世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1382信(2017.07.17)

  • 中国の民主活動家でノーベル賞受けた劉暁波氏が死去
  • 劉暁波氏の遺灰を「海葬」
  • 北朝鮮抑留のイム牧師がスウェーデン大使代理と面会
  • 韓国外交部長官が在韓外交団と懇談会
  • カトリック教会幹部が教皇批判、要職解かれ?
  • 「ファティマの聖母」が秋田で「涙流したマリア像」と対面へ
  • ≪メディア展望≫

 

◎中国の民主活動家でノーベル賞受けた劉暁波氏が死去

 【CJC】中国の民主活動家でノーベル平和賞受賞者の劉暁波氏が7月13日、多臓器不全のため遼寧省・瀋陽の病院で死去した。61歳。瀋陽市司法局が発表した。劉氏が入院する病院は10日、劉氏の病状について「医療チームが危篤状態にあると判断している」と発表していた。

 劉氏が入院していた病院によると、劉氏は妻、劉霞さんや兄、弟など親族に見守られて亡くなった。その際、劉氏は霞さんに、「幸せに暮らしてほしい」との言葉を残したという。

 国際社会では劉氏死去を惜しむ声が高まる一方、病状が深刻になっても退院させなかった中国当局に対する批判が相次いでいる。

 病院によると、劉氏の病状は「がんの終末期」とされてきたが、さらに悪化、放射線治療などを施すことはできない状況になっていた。

 劉氏を診察した米国とドイツの医師は9日の声明で、劉氏が海外での治療を希望していることに関し、「適切な医療支援があれば安全に移送できる」と指摘していた。

 劉氏は、「非暴力」を貫きつつ、中国共産党の独裁を批判し、民主化運動の象徴となっていた。

 ドナルド・トランプ米大統領は13日、「民主主義と自由の追求のため人生をささげた詩人、学者、勇気ある活動家だった」と追悼する声明を発表、妻の劉霞氏や家族、友人に弔意を送った。

 レックス・ティラーソン国務長官も「彼の戦いはノーベル平和賞にふさわしい人類の精神を体現していた」と声明で称賛した。

 台湾の蔡英文総統は13日、自身のフェイスブックで追悼文を発表。「この上ない悲しみを感じている。人権活動の闘士に最大の敬意を表したい」と述べた。

 劉氏が目指した中国の民主化を「劉氏の『中国の夢』だ」と指摘、中国の習近平国家主席が掲げるスローガン「中国の夢」と同じ表現を使い、「『中国の夢』は力を誇示するものではなく、劉氏の夢を取り入れるべきだ」と、呼びかけた。

 国営新華社通信によると、中国外務省の耿爽副報道局長は14日、「中国の司法主権に干渉すべきではない」との声明を発表し、欧米などからの批判に反発した。

 耿氏は、劉氏が中国で有罪判決を受けていた点を指摘し、当局や病院が「肝臓がんの治療に全力を尽くした」と主張した。欧米各国が劉氏の妻である劉霞さんの解放を求めている点には「不適切な見解を表明する立場にない」としている。

 一方、劉氏らの支援者によると、中国当局は13日の死去直後、遺族に対し、劉氏の遺体をすぐに火葬し、海に散骨するよう求めたという。遺体を墓地などに埋葬すれば、そこが民主化運動の象徴的な場所となることを警戒していると見られる。

 支援者によると、劉氏が服役中の刑務所から病院に移送されて以降、病室に入ることができたのは妻の霞さんや一部の親族だけ。家族も病室で当局者の監視下にあり、病院を訪れた友人らには劉氏の病室も教えられなかったという。

 国外治療を認めなかった点について、病院側は劉氏から申し出がなかったと説明、肝臓からの破裂出血の可能性が非常に高く、移送は困難だったとした。

 中国国内では報道規制に劉氏の存在自体を知らない人がほとんど。入院していた病棟付近にも劉氏の死を知らせるものはなかった。


◎劉暁波氏の遺灰を「海葬」

 【CJC】瀋陽から共同通信が伝えるところでは、中国当局により拘束中、7月13日に死去したノーベル平和賞受賞者、劉暁波氏の実兄、劉暁光氏が15日、遼寧省瀋陽市のホテルで記者会見し、劉暁波氏の遺灰を海にまく「海葬」を15日に行ったことを明らかにした。

 劉氏の墓が民主化要求運動の拠点になるのを警戒し、当局が海葬するよう強いた可能性がある、と共同通信は見ている。


◎北朝鮮抑留のイム牧師がスウェーデン大使代理と面会

 【CJC】韓国のKBS放送が、北朝鮮の朝鮮中央通信報道として、北朝鮮に抑留されている韓国系カナダ人の牧師、イム・ヒョンスさん(62)が7月14日、平壌駐在スウェーデン大使代理と面会したと伝えている。

 イム牧師は自身の健康について語り、 カナダ政府に対して問題解決に取り組むよう要請したという。

 この2月にも、スウェーデン大使が平壌でイム牧師と会っているが、当時、北朝鮮はこのことを外部に明らかにしていなかったことから、イム牧師の解放が迫っているのではないかとの観測が出ている、とKBS放送。

 韓国ソウルに本部を置く脱北支援団体『ドゥリハナ教会』に関係していたと見られるイム牧師は、1994年から何回も北朝鮮を訪れ、孤児の施設や高齢者介護施設などで支援活動を行ってきた。北朝鮮がエボラ防止のため外国人隔離措置を行っていた中、2015年1月30日、羅先経済特区入りした後、2月に平壌で拘束され、同年12月に国家転覆陰謀罪で終身刑の判決を言い渡されている。

 朝鮮中央通信は、イム牧師が助ける宣教活動が、北朝鮮の尊厳や体制に損傷を与えようとする計画を隠すためだ、と非難していた。


◎韓国外交部長官が在韓外交団と懇談会

 【CJC】韓国のKBS放送が、康京和外交部長官は7月13日、就任以来初めて、在韓外交団を公式に招いて、懇談会を開いたと報じた。

 懇談会には、ローマ教皇庁大使のオスヴァルド・パディリャ在韓外交団長、長嶺安政日本大使、邱國洪中国大使らおよそ120人の韓国駐在大使や国際機関の代表が出席した。

 懇談会で康長官は、現在、韓国の外交、安全保障環境はいつにも増して深刻だとして、外交課題の解決に向けて、支持と協力を呼びかけた。また、2018年の平昌冬季オリンピックの開催と23年世界スカウトジャンボリー大会の韓国誘致への関心を強めてほしいと呼びかけた。


◎カトリック教会幹部が教皇批判、要職解かれ?

 【CJC】米メディア『CNN』は、カトリック教会のゲルハルト・ミュラー枢機卿(69)が7月13日までに、教皇フランシスコからバチカン教理省の長官の職を解かれた問題について「高位聖職者として、人々をこのように扱うべきではない」と教皇を批判したと報じている。

 ドイツの新聞『パッサウアー・ノイエ・プレス』のインタビューに答えたもの。教理省は教義の問題を統括するとともに教会が関わった性的暴力問題への対応を担当する組織で、ミュラー枢機卿は前教皇のベネディクト16世の指名を受けて長官を務めていた。

 ミュラー枢機卿は、教理省長官の任期が切れる2日前の6月30日に教皇から、任期の延長はしないと告げられた。

 教皇とは短い時間、話をしたが「理由は聞かされなかった」とミュラー枢機卿。「同様に、数カ月前に教理省の非常に有能なメンバー3人が職を解かれた時も、教皇は理由を言わなかった」という。

 「前にも述べたが、教会の社会的な教えはバチカンで働く者の扱いにも適用されるべきだ」とミュラー枢機卿は述べた。

 CNNのバチカン問題アナリスト、ジョン・アレン氏は、「バチカンでは以前から、働く者の権利が必ずしも尊重されていない点が指摘されてきた。今回、目新しいのは批判の出所がバチカン美術館の一般職員ではなく、枢機卿だという点だ」と語っている。

 

◎「ファティマの聖母」が秋田で「涙流したマリア像」と対面へ

 第一次大戦中にポルトガル中部ファティマに聖母マリアが現れたと伝えられる「ファティマの奇跡」から100年を迎えたのを機に、9月14、15の両日、駐日教皇庁大使ジョゼフ・チェノットゥ大司教が秋田市添川湯沢台のカトリック女子修道院『聖体奉仕会』を訪問するのを機会に、ファティマの聖母像も訪れ、同修道院の「涙を流したマリア像」と対面することになった。

 ファティマの奇跡は1917年5月13日、ファティマで3人の羊飼いの子供の前に聖母マリアが現れ、毎月13日に同じ場所に来るよう告げたことから始まる伝承。

 7月13日にマリアは三つの予言をしたとされる。バチカン(ローマ教皇庁)は30年、ファティマでの出来事を奇跡である「聖母の出現」と公認した。

 バチカンは42年、三つの予言のうち第1と第2の予言を公表した。第3の予言は長く秘密にされてきたが、2000年に公表された。「白い衣をまとった司教が殺される」という内容で、「聖母出現」からちょうど64年後の1981年5月13日に起きた教皇ヨハネ・パウロ2世の暗殺未遂事件を予言したと解釈されている。

 今年5月、教皇フランシスコは100周年を記念してファティマを訪れた。

 秋田に来る聖母像はファティマの「聖母出現」100年を記念して新たに作られたもので、ファティマの聖堂にあるものと同じ大きさ。

 すでに日本国内を巡回していて、100周年の5月13日にはカトリック関口教会(東京都文京区)でミサが行われた。最終的にはカトリック幟町教会(広島市)に納められるという。

 産経ニュースが7月13日、カトリック教徒以外も注目。秋田県や秋田市は以前から聖母像の"集客力"に期待。地元ホテルの中には、聖体奉仕会までの送迎無料の「巡礼者特別プラン」を設けているところも、と報じている。(CJC)

 
《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月16日・休刊)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/

 
 =クリスチャン新聞(7月9日)=https://クリスチャン新聞.com
★第26回ホーリネス弾圧記念聖会で中村敏氏=絶えず目を覚まして
★フィリピン国内避難民30万人超=ミンダナオ子ども図書館=緊急支援要請
★東北アジア教会宣教協議会に3か国60余人=ナグネ氏が講演=終末の希望は主のいのちに
★こども食堂で教会が一層開けた場所に=東京中央教会=こども食堂「5プラス2」
★新しい形で神学語り合う=『焚き火を囲んで』出版記念トークライブ

 

 =  〃  (7月16日)=https://クリスチャン新聞.com
★新潟で第2回北朝鮮宣教セミナー=〝敵〟を憐れみ、愛し、祈って
★銀座教文館で「ジョー・オダネル写真パネル展」=40年間封印の写真 再び世に=8月1日から銀座教会でも開催
★芸術にフォーカスし都心で教会開拓=ブランド ニュー  ライフ ミニストリー牧師 関智征さん
★映画「ブランカとギター弾き」長谷井宏紀監督に聞く=幸せ求めてお母さんを買うと決心したスラムの少女の物語
★九州豪雨で救援開始=九キ災=緊急対策本部を設置

 

◆世界キリスト教情報◆ご案内

 『世界キリスト教情報』(週刊)と『CJC通信』(不定期刊行)のご購読は、次の各サイトで既刊号をご覧願います。

・メールマガジン(各行を最大で全角36文字に整形してあります。パソコン(PC)の画面でご覧いただくことを想定しています)
https://blog.livedoor.jp/skjweekly/

・同報メール(各行の整形は行っていません。ケータイ、スマートフォンなど、それぞれの画面の範囲でお読みいただくことや保存、転載されることを想定しています)
https://cjcskj.exblog.jp/

・ニュースレター(かつてファクスでお送りしていた時と同様のイメージをPDFにしてEvernoteに掲出しています。壁面展示、とじ込みなどを想定しています)
https://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/

☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください
https://www.kohara.ac/church/

........................
●『CJC通信』(記事ごとにメディア向けに発信しています。しかし公開していますので、どなたでもお読みいただけます)

☆『CJC通信』ブログ
https://blog.livedoor.jp/cjcpress/

☆『CJC通信』速報(各ニュースのタイトルをTwitterで配信しています)
https://twitter.com/cjcpress/

☆『CJC通信』RSS速報(利用されているリーダーから登録願います)
https://blog.livedoor.jp/cjcpress/index.rdf

月別の記事一覧