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世界キリスト教情報 第1327信(2016.06.27)

  • 教皇がアルメニアを司牧訪問
  • 憶測呼ぶ教皇のアルメニア人虐殺再度言及
  • 教会は「同性愛者に謝罪すべき」と教皇が見解
  • WCC中央委がノルウェーのトロンハイムで
  • マニラでLGBTプライド・フェスティバル2016開催
  • ≪メディア展望≫

 

◎教皇がアルメニアを司牧訪問

 【CJC=東京】教皇フランシスコは6月24日、3日間の日程で、アルメニア司牧訪問に出発した。

 バチカン放送(日本語電子版)によると、午前9時、教皇は特別機でローマを発ち、同日午後、アルメニアの首都エレバンのズヴァルトノッツ国際空港に到着した。空港で教皇はセルジ・サルキシャン大統領夫妻と、アルメニア使徒教会の指導者、全アルメニア人のカトリコス・ガレギン2世の歓迎を受けた。

 この後、教皇は首都エレバンから西方約20キロにあるエチミアジンに向かった。エチミアジンは、アルメニア使徒教会のカトリコス座が置かれ、人口の90%以上をアルメニア使徒教会の信者が占める同国の宗教的中心地。

 ガレギン2世に伴われ、アルメニア使徒教会の大聖堂を訪問した教皇を、聖堂の内外で大勢の市民が迎えた。カトリコスと教皇は祭壇の前で抱擁を交わし、聖書・詩編122「主の家に行こう、と人々が言ったとき、わたしはうれしかった」を交互に朗誦した。

 ガレギン2世の歓迎の言葉に続き、教皇は到着の挨拶で、アルメニア国民の歴史と精神性を証しするこの聖なる場所を訪れたことは、神からいただいた貴重な恵み、と感動を表明、ガレギン2世の招きを友好と兄弟愛のしるしとして、感謝を述べた。

 教皇はアルメニアのキリスト教信仰が同国に与えたアイデンティティーと、国家間におけるキリストのメッセンジャーとしての役割に言及した。

 歴史の試練の中で同国を照らし支え続けたその信仰を、教皇は称えると共に、ローマ帝国がキリスト教をまだ迫害していた時代、アルメニアが301年、最初のキリスト教国となったことを神に感謝した。

 アルメニアのキリスト信仰が状況や条件によって着脱する服のようなものではなく、アイデンティティーとして現実に根差し、喜びと犠牲をもって守り抜いてきたのは大きな恵みである、と述べた教皇は、1700年以上前に受けた洗礼の豊かさを、聖人や殉教者たちと共に証しし続けてきたその輝ける信仰を神が祝してくださるようにと祈った。

 教皇はまた、カトリック教会とアルメニア使徒教会の、誠実で兄弟的な対話を通したエキュメニカルな歩みに触れ、「すべての人を一つにしてください」とイエスが祈った一致の実現のためにさらなる聖霊の助けを願った。

 分裂と紛争、物質的・精神的貧しさ、人間の搾取に傷ついた世界において、キリスト者たちは相互の尊敬と友好的な協力を通して、キリストの復活の真理と力を輝かせる必要を教皇は説かれた。

 そして、キリストのすべての弟子たちが完全な一致への努力を新たにし、共通善への協力を強めることは、暗い夜の闇を照らす光となり、愛と相互理解のうちに生きることへの呼びかけとなるだろうと話された。

 エレバンに戻った教皇は大統領官邸にサルキシャン大統領を表敬訪問。大統領と個人会談を行った。

 この後、アルメニア各界要人と外交団への挨拶で、教皇は、昨年バチカンのサンピエトロ大聖堂で、カトリコス・ガレギン2世はじめアルメニア使徒教会関係者参加のもと、100年前のアルメニア人大量殺害の犠牲者を追悼するミサを司式したことを想起した。

 教皇は、残念ながら、この虐殺が前世紀の、民族や、イデオロギー、宗教などを理由とする巨大な悲劇のリストの始まりとなってしまったが、悲しいことにこれらの悲劇を力のある国々は遠くから眺めていた、と語った。

 教皇は、こうした歴史の悲劇においても、福音の光に照らされ、キリストの十字架と復活の中に、立ち上がる力、尊厳をもって歩む力を見出してきたアルメニアの人々に尊敬を示した。

 前世紀の悲劇がもたらした憎しみや、偏見、支配への欲望を前に、人類がその経験から責任感と賢明さをもって、このような恐ろしい出来事が二度と繰り返されることのないよう、危険を防ぐことを学ぶ必要を教皇は強調した。

 今年、アルメニアが独立25周年を迎えるにあたり、教皇は、この祝祭が海外で暮らす人も含め、すべてのアルメニア人にとって、国と社会の発展に力を注ぐ特別な機会となるよう願った。

 教皇は25日、エチミアジン郊外、ツィツェルナカベルトの虐殺犠牲者追悼モニュメントで祈りを捧げた。

 この追悼施設は、1915年のオスマン帝国下で起きたアルメニア人大量虐殺の悲劇とその犠牲者たちを記憶するもの。

 アルメニア使徒教会のカトリコス・ガレギン2世に伴われこのモニュメントを訪れた教皇は、サルキシャン大統領らに迎えられた。

 教皇はモニュメントに燃える火を前に、献花した後、長い沈黙の祈りを捧げられた。ガレギン2世と共に教皇は「主の祈り」を唱え、聖書朗読に耳を傾けた。そして、教皇はご自分の祈りを捧げた。

 この後、教皇は記念の植樹をした。100年前のアルメニア人迫害の最中、当時の教皇ピオ11世によってカステルガンドルフォにかくまわれた経験を持つ市民たちが、教皇の植樹を見守った。

 追悼施設訪問における記帳で、教皇は、「このような悲劇が二度と起きないよう、人類が悪に対して善をもって打ち勝つことができるよう、心の苦しみと共に祈ります。記憶が風化したり、忘れられることがありませんように。記憶は平和と未来の源です」と記した。

 ツィツェルナカベルトの虐殺犠牲者追悼モニュメントで祈った教皇は、続いて首都エレバンから北西約90キロのギュムリに移動、市内の広場でアルメニアのカトリック信者のために、ミサを行った。

 アルメニアのカトリック信者は全人口の10%ほどを占めている。教皇ミサのために、アルメニア全土、ジョージア(グルジア)など近隣国から、およそ2万人の信者が詰め掛けた。

 ミサの説教で教皇は、キリスト者としての生き方を再び堅固に築くための基礎として、「記憶」「信仰」「いつくしみの愛」の三つを信者たちに示された。

 「記憶」とは、まず、神がわたしたちにしてくださったことへの記憶であり、次に、アルメニアのキリスト教の貴重な歴史の中で、伝統や聖人たちによって培われた、民の記憶であると教皇は述べた。

 「信仰」について教皇は、信仰こそは未来の希望であり、それを過去の何かにしてはならないと警告。信仰とはイエスとの出会いの中で生まれ、また生まれ、人生のすべての状況を照らし続けていくものと話した。

 さらに教皇は「いつくしみの愛」の必要を説きながら、慈愛の行為、具体的な愛の業は、キリスト者の生き方における「岩」であり、「名刺」であると強調された。

 午後、教皇はギュムリで、アルメニア使徒教会のカテドラル、カトリック教会のカテドラルを相次ぎ訪問、歓迎を受けた。

 夕方、エレバンに戻った教皇は、市内の広場で、アルメニア使徒教会とカトリック教会合同の「平和のための祈りの集い」に参加した。

 教皇は、アルメニア訪問最終日26日の午前、エチミアジンでアルメニアのカトリック教会の司教らとの出会いを持ち、次いで、教皇はエチミアジン市内の広場で行われたアルメニア使徒教会の聖体礼儀に参列。カトリコス・ガレギン2世の説教に続いて、カトリコスと信者たちに向け、挨拶した。

 アルメニア使徒教会の聖体礼儀は東方諸教会の伝統に基づく荘厳な様式で行われる。

 教皇は、挨拶の中で、詩編133の「見よ、兄弟が共に座っている。なんという恵み、なんという喜び」を引用しつつ、この兄弟的出会いに大きな喜びと感謝を表した。

 また、「体は一つ、霊は一つです。それは、あなたがたが、一つの希望にあずかるようにと招かれているのと同じです。主は一人、信仰は一つ、洗礼は一つ、すべてのものの父である神は唯一であって、すべてのものの上にあり、すべてのものを通して働き、すべてのものの内におられます」という使徒パウロの言葉(エフェソ4・4〜6)を、わたしたちは喜びをもって自分たちのものとしようと呼びかけた。

 教皇は続いて、東南部のトルコ国境に近いホルヴィラップ修道院を訪問し、公式行事をすべて終えた。

 雄大なアララト山を望むホルヴィラップ修道院は、アルメニア使徒教会にとって最も重要な聖域の一つ。

 カトリコス・ガレギン2世に案内され、同修道院を訪れた教皇は、「聖グレゴリウスの井戸」の前でろうそくに火を灯した。

 続いて、修道院の礼拝堂で、ガレギン2世と教皇は交互に祈りを捧げた。教皇は、平和の与え主である神に、いつくしみの助けをもって、わたしたちを命と救いに導くように、と祈った。この後、教皇はガレギン2世と並んで修道院のテラスからアララト山を眺め、カトリコスと一緒に平和の象徴である鳩を空に放った。

 教皇は、同日夕方、エレバン国際空港でサルキシャン大統領とガレギン2世の見送りを受け、ローマへの帰途についた。


◎憶測呼ぶ教皇のアルメニア人虐殺再度言及

 【CJC=東京】教皇フランシスコは6月24日、アルメニアを訪問した際、あいさつで、オスマン帝国(トルコの前身)末期の1915年に多数のアルメニア人が大量殺害された事件に言及した。

 教皇は同事件を「前世紀の、民族や、イデオロギー、宗教などを理由とする巨大なリストの始まり」と指摘した。もともと用意していた原稿にはなかったと言う。

 教皇は、迫害から100年となった昨年の春、「20世紀最初のジェノサイドだと広くみなされている」と発言し、虐殺を認めていないトルコ政府が抗議、駐バチカン大使を本国に召還する外交問題に発展したことがある。

 教皇はまた、24日にローマを出発した直後、同行した記者団に、欧州連合(EU)離脱を選んだ英国民の意思を尊重すべきだと訴え、欧州の「共存」を促した。


◎教会は「同性愛者に謝罪すべき」と教皇が見解

 【CJC=東京】教皇フランシスコは6月26日、アルメニア訪問を終え帰国の途中、専用機内で動向記者団と会見し、カトリック教会は同性愛者などに不快な思いをさせたことに対して謝罪すべきだとの見解を示した。

 米メディアCNNなどによると、教皇は「同性愛の人に不快な思いをさせてきたことについて教会は謝罪すべきだと考える」「貧しい人たちや搾取されてきた女性たち、労働を搾取されてきた子どもたちにも謝罪し、多くの武器を祝福してきたことに対して許しを乞わなければならない」と語った。

 教皇は「もし同性愛の人が善意の持ち主であり、神を求めるのなら、誰に裁くことができるだろうか」と語った。


◎WCC中央委がノルウェーのトロンハイムで

 【CJC=東京】世界教会協議会(WCC)は6月22日、ノルウェー中部のトロンハイムで、「巡礼=景色を共に認識する」を主題に2016年中央委員会を開催した。

 中央委は、2年に1回開かれる意思決定機関。会期は28日まで。


◎マニラでLGBTプライド・フェスティバル2016開催

 【CJC=東京】同性愛者や両性愛者など性的少数者(LGBT)に対する社会の理解を深めようと、6月25日午後、フィリピンの首都マニラのリサール公園で『メトロマニラ・プライド・フェスティバル2016』が開かれ、約4500人が集まった。LGBT団体『メトロマニラ・プライド』が主催し、今年で22回目。

 イベントではLGBT支援団体や当事者、その家族や友人などが、LGBTの象徴である虹色の旗や「偏見ではなく愛を」「愛に宗教は関係ない」などと書かれたプラカードを手に集まった。

 現地邦字紙『まにら新聞』の報道によると、在比オーストラリア大使館は、アマンダ・ゴレリー大使を先頭にパレードに参加。大使は「比でもオーストラリアでも、LGBTが平等な権利を勝ち取るには、当事者だけでなくみんなが立ち上がることが必要」と話した。

 国民の大半がカトリック教徒であるフィリピンでは、宗教を理由に自身がLGBTであるということを打ち明けられない当事者も少なくない。

 1990年代から、同性愛者らに対する包括的差別撤廃法案がたびたび提出されたが、廃案になるケースが繰り返され、現在でも成立していない。同性婚を認める法律もない。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(6月26日)=http://www.cwjpn.com
★無関心と敵意が苦しむ人を見えなくする=教皇の一般謁見講話
★教皇=国連世界食糧計画で訴える=貧困との闘いを統計値の背後に=苦しむ人の顔を認めて
★定例司教総会=人事、脱原発文書など検討=新会長に髙見大司教就任
★障がい者への配慮を=司教協議会が公開講演会=東京=共催:カ障連
★那覇教区平和委員会=基地問題でパンフ

 

 =キリスト新聞(6月25日)=http://www.kirishin.com
★慈しみと平和の世界をめざす者の責任と決断=教派超え聖心女子大で講演会、150人が参加=参院選前にキリスト者の立ち位置問う
★政治学者・山口二郎氏が宗教者らに呼び掛け=〝危機感もって選挙に臨もう〟
★女性と子どもが安心できる社会へ=130周年むかえる「矯風会」が全国大会
★ヘイト・スピーチ解消法成立受け=NCC在日外国人の人権委が問題点指摘
★日本宗平協が名護市で拡大理事会=米軍基地撤去に向けアピール発表

 

 =クリスチャン新聞(6月26日)=http://クリスチャン新聞.com
★イ・ジェフン氏が語る「ターゲット伝道」とは=「時代の服」着て福音は届く=「教会の文化、制度、スタイルが壁に」
★「沖縄と共に悲しんでいます」=元米兵女性遺棄事件で沖縄のアメリカ教会信徒ら
★社会的養護の子どもたちの支援考える=「人によって傷つけられた子どもは、人によって回復される」=阪野学さん
★"コイノニア"で深化させる=JEA総会でJCE6の各プロジェクト進捗発表
★三浦綾子『銃口』展=青山学院で開催=「人間らしく」戦時の教師描いた

 
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