世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1305信(2016.01.25)

  • アップルやグーグル首脳と相次ぎ会見する教皇の思い
  • 教皇が一般接見で「すべてのキリスト者は洗礼において一つ」
  • 教皇フランシスコがローマのユダヤ教会堂公式訪問
  • 高山右近の列福に決定的な一歩
  • テロ集団がイラク最古の修道院を破壊
  • 米合同メソ教会が「インテリジェント・デザイン」推奨団体の総会出展拒否
  • ≪メディア展望≫

◎アップルやグーグル首脳と相次ぎ会見する教皇の思い

 【CJC=東京】教皇フランシスコがインターネット世界の「大物」と相次ぎ会見している。各方面の指導者がバチカン(ローマ教皇庁)を訪れ、教皇と会見することは、珍しいことではないが、1月15日、ネット検索の大手グーグル会長を長く務め、今では親会社アルファベット会長のエリック・シュミットと会見した。しかもその1週間後の22日にはアップルの最高経営責任者ティム・クックと会見した。これが何を意味しているのか、観測筋の好奇心をかき立てている。

 教皇は、ネットの技術的なことに関しては「ダイノザウルス」(時代遅れ)と決め込んではいるが、「ネットは神からの贈り物」と呼ぶほどに力を入れている。実際には教皇が自ら打ち込んでいるわけではないが、とにかく目を通して発信しているツイッターは、2013年10月にはフォロワーが1000万人を超えたほど。機会があれば携帯電話などの「自撮り」にも喜んで応じている。

 カトリック教会の取り組むべき課題の一つに、青年層に働きかけ、彼らを力づけたいと教皇が考えていることは明らか。そこにインターネットを活用したい、と願っていることも明らかだ。インターネットの善悪を決めつけるのではなく、善悪いずれのために利用するかは個人に委ねられている、というのが教皇の姿勢と見られる。

 それでも今回の「大物」2人との相次ぐ会見には、すでに大きな計画が動き出しているのではないか、との推測を否定出来ない。2人が教皇と会見したと言っても、時間は10分から20分程度のもので、そこで実質的な協議が行われたのではなく、合意に達したことの最終確認のために行われたと見る方が自然だろう。特に技術的なことは脇に置いて、教皇がある種の確信を持ったのは明らかのようだ。

 アップルのティム・クックは資産を慈善活動に投じることを明らかにしており、グーグルのエリック・シュミットは自らの基金をエネルギーの持続的利用のために拠出している。さらにクックのバチカン訪問直前にアップルはアプリケーション開発センターをイタリアに開設することを明らかにした。南イタリアのナポリが候補地とされているが、南イタリアはマフィアなど組織犯罪集団の拠点でもあり、カトリック教会も対策に手を焼いている所だけに、注目される。


◎教皇が一般接見で「すべてのキリスト者は洗礼において一つ」

 【CJC=東京】教皇フランシスコは1月20日、水曜恒例の一般接見の席上、毎年1月18日から25日の『聖パウロ回心の祝日』までの1週間に記念される『キリスト教一致祈祷週間』にちなんで、あらゆるキリスト者の一致の根源である「洗礼」について話した。今年の一致祈祷週間のテーマは、ペトロの手紙1から取られた「私たちは皆神のいつくしみの業を告げ知らせるために招かれている」という言葉が選ばれた。

 バチカン放送が報じるところでは、教皇は、すべてのキリスト者にとって、かけがえのない神からの恵みである「洗礼」について次のように述べた。

 ラトビアの首都リガの司教座大聖堂の真ん中に、12世紀の作と言われる素晴らしい洗礼盤があります。ラトビアが聖マイナルドの宣教によってキリスト教に改宗した頃にさかのぼるものです。この洗礼盤はラトビアにおけるカトリック、プロテスタント、そして正教会のすべてのキリスト教徒たちの信仰の唯一の源泉を雄弁に物語っています。この源泉は私たちすべてのキリスト教徒に共通の「洗礼」です。

 聖ペトロはその第一書簡の中で初代教会の信者たちに、洗礼によって神からいただいた恵みと洗礼からくる義務とをしっかりと自覚するようにと書き送っています。私たちもこの一致祈祷週間にあたって、同じようにこの秘跡の意味をあらゆる分裂を乗り越えて共に再発見するよう招かれています。

 何よりも先に、洗礼を共にするということはわたしたちが皆罪人であり、救いと贖いを必要としていること、またあらゆる悪から解放される必要もあるという事実を意味しています。聖ペトロはこのような負の側面をその書簡の中では「闇」と呼んでいます。「神はあなたたちをこの闇から引き出し、神の素晴らしい光の中に移してくれたのです」と聖ペトロは言っています。闇それは死の体験でもあります。死は洗礼において象徴的に表現されています。水の中に浸ることは死を表し、続いて水から上がるということはキリストにおける新しい生命によみがえることを意味します。わたしたちキリスト者が唯一の洗礼を共にするという時、それはわたしたち皆が、カトリックもプロテスタントも正教徒も、すべてのキリスト者が闇から救い出され、いつくしみに満ち溢れる生ける神との出会いに呼ばれているのだという同じ体験を共有しているということなのです。

 残念ながらわたしたちは皆、エゴイズムの体験をも余儀なくされています。まさしくこのエゴイズムから分裂や軽蔑、閉鎖が生まれ出てくるのです。洗礼から再出発するということは、すべての人々にとって希望の泉である神の慈しみの泉を再び見出すということにほかなりません。なぜなら誰ひとりとして神のいつくしみから除外される者はいないからです。


◎教皇フランシスコがローマのユダヤ教会堂公式訪問

 【CJC=東京】教皇フランシスコが1月17日夕、ローマ市内のユダヤ教会堂を訪問した。バチカン放送によると、ローマ教皇のユダヤ教会堂訪問は、第1回教皇ヨハネ・パウロ2世、第2回の前教皇ベネディクト16世の訪問に続き3回目。

 ユダヤ教会堂のあるローマの『10月16日広場』に到着した教皇を、ローマにおけるユダヤ教共同体の指導者や同会堂の責任者たちが出迎え、歓迎の意を表した。

 会堂前に設置された、1943年10月16日未明ローマ在住のユダヤ教徒1024人がナチスにより強制連行された事件を記念する碑の前で教皇はしばらく黙祷し花環を捧げた。

 教皇はローマのユダヤ教共同体の歓迎に答え次のように話した。

 「わたしの心の中で、いつもユダヤ教共同体との関係は大きな位置を占めていました。アルゼンチンのブエノスアイレスの大司教だった時も、毎年機会のあるごとに会堂を訪れ親交を暖めてきました。そして時とともに霊的な絆を強め友情関係を親密にしてきました。同じ創造主である父なる神のみ前で兄弟姉妹としての意識を確保するためまた主をともに賛美するためには諸宗教対話は不可欠です。またそのためにもお互いに尊重しあい評価し協力いたしたいと思います。ユダヤ教とキリスト教の対話には特別な絆がその底にはあります。それはキリスト教の根はユダヤ教にあるということです。ですからユダヤ教徒とキリスト教徒は兄弟なのです。ユダヤ教徒とキリスト教徒は同じ神と豊かな共通の霊的遺産によって深く結ばれているのです」。


◎高山右近の列福に決定的な一歩

 【CJC=東京】400年前の日本のキリシタン大名ユスト高山右近の殉教がバチカン(ローマ教皇庁)によって承認された。これで日本カトリック教会の長年の願いであった高山右近の列福に決定的な一歩が記された。

 バチカン放送によると、教皇フランシコは1月21日、教皇庁列聖省長官アンジェロ・アマート枢機卿と会見し、同省から提出されていた11件の文書に承認の署名をした。その中の1件が高山右近の殉教を承認するもの。

 「福者」は、カトリック教会で、死後その徳と聖性を認められた信者に与えられる称号。さらに列聖調査がおこなわれて聖人に列せられることもある。


◎テロ集団がイラク最古の修道院を破壊

 【CJC=東京】ロシアのスプートニク通信は、テロ集団『ダーイシュ』(イスラム国)の戦闘員らが、イラク最古のキリスト教の修道院を徹底的に破壊したと報じた。AP通信が人工衛星からの写真をもとに伝えたという。

 破壊された『聖エリヤ修道院』は、イラク北部のシリア国境に近いナイナワ地方にある。アッシリア人の修道士エリヤが595年に、その基礎を作った。


◎米合同メソ教会が「インテリジェント・デザイン」推奨団体の総会出展拒否

 【CJC=東京】米合同メソジスト教会(UMC)は、今年の総会で『ディスカバリー研究所』が情報テーブルの開設を認めないことにした。開設申請は、出展ガイドラインを満たしていないと言う。同研究所が、生命や宇宙は、何らかの知的なデザイナーによって創られたという「インテリジェント・デザイン」理論を推奨しているのが理由と見られる。

 合同メソジスト教会は2008年の総会で、創造論やインテリジェント・デザインなどの理論の導入を公立学校のカリキュラムに取り入れることに反対する決議をしている。

 『ディスカバリー研究所』のジョン・G・ウェスト副所長は「合同メソジスト教会は『心を開き、ドアを開く』ことをスローガンにしていると思ったが、情報テーブルの設営が断られるとなると、心が開いているようには思えない。心は閉ざされている」と批判している。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(1月24日)=https://www.cwjpn.com
★神のいつくしみは不変で限りない=教皇の一般謁見講話
★わすれない=復興支援の現場から=福島・二本松=「若者の雇用」も
★教皇、外交使節団に演説=いつくしみの温かさで冷たい無関心の克服を
★教皇のインタビュー本=数カ国語で同時発売=教会の信頼性はいつくしみに
★教皇=ユダヤ教の会堂(シナゴーグ)訪問=「旧約の取り消し、あり得ない」

 =キリスト新聞(1月23日)=https://www.kirishin.com
★カトリック正平協・日基教団西中国教区=死刑執行に抗議、死刑制度の廃止求める
★政教分離の侵害を監視する全国会議と、日基教団北海教区が伊勢神宮参拝に抗議
★北朝鮮の核実験を宗教界も憂慮=核兵器廃絶へ、宗平協、WCRP日本委が声明
★〝哲学なしで生きられるのか〟=日本学術会議哲学委がシンポ
★イスラム教への関心高いが不安も=第12回「学生宗教意識調査」報告書

 =クリスチャン新聞(1月24日)=https://クリスチャン新聞.com
★日出高等学校生徒=教会のクリスマス礼拝体験=神様の心をプレゼント「イエス様が一緒」
★「ガチ取ろうえ! 憲法9条にノーベル平和賞」=9条に現実合わせていく=大分の牧師が本紙に問い合わせ 講演会が実現
★第6回東アジア青年キリスト者大会=中国で初開催=3か国で平和・宣教祈る
★ママの会@国会前=元旦にピースアクション
★「東京カベナント」55年牧会=土屋順一氏逝去

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