世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1431信(2018.06.25)

  • 教皇、世界教会協議会創設7周年にジュネーブへ
  • WCC第11回大会は21年に独カールスルーエで
  • 不法移民助けたNGОを処罰する法がハンガリーで可決
  • トランプ氏、移民「親子引き離し」の大統領令撤回
  • 未成年者への性的虐待で米マカリック枢機卿に聖職行使停止
  • カトリック東京教区の幸田和生補佐司教が引退
  • ≪メディア展望≫

 

◎教皇、世界教会協議会創設7周年にジュネーブへ

 【CJC】教皇フランシスコは6月21日午前10時、世界教会協議会(WCC)の創設70周年を機会に「一致に向かっての旅」として1日だけの日程で、ローマから1時間半の空路を経てジュネーブを訪れ、キリスト教諸教会関係者と共にエキュメニカルな祈りの集いに参加した。

 教皇は、機内で同行記者団に「一致に向かって、一致を望む旅」とイタリア語で語り、一人一人を祝福した。

 教皇は到着したジュネーブ国際空港で、アラン・ベルセ連邦大統領の出迎えを受け、歓迎式に臨んだ。式典の後、教皇は空港内でベルセ大統領と個人会談を行った。

 教皇は、世界の聴覚障がい者に代わって、自らも聴覚障害を持っているケニアの彫刻家カリム・オキキ氏(33)が制作、ジュネーブまで持参した「障害をシンボルとした十字架」を受け取った。

 「この十字架が教皇と世界規模の諸教会に、障がい者、特に聞くことが出来ないか困難な人たちも今日の教会の枝なのだ、伝えようと思った」とオキキ氏。

 目がみえないか弱視、肢体不自由、聴覚障害などを象徴として十字架に刻みつけた。十字架の中心には、障害を持った人たちが教会と社会の全ての場で包含されることを示すために手話が示されている。

 ジュネーブ市内の『エキュメニカル・センター』を訪れた教皇は、WCCのオラフ・フィクセ=トヴェイト総幹事をはじめ、常議員会、中央委員会のメンバーらに迎えられた。

 センター内のホールで行われた祈りには、WCCに加盟する諸教会の代表者ら、およそ230人が参加。回心や、和解、一致を祈り、聖歌を唱和した。また、「ガラテヤの信徒への手紙」(5・13~16、22~26)が朗読された。

 教皇は関係者への挨拶で、「霊の導きに従って歩みなさい」と繰り返し招く、パウロの言葉を取り上げた。

 教皇は、歩む存在である人間が、自分自身の中に閉じこもっていることは、召命に反することと述べ、「霊の導きに従って歩む」必要を強調、「霊の導きに従うとは、この世の虚栄をはね返すことであり、奉仕の論理を選びとり、赦しにおいて前進すること」と述べた。

 過去の歴史におけるキリスト者たちの分裂を振り返った教皇は、その分裂の原因を、共同体内に入り込んだ虚栄のメンタリティー、世俗の論理のためと指摘。

 イエス・キリストの代わりに自分たちの利害を優先させ、霊の導きの代わりに肉に従った結果、そこに分裂が生まれるのは容易であったと述べた。

 エキュメニカルな祈りの集いの後、教皇はジュネーブ近郊ボセーの『エキュメニカル研究所』でWCC代表らと昼食を共にした。

 続いて、教皇は再び『エキュメニカル・センター』に戻り、エキュメニカルな交流を行われた。

 教皇は午後5時30分から、ジュネーブ国際空港に隣接する『パレキスポ・コンベンションセンター』でミサを行った。ミサの様子はフランス語圏・ドイツ語圏・イタリア語圏のスイス公共放送が中継した。

 午後8時、教皇は訪問予定を終え、アリタリア航空特別機でローマに向け出発、同日深夜、バチカン(ローマ教皇庁)に戻った。

※写真=教皇に贈られた十字架(アルビン・ヒラート=WCC)
 https://mail.google.com/mail/ca/u/0/#inbox/FMfcgxvwzcLmKPdLqkkzQpthHjbLsbrL


◎WCC第11回大会は21年に独カールスルーエで

 【CJC】世界教会協議会(WCC)は第11回大会を2021年に独カールスルーエで開催する。ジュネーブで開かれている中央委員会で6月21日決定した。

 加盟教会だけでなく「エキュメニカル」(教会一致を目指す)運動全体の方向を固める重要な会議とされているWCC大会は8年に1回開催する。

 大会自体がWCCの最高決議機関と位置付けられており、プログラムを検討し、全体方策を決定し、議長選出、次期大会までの執行機関となる中央委員を任命する。

 第11回大会をホストする招請状は16年6月に独福音教会(EKD)から寄せられている。


◎不法移民助けたNGОを処罰する法がハンガリーで可決

 【CJC】ハンガリー議会は6月20日、移民を支援する非政府組織(NGО)に対する処罰などを盛り込んだ一連の法案を賛成160、反対8で可決した。AFP通信が報じた。

 一連の法律は、欧州への移民流入を画策しているとハンガリー政府が非難するリベラル派の米富豪、ジョージ・ソロス氏にちなみ、「ストップ・ソロス」法と呼ばれている。

 処罰の対象は、旅券なしでの自由な往来を認める「シェンゲン協定」の参加国以外からの、差し迫った生命の危険にさらされていない不法入国者を手助けして有罪となった者。最長1年の禁錮刑を科される。

 20日に可決された法案には、すべての国家機関に「キリスト教文化の擁護」を義務付ける憲法規定や、路上生活者が公共の場で一夜を過ごすことを禁じる規定が含まれる。


◎トランプ氏、移民「親子引き離し」の大統領令撤回

 【CJC】不法移民の親に連れられ入国した子どもを親から引き離すドナルド・トランプ米大統領の施策へ批判が続いたことを受け、トランプ大統領は6月20日、この施策を事実上、撤回する新たな大統領令に署名した。

 国境で拘束された不法移民の親子の別離をもたらしている政策について、トランプ大統領は19日、批判に屈せず方針を変えない考えを示していた。それがわずか1日後にこの施策を事実上、撤回する大統領令に署名したもの。

 親から引き離された子どもをめぐっては、政権幹部らがトランプ氏の不法入国への「ゼロ・トレランス」(容赦なし)方針を支持し子どもたちは人道にのっとった状態で保護されていると主張しているが、国際人権団体からキリスト教福音派、複数の元米大統領夫人、与党・共和党からの批判も強まっていた。

 しかしトランプ大統領は批判に屈せず、共和党に批判が集まる前に事態の収拾を求める圧力の高まりにも動じていない様子で、中小企業経営者との会合で「私は子どもを親から引き離したくない」とした上で「不法に入国した親は訴追すべきなのであって、その場合は、子どもを引き離さなければならない」と説明していた。

 国際人権団体からキリスト教福音派、複数の元米大統領夫人、与党・共和党からの批判も強まっていたのを考慮したものと見る向きもある。

 ジェフ・セッションズ司法長官が、親子を引き離す結果になっても法律に従わなければならないとのトランプ氏の要求は正しいと主張するために、聖書からの引用を示したことにもキリスト教指導者たちは厳しく批判していた。


◎未成年者への性的虐待で米マカリック枢機卿に聖職行使停止

 【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)は、米ワシントン大司教区の元責任者セオドア・マカリック枢機卿(87)の45年前の未成年者への性的虐待容疑に対し「信頼できるもので、実証に基づいた容疑」と判断し、今後の一切の聖職行使の停止を言い渡した。ニューヨーク大司教のティモシー・ドラン枢機卿が6月20日、公式声明で発表した。

 マカリック枢機卿への容疑は同枢機卿がニューヨーク大司教区の司祭時代のことだ。ドラン枢機卿によると、教会の規約に基づき、バチカンに通達された。バチカンの「ナンバー2」、ピエトロ・パロリン国務長官は教皇フランシスコの指令を受け、マカリック枢機卿に今回、聖職禁止を言い渡した。

 それに対し、マカリック枢機卿は「バチカンの決定には忠実に従い、今後聖職を行使しない」と語る一方、容疑については否定した。

 ドラン枢機卿は、「ワシントン大司教区の関係者はバチカンの決定に対し、悲しみ、ショックを受けている」と述べる一方、教区の代表として性的虐待の全ての犠牲者に対し謝罪を表明した。


◎カトリック東京教区の幸田和生補佐司教が引退

 【CJC】教皇フランシスコは6月23日、東京大司教区の補佐司教、幸田和生司教の引退を承認した。

 バチカン(ローマ教皇庁)は6月23日付の人事に関する文書で、ヤコブ幸田和生司教の同教区・補佐司教職からの引退願いを教皇が認めたことを発表した。

 幸田和生司教は、1955年3月生まれ。85年3月、司祭叙階。2004年11月に東京大司教区の補佐司教に任命、05年2月、司教叙階。体調を崩し療養中。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(6月24日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★第6回 9条世界宗教者会議=武力放棄し 平和を築く=憲法の"力"を再確認=広島
★大阪震度6弱=教会で聖像落下など
★教皇の一般謁見講話=青年にとっての危険は消極性と恐れ
★米朝首脳会談に平和への希望=駐韓教皇庁大使=「歴史的」と歓迎
★ミサを手話で=30年続く神学生のサークル活動=日本カトリック神学院東京キャンパス

 

 =KiriShin(6月21日)=https://www.kirishin.com
★「史上初」の米朝首脳会談=キリスト教界期待した結果は?
★キリスト教文学会が全国大会=四国で「巡礼」テーマに
★キリスト教学校教育同盟=新理事長に西原廉太氏
★「ワークスみぎわ」の手作り木工品=通販サイト「minne」で子育て世代に人気
★故・井上洋治神父と文学を学ぶ会=「謎を深めることの大切さ」

 

 =クリスチャン新聞(6月24日)=https://クリスチャン新聞.com
★6・23「慰霊の日」=平良修氏=沖縄と教会を思う=「第一の戒め」はすべてを含む
★「炎のランナー」はその後日本軍捕虜となっていた=映画「最後のランナー」7月公開
★3年ぶりグローバルリターニーズカンファレンス=「一歩踏み出す場」に用いられ=主の働き拡大のため整えられる帰国者クリスチャン
★「家族伝道」ターゲットに開催=父なる神の大いなる愛知って=ラブ・ソナタ札幌2018
★JEA第33回総会開催=23年伝道会議「東海地域」で

 
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