世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1448信(2018.10.22)

  • ロシア正教会が『コンスタンチノープル総主教庁』と断絶
  • 日本ハリストス正教会も『コンスタンチノープル総主教庁』と断絶へ
  • 文大統領、バチカンの特別ミサで「必ず分断克服」と語る
  • 教皇「公式招待状があれば訪朝は可能」
  • 教皇、台湾訪問要請に好意的な回答と陳副総統
  • バチカン広報局長「教皇の台湾訪問は検討中ではない」
  • シノドス出席の中国司教が教皇に訪中要請
  • 米ペンシルベニア州で聖職者の未成年虐待捜査
  • 『サグラダ・ファミリア』は133年間無許可建設
  • ≪短信≫
  • ≪メディア展望≫

 

◎ロシア正教会が『コンスタンチノープル総主教庁』と断絶

 【CJC】ロシア正教会は10月15日、ベラルーシの首都ミンスクで教会会議を開き、ウクライナ正教会の独立に関する『コンスタンチノープル総主教庁』の決定を「違法」として拒否、同庁との正教会としての関係を「維持することが不可能になった」とする声明を出した。同庁がロシア正教会の管轄下にあったウクライナ正教会の独立手続きを始めたことに反発した。

 ウクライナ正教会の独立問題は、ウクライナとロシアの政治対立が背景にある。ロシア正教会はロシアのプーチン政権と密接な関係にある。一方、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は、南部クリミア半島を一方的に併合するなど自国に介入するプーチン政権と対立を深めており、『総主教庁』にウクライナ正教会の独立を要請していた。


◎日本ハリストス正教会も『コンスタンチノープル総主教庁』と断絶へ

 【CJC】ロシアの『スプートニク通信』(日本語電子版)が伝えるところでは、日本ハリストス正教会はロシア正教会の決定に従い、『コンスタンチノープル総主教庁』との関係を断絶する。10月18日、日本ハリストス正教会の総務部書記が声明で明らかにした。

 声明には、日本ハリストス正教会はモスクワ総主教座に所属する自治教会である以上、モスクワ総主教座の決定に従うと書かれている。

 ロシア正教会は15日、『コンスタンチノープル総主教庁』がウクライナ正教会に独立した立場を与えることを決定したことを受けて、同庁との断絶を宣言した。


◎文大統領、バチカンの特別ミサで「必ず分断克服」と語る

 【CJC】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は10月17日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂で開かれた「韓半島(朝鮮半島)平和のための特別ミサ」記念演説で、「韓半島での終戦宣言と平和協定の締結は、地球上最後の冷戦体制を解体することになるだろう。我々は必ず平和を成し遂げて分断を克服する」と述べた。韓国紙『中央日報』(日本語電子版)が報じた。

 文大統領は「韓国天主教(カトリック)教会は、植民地と分断、戦争と独裁の闇の中で、人間の尊厳と正義、平和と愛の道を照らす灯台になった」とし、北朝鮮の非核化議論が進められている状況でバチカンがその役割を果たすよう迂回的に要請した。文大統領は「私自身も天主教の正義平和委員会と天主教人権委員会委員として活動し、その事実を非常に誇らしく考えている」とも述べた。


◎教皇「公式招待状があれば訪朝は可能」

 【CJC】ヨーロッパを歴訪中の文在寅(ムン・ジェイン)・韓国大統領は10月18日夕方、バチカン(ローマ教皇庁)で教皇フランシスコと会談し、教皇を平壌に招待したいという北韓の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長からのメッセージを伝えた。これに対して、フランシスコ教皇は「北韓からの公式招待状があれば訪朝は可能」と応じた。韓国のKBSラジオが報じた。

 韓国大統領府(青瓦台)による、教皇は、文在寅大統領から、金正恩国務委員長の訪朝招請のメッセージとともに、
「金委員長が招待状を送ってもよいか」という質問を受け、「文大統領の口頭メッセージで十分ではあるが、公式招待状を送ってもらえれば訪朝は可能」と述べたという。

 教皇はまた、韓半島の平和定着に向けた韓国政府の取り組みに強い支持を表明し、「止まらずに前に進め。恐れるな」と述べ、南北融和を支持した。

 2000年には、当時の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長が韓国政府を通じて教皇の訪朝を招請したが、実現しなかった。


◎教皇、台湾訪問要請に好意的な回答と陳副総統

 【CJC】台湾の通信社『中央社』によると、陳建仁副総統は10月16日、バチカン(ローマ教皇庁)訪問を終えて帰国した。

 陳副総統は、桃園国際空港で談話を発表し、今回の訪問について「成功」だと述べた。教皇フランシスコと面会した際、台湾への訪問を要請したことについては、教皇から好意的な回答が寄せられたと話した。

 欧州で唯一、中華民国(台湾)と外交関係を有するバチカン。だが先月下旬、中国と司教任命問題で暫定合意に達した。陳副総統は11日からバチカンを訪問。敬けんなカトリック教徒の陳副総統は、蔡英文総統の特使として14日に行われた故教皇パウロ6世らの列聖式に出席し、式の前にフランシスコ教皇と面会した。

 陳副総統は、訪問期間中、複数のバチカンの高位聖職者と接触したとも話した。台湾とバチカンの近年の連携について話し合ったとし、台湾の貢献や努力への肯定的な評価が得られたと紹介。関係の緊密さを確認したほか、台湾はバチカンにとって重要なパートナーだとの言葉を掛けられたという。


◎バチカン広報局長「教皇の台湾訪問は検討中ではない」

 【CJC】教皇フランシスコの台湾訪問は「検討中ではない」とバチカン(ローマ教皇庁)のグレッグ・ブルク広報局長が10月18日、声明を発表した。

 同広報局長によれば、教皇フランシスコによって14日行われたパウロ6世および6人の福者の列聖式に、各国使節として、台湾からも陳建仁(ちん・けんじん)副総統以下の使節が参列していた。

 こうした機会の儀礼として、儀式の前に、各使節の代表は、教皇に短い挨拶を述べた。

 このような純粋に宗教的な背景の中で、陳副総統は、教皇に台湾への招待を新たにしたが、教皇の台湾訪問については、検討中ではない、と広報局長は明らかにした。


◎シノドス出席の中国司教が教皇に訪中要請

 【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)で開催中の「若者、信仰そして召命の識別」をテーマにした『シノドス』(世界代表司教会議)に出席した中国の司教2人が10月16日、イタリア司教協議会の機関紙『アベニーレ』に対し、教皇フランシスコに訪中を要請したことを明らかにした。2人は同紙の取材に「私たちは教皇を待っている」と語った。

 バチカンと中国は1951年に断交しているが、教皇の訪中が実現すれば関係回復へ大きく前進する。教皇は昨年、中国から招待を受ければすぐに訪問する意向を示していた。


◎米ペンシルベニア州で聖職者の未成年虐待捜査

 【CJC】米ペンシルベニア州カトリック教会の聖職者少なくとも300人が1950年ごろから数十年にわたり、1000人以上の未成年に性的虐待をしていたとされる疑惑の捜査を司法当局が開始したことを、主要メディアが10月18日、関係者の話として報じた、と共同通信が伝えている。

 同州のジョシュ・シャピロ司法長官は召喚状を出し、教会が保存しているとされる内部資料などを要求した。ただ、大半のケースは既に時効を迎えているとされ、どの程度、裏付けが進むのか不透明。


◎『サグラダ・ファミリア』は133年間無許可建設

 【CJC】スペインのバルセロナで建築が進められている『サグラダ・ファミリア』
(聖家族教会)の管理者は、市の許可を得ずに133年間建設を行ってきたことに対して制裁が科され、当局に3600万ユーロ(約47億円)の罰金を支払うことになった。現地紙『エル・パイス』が報じたと、ロシアの『スプートニク通信』が伝えている。

 『サグラダ・ファミリア』側は、罰金を10年分割で支払うことで当局と合意した。許可を得るために必要なすべての書類がバルセロナ市役所に提出されれば、2019年初めからは合法的に建設が行われることになる。2026年に完成の予定。

 市役所よると、罰金は、隣接する道路の補修、地下鉄から教会へ直接出る出口の建設、その他のプロジェクトなど、周辺のインフラ整備に使用される。


《短信》

〇長崎印刷のキリシタン希少辞書をリオで発見
 カトリック修道会『イエズス会』が17世紀初めに長崎で印刷した日本語とポルトガル語の対訳辞書が、ブラジル・リオデジャネイロの国立図書館に保管されていることが10月20日分かった。共同通信が報じた。現地調査した信州大人文学部の白井純准教授(45)によると、世界で4冊目の貴重な発見という。

 東インド巡察師バリニャーノが、日本に輸入した活字印刷機で刊行した一連の布教用の書物「キリシタン版」の中の「日葡辞書」の1冊。(CJC)

 
《メディア展望》

 =カトリック新聞(10月21日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★鹿児島教区=中野裕明司教叙階式=福音宣教へ新たな出発
★教皇、7人を列聖=パウロ6世とロメロ大司教ら
★カテドラルでテロ対策=東京五輪見据え 本格的訓練
★青年たち"泥出し"行う=高松教区「救援センター」利用しボランティア=愛媛県宇和島市
★インターネットを使って宣教=キリスト教本屋大賞2018=片柳弘史神父『こころの深呼吸』が受賞

 

 =KiriShin(10月21日)=https://www.kirishin.com
★子どもたちに夢と希望届けたい=ワールド・ビジョン、プリキュアとコラボ=クラウドファンディングに挑戦中
★「この時代の霊的な歌を」=日本賛美歌学会でイ・コニョン氏
★「性と人権」キリスト教全国連絡会議=教会の異性愛主義・家族主義を問う
★シンポ「SNSと宗教」◯ネットの限界と可能性を模索
★片柳弘史神父『こころの深呼吸』=キリスト教本屋大賞で授賞式

 

 =クリスチャン新聞(10月21日)=https://クリスチャン新聞.com
★「"自分の問題"と実感してなかった」=普天間基地そばの保育園「落下物」の衝撃 保護者たちの声
★元地下教会牧師が語る中国教会の現在=質的成長は道半ば
★「神とはだれか?」=千葉・船橋でセミナー=ラヴィ・ザカリアス氏 弁証論で応答
★憲法9条のノーベル平和賞期待=来年に望みつなぐ=推す神戸の会
★"こんな県ほかにある?"=選挙戦うけ参加者ら声=普天間基地前ゴスペル

 
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