世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1311信(2016.03.07)

  • 『ウイクリフ・アソシエイツ』が『世界同盟』との提携解消
  • ノーベル賞平和賞に最多の376候補、教皇も候補入り?
  • 教皇、エチオピア正教会総主教アブネ・マティアス1世と会見
  • 「汚れたお金いらない」と教皇が富裕層の搾取非難
  • イエメンで高齢者施設に武装集団、修道女ら16人死亡
  • 「神はいない」とネット書き込みで起訴=ロシア
  • 聖職者の虐待描いたアカデミー賞受賞作をバチカン紙は評価
  • アグネスがユニセフのアジア親善大使に
  • ≪メディア展望≫

◎『ウイクリフ・アソシエイツ』が『世界同盟』との提携解消

 【CJC=東京】1967年から国際規模で聖書翻訳事業を進めている『ウイクリフ・アソシエイツ』(本部=米フロリダ州オーランド)が、『世界ウイクリフ同盟』(WGA、本部=シンガポール、1991年結成)との提携関係を更新しないと発表した。米宣教専門ANS通信が報じた。

 決定は、『ウイクリフ・アソシエイツ』が2月26日に開催した理事会で行われ、ブルース・スミス会長が3月1日、本部でスタッフやボランティアに発表した。各提携団体には直接、または電話や電子メールで伝えたという。

 スミス会長は提携解消の理由を、まず聖書翻訳の際、どの言語でも「父」と「神の子」に関して文字通り訳出することを『ウイクリフ・アソシエイツ』が固執しているからだとしている。WGAには、聖書訳出に際して「父」と「神の子」を含めない団体も加盟している。『ウイクリフ・アソシエイツ』は、「父」と「神の子」を字義通りに訳すことに関しては妥協する余地はない、と同会長は公式声明でも述べている。

 『ウイクリフ・アソシエイツ』の報道担当は、WGAには200以上の団体が加入しており、聖書は各土地で使われている言語に訳出するのを使命としており、「WGAは、イエスが神の子であることを受け入れないイスラム教社会など特定の文化圏での聖書翻訳は、イエスを権威づける適当な文脈を用いる必要があると言う。『ウイクリフ・アソシエイツ』は、イエスの権威を字義通りに訳出するのは『神の子』だと信じる」と語った。

 『ウイクリフ・アソシエイツ』は2015年、スタッフ、ボランティア合わせて6279人で75か国での聖書翻訳推進のために活動している。今回のWGAとの提携解消の中身が本質的であるだけに、和解の道は困難をきわめそうだ。


◎ノーベル賞平和賞に最多の376候補、教皇も候補入り?

 【CJC=東京】ノルウェーのノーベル賞委員会は3月1日、今年のノーベル平和賞の候補として、過去最多となる計376の個人・団体の推薦を受けたと発表した。うち148が団体に対する推薦という。これまでは2014年の278候補が最多の推薦だった。

 同委員会は50年間、候補者名を明らかにしないのが決まりだが、共同通信によると、教皇フランシスコらが含まれているとされる。

 例年10月に受賞者が発表され、12月10日に授賞式が行われる。


◎教皇、エチオピア正教会総主教アブネ・マティアス1世と会見

 【CJC=東京】教皇フランシスコは、バチカン(ローマ教皇庁)で2月29日、エチオピア正教会の総主教アブネ・マティアス1世と会見した。

 バチカン放送(日本語電子版)によると、総主教と使節団を温かく歓迎した教皇は、前任のアブネ・パウロス総主教の、1993年のヨハネ・パウロ2世との、また2009年のベネディクト16世との出会いを想起しつつ、カトリック教会とエチオピア正教会との友好に感謝を表明した。

 同時に、2004以来、カトリック教会と正教会の国際神学共同委員会によって進められる神学対話に、近年エチオピア正教会の積極的な参加が見られることを歓迎した。


◎「汚れたお金いらない」と教皇が富裕層の搾取非難

 【CJC=東京】教皇フランシスコは3月2日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で行われた一般接見で「教会は汚れたお金はいらない」と述べ、経済搾取で利益を得る一部の豊かな寄付者を痛烈に非難した。AFP=時事通信が報じた。

 教皇は「寄付者の中には、低賃金で働かされ奴隷のように虐げられた人々の血から利益を得たお金を持って、『受け取ってください』と申し出る人がいる」と指摘。「そうした人に、私は『どうかその小切手を持ち帰って燃やしてください』と言う」と述べた。


◎イエメンで高齢者施設に武装集団、修道女ら16人死亡

 【CJC=東京】紛争が続くイエメン南部アデンで、カトリック系の高齢者施設が襲撃を受け、修道女4人を含む16人が死亡したことが6日までに分かった。バチカン(ローマ教皇庁)が明らかにした。

 バチカン発表として米メディアCNNが報じる所では、武装集団は3月4日、施設の建物に突入した後、1部屋ずつ回って計16人の手を縛り、頭部を銃で撃って殺害した。

 バチカンのフィデス通信によると、死者のうち4人は、カトリックの「聖人」認定が決まっているマザー・テレサが設立した修道会『神の愛の宣教者会』のメンバー。2人はルワンダ人で1人がインド人、残る1人はケニア人。

 バチカンのピエトロ・パロリン国務長官は、襲撃を「極悪非道の愚かな行為」と非難した。教皇フランシスコも犯行を「無意味な虐殺」と呼び、事件が「全関係者の良心を呼び覚まし、武器の放棄や対話につながるよう祈っている」という。

 イエメンでは近年、イスラム教シーア派武装組織『フーシ』と政府軍の対立に乗じ、国際テロ組織アルカイダなどによる暴力が続発している。


◎「神はいない」とネット書き込みで起訴=ロシア

 【CJC=東京】ロシアで3月2日、「神などいない」とインターネット上に書き込んだ男性が、ロシア正教信者の心情を害したとして起訴された。AFP通信が報じた。有罪判決が下れば最大で禁錮1年が言い渡される可能性がある。

 南部スタブロポリ在住のビクトル・クラスノフ被告(38)が、2014年に地元のユーモア系ウェブサイトで展開された聖書に関する議論をめぐって起訴された。

 クラスノフ被告はこのネット議論の中で、「ユダヤ人のおとぎ話を寄せ集めて聖書と名付けただけで、まったくのたわごとだ。少なくとも僕にとっては」などと主張。さらに「神なんていないんだよ!」と書き込んだ。

 これに対し、議論に参加していた若者の1人が「ロシア正教信者の心情を害した」として被告を告訴した。

 起訴の根拠となったのは、女性パンクバンド『プッシー・ライオット』がロシア正教会の大聖堂で挑発的なパフォーマンスを行って懲役刑判決を受けたことを機に2013年に制定された法律だという。


◎聖職者の虐待描いたアカデミー賞受賞作をバチカン紙は評価

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)が発行する新聞『ロッセルバトレ・ロマノ』は、カトリック教会の聖職者による性的虐待事件を暴く新聞記者を描き、このほど米アカデミー賞の作品賞などに輝いた映画「スポットライト=世紀のスクープ」について、反カトリック教会的な作品ではないと内容を評価する立場を示した。米メディアCNNが報じた。

 『ロッセルバトレ・ロマノ』は論説で、米紙『ボストン・グローブ』の編集部の戦いを扱った作品は、現実に直面した忠実な信者たちの衝撃や痛切な苦痛を代弁したものと指摘している。

 同映画の製作者は、アカデミー賞授賞式で「作品は事件の体験者の声を浮き彫りにしたもの。この声が強まり、バチカンまで響き渡る聖歌になることを願った」などと述べていた。
 同紙は、映画「スポットライト」は「物語の一端にしか焦点を当てていないが、性的虐待を受けた後、助けを求める神も見出せなかった被害者の内部の荒廃を表現した」と称賛した。


◎アグネスがユニセフのアジア親善大使に

 【CJC=東京】国連児童基金(ユニセフ)は3月7日、歌手アグネス・チャンさんをアジア親善大使に任命した。アジアをはじめ世界各地の紛争・災害現場を訪れ、子どもたちが置かれた惨状を人々に伝える役割を担う。

 ユニセフは著名人をアジアやアフリカ地域などで活動する「大使」に任命しており、アグネスさんの任命で16人に上る。

 アグネスさんは1955年、香港生まれ。98年、日本ユニセフ協会の「大使」に就任、7日付で退任した。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(3月6日)=https://www.cwjpn.com
★東日本大震災から5年=行政の手が届かないところに寄り添う教会 今後も必要
★教皇=「聖年中 死刑停止を」=全世界の指導者に訴え
★富と力は善のために=一般謁見=教皇、「正しい用い方」語る
★9校が合同説明会=横浜教区内のカトリック小学校
★溝部脩司教 逝去

 

 =キリスト新聞(3月5日)=https://www.kirishin.com
★「十字架撤去」で揺れる中国=大教会の牧師も拘束 政府の牽制か
★〝聖書は道徳を凌駕している〟=道徳の教科化めぐり小副川幸孝氏が講演
★緊急事態条項の危険性学ぶ=「宗教者祈念集会」で早田由布子弁護士
★カトリック臨時司教総会=司教協議会新会長に高見三明氏
★教皇がジカ熱流行地域えは避妊を容認?

 

 =クリスチャン新聞(3月6日)=https://クリスチャン新聞.com
★日本初開催 第4回アジア宣教フォーラム=世界潮流ふまえ未来へ
★堺に「BIBLE HOUSEびぶろすの森」開店=絵本とキリスト書の"森林浴"
★「2つのJ」に生きた内村鑑三の「日本への愛」とは=「世界、キリスト、神のための愛」=東京聖書学院信徒コース公開講座で山口陽一氏講演
★ザ・メッセンジャーズ=往年のメンバー駆けつけ演奏=「最後まで主の証し人だった」=織田尚哉メモリアルコンサート
★在日大韓基督教会全国教会女性連合会=日本軍「慰安婦」問題に関する日韓外相会談に対し抗議声明


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