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世界キリスト教情報 第1390信(2017.09.11)

  • 教皇、「希望と平和の巡礼者として」コロンビア訪問
  • 南米コロンビア最後の左翼ゲリラも停戦に同意
  • 地中海で移民救助のマルタNGОがロヒンギャ救援へ
  • 「仏教徒はテロリスト」がミャンマーの現実?
  • スーチー氏のノーベル賞取り消し請願運動に36万人超す署名
  • ミャンマーのロヒンギャ迫害でツツ元大主教がスーチー氏批判
  • 「ロヒンギャ迫害非難を」マララさんがスーチー氏に訴え
  • 米聖公会のワシントン大聖堂がリー将軍のステンドグラス撤去
  • クライストチャーチ大聖堂を修復へ、残った建物生かす
  • ソウル近郊で旧統一教会合同結婚式、64カ国4000組参加
  • ≪メディア展望≫

 

◎教皇、「希望と平和の巡礼者として」コロンビア訪問

 【CJC】教皇フランシスコは9月6日から11日まで、コロンビアを訪問した。この司牧訪問は、同国政府と司教協議会からの招待に応じて行なわれた。

 バチカン放送(日本語電子版)などによると、訪問に先立ち公開されたビデオメッセージで、教皇は「希望と平和の巡礼者としてコロンビアを訪れ、わたしたちの主における信仰を共に記念すると共に、平和と調和を希求するみなさんの愛と忍耐に学びたい」と述べた。

 教皇はこの司牧訪問のテーマに「最初の一歩をしるそう」を掲げ、このテーマはあらゆる行いと計画にはまず最初の一歩が必要であることを思い出させ、まず最初に愛することで、橋をかけ、兄弟愛を築くよう促していると説明した。

 平和はコロンビアが求め、その完成のために長い間取り組んできたものであり、それは、互いを敵ではなく、兄弟として認めることのできる、安定した、恒久のものであるべき、と教皇は強調した。

 教皇は、イタリア時間の6日午前11時、ローマのフィウミチーノ国際空港を出発、現地時間の同日夜、ボゴタに到着、空港での歓迎式に臨んだ。この後、教皇は、ボゴタ大司教ルーベン・サラサール・ゴメス枢機卿と共に、特別車「パパモービル」でボゴタ市内に入り、市民の歓迎に応えながら、訪問中の滞在先となるバチカン大使館へと向かった。

 翌7日午前、教皇はボゴタ市内の大統領官邸でホアン・マヌエル・サントス大統領や各界要人と会見した。

 教皇は、これまでコロンビアを訪れた福者パウロ6世、聖ヨハネ・パウロ2世のように、ご自分もまた同国の兄弟たちと信仰と希望を分かち合うためにやって来たと述べた。そして、ただ信仰と希望があってこそ、すべてのコロンビア国民の祖国と家としての、国家建設の歩みにおける多くの困難を乗り越えることができると話した。

 ここ数十年、コロンビアが続けてきた武力闘争終結と和解に向けた努力を教皇は評価し、特に最近の和平への歩みの進展に大きな期待を表明、平和の追求とは、常に休み無く続く課題であり、すべての人の努力を必要とするものと説いた。

 続いて教皇は大聖堂を訪問、市民への挨拶と共に、司教団との出会いを持った。午後には、ラテンアメリカ司教協議会代表らと会見。ボゴタ市内の公園でミサを捧げた。

 8日、教皇はビリャヴィセンシオへ移動。午前中に郊外でミサを司式、この中で、ヘスス・エミリオ・ハラミジョ・モンサルヴェ司教(1916〜89)と、ペドロ・マリア・ラミレス・ラモス神父(1899〜1948)の列福式。午後、公園施設で「国内の和解のための出会い」を行った。

 9日、教皇は午前中にメデジンへ向かい、現地の空港でミサ。午後からは教区が運営する児童養護施設を訪問。次いで市内のイベントホールでコロンビアの司祭・修道者・神学生たちとの集いを行った。

 10日はコロンビア訪問の実質的最終日。教皇はカルタヘナ市内の広場でホームレスのための施設の礎石を祝別。続いて、聖ペトロ・クラベル教会を訪問、正午のアンジェラスの祈りを唱えた。午後、カルタヘナの港湾地帯でミサを司式した後、教皇は空港での送別式を経て、ローマへ戻る。


◎南米コロンビア最後の左翼ゲリラも停戦に同意

 【CJC】南米コロンビアで、最後まで活動を続けてきた反政府勢力の左翼ゲリラ『民族解放軍』(ELN)と政府が停戦に同意した。AFP通信によると、双方が9月4日発表したという。

 教皇フランシスコが翌5日にコロンビアを訪問を控えており、中南米で最も長く続いてきた内戦の完全な終結に向けた動きとして注目される。

 フアン・マヌエル・サントス統領はテレビ放送された演説で、停戦は10月1日に発効すると発表した。最初の停戦期間は102日間で、その後は細かい未決事項に関する協議の進展に応じて延長されるとしている。

 コロンビアではこの8月、半世紀以上に及んだ内戦の終結に向けて政府と和平協定を結んだ国内最大の左翼ゲリラ『コロンビア革命軍』(FARC)が武装解除を完了している。サントス大統領は『民族解放軍』との停戦で「完全な平和」を実現したい考えのようだ。


◎地中海で移民救助のマルタNGОがロヒンギャ救援へ

 【CJC】地中海で移民や難民の救助に取り組んできたマルタのNGО(非政府組織)『МОAS』が9月4日、迫害されているミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャを助けるため、活動地域を東南アジアに移す方針を明らかにした。AFP通信が報じた。

 『МОAS』は、民間の資金によって地中海で移民らの救助活動に従事する団体の先駆け。2014年以降、欧州を目指す移民ら4万人以上を地中海の中央部で救助、支援してきた。

 しかし、このルートを断とうとイタリアがリビア側などと交わした取り決めによって「状況が複雑になっている」とし、『МОAS』は移民らの安全な受け入れが保障されない仕組みには関わりたくないと説明している、とAFP通信。

 その代わりに『МОAS』は、教皇フランシスコがロヒンギャを迫害から守るよう訴えたことを受けて、ロヒンギャの救援にリソースを振り向けることにしたという。


◎「仏教徒はテロリスト」がミャンマーの現実?

 【CJC】ミャンマー西部ラカイン州で起きているイスラム系少数民族「ロヒンギャ」と軍や政府の衝突により、9月初めまでの1週間で少なくとも400人が死亡した。「ロヒンギャ」側が発表した。政府系英字紙『グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマー』は正反対の様相を報道、武装勢力『アラカン・ロヒンギャ救世軍』(ARSA)が民間人を殺害し、寺院に火をつけ、仏像を破壊しているという。

 ロシアの通信サイト『スプートニク』(日本語版)は、ミャンマーで双方がお互いの大虐殺と不当な残虐行為を非難しているがロヒンギャと仏教徒との衝突は何年も続いている、との見方に立っている。

 ただラカイン州には戒厳令が発令され、ジャーナリストも国際人権団体も現地入りが許されていない。

 一方ロシアではロヒンギャとの連帯を訴え、9月4日にモスクワ中心部にあるミャンマー大使館付近で、5日にはロシア・チェチェン共和国首都グローズヌイで大規模集会が開かれた。デモ参加者は「仏教徒はテロリストだ」というプラカードを掲げていた。

 2015年に、ミャンマーで半世紀ぶりに行われた自由な投票と公正な開票が保証された選挙で、アウンサン・スーチー氏率いる『国民民主連盟』(NLD)は上下両院で圧倒的過半数を獲得した。国家顧問兼外相を務めるスーチー氏は、このところ沈黙を保っている。

 『スプートニク』は、ラカイン州における仏教徒とイスラム系ロヒンギャとの争いは第2次世界大戦に遡るという見解を紹介している。日本が当時の英植民地ビルマを占領すると、ロヒンギャは英国の側に立ち、仏教徒は独立を約束した日本を支援し、日本軍に協力していたビルマ国民軍へ入隊し始める。

 国民軍の創設者でビルマ共産党創設者の1人アウンサンは、スーチー氏の父親。しかし1945年、日本の敗北により、日本軍の約束が空手形だと確信したアウンサンは、国民の過半数の支持のもと抗日運動に踏み切った。


◎スーチー氏のノーベル賞取り消し請願運動に36万人超す署名

 【CJC】ミャンマー政府による西部ラカイン州でのイスラム系少数民族ロヒンギャへの対応をめぐり、同国の事実上の指導者であるアウンサン・スーチー国家顧問に授与されたノーベル平和賞を取り消すよう求める請願運動がサイト『チェンジ・ドット・オーグ』で行われ、9月7日までに36万を超える署名が寄せられた模様。

 ただ、受賞者の選考を行うノルウェー・ノーベル委員会は、「評価対象は授賞前の行為であり、取り消されることはない」とコメントしている。

 AFP通信によると、署名者の1人は、「事実上の支配者であるアウンサン・スーチーは、自国内での人道に対する犯罪を止めるために何の手だても講じていない」と述べている。

 スーチー氏は、軍事政権による自宅軟禁下にあった1991年、ノーベル平和賞を授与された。同氏はその後2010年に自宅軟禁を解かれ、15年の総選挙では自らが率いる国民民主連盟(NLD)が勝利を収め、国家顧問に就任した。


◎ミャンマーのロヒンギャ迫害でツツ元大主教がスーチー氏批判

 【CJC】1984年のノーベル平和賞受賞者、南アフリカのデズモンド・ツツ元大主教が9月8日、ミャンマーでのイスラム系少数民族ロヒンギャ迫害問題をめぐり、アウンサン・スーチー国家顧問を批判する公開書簡を発表した。

 時事通信によると、ツツ元大主教はスーチー氏に対し、「あなたは正しさの象徴だった」とした上で、「あなたがミャンマーの最高の地位に昇進する政治的代償が沈黙であるならば、その代償はあまりに高価だ」と指摘。「あなたが正義、人権、国民の団結のために声を上げることを願う。あなたがエスカレートする危機に介入し、国民を正しい道に引き戻すことを願う」と呼び掛けている。


◎「ロヒンギャ迫害非難を」マララさんがスーチー氏に訴え

 【CJC】2014年のノーベル平和賞を受賞したパキスタンの女性教育活動家マララ・ユスフザイさんが9月4日、ツイッターに投稿したメッセージで、ミャンマーのアウンサン・スーチー国家顧問に、イスラム系少数民族ロヒンギャに対する迫害を非難するよう訴えた。

 時事通信によると、マララさんは「ニュースを見るたびにロヒンギャの苦しみに心を痛めている」と指摘。「過去数年間、私はこの悲劇的で恥ずべき扱いを繰り返し非難してきた。私は今も、同じノーベル賞受賞者であるスーチー氏が同じことをするのを待っている。世界、そしてロヒンギャも待っている」と呼び掛けた。

 ロヒンギャ迫害を明確に批判しないスーチー氏には、国際社会から不満の声が出ている。ボリス・ジョンソン英外相も2日発表した声明で、「スーチー氏はわれわれの時代において最も人の心を動かす人物の1人と正しく見なされているが、ロヒンギャの扱いは残念ながらビルマ(ミャンマー)の名声を汚している」と警鐘を鳴らした。

 またモルディブ政府は3日、「ミャンマー政府がロヒンギャに対する残虐行為を防ぐ措置を取るまで、ミャンマーとの全ての貿易を停止することを決めた」と発表した。


◎米聖公会のワシントン大聖堂がリー将軍のステンドグラス撤去

 【CJC】米南部バージニア州シャーロッツビルでこの8月、南北戦争の南軍総司令官だったロバート・リー将軍の像撤去に反対する白人至上主義者と抗議者のグループが衝突して死傷者が出た問題で、米聖公会のワシントン大聖堂は9月7日、聖堂にあるリー、トマス・ジャクソン両将軍を描いたステンドグラスを即時撤去した上で保管すると発表した。「人種間和解という重要な努力の障害になる」としている。

 ステンドグラスは1953年に設置されたが、南部サウスカロライナ州の黒人教会で2015年に白人至上主義者が黒人9人を射殺した事件を受け扱いを協議してきた。

 聖堂参事会は6日、ステンドグラスの存在が白人至上主義に関連するとし、「全ての人々の教会として奉仕するという大聖堂の使命に反している」と結論付けた。シャーロッツビルでの衝突を踏まえて緊急に決定したという。

 ワシントン大聖堂は新大統領の就任直後の礼拝や、歴代大統領の葬儀など国家行事にも使われてきた重要な教会。「ステンドグラスは人種間の平等と和解を目指す我々の重要な努力の障害になる」と説明している。

 撤去した窓は保存し、歴史の「教材」とすることも含めて検討するという。発表文は「南部連合の記念物は、人種の隷属化や抑圧へ戻る道の街灯の役割を果たす」と指摘している。


◎クライストチャーチ大聖堂を修復へ、残った建物生かす

 【CJC】2011年2月のニュージーランド南部地震で、高さ63メートルの尖塔が倒壊した聖公会クライストチャーチ大聖堂について、地元教会は9月9日、残った建物を生かして修復すると決めた。地元紙『ニュージーランド・ヘラルド』(電子版)などの報道として、朝日新聞が伝えた。

 1864年に建設が始まった大聖堂はたびたび地震に見舞われ、修復を繰り返してきた。今回の修復は10年ほどかかり、費用は1億800万NZドル(約85億円)の見込み。政府と市が計3500万NZドルの支援を表明している。


◎ソウル近郊で旧統一教会合同結婚式、64カ国4000組参加

 【CJC】ロイター通信によると、韓国ソウル近郊の加平で9月7日、『世界平和統一家庭連合』(旧統一教会)の合同結婚式が行われ、64カ国から4000組が参加した。

 式典は、2012年に死去した教団創始者、文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の妻の韓鶴子(ハン・ハクチャ)氏が司宰し、会場の加平清心平和ワールドセンターには信者や来賓3万人が集結した。

 合同結婚式は、文鮮明氏が1960年4月に3組の信者を「祝福」したのが最初。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(9月10日)=http://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇の一般謁見講話=神は共に 夢見てほしい
★教皇、11月に訪問=ミャンマーとバングラデシュ=ロヒンギャ迫害の終結訴える
★2千万人に飢饉の恐れ=国連=「最大の人道的危機」
★被造物を大切にする世界祈願日=「環境保護の総意に協力を」=教皇と東方正教会総主教、促す
★福岡教区=幼児教育の教職員研修大会開催=講師の話に学び、交流

 

 =KiriShin(9月11日)=http://www/kirishin.com
★コプト教皇初来日=エジプト土着キリスト教と日本の出会い
★本田哲郎氏="教派と伝統に固執するな"=エキュメニカル運動の課題問う
★靖国神社への玉串料奉納に抗議の声相次ぐ
★大宮で平和を求める8・15集会=弁護士の伊藤朝日太郎氏が講演
★「存在の価値」の再認識を=第10回キリスト教性教育研究会公開研究大会

 

 =クリスチャン新聞(9月10日)=http://クリスチャン新聞.com
★第34回ヨーロッパキリスト者の集い=バッハゆかりの聖トーマス教会で賛美礼拝=宗教改革500年を記念しドイツ・ライプチヒで開催
★テロ襲撃事件の現場から=バルセロナ在住の下山由紀子さん
★"憎しみ植え付ける教育防いで"=テロ事件の解決願い被害者悼む=スペイン在住イスラム教徒からもコメント
★「推す会」セミナーで森宣雄氏=沖縄の本音紹介=日本が平和憲法捨てるなら沖縄がひきとる
★映画「海の彼方」黄インイク監督=八重山諸島に暮らす台湾移民の四世代=家族の視点で追うアイデンティティー

 
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