所は関係者に定期的に情報提供している。空爆や砲撃を行う側が知らなかったはずはない」と主張している。


◎『イースター』を固定祝日に各教派が前向き

 【CJC=東京】カンタベリー大主教ジャスティン・ウエルビー氏はキリスト教の全教派で「5年から10年の間に」、『イースター』を固定祝日とするよう、教皇フランシスコと協力していることを明らかにした。これまでにも同様の試みはあったものの、合意に達しなかったが、今回は、カンタベリー大主教在任中に実現したいと意気込んでいる。

 話し合いはコプト正教会の教皇タワドロス2世、コンスタンチノープルのエキュメニカル総主教バルトロメオス1世とも進めている。

 教皇フランシスコは昨年6月、バチカン(ローマ教皇庁)は『イースター』の日程共通化を望んでおり、カトリックの教会暦を変更することにも前向きの意向を示した。ロシア正教会は、『イースター』の日付がこれまで使用して来た正教会の暦によって決定されるなら、共通化を歓迎するという姿勢。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(1月17日)=https://www.cwjpn.com
★教皇、「主の公現」に強調=真の光を示す教会の使命
★バチカンとパレスチナ=歴史的協定が発効=2国家共存での解決支持
★教皇フランシスコ=「祈りの意向」をビデオメッセージで=初回は諸宗教対話
★"聖マリア"の扉開く=教皇 ローマで「世界平和の日」に
★韓国の司教=「深い懸念」表明=慰安婦めぐる日韓合意に

 =キリスト新聞(年頭休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(年頭休刊)=https://クリスチャン新聞.com

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