世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1313信(2016.03.21)

  • 教皇訪日の実現「適切な機会に」と教皇庁外務局長が岸田外相に
  • 枢機卿会議で新たに聖人5人、マザー・テレサの列聖式は9月4日
  • 教皇が「インスタグラム」始める
  • カトリック国の南米チリ下院を中絶解禁法案通過
  • 米大統領が88年ぶりキューバを「歴史的な訪問」
  • 北朝鮮、拘束の米大学生に15年の労働教化刑
  • 『ウイクリフ』の翻訳担当者が中東で殺害
  • ≪メディア展望≫

◎教皇訪日の実現「適切な機会に」と教皇庁外務局長が岸田外相に

 【CJC=東京】欧州歴訪中の岸田文雄外相は3月19日、バチカン(ローマ教皇庁)で国務省のポール・リチャード・ギャラガー次官(外務局長=外相)と会談した。ギャラガー次官は、教皇フランシスコの訪日を「適切な機会」に実現したいと表明した。

 岸田外相が「東日本大震災から5年を迎え、復興への励ましを」と訪日を招請したのに答えた。

 キリシタン大名の高山右近(1552〜1615年)を「福者」とする列福式が2017年に予定されている。日本カトリック司教団も訪日を招請しており、教皇は昨年3月、列福式に「可能なら行きたい」と述べたという。

 訪日が実現すれば、1981年の故ヨハネ・パウロ2世以来2回目。教皇フランシスコは、日本にキリスト教を伝えた宣教師フランシスコ・ザビエルで知られる修道会『イエズス会』出身。初め日本での布教を希望したが、果たせなかったという。2014年1月15日の一般接見で、長く激しい迫害の時代にも、洗礼によって脈々と受け継がれた日本の「キリシタン」の信仰を紹介している。

 「日本のキリスト教共同体は、17世紀初頭から厳しい弾圧を受けた。これによって多くの殉教者を出し、司祭たちは追放され、信者数千人が殺害された。日本に司祭はいなくなった。皆、追放されてしまったからだ。そこでキリスト教共同体は、潜伏生活に入り、隠れた生活の中で信仰と祈りを守った」と教皇は語った。


◎枢機卿会議で新たに聖人5人、マザー・テレサの列聖式は9月4日

 【CJC=東京】教皇フランシスコは3月15日、バチカン(ローマ教皇庁)で開かれた枢機卿会議の席で、マザー・テレサら5人の福者の列聖を承認する教令に署名した。

 バチカン放送(日本語電子電子版)によると、列聖が承認されたのは、次の5人の福者。

▽コルカタのテレサ(マザー・テレサ、本名アグネス・ゴンジャ・ボヤジュ、1990〜1997)列聖式:2016年9月4日
▽マリア・エリザベッタ・ハッセルブラッド(1870〜1957)列聖式:2016年6月5日
▽スタニスラオ・ディ・ジェズ・マリア(本名ヤン・パプチンスキ、1631〜1701)列聖式:2016年6月5日
▽ホセ・ガブリエレ・デル・ロサリオ・ブロチェロ(1840〜1914)列聖式:2016年10月16日
▽ホセ・サンチェス・デル・リオ(1913〜1928)列聖式:2016年10月16日

 

◎教皇が「インスタグラム」始める

 【CJC=東京】教皇フランシスコは3月19日、写真や動画を共有できるSNS「インスタグラム」にアカウントを開設した。最初の投稿は教皇が膝をつき祈りをささげる写真で、「私のために祈って」と言う趣旨のメッセージが9カ国語で添えられている。

 「インスタグラム」のケビン・シストロム最高経営責任者(CEO)はこの2月26日にバチカンで教皇と面会、国境や文化、世代を超えた人々を団結させる「イメージの力」について話し合った。

 同氏は19日、教皇と握手する写真を投稿し、「謙虚で、思いやりと慈悲がこもったあなたのメッセージは末永く記憶に残るだろう」とメッセージを添えた。


◎カトリック国の南米チリ下院を中絶解禁法案通過

 【CJC=東京】サンパウロ発時事通信によると、チリ下院は3月17日、一定の条件を満たせば中絶を認める法案を可決した。続いて上院で審議されるが、妊娠中絶を問答無用の悪と見なしてきたカトリック信徒が圧倒的なチリで、中絶解禁に向けて前進したことは大きな変化だ。

 下院を通過した法案は、出産で母体に危険がある場合や性犯罪での妊娠、死産確実な事例に限り、中絶手術を認める内容。

 時事通信によると、チリでは年間16万件もの非合法の中絶が横行していると見られ、与党は「中絶の全面禁止は実態と懸け離れている」と訴えていた。


◎米大統領が88年ぶりキューバを「歴史的な訪問」

 【CJC=東京】現職の米国大統領として88年ぶりにキューバを訪れたバラク・オバマ大統領は3月20日午後、雨の中を大統領専用機「エアフォースワン」がハバナのホセ・マルティ国際空港に着陸するとすぐに自身のツイッターにスペイン語で「ケ・ボラ、キューバ?」(キューバ、元気かい)とスペイン語で投稿、歴史的な訪問を開始した。空港には、ブルーノ・エドゥアルド・ ロドリゲス・パリージャ外相らが出迎えた。今回の訪問にはミシェル夫人と2人の娘のほか、ケリー国務長官ら閣僚、超党派の議員団と企業関係者が同行している。

 大統領は、現地のアメリカ大使館の職員らを前に「歴史的な訪問であり、キューバ市民と直接触れ合う歴史的な機会だ」と述べ、今回の訪問の意義を強調した。

 20日はイースタ-直前の「枝の主日」(棕櫚の主日)にあたる。大統領は、ミシェル夫人と2人の娘を連れて旧市街にある大聖堂を訪れ、教皇フランシスコと共に両国の国交回復に向けた秘密交渉の仲介役を担ったキューバ・カトリック教会のトップ、ハイメ・オルテガ枢機卿(ハバナ大司教)と面会した。

 大統領は訪問2日目の21日に、ラウル・カストロ国家評議会議長と首脳会談を行うほか、22日には野球のキューバ代表とアメリカ大リーグの球団との親善試合を観戦するなど、新たな両国関係の到来をアピールする。

 大統領は訪問最終日の22日、ハバナの国立劇場で演説し、両国の関係改善の意義のほか、市場経済や民主化の重要性についても説明する。演説はキューバ国営テレビを通じて全国中継される。演説後、反体制派を含む市民代表らと意見交換をするほか、米大リーグのレイズとキューバ代表チームの試合を観戦する。

 大統領は同日夜、アルゼンチンに向け出発の予定。


◎北朝鮮、拘束の米大学生に15年の労働教化刑

 【CJC=東京】北朝鮮の最高裁は3月16日、同国内で1月に拘束された米バージニア大の男子学生、オットー・フレデリック・ワームビア氏に対し、15年の労働教化刑を言い渡した。

 同国国営の朝鮮中央通信(KCNA)は2月29日、ワームビア氏が国家への「重大な犯罪」を告白したと伝えていた。

 KCNAによると、ワームビア氏は平壌市内で記者会見し、羊角島(ヤンガクト)国際ホテルのスタッフ専用エリアから政治スローガンが書かれた展示物を持ち出すという罪を犯したと告白し、この罪は「非常に重大かつ計画的なものだ」と語った。

 ワームビア氏は、米オハイオ州ワイオミングのフレンドシップ合同メソジスト教会の友人の母親から教会に展示するために政治スローガンの書かれた掲示物を取ってくるよう頼まれたため、盗んだと述べた。また、掲示物を盗めば1万米ドル(約110万日本円)相当の中古車をあげると言われたほか、もし北朝鮮で拘束されて帰国できなくなれば20万ドル(約2200万円)をワームビア氏の母親に寄付金として渡すと言われていたと述べ、自身の家族が「非常に深刻な経済状況にあったため」、友人の母親の提案に応じたと語っていた。

 ワームビア氏はオハイオ州ワイオミング出身。昨年末から5日間の観光ツアーで北朝鮮を訪れたが、宿泊した平壌市内のホテルで政治スローガンが書かれた掲示物を盗んだとして今年1月はじめに拘束された。ツアー会社によると帰国間際に空港で拘束されたという。


◎『ウイクリフ』の翻訳担当者が中東で殺害

 【CJC=東京】米宣教専門『アシスト』通信によると、聖書の現地語訳出に尽力しているアフリカ系活動家4人が中東某地の『ウイクリフ聖書翻訳協会』事務所で武装集団に襲撃された。2人が射殺され、別の2人も殴打された際の傷が元で死去した。この2人は射殺された翻訳者を守ろうと身をもってかばったところ、銃弾が無くなった銃で殴打されたという。

 武装集団は、オンデマンド印刷機、書籍、翻訳書類なども破壊した。ただ『ウイクリフ』の関係者によると、コンピューターのハードドライブに保存されていた8言語の訳出作業の成果は破壊を免れた。犠牲者の家族への祈りと、作業完成のための後継者を得られるよう祈ってほしい、と言う。

 現地の危険度から見て、『ウイクリフ』は、中東でより安全な場所を探すことも検討する。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(3月20日)=https://www.cwjpn.com
★東日本大震災"あの日"から5年=平賀司教 岩手・大槌でミサ
★教皇「世界青年の日」メッセージ=慈善のわざの実行を促す
★バチカンが統計値発表=カトリック信者数 12億7千万に増加
★「列聖」経費 透明に=教皇、新規範を承認
★4修道女ら殺害=イエメンの高齢者施設襲撃

 =キリスト新聞(3月19日)=
★東日本大震災国際神学シンポジウム=ウィルバート・シェンク氏「幸福の使信を生きる実践へ」=吉田隆氏「圧倒的に無力な自分役立てたい」
★地域の人々の土俵で考える教会に=DRCnetが5年間の活動を総括
★原子力に依存しないエネルギー政策へ=原発事故5年に際し日基教団議長声明
★日本軍「慰安婦」問題でNCC女性委声明=謝罪と賠償、記憶の継承を
★「ウイクリフ・アソシエイツ」=「世界ウイクリフ同盟」との提携解消

 =クリスチャン新聞(3月20日)=https://クリスチャン新聞.com
★東京YMCA東日本大震災5周年=礼拝・支援活動報告会=〝仕え合う〟が喜びに=〜いま、未来へ語り継ぐ私たちの記憶〜
★エチオピアで過去最悪の干ばつ発生=1千20万人に食糧危機=FHエチオピア=47万人に緊急食糧支援
★立ち遅れる日本の難民対応=難民・移住労働者問題キリスト教連絡会がセミナー=「自由の拘束と極度の緊張」日本と英国の収容所比較で
★多様なネットワークで=開発援助、ディアスポラ、総合芸術、欧州比較=アジア宣教フォーラム
★韓半島統一のため尽力=故・土肥隆一氏偲び韓国で追悼礼拝=3月26日に日本でも


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