世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1445信(2018.10.01)

  • 「二歩進んで一歩後退」と教皇、中国の司教任命でバルト3国訪問の帰路語る
  • バルト3国訪問を終えて教皇一般接見
  • 宗教信者も「党や国家とともに」と中國紙『環球時報』
  • 独聖職者、3千人超す未成年者らに戦後70年間虐待
  • エルサレムへ大使館移転は「国際条約違反」とパレスチナ
  • インドネシア・スマトラ島でキリスト教会を突然閉鎖
  • エジプトのコプト教徒がノーベル平和賞の受賞候補に?
  • ≪メディア展望≫

 

◎「二歩進んで一歩後退」と教皇、中国の司教任命でバルト3国訪問の帰路語る

 【CJC】教皇フランシスコは9月25日、バルト諸国歴訪からの帰路、機上で記者会見、司教任命をめぐる中国との暫定合意について「交渉では双方が何かを失うもの。二歩進んで一歩後退する」と述べた。

 教皇は司教任命について「候補者については話し合うが、任命するのは教皇だ」として、暫定合意は10年以上の努力の成果で「私自身が署名した」と述べた。


◎バルト3国訪問を終えて教皇一般接見

 【CJC】教皇フランシスコは、バチカン(ローマ教皇庁)で9月26日行った一般接見で、教皇は前日終了したリトアニア、ラトビア、エストニアのバルト3国司牧訪問を振り返り語った。バチカン・ニュース(日本語電子版)が報じた。

 バルト3国がそれぞれの最初の独立宣言から100年を迎えた特別な機会に行われたこの訪問を通し、教皇は、ナチス・ドイツによる占領、そしてソ連併合下の多大な苦しみを経て、自由を勝ち取った人々の、犠牲と努力、信仰に触れた、と語った。

 カトリック国のリトアニア、ルーテル派と正教会が多いものの、人々の宗教離れが目立つラトビアとエストニアと、それぞれ宗教的な様相は異なる中でも、教皇は今回の訪問で、すべてのキリスト者の一致を強める必要を感じたと述べた。


◎宗教信者も「党や国家とともに」と中國紙『環球時報』

 【CJC】司教任命について暫定合意にこぎ着けたことに、9月27日付の共産党機関紙、人民日報系の『環球時報』英語版(グローバル・タイムズ)は、教皇フランシスコが暫定合意を受け、中国のカトリック教徒に団結を呼びかけたことに関し、「多くの圧力に直面した暫定合意は正しい選択だったという教皇の自信と決意の表れだ」とする専門家の声を掲載した。

 中国語版『環球時報』は暫定合意前の9月12日付の社説で、「欧米の一部メディアや組織、政治家が近年しきりに中国の宗教行政を攻撃し、キリスト教徒への弾圧や新疆ウイグル自治区の統治を批判している」と指摘した。

 社説は、こうした"干渉"の目的は宗教活動を中国の国家統治システムから離脱させ、ある種の「政治的独立性」をつくりあげることだと主張している。中国の民衆は信者も含め「党や国家とともに歩まなければならない」という。


◎独聖職者、3千人超す未成年者らに戦後70年間虐待

 【CJC】ドイツ・カトリック教会の司教協議会は9月25日、1946~2014年に少なくとも1670人のカトリック聖職者が、未成年者ら3677人を性的に虐待していたとの調査結果を発表した。共同通信は、ドイツ社会に衝撃が広がっており、カトリック教会への批判が強まりそうだ、と伝えている。

 性的虐待に関与した聖職者は、調査期間中に活動していた全聖職者の4・4%を占める。現地のDPA通信によると、調査チーム関係者は、教会側の協力が不十分だったとし、調査結果は「氷山の一角」との認識を示した。

 司教協議会議長のラインハルト・マルクス枢機卿は「教会は虐待を見て見ぬふりをして、もみ消してきた」と謝罪した。


◎エルサレムへ大使館移転は「国際条約違反」とパレスチナ

 【CJC】パレスチナ自治政府のリヤド・マルキ外相は9月29日、米国が在イスラエル大使館を同国西部テルアビブからエルサレムに移転したことは国際条約に違反しているとして、オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)に28日付で提訴した、と述べた。

 エルサレムは、イスラエルが軍事的に支配している係争地で国際的な地位は定まっておらず、米国は、大使館を接受国の領土内に置くとする「外交関係に関するウィーン条約」(1961年)に違反していると主張。ICJに対し、米外交団にエルサレムからの撤収を命じるよう求めている。

 マルキ外相は、提訴は「パレスチナ国家の政策」として行われたと述べ、エルサレムの性格と地位を変えようとする「イスラエル占領軍」の試みを拒絶するよう国際社会に訴えた。パレスチナは2012年、国連での資格が「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」に格上げされた。


◎インドネシア・スマトラ島でキリスト教会を突然閉鎖

 【CJC】インドネシア・スマトラ島のジャンビ州で9月27日、キリスト教メソジスト教会が地方行政機関により閉鎖された。周辺の非キリスト教住民からの要求に基づく処置といわれ、同教会の信者らはショックを受けている。

 米週刊メディア『ニューズウイーク』によると、ジャンビ州コタバル市リンカル・バラット通りにあるメソジスト教会が9月27日、地元行政当局の係官によって封鎖され「閉鎖」された。今後、教会で宗教行事、集会などを行うことも禁止された。

 地元行政当局は、同教会は宗教施設としての許可を得ておらず、長年無許可施設としてキリスト教の宗教活動が行われていたという。そこに「周辺住民からの無許可施設であるとの苦情が高まっていた」ことによる封鎖と説明している。

 コタバル市には同教会を含めて3カ所の教会があるがいずれの教会に対しても周辺住民だとするイスラム教徒が閉鎖を求める運動が起きており、今回の封鎖前には「3教会の閉鎖を求める1000人集会をモスク(イスラム教の宗教施設)で開催する」と呼びかける文書が配布されていたという。


◎エジプトのコプト教徒がノーベル平和賞の受賞候補に?

 【CJC】エジプトのコプト教徒が、2018年のノーベル平和賞の受賞候補に選出された。コプト正教会系の国際慈善団体『コプティック・オーファンズ』(本部・米バージニア州)が9月25日発表した。

 ノーベル賞の公式サイト(英語)によると、今年のノーベル平和賞は、個人216人、団体115グループの計331組が受賞候補に選出された。これは、候補者数が376組あった2016年に次いで2番目に多い数字だという。

 ノルウェーのノーベル委員会は候補者名を公表していない。しかし『コプティック・オーファンズ』は、エジプトのコプト教徒が受賞候補として正式に指名されたことが確認できたとしている。指名理由は、反キリスト教的暴力行為を受けながらも、報復を拒否したためだという。

 エジプトは現在、イスラム教徒が人口の約8割を占め、約1割のコプト教徒は同国では少数派だが、中東に存在するキリスト教の教派としては最も大きなグループの一つ。

 同派のトップは、2012年に就任した教皇タワドロス2世。国際法学者でアフリカ出身者としては初めて国連事務総長(92~96年在任)を務めた故ブトロス・ガリ氏や、米国の現政権で大統領次席補佐官を務めるエジプト系米国人のディナ・ハビブ・パウエル氏らがコプト教会信徒。

 平和賞の受賞者は10月5日に発表され、授賞式は12月10日にノルウェーの首都オスロで行われる。

 
《メディア展望》

 =カトリック新聞(9月30日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★さいたま教区に新司教誕生=ひとつの神の家族をめざして=山野内倫昭司教
★バチカンが中国と調印=司教任命で「暫定合意」
★父母を敬い感謝する=教皇の一般謁見講話
★戦時下、壊滅した大聖堂=再建60周年 貢献団体を表彰=フィリピン・マニラ
★部落差別人権委員会=シンポジウム=ハンセン病家族訴訟に学ぶ=東京・麹町教会

 

 =KiriShin(10月1日)=https://www.kirishin.com
★北海道胆振東部地震=自然の猛威 被災相次ぐ
★「人間の尊厳」テーマに日本基督教学会=第66回学術大会
★語られなかった戦争被害者=BC級戦犯について学ぶ会
★仙台警察官殺害事件への学生関与で東北学院大学が「お詫び」
★聖路加国際病院チャプレン所属教会が声明=「一方的な報道」に遺憾の意

 

 =クリスチャン新聞(9月30日)=https://クリスチャン新聞.com
★「福島宣教ネットワーク」設立=長期的な協力関係を模索
★"何かはきっとできる"続け30年=ワールド・ビジョン・ジャパン記念集会
★「寄添い希望につながる支援を」=西日本豪雨被災者支援チャリティコンサート=黒坂栄司氏、牧一穂氏が被災地支援活動報告
★平和をつくり出すため日本国憲法の習熟を=「第3回戦争に関する証言集会」で西川重則氏
★アジア学院創設に携わる=高見敏弘氏逝去

 
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