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世界キリスト教情報 第1387信(2017.08.21)

  • 「信教の自由」報告書を米国務省が発表
  • 米国務長官の批判に中国が「信教の自由尊重」と反発
  • 香港の「雨傘運動」学生指導者3人に禁錮刑、即日収監
  • バルセロナで車使ったテロ、『イスラム国』が犯行声明
  • スペイン東部でも車突入し7人負傷、「テロ容疑者」5人射殺
  • スペインテロ犯人グループが『サグラダ・ファミリア教会』爆破も
  • オーストラリア「同性婚支持企業のボイコットも」=反対派
  • 児童性虐待「通報義務化」にカトリック教会は反対
  • 高校生平和大使の演説見送りは核禁止条約への言及懸念?
  • ≪メディア展望≫

 

◎「信教の自由」報告書を米国務省が発表

 【CJC】米国務省は8月15日、米国を除く世界199の国と地域の信教の自由(宗教的自由)に関する2016年版報告書を発表した。レックス・ティラーソン国務長官は報告書の発表に合わせて演説し、信教の自由が侵害されているとして中国とイラン、サウジアラビア、トルコ、バーレーン、パキスタン、スーダンを「信教の自由を否定している」国と名指した。報告書の発表はドナルド・トランプ政権が発足後、初めて。

 ティラーソン長官は世界で80%の人がまだ信教の自由を享受できていないと指摘し、「トランプ政権は問題改善に取り組んでいる」と述べた。

 ティラーソン長官は、中国について「政府が多くの人々を信仰の実践を理由に拷問、拘留、投獄している」と非難した。またチベット、新疆ウイグル両自治区での宗教活動の規制強化に懸念を示した。

 報告書では、中国国内に存在する非公認の「地下教会」に言及し、キリスト教会が破壊されたことに抗議した牧師の妻が「生き埋め」にされた事件を紹介している。

 北朝鮮については、金正恩朝鮮労働党委員長が「深刻な人権侵害や検閲に関与している」と指摘した。脱北者を支援していた中国吉林省の牧師は、北朝鮮の工作員に殺害されたとの報道を紹介した。ほかにも北朝鮮で外国人が拘束された事例を挙げた。

 過激派組織『イスラム国』については、自らの支配地域で少数教派のヤジド派、キリスト者、イスラム教シーア派住民の大量虐殺や「人道に対する罪」「民族浄化」に携わっていると指摘した。イスラム教スンニ派やクルド人などの少数派も攻撃の対象にしているとし、「こうしたグループの保護はトランプ政権の人権政策の優先課題だ」と強調した。


◎米国務長官の批判に中国が「信教の自由尊重」と反発

 【CJC】レックス・ティラーソン米国務長官が8月15日、信教の自由を認めていない国の例として中国を挙げて批判したことについて、中国外務省の華春瑩副報道局長は16日の記者会見で「中国政府は信教の自由を尊重している」と反発した。

 華氏は「宗教の問題を利用し、他国の内政に干渉する誤ったやり方をやめるよう求める」と述べた。


◎香港の「雨傘運動」学生指導者3人に禁錮刑、即日収監

 【CJC】香港高等法院(高裁)は8月17日、2014年の民主派による大規模デモ「雨傘運動」で主導的役割を果たしたた元学生団体指導者の3被告に対し、違法集会参加や扇動の罪で禁錮6〜8カ月の実刑判決を言い渡した。3人は即日収監された。羅被告は昨年9月の立法会(議会)選挙で当選したものの、就任宣誓が無効と判断され、議員資格を失っている。

 高裁は執行猶予付き禁錮刑や社会奉仕活動を言い渡した一審の判決を破棄し、黄之鋒(ジョシュア・ウォン=20)被告に禁錮8カ月(これまでの社会奉仕活動を考慮して6カ月に減刑)、羅冠聰(ネイサン・ロー=24)被告に禁錮10カ月(同8カ月)、周永康(アレックス・チョウ=26)被告に禁錮8カ月(同7カ月)を言い渡した。

 判決文が読み上げられると傍聴席は静まり返った。しかし判事が小槌を叩いて裁判の終了を知らせると、支持者たちはいっせいに「恥だ」「政治的迫害だ」と声を上げたという。

 判決の直後、黄氏はツイッターで「私たちの体を閉じ込めることはできても心は閉じ込められない」と強調。「彼らは抗議の声を黙らせ、私たちを議会から追い出し、閉じ込めることはできる。だが香港人の心を勝ち取ることはないだろう」と述べた。

 民主化活動家らは今回の判決について、特別行政区として半自治権を有している香港で、中国政府が締め付けを強化している証しだとして非難の声を上げている。


◎バルセロナで車使ったテロ、『イスラム国』が犯行声明

 【CJC】スペイン第2の都市バルセロナで8月17日午後、中心部の観光客が集まるランブラス通りで、バンが群衆に突っ込み、死亡者13人、約110人に怪我させた。

 過激派組織『イスラム国』が18日、犯行声明を出した。

 警察当局は、テロに関わったとみられる容疑者2人を拘束した。容疑者のうち1人の氏名はドリス・ウカビール。国籍や車に乗っていた容疑者なのかなどは明らかになっていない。ほかにも共犯者がいる可能性があり、警察当局が捜査を続けている。

 車を使ったテロはフランスのニース、英ロンドン、独ベルリンでも起きている。


◎スペイン東部でも車突入し7人負傷、「テロ容疑者」5人射殺

 【CJC】スペイン東部カタルーニャ自治州のカンブリスで8月18日未明、車が歩行者らに突っ込み、7人が負傷した。うち1人は重体。警察は車に乗っていた5人を射殺した。地元政府などが発表したとAFP通信が報じた。同州では数時間前に州都バルセロナで車突入事件が起きたばかりだった。

 カンブリスはバルセロナの南約120キロにある海岸リゾート都市。事件当時、被害者らは海辺の遊歩道にいた。カタルーニャ州政府の報道官は「アウディA3に乗ったテロリストとみられる5人が何人かをはねた」と言う。

 警察が射殺した5人の中には爆弾ベルトとみられるものを着用していた者もいたという。警察は、カンブリスで射殺した「テロリストたち」がバルセロナの事件と関わっている可能性もあるとみて調べている。


◎スペインテロ犯人グループが『サグラダ・ファミリア教会』爆破も

 【CJC】スペイン・カタルーニャ州のバルセロナほかで相次いだテロ事件は死者14人と130人近くの負傷者を出したが、その後、実行犯らが使用していたアジトから多数のガスボンベなどが押収されていた。その目的が有名観光スポットでの大規模爆発であったことを欧州のメディアが報じている。

 8月17日、バルセロナとカンブリスで暴走する車が大勢の歩行者をはねるというテロ事件が相次いだが、いずれの実行犯も『イスラム国』のジハーディストとしてグループで活動していたとみられている。スペイン随一の観光名所であるバルセロナの『サグラダ・ファミリア教会』でもしも大規模な爆発が起きたら死傷者はどれほどの数になるか見当もつかない。

 スペインのメディア『エル・エスパニョル』などが伝えたところによれば、実行犯らのアジトはバルセロナから約200キロ離れたアルカナルにあった。カタルーニャ警察はそこからガスボンベ20本以上と過酸化アセトンを押収したが、その後ホセ・ルイス・トラペロ署長が「犯行グループはブタンガスボンベを大量に積んだバン3台を準備し、観光客が多数集まるバルセロナのランブラス通り、サグラダ・ファミリア教会、そして湾岸沿いの繁華街の順で大規模な爆発テロを起こす計画であったことが確認された」と発表した。

 過酸化アセトンは高性能爆薬として知られ、2005年7月のロンドン同時多発テロ、15年11月のパリ同時多発テロ、16年3月のブリュッセル連続テロで使用された。今回の事件では前日の16日夜にアジトで不測の爆発事故が起き、グループの1人が死亡。テロの手段を急きょ暴走車に切り替えたのではないかと見られる。


◎オーストラリア「同性婚支持企業のボイコットも」=反対派

 【CJC】オーストラリア国内で議論が過熱している同性婚の合法化を巡り、反対派グループが、支持を表明している企業に対し「ボイコットもあり得る」と警告を発している。カトリック団体などで形成される『C4M』(コーリション・フォア・マリッジ)が8月14日に公式ウェブサイトを立ち上げ、反対運動を開始した。『オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー』報道として、ニュースサイト『NNAアジア』が伝えた。

 英国の同名の同性婚反対キャンペーンに倣った『C4M』は、カトリックや英国教会系団体や独立団体『マリッジ・アライアンス・グループ』など約70団体が登録しているという。『C4M』を率いるライル・シェルトン氏は、「同性婚支持派の企業ブランドへのボイコットも視野に入れている」とし、企業による政治的議論への介入に疑問符を投げかけている。

 またカトリック教会のアンソニー・フィッシャー・シドニー大司教も、合法化後の反対派の宗教団体などによる価値観の教えが抑圧されるとして、同性婚合法化に反対の立場を明らかにしている。


◎児童性虐待「通報義務化」にカトリック教会は反対

 【CJC】オーストラリアの『児童性虐待に対する組織の対応特別調査委員会』は8月14日、これまでの調査の報告書を発表、その中で85項目に及ぶ詳細な法改定を勧告した。これに対しカトリック教会は「告解で知った犯罪の通報義務化」勧告に対して、すでに反対の意向を明らかにしている。

 豪ABC放送(電子版)によるとして、『日豪プレス』が伝えた。

 特別調査委員会は「告解で児童性虐待犯罪の告白を聞いた聖職者は、その事実を通報することを義務づけられる」ように法改定を勧告している。勧告案では「児童性虐待犯罪の告白を聞きながら、通報を怠った者はその怠慢を刑法に基づいて訴追される」となっており、犯罪の告白を警察に通報することを怠った聖職者は釈明も保護も特権もない、としている。

 また「告解は、性虐待を受けたカトリック信者の児童がその被害を訴え、また、自分の性虐待加害行為を告白し、自分の犯罪を帳消しにしようとする場だ」と述べている。

 しかし、全豪カトリック司教協議会の議長を務めるデニス・ハート・メルボルン大司教は、告解の守秘性は尊重されるべきだとして、「カトリック教会における告解は、聖職者を通して信者が神と精神的に出会う場だ。これは信教の自由の重要な構成部分であり、オーストラリアのみならずいくつもの国で認められている。それ以外の場でなら、児童に対するすべての犯罪を当局に通報すべきであり、教会もその用意がある」と述べた。

 特別調査委員会は、「これまでいくつもの証言で、性虐待の被害者からも加害者からも告解で事実を訴えていたことが判明している。加害者は、自分の犯罪に対して告解で許しを請い、その後で再び犯罪を重ねていた。児童を性虐待から守るためには、聖職者に対して告解で知った事実を当局に通報する義務を負わせるほかないと結論するに至った」と述べている。


◎高校生平和大使の演説見送りは核禁止条約への言及懸念?

 【CJC】2014年以来、毎年8月にジュネーブ軍縮会議で核兵器廃絶を世界に訴えてきた日本の高校生平和大使の演説が、今年は見送られたことが8月18日、分かった。関係者が明らかにしたもの、と共同通信が報じている。

 平和大使たちは核兵器禁止条約への共感を示しており、関係者は「日本政府が署名しないと明言する条約について演説で言及されることを懸念したのではないか」と指摘した。

 ジュネーブ軍縮会議日本政府代表部は「高校生平和大使の演説は毎年必ずやると決まっているわけではない。今年は軍縮会議の議事上、適当でないと判断した」と説明しているという。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(8月20日)=http://www.cwjpn.com/cwjpn/
★長崎の祈り 8月9日=キリストの平和を世界に
★比叡山宗教サミット30周年=今こそ平和のために=分裂越え 協調を
★教皇の一般謁見講話=「人を見下す信者は悲しい」
★教皇=ベルギーの修道会に安楽死の中止を命令
★性教育 どこまで教える?=HIV/AIDSデスク勉強会

 

 =KiriShin(8月21日・休刊)=http://www/kirishin.com

 =クリスチャン新聞(8月20日・休刊)=http://クリスチャン新聞.com

 
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