世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1317信(2016.04.18)

  • 教皇の難民連れ帰りは土壇場の「ひらめき」
  • サンダース米上院議員が教皇と面会
  • 米国の図書館に置きにくい本ランキングで聖書が第6位
  • インドネシア保守派イスラム教徒がキリスト教会閉鎖を強制
  • 「ノアの方舟」テーマパークの従業員はキリスト者限定
  • ≪メディア展望≫

◎教皇の難民連れ帰りは土壇場の「ひらめき」

 【CJC=東京】教皇フランシスコがギリシャのレスボス島を訪問する1週間ほど前、バチカン(ローマ教皇庁)関係者が教皇に対し、ギリシャで立ち往生している難民をローマに連れて来てはどうかと持ちかけた。

 アリタリア航空のチャーター便にシリア人の難民3家族、12人を同乗させた教皇は、レスボス島からの帰途の機上で「それはインスピレーションだった。私はその提案を直ちに受け入れた」と振り返った。

 教皇は難民の人権尊重を自身の取り組むべき中心課題に据えているとは言え、シリア難民をローマに連れて帰るという今回の行動は最も挑発的な動き、と米紙『ウォールストリート・ジャーナル』(日本語電子版)は報じた。欧州連合(EU)の新政策では、ギリシャに不法に到着する移民・難民はトルコに送還されることになっているからだ。

 レスボス島から難民をローマに連れて帰るという教皇の決断を受けて、イタリアやギリシャ、バチカンの外交関係者らは適切な難民を探すのに奔走した。現在、ギリシャには5万人の難民が足止めを食っている。しかも、ローマに連れてくる難民は特に弱い立場にある必要がある。

 教皇は、バチカンが宗教に基づいて人を区別をすることはないとしている。教皇がローマに連れてきた難民12人は全員、イスラム教徒だ。教皇は「キリスト教徒かイスラム教徒かという宗教面での選択は行わなかった」とし、「この3家族は書類がそろっていた。たとえば、そうではないキリスト教徒の家族もいた。だが今回の12人は全員、神の子だ」と語った。

 同紙によると、バチカンは、イタリアのカトリック団体『聖エジディオ共同体』に支援を求めた。同団体は移民・難民の支援に積極的にかかわっている。関係者は、イタリアのテレビ局とのインタビューで、「選ばれた人々はそれを信じられなかった」と話した。

 当初は聖エジディオ共同体がこの家族の面倒をみるが、その後はバチカンが責任を負うという。バチカンが金銭的な支援を行うことになる。

 3家族はローマ教皇とともに16日にイタリアに到着すると、すぐに難民申請を行ったという。

 イタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領は同日、教皇のこの行動を称賛し、これが「欧州と国際社会の魂を深く揺さぶる」ことを期待すると述べた。

 一方、反移民を掲げる北部同盟のマッテオ・サルビーニ書記長は教皇を批判し、「バチカンのすぐ外にも貧しい人々がいる」としたうえで、(そうした人々の救済には)「飛行機で連れに行く必要がないのでそれほどしゃれた行動にならない」と皮肉っている。


◎サンダース米上院議員が教皇と面会

 【CJC=東京】米大統領選で民主党の候補者指名を争うバーニー・サンダース上院議員(74)がバチカン(ローマ教皇庁)を3月15日訪問、AP通信とのインタビューで、教皇フランシスコと16日朝6時、朝食の際に面会したと明かした。ニューヨーク州の予備選を直後に控え、カトリック信者の票に影響するか注目される。

 サンダース氏は15日にバチカンで開かれた『教皇庁社会科学アカデミー』の社会・経済問題シンポジウムで10分間演説し、「地球上で頂点にいる1%の人々が、その下の99%の人々よりも富を所有している」と警鐘を鳴らした。

 AP通信によると、サンダース氏とジェーン夫人は、教皇が住むバチカン内の聖職者用宿泊施設『サンタマルタ』で、教皇と同じフロアに宿泊。翌朝6時に5分間ほど面会したという。早朝の異例の面会は、教皇が同日ギリシャのレスボス島を日帰りでの訪問に出発するため。


◎米国の図書館に置きにくい本ランキングで聖書が第6位

 【CJC=東京】AP通信によると、米国図書館協会は4月11日、2016年版『図書館事情レポート』を発表したが、その中で「図書館に置きにくい本トップ10」について、聖書が第6位に入り、禁止すべきという傾向が見られると報じている。

 トップ10の中で、ランクインした他の書籍のほとんどが、性的に露骨な内容か、LGBTをテーマにしているものだった。

 同協会知的自由推進室ディレクター、ジェームズ・ラルー氏は「学校図書館が聖書を購入する場合、それを政教分離への違反だと感じる人々がいる」と語った。

 同協会のガイドラインによると、図書館の中に聖書を置くことは、聖書が他の宗教教材よりも勧められたり、支持されたりしない限り、政教分離に違反しない。

 宗教団体の活動によって「抵抗のある本」に指定された側が、報復的に聖書をヤリ玉に上げた例もある、とラルー氏。

 同氏は、聖書に含まれる見解に同意、推奨しない限り公立学校が聖書を所有することに図書館協会が反対しているわけではないと、強調する。宗教関係はコーランからモルモン経まで幅広く所有することに協会は前向きだと言う。

 問題本のトップはジョン・グリーンの『アラスカを追いかけて』、。次いでE・L・ジェイムズの『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』、第3位がJ・ハーセルとジャズ・ジェニングスの『アイ・アム・ジャズ』だった。


◎インドネシア保守派イスラム教徒がキリスト教会閉鎖を強制

 【CJC=東京】インドネシアのジャカルタ東部ブカシにこの3月7日に設立されたサンタ・クララ教会を、保守派のイスラム教徒の団体『イスラム人民フォーラム』(FUI)などが封鎖し、看板を破壊したことが明らかになった。教会は閉鎖に追い込まれた。国際人権監視メディア『ワールド・ウォッチ・モニター』が報じた。

 NGO『アジア人権委員会』(AHRC)は、現地当局が介入に失敗し、教会員を「抑圧と脅迫」の中に取り残したと指摘している。

 AHRCは「政府はインドネシアに存在するさまざまな宗教や信仰の中で、何の差別もなく礼拝の場所を建てられるよう、法を改正すべき」と訴えている。

 AHRCは「このような暴行が1945年に制定されたインドネシア共和国憲法に保証されている信教と信念の自由を侵害するものにもかかわらず、当局は過激派団体に対し法を執行する意思や措置がないように見受けられる」と言う。第29条第2項は、国家に対し「全ての国民がそれぞれの宗教を有し、その宗教および信仰に従って礼拝を行う自由を保障する」としている。


◎「ノアの方舟」テーマパークの従業員はキリスト者限定

 【CJC=東京】米ケンタッキー州ウィリアムズタウンでこの7月7日に開館予定の『アーク・エンカウンター』(方舟との遭遇)テーマパークは、食堂、入場券売り場などで働く従業員を300〜400人雇用する予定。

 テーマパークを運営する宣教団体『アンサーズ・イン・ジェネシス』の創設者ケン・ハム氏は、従業員には自分がキリスト者であること、キリストが救い主であると告白する文書に署名することを求める、つもりだと語った。

 同宣教団体は、ケンタッキー州の観光税優遇措置の適用を求める一方で信仰を基盤にした雇用が可能と、この1月に連邦地方裁判所の判示を獲得している。優遇措置は数百万ドル(約数億円)と試算されている。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(4月17日)=https://www.cwjpn.com
★家庭シノドス後の使徒的勧告=苦しむ家庭にいつくしみを
★教皇 一般謁見講話=神の愛は誰も排除しない
★「世界召命祈願の日」教皇メッセージ=「召命の母である教会」
★300回目の朝祷会=教派超えた祈りの集い=千葉・松戸
★「ピオ10世会」司教と会談=教皇、「個人的かつ非公式」に

 

 =キリスト新聞(4月16日)=https://www.kirishin.com
★ミャンマー=「他者と共に生きる歓び」=世界宗教者平和会議がシンポ=C・ボー枢機卿ら10人参加
★ICU平和研究所「市民連合の課題」シンポ=日本友和会など市民団体からも発言
★「平和法制と平和的生存権」テーマに=「平和への権利」日本実行委が院内集会
★隣人として、生きた証と伝道を=キリスト者学生会が京都で全国集会
★2015年は50の新しい聖書翻訳が完成

 

 =クリスチャン新聞(4月17日)=https://クリスチャン新聞.com
★リビングバイブル全面改訂=聖書の全体像をまるごとつかめるように
★ソン・ソルナム チャリティーコンサート=兄弟団・旧講堂再建を地域に感謝し
★昨年11月セレブレーション オブ ラブで信仰決心=イースターに受洗
★兄弟団・新理事長に小平牧生氏=地域教会、次世代、一致重視
★日本メノナイト・ブレザレン教団「信仰告白」改正=女性教職承認も


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