世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1414信(2018.02.26)

  • 米の著名な大衆伝道者ビリー・グラハム氏死去
  • 米議会、銃規制法案を優先審議へ
  • 日系米国人がニューヨークでデモ行進、排外主義反対
  • フロリダ銃乱射で「彼は暴発する」との警告が
  • 国連安保理がシリア30日間停戦決議採択
  • アサド政権軍の空爆を教皇が批判
  • エルサレム「聖墳墓教会」が突然閉鎖
  • 第35回庭野平和賞はレバノンの『アディアン財団』に
  • ≪メディア展望≫

 

◎米の著名な大衆伝道者ビリー・グラハム氏死去

 【CJC】米の著名な大衆伝道者で歴代大統領の精神的助言者でもあったビリー・グラハム氏が2月21日、午前8時直前に、米南部ノースカロライナ州モントリートの自宅で死去した。99歳。同氏が創設した『ビリー・グラハム伝道協会』の報道担当者がRNS通信などに語った。

 がんや肺炎などの治療を受けていたが、特定の疾患によるものではないと見られる。

 グラハム氏は1918年11月7日、同州シャーロットの酪農家に4人の子どもの1人として生まれた。34年にフロリダ・バイブル・インスティテュート(現フロリダ・トリニティ・カレッジ)に入学。39年に南部バプテスト連盟の牧師に任命された。

 50年にミネソタ州ミネアポリスで『ビリー・グラハム伝道協会』を創設。またラジオで毎週放送する伝道番組を開始した。さらにテレビが普及すると「テレビ伝道」に着手した。その後、伝道活動は海外にも広がった。

 また、ドワイト・アイゼンハワー、ジョン・F・ケネディなど歴代大統領が同氏に助言を求めた。リチャード・ニクソン元大統領とは、専属牧師となった。

 91年の湾岸戦争開始時には、ジョージ・H・W・ブッシュ元米大統領が助言と祈りのためにグラハム氏をホワイトハウスに招いた。

 92年と94年に北朝鮮を訪れ、当時の金日成主席と会談している。


◎米議会、銃規制法案を優先審議へ

 【CJC】米議会は2月26日、歳出法案や移民法案より銃規制問題を優先して協議する見通しが出てきた。

 14日にフロリダ州パークランドの高校で銃乱射事件が発生し、ドナルド・トランプ米大統領が議会に何らかの対応を求めたことを受け、銃購入時の身元確認を厳しくしようとする動きが再び起きる可能性がある。

 ただ中間選挙を8カ月後に控えるなか、法案が通る見込みは薄い。共和・民主両党の多くの議員にとっては銃規制について議論や採決をすることさえ政治的にリスクを伴うのも事実。


◎日系米国人がニューヨークでデモ行進、排外主義反対

 【CJC】第2次世界大戦中の日系米国人に対する強制収容を米政府が謝罪して30年となるのに合わせ、日系米国人らが2月24日、ニューヨークでイスラム圏からの入国規制を含むドナルド・トランプ政権の排外主義的な政策に反対するデモを実施した、と共同通信が伝えた。

 20人超の参加者は「われわれはイスラム教徒や、移民、抑圧された人々を支持している」「(強制収容の歴史を)繰り返すな」などと書かれたプラカードを掲げ、トランプ大統領の自宅が入る5番街のトランプタワーの前から7番街の日米合同教会まで約3キロを歩いた。

 1941年の旧日本軍の真珠湾攻撃後、当時の米政府は、日系人が日本軍に協力する危険性があるとの懸念を深め、強制収容所に隔離した。戦後、ロナルド・レーガン政権下の88年に市民の自由法(強制収容補償法)が成立。収容は重大な誤りだったと謝罪した。


◎フロリダ銃乱射で「彼は暴発する」との警告が

 【CJC】17人が死亡した米フロリダ州高校での銃乱射事件で、ニコラス・クルーズ容疑者に近い10代女性が、連邦捜査局(FBI)に対し、学校で銃乱射を起こす可能性があるとして具体的な懸念を伝えていたことが分かった。

 FBIに情報提供した際の通話記録をウォール・ストリート・ジャーナル紙が確認した。女性の身元は明らかにされていない。

 同紙によると、その女性は事件が発生する1カ月以上前の1月5日、クルーズ容疑者の暴力的で異様な振る舞いについて警告するとともに、「学校に乗り込んできて、銃を撃ちまくるだろう」と話していた。


◎国連安保理がシリア30日間停戦決議採択

 【CJC】国連安全保障理事会は2月24日、内戦が続くシリア全土で30日間の停戦を求める決議案を全会一致で採択した。アサド政権軍などによる首都ダマスカス近郊の反体制派拠点「東グータ地区」への空爆などで民間人犠牲者が急増し、状況悪化が懸念されていた。

 決議案はスウェーデンとクウェートが提案。過激派組織『イスラム国』や国際テロ組織アルカイダなどを標的にした軍事作戦以外の攻撃を全土で30日間停止する。ロシアの同意を得るため、採択後72時間以内に停戦を開始するとした箇所が「遅滞なく」との表現に変更された。アサド政権軍は決議採択直後に空爆を実施しており、前途に不安は残る。


◎アサド政権軍の空爆を教皇が批判

 【CJC】シリアのバッシャール・アル=アサド政権が包囲を続ける首都ダマスカス郊外の反体制派支配地域「東グータ」で2月25日、空爆や地上攻撃が再開された。直前に国連安全保障理事会が30日間の停戦を呼びかける決議を採択したばかり。しかし米メディア『CNN』は、現地病院の医師が「何も変わっていない」と訴えた、と伝えている。

 教皇フランシスコは25日、アサド政権軍の攻撃を「非人道的だ」と批判、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場に集まった信者ら1万5000人を前に、暴力の即時停止を訴えた。

 東グータに対する執ような空爆が18日に始まって以来の死者は520人を超え、負傷者は2500人あまりに上っている。


◎エルサレム「聖墳墓教会」が突然閉鎖

 【CJC】エルサレムのキリスト教指導者らが2月25日、イエス・キリストの遺体が埋葬されたと言い伝えられている旧市街の聖墳墓教会を閉鎖するという異例の措置を発表した。イスラエル政府による税制措置と、現在提出されている財産法案に抗議するため。閉鎖期間は不明。

 イエスが埋葬された後、復活したと信じられている場所に建造された同教会は、キリスト教の最高の聖地とみなされ、重要な巡礼地の一つ。

 聖墳墓教会の大きな木製の扉の前に、ギリシャ正教会、アルメニア使徒教会、カトリック教会の指導者らが集まり、「われわれは抗議の手段として、聖墳墓教会の閉鎖という異例の措置に踏み切る決断を下した」とする声明を読み上げた。同教会の閉鎖決定は極めてまれ。

 キリスト教指導者は、エルサレムのイスラエル当局がキリスト教会を商業目的とみなし、非課税と定められているのは礼拝や宗教教育の場のみだと主張して課税対象にしようとする動きに怒りを募らせている。

 さらに政府が現在審議している法案が、教会財産の没収につながりかねないとの懸念もある。

 この閉鎖措置を受けてイスラエルの閣僚委員会は、同法案に関わる活動を1週間先送りする方針を示した、とAFP通信は報じている。

 閉鎖された教会の扉の前には、困惑した観光客らが立ち尽くし、ツアーガイドらが閉鎖の説明を求める姿も見られた。


◎第35回庭野平和賞はレバノンの『アディアン財団』に

 【CJC】庭野平和財団(庭野浩士理事長、東京都新宿区)は2月19日、第35回庭野平和賞を中東レバノンのNGOである『アディアン財団』に贈ることを発表した。

 同財団は、キリスト教徒とイスラム教徒の5人によって創設された団体で、シリア内戦で傷ついた人々のために平和と和解を促進するプログラムを提供するなど、レバノン国内外で宗教的対立を超えた和解を目指す活動を行っている。

 庭野平和賞は、宗教協力を通じて世界平和の推進に顕著な功績を上げた人物や団体に贈られる賞。第2バチカン公会議以来、「諸宗教との対話・協調」路線推進に尽力してきたヘルダー・ペソア・カマラ大司教(ブラジル、第1回)や、反アパルトヘイトなどで功績を上げた世界教会協議会(WCC)のフィリップ・アルフレッド・ポッター元総幹事(ドミニカ、第4回)ら、キリスト教関係者の受賞も多い。昨2017年は、ルーテル世界連盟(LWF)議長で、ヨルダンおよび聖地福音ルーテル教会監督のムニブ・A・ユナン氏が受賞した。

 『アディアン財団』は2006年に創設された。理事長のファディ・ダウ氏はマロン典礼カトリック教会の神父で、副理事長はイスラム教徒の大学講師であるナイラ・タバラ氏。初めは両氏ら5人だけだったが、活動開始から10年で、13カ国3千人以上が関わる働きとなった。現在は、研究、メディア、コミュニティー、シンクタンクの『ラシャド文化ガバナンスセンター』の4部門を柱に活動している。

 庭野平和賞委員会のノムファンド・ワラザ委員長は、同財団について「草に根レベルでの変化に焦点を当てることを疎かにせずに、学術的な研究と政策提言を行う能力を備えたことがアディアンの主要な業績の一つ」と評価している。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(2月25日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★那覇教区=バーント司教 叙階=沖縄を「いとおしむ」思い 胸に
★新刊書『エッファタ!教会共同体のろう者』=中央協議会から発行
★四旬節はイエスと心を合わせる時に=教皇フランシスコ
★教皇の一般謁見講話=神のことばを聞く権利
★「ルルドの奇跡」認定=70例目、修道女の治癒

 

 =KiriShin(2月21日)=https://www.kirishin.com
★「マイノリティー」として生き延びるミャンマーのキリスト者
★「裃を脱いだキリスト者」テーマに東日本大震災国際神学シンポ
★WCRPとKCRP=日韓青年交流会を共催
★中国に「法の支配」あるか=UCAN通信が批判を展開
★スイスでは無宗教者が全体の4分の1に

 

 =クリスチャン新聞(2月25日)=https://クリスチャン新聞.com
★"「自由な空間」へ変える"=若者に聞き、共に考える姿勢で=2.11東京集会
★37年ぶり記録的豪雪 福井の教会は?=礼拝来られない人々も
★7年ぶり日本開催=第8回東アジア青年キリスト者大会=キリスト中心で平和、宣教の一致=文化、社会、精神性の課題も祈る
★第5回東日本大震災国際神学シンポジウム2=裃を脱ぎ、キリストをまとう=東京神学大学学長・大住雄一氏の講演
★「祈れないあなたへ」 刊行記念講演会="「退屈」「満たし」超えて"=KGK・大嶋重徳総主事

 
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