世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1456信(2018.12.17)

  • 中国がカトリック教会の管理強化へ、バチカン容認
  • 教皇、枢機卿3人を「顧問評議会」から外す
  • ウクライナ正教会が統一して独立へ=ロシア正教会は反発
  • ドイツ議会が「第3の性」認める法案可決
  • 「イエス洗礼地」周辺の教会が半世紀ぶり公開
  • ≪メディア展望≫

 

◎中国がカトリック教会の管理強化へ、バチカン容認

 【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)が任命した司教による中国の政府非公認組織「地下教会」の2教区が12月16日までに、公認教会『中国天主教愛国会』に一本化された。中国が単独で任命していた7人の政府系司教を教皇フランシスコが追認して和解に達した。

 中国ではバチカンとの対立から福建省■(門構えに虫)東(ミントウ)教区と広東省汕頭(スワトウ)教区で、政府系司教と地下司教が共に地位を主張しており、9月にバチカンと中国が交わした司教任命をめぐる暫定和解後の動向が注目されていた。

 北京の釣魚台迎賓館で13日、ミントウ教区の「地下教会」の司教の任務を「中国天主教愛国会」の司教に引き継ぐ式典が行われた。

 「地下教会」を引き継いだ司教は詹思禄(チャン・スールー)氏。教皇の承認を受けずに司教に任命されてたことで自動的にバチカンから破門されていた1人だが、暫定合意を受けてバチカンが詹氏を司教として追認した。

 これまでバチカンが認めてきた「地下教会」側の司教、郭希錦(クオ・シーチン)氏は補佐司教とされた。カトリック系メディア『アジアニュース』によると、北京を訪問したクラウディオ・マリア・チェッリ大司教(広報評議会議長)を団長とするバチカン代表団が「中国教会全体のために犠牲になってほしい」と伝えたという。

 ミントウ教区と同様にバチカンと中国の司教が競合してきた広東省汕頭(スワトウ)教区でも、バチカン系の荘建堅(ズアン・ジャンジャン)司教が近く引退し、政府系の黄炳章(ファン・ビンズァン)司教に一本化することが決まった。

 中国の宗教政策を担当する王作安・国家宗教事務局長は「宗教界は党の指導を守る必要がある」との方針を表明、地下教会の信者に対して政府公認の教会へ入るよう働きかけを強めている。

 中国への接近を強める教皇フランシスコは暫定合意後、「中国のカトリック教会が再び一体となってほしい」と和解を呼びかけた。しかし地下教会の処遇について、中国政府は見解を明らかにしていない。香港メディアは11月、温州地区の地下教会司教の拘束が暫定合意後も繰り返されていると報じた。

 競合のない教区で、バチカンだけが任命した地下司教が約20人いると見られる。その処遇はまだ明らかにされていない。

 ミントウ教区では9万人を超すと見られる信徒のうち、「地下教会」の信者が約8万人と圧倒的に多く、政府系に吸収されることへの不満を吐露する声も出ているという。


◎教皇、枢機卿3人を「顧問評議会」から外す

 【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)は12月12日、教皇フランシスコが、高齢を理由に枢機卿3人を「顧問評議会」から外したと発表した。米メディア『CNN』などが速報した。

 今回除外された3人はオーストラリアのジョージ・ペル(77)、チリのハビエル・エラスリス(85)とコンゴ民主共和国のローラン・モンセングオ・パシンヤ(79)の各枢機卿。

 同評議会は、教皇が2013年に就任した直後に発足させたもので枢機卿8人で構成。教会の組織改革などの方途を検討していた。

 3人のうちペル枢機卿、エラスリス枢機卿は、世界各地のカトリック教会で発覚した未成年者らへの性的虐待問題への関与もしくは隠蔽(いんぺい)疑惑を抱えている。両枢機卿は「顧問評議会」の創設時のメンバー。

 ペル枢機卿は2018年6月、過去30年の間に起きていた性的暴行事件で訴追された。同枢機卿は豪カトリック教会で最高位にあるが、訴追を受けバチカンは休職処分にした。

 エラスリス枢機卿はチリの首都サンティアゴの大司教に在任時代、聖職者の虐待問題の報告を看過した容疑で地元の検察当局の調べを受けている。


◎ウクライナ正教会が統一して独立へ=ロシア正教会は反発

 【CJC】ロシア正教会の管轄下に置かれてきた『ウクライナ正教会』、国内では別々に活動してきた複数の正教会から成立しているが、12月15日、聖職者による主教会議(シノド)を首都キエフの聖ソフィア大聖堂で開き、教会統一とロシア正教会からの独立を決めた。

 コンスタンチノープル(現イスタンブール)のエキュメニカル(全地)総主教庁は『ウクライナ正教会』の独立に関する「トモス」(宗教上の決定文書)を2019年1月6日に同正教会に交付する見通し。

 ロシアのウラジミル・プーチン政権と対立するウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は会議に出席して統一を歓迎したが、ロシア正教会は激しく反発している。

 会議には、1991年にウクライナがソ連から独立した後、正式な独立承認を得られぬまま活動してきた『ウクライナ正教会』(キエフ総主教派)などの聖職者や関係者190人以上が出席、統一した『ウクライナ正教会』首位の府主教に、キエフ総主教派のエピファニー府主教セルヒー・デュメンコ氏(39)を選出した。同氏は、独立運動を主導してきたキエフ総主教派トップのフィラレ総主教(89)の側近だという。

 ただ、ロシア正教会の監督下で活動する『ウクライナ正教会』(モスクワ主教派)は統一を拒否しており、高位聖職者90人のうち会議に出席したのは2人だけだった。

 一方、『ウクライナ正教会』の独立を不服として、コンスタンチノープル総主教庁との"交流断絶"を表明しているロシア正教会は、モスクワ系の主教に対し評議会への不参加を呼びかけるなど、新組織設立に強く反発した。評議会に先立つ14日には、キリル総主教が、国連のグテレス事務総長やローマ教皇フランシスコに、コンスタンチノープル総主教庁の決定は不当だとする書簡を送っていた。


◎ドイツ議会が「第3の性」認める法案可決

 【CJC】ドイツ議会は12月14日、男女区別に明確に適合しない「インターセックス」として生まれた子どもの出生届で、「第3の性」を選択できるようにする法案を可決した。

 アンゲラ・メルケル首相率いる左右連立政権はこれに先立ち、インターセックスの新生児を「ディバース」(多様、それ以外)として登録できるようにする法改正案を閣議決定していた。

 「インターセックス」は、生殖器や染色体といった性的特徴が典型的な男女の区別に完全に一致しない人々を指す。

 国連によると、世界人口に占める「インターセックス」の人々の割合は0・05~1・7%。また「インターセックス」であることは、出生時に分かる場合も、思春期になってから分かる場合もある。

 新法は、成長してからの性別や名前の変更も認めているが、医学的な検査が必要とされる場合が多いことに批判の声が上がっている。

 「ドイツ・レズビアン・ゲイ連盟」(LSVD)は、医学的検査を義務付ける規定は「インターセックス」であることが異常だとの認識を示すものと批判、「個人の尊厳を傷つける評定」を廃止するよう求めている。


◎「イエス洗礼地」周辺の教会が半世紀ぶり公開

 【CJC】イエス・キリストが洗礼者ヨハネから洗礼を受けたとされているヨルダン川西岸カスルエルヤフドで12月9日、1967年の第3次中東戦争時に埋設された地雷の除去作業が一区切りつき、付近にある教会群がおよそ半世紀ぶりに一般公開された。AFP通信が報じている。

 地雷などの除去作業は2018年3月に着手され、これまでにエチオピア正教会とギリシャ正教会の修道院、カトリックの修道会フランシスコ会の礼拝所で除去が完了した。今後、さらにロシア正教会、シリア正教会、ルーマニア正教会、コプト正教会がある場所で除去を進める計画。

 除去作業は、イスラエル国防省、地雷除去を専門とする英慈善団体『ヘイロー・トラスト』、イスラエル企業4CIの監督のもと進められている。

 国防省によると、この事業は1平方キロメートルの範囲で約3000個の地雷などの爆発物を取り除くもの。すべてを除去するにはさらに8カ月から1年かかる見通しという。

 
《メディア展望》

 =カトリック新聞(12月16日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★祈りは神と関係築く道=教皇の一般謁見講話
★怒りの感情とどう付き合う?=世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会女性部会=講師招きワークショップ=健康的な表現方法を学ぶ
★「サンタはキリストの心」=県民クリスマスで バーント司教語る=沖縄
★20年前から駅前でクリスマスキャロル=神戸のニュータウンに住む信徒ら
★「最後の」ザビエル祭=日本カトリック神学院東京キャンパス

 

 =KiriShin(年末休刊)=https://www.kirishin.com

 

 =クリスチャン新聞(年末休刊)=https://クリスチャン新聞.com

 
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