世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1459信(2019.01.07)第2部

2018年「世界のキリスト教・注目ニュース」

 CJC通信を発信する『世界キリスト教情報』は1月7日、2018年の「世界のキリスト教・注目ニュース」をまとめました。

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◎WCC代表団が中国訪問、総幹事が北京の教会で説教

 世界教会協議会(WCC)の代表団が1月7日、16日までの日程で中国を訪問した。7日には、北京の崇文門(チョンウェンメン)教会で、オラフ・フィクセ=トヴェイト総幹事が「イエス・キリスト、世界の喜び」と題して説教した。同教会の主日礼拝は5回行われる。トヴェイト総幹事が説教した礼拝には約1000人が参加した。
 代表団はトヴェイト総幹事のほか、『アジア議長』の張裳(チャン・サン)牧師、宗教間対話・協力担当責任者のペニエル・ラクマー牧師ら。
 代表団は9日、上海で中国政府公認の中国基督教協会(CCC)と『中国基督教三自愛国運動委員会』の代表者と会談した。また東中国神学校などを訪問した。
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◎『日本カトリック神学院』院長に中野裕明司祭

 バチカン(ローマ教皇庁)福音宣教省長官のフェルナンド・フィローニ枢機卿は「超教区神学校」の『日本カトリック神学院』院長に、現・副院長ザビエル・中野裕明司祭(鹿児島教区)を任命した。バチカンのフィデス通信が1月15日報じた。
 中野新院長は1951年4月15日、鹿児島生まれ。78年4月2日、司祭に。長崎の小神学校、福岡のサンスルピス大神学校卒、教皇庁立ウルバニアナ大学で教理神学を学んだ。教区月刊紙主任、各地の小教区主任、南九州小神学院院長、教区事務局長などを歴任。
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◎教皇「焼き場に立つ少年」写真示し核戦争の恐れ警告

 教皇フランシスコは1月15日、南米へ司牧訪問に向かう特別機内で、AFP通信など同行記者団と会見した。
 北朝鮮が昨年から核・ミサイル実験を繰り返す中、核戦争の脅威についてどう考えるかとの記者の質問に対し、教皇は「まさに瀬戸際にあると思う」と答え「私は本当にこれを恐れている。一つ事故が起きただけで、事態が急展開するような状況だ」と語った。
 教皇は、米国が長崎に投下した原爆によって死亡した弟の遺体を背負う少年を写した1945年撮影の写真を記者団に示し、「これを印刷して配布したいと思った。このような写真は1000の言葉よりも人の心を動かし得る。皆さんと共有したいと思ったのもそのためだ」と語った。
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◎教皇が「禁断の果実」になぞらえ「偽ニュース」の誘惑に警告

 教皇フランシスコは1月24日、聖書の中に出てくる、イブが「禁断の果実」を口にしてしまう話になぞらえ、偽ニュースの誘惑に警告を発した。AFP通信が報じた。
 ジャーナリストの守護聖人フランシスコ・サレジオの祝日に催された「世界広報の日」のメッセージで、教皇は、ヘビがイブをだましたことを「最初の偽ニュース」だと述べた。
 「自らを偽って攻撃する者が使う、『ヘビの戦術』とも呼ばれるものの正体をわれわれは暴く必要がある」と述べた上で、教皇は「うそのウイルスに対する最も抜本的な対抗手段は、真実による浄化だ」と強調した。
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◎米の著名な大衆伝道者ビリー・グラハム氏死去

 米の著名な大衆伝道者で歴代大統領の精神的助言者でもあったビリー・グラハム氏が2月21日、米南部ノースカロライナ州モントリートの自宅で死去した。
 グラハム氏は1918年11月7日、同州シャーロットの酪農家に4人の子どもの1人として生まれた。34年にフロリダ・バイブル・インスティテュート(現フロリダ・トリニティ・カレッジ)に入学。39年に南部バプテスト連盟の牧師に任命された。
 50年にミネソタ州ミネアポリスで『ビリー・グラハム伝道協会』を創設。またラジオで毎週放送する伝道番組を開始した。さらにテレビが普及すると「テレビ伝道」に着手した。
 ドワイト・アイゼンハワー、ジョン・F・ケネディなど歴代大統領が同氏に助言を求めた。リチャード・ニクソン元大統領とは、専属牧師となった。
 91年の湾岸戦争開始時には、ジョージ・H・W・ブッシュ元米大統領が助言と祈りのためにグラハム氏をホワイトハウスに招いた。
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◎タンザニアで開かれた世界宣教会議終わる

 タンザニアのアルーシャで「霊に導かれて進むこと――変革をもたらす主の弟子となることへの招き」を主題に3月8日開幕した世界教会協議会(WCC)の世界宣教会議が13日、「ディサイプルシップ=主の弟子であること=へのアルーシャ宣言」を採択、「派遣礼拝」を行い終了した。
 主流派プロテスタント、正教会、ローマ・カトリック教会、福音派、ペンテコステ、アフリカで創始された諸教会から約1000人が参加した。日本からはWCC中央委員の西原廉太氏(立教大学文学部教授)が出席した。
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◎『キリスト教中国化5年工作計画要綱』を公布か

 中国政府公認の中国基督教協会と中国基督教三自愛国運動委員会で形成される『基督教全国両会』が3月28日、『キリスト教中国化5年工作計画要綱(2018~2022)』を公布した。
 同要綱は、中国共産党による指導と「社会主義の核心価値観」を堅持していくと提唱している。
 また同要綱は、信者が中国当局の指示通りに「正しい聖書観」を樹立することが重要だと主張した。また、今後聖書の再翻訳・発行、聖書の解釈の再編集も示唆されている。
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◎中国「信教の自由保障の政策と実践」白書を発表

 中国国務院新聞弁公室は4月3日、「中国の信教の自由保障の政策と実践」白書を発表した。
 白書は約8000字。序文と結語の他に「信教の自由保障の基本政策」「信教の自由の権利の法的保障」「宗教活動の秩序ある実施」「宗教界の役割は十分に発揮」「宗教関係は積極的で健全」の5部で構成されている。
 白書は「中国は共産党の指導する社会主義国家だ。中国は終始自国の国情と宗教の実情に立ち続け、信教の自由政策を実行し、公民の信教の自由の権利を保障し、積極的で健全な宗教関係を構築し、宗教的調和と社会的調和を維持している」と言う。
 また「中国は宗教の発展・変化を宗教政策の実際と結びつけ、国内外の正反両面の経験を汲み取り、法に基づき信教の自由を保障し、宗教関係の調和を促し、宗教界の積極的な役割を発揮するという成功の道を歩み出した。第19回党大会報告は、党の宗教政策の基本的方針を全面的に貫徹し、宗教の中国化という方向を堅持し、宗教の社会主義社会との適応を積極的に誘導すると明確に指摘した。中国はこれまで同様に公民の信教の自由を尊重し、保障し、富強・民主・文明・調和の美しい社会主義現代化強国の建設に努力する」と指摘した。
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◎聖骸布のイエスの姿を3Dプリンターで復元

 イタリアの研究者たちがトリノの聖骸布を元に3Dプリンターで作ったイエス・キリストの等身大の像がネット上に4月7日、『キリスト教放送網』(クリスチャン・ブロードキャスティング・ネットワーク=CBN)によって公開された。磔にされた後の死後硬直の姿勢をとっている遺体の身長は約178センチ。
 十字架に磔(はりつけ)にされたイエスの体を包んだと信じられている聖骸布の研究から導いたもので「地上におけるイエス・キリストの精密なイメージ」を初めて形にしたという。
 像はイタリア・ヴェネト州にあるパドヴァ大学とパドヴァ病院が、彫刻家のセルジオ・ロデッラと協力して制作した。
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◎米アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団に初の女性総主事

 米アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団(本部=ミズーリ州スプリングフィールド)理事会は4月23日、第11代総主事にドナ・L・バレット氏を全会一致で選出した。総主事に女性が選ばれるのは同教団で初めて。
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◎バチカン財務長官のペル枢機卿が性的暴行容疑で陪審裁判に

 オーストラリア・ビクトリア州メルボルンの治安判事裁判所は5月1日、バチカン(ローマ教皇庁)財務長官のジョージ・ペル枢機卿(76)を複数の性的暴行容疑について陪審裁判にかける判断を下した。

 ペル枢機卿は同国カトリック教会で最高位、バチカンでも3番目の地位にある。世俗裁判所で裁かれるカトリック聖職者としても最高位。
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◎トヴェイトWCC総幹事ら5日間、北朝鮮訪問
 世界教会協議会(WCC=オラフ・フィクセ=トヴェイト総幹事)と世界改革教会連盟(WCRC=クリス・ファーガソン総幹事)が5月7日、双方の代表6人が3日から7日まで北朝鮮を訪問したことを明らかにした。
 今回の訪問は、大韓民国の文在寅大統領と北朝鮮国務委員会の金正恩委員長が、板門店で4月27日に南北首脳会談を行い、「朝鮮半島の平和と繁栄・統一のための板門店宣言」に署名した数日後に行われた。
 板門店宣言に盛り込まれた特別な創意は、平和のための新たな弾みを創り出したが、WCCとWCRCの北朝鮮訪問団は、それを力強く肯定し、支持し、奨励したいと願っている、と伝えた。
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◎英国国教会ロンドン主教に初の女性就任
 英国国教会で3番目の地位に当たる第133代ロンドン主教に女性で初めて選任されたサラ・マラリー氏の就任式が5月12日、ロンドンのセントポール大聖堂で行われた。
 マラリー氏の前職が看護師だったこともあり、就任式は英看護師フローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなんで制定された「国際看護師の日」に当たる日に行われた。
 就任式の説教でマラリー氏は、ロンドンが直面する問題として刃物による犯罪の増加や教会内での性的虐待を挙げ、こうした暴力や犯罪への取り組みのため、ロンドン全体に向けて声を上げなければならないと訴えた。
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◎前田万葉大司教を枢機卿に教皇任命
 教皇フランシスコは聖霊降臨日(ペンテコステ)に当たる5月20日、大阪教区のトマス・アクィナス前田万葉大司教(69)を枢機卿に任命すると発表した。
 日本人が枢機卿に就任するのは2007年に死去した浜尾文郎氏以来、6人目。故白柳誠一枢機卿が2009年12月に死去して以来の日本人枢機卿となる。
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◎救世軍第21代大将にブライアン・ペドル氏
 救世軍万国本営(ロンドン)は5月24日、アンドレ・コックス大将の任期満了に伴い、ブライアン・ペドル中将(参謀総長)を、第21代救世軍大将に選出した。ペドル新大将は救世軍カナダ・バミューダ軍国の士官で、ニューファンドランド州の出身。
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◎北朝鮮が宗教活動などで8~12万人拘束=米国務省が年次報告書
 米国務省が5月29日、世界の信教の自由に関する2017年版報告書を発表した。今年は特に北朝鮮が取り上げられ、報告書は非政府組織(NGO)の報告に基づき、北朝鮮では賛美歌を歌ったり聖書を読んだりすることが処罰対象になり、収容所に投獄されるケースがあると明記している。同国で宗教活動に携わった人が処刑や拷問の対象になるなど「苛酷な状態」に置かれ、政治活動や宗教活動で政治犯収容所に拘束されているのは約8万~12万人に上るとの推計を示した。
 中国については、習近平国家主席への権力集中が進んだ昨年10月の共産党大会前から宗教活動への締め付けが強まり、現在も継続中であると指摘した。
 米政府は北朝鮮や中国を、イランやサウジアラビアとともに、信教の自由を著しく侵害している「特定懸念国」10カ国に含めている。
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◎教皇、世界教会協議会創設70周年にジュネーブへ
 教皇フランシスコは6月21日、世界教会協議会(WCC)の創設70周年を機会に「一致に向かっての旅」として1日だけの日程で、ジュネーブを訪れ、キリスト教諸教会関係者と共にエキュメニカルな祈りの集いに参加した。
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◎「イスラエルはユダヤ人国家」 国会が62対55で可決
 イスラエルの国会(クネセト)は7月19日、同国における民族自決権はユダヤ人のみにあるとする法案を62対55の賛成多数で可決した。クネセトでは激しい議論が交わされ、審議は8時間以上続いた。
 可決された「ユダヤ人国家」法は、アラビア語を公用語から外したほか、ユダヤ人の入植地開発を国益と位置付けた。また、「不可分で統一された」エルサレムがイスラエルの首都だとしている。
 法案は「イスラエルはユダヤ人にとって歴史的な母国であり、民族自決権はユダヤ人の独占的権利」だとされている。
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◎世界福音同盟が新国際理事発表、植木英次氏も選出
 世界福音同盟(WEA)は7月24日、統治機関『国際理事会』の新メンバーを発表した。新国際理事は、各地域を代表する7人と、地域を代表しない3人、そして名誉理事1人と総主事の計12人。
 地域を代表しない国際理事3人の中に、日本福音同盟(JEA)国際渉外室長、アジア福音同盟議長の植木英次氏(イムマヌエル綜合伝道団市川教会牧師)も選出された。
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◎セオドア・マカリック枢機卿が「辞任」
 バチカン(ローマ教皇庁)の有能な外交官として知られた、前ワシントン大司教のセオドア・マカリック枢機卿(88)が7月27日、「枢機卿会議」からの辞任を要請した。
 バチカンは、28日の声明で、「教皇フランシスコはマカリック枢機卿の辞任を受け入れ、同枢機卿に対して行われた告発が正規の審問により調査されるまで、祈りとざんげの生活のために、自宅にとどまる義務とともにどのような公的な宣教活動をも停止することを命じた」と発表した。
 「枢機卿会議」からの辞任は、1927年にルイス・ビヨ神父が辞任して以来のこと。
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◎死刑全面反対へ、教皇が『カテキズム』の一部書き換え
 カトリック教会は8月2日、信者に対する教理の手引き『カテキズム』の一部を変更し、死刑はいかなる状況においても容認できないと明記した。
 教皇フランシスコは、『カトリック教会のカテキズム』中の、死刑について言及する部分の変更を承認。これにより、「教会は福音の光に照らし、『人間の不可侵性と尊厳を侵害することから、死刑は許容しがたいもの』と教えている」と、書き換えられた。『バチカン・ニュース』によると、教理省長官ルイス・ラダリア枢機卿が、8月1日付で文書を発表した。
 教理省は、同じ8月1日付で、「死刑をめぐる、『カトリック教会のカテキズム』の新しい内容に関しての、司教への書簡」を公布した。変更の経緯と、前任の教皇たちの死刑をめぐる教え、そして、教皇フランシスコによるその継続性に触れている。
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◎「性的虐待撲滅に協力を」=教皇、全信者宛て書簡
 教皇フランシスコは、全教会に回心と祈りを呼びかける書簡「神の民への手紙」を8月20日発表した。「神の民」とは教会の全信者を表す。
 複数の国で聖職者による性的虐待問題が起きている事態を受けての書簡は、全カトリック信者に宛てた異例のもの。共に危機に向き合い、教会の分裂を回避するよう呼びかけた。
 書簡発表の背後に、未成年者に対する性的虐待の問題が、米国、チリ、オーストラリア、アイルランドなどで表面化し、動揺が広がっている。
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◎「アジアのための神学校を東京に」=菊地大司教は「困惑」
 「アジアのための新しい神学校が日本の首都で設立される」、とバチカン(ローマ教皇庁)福音宣教省長官のフェルナンド・フィローニ枢機卿からの通告を受け、タルチシオ菊地功・東京大司教は、「困惑」を感じている、とカトリック系通信『UCAN』が8月22日、東京発で報じた。
 菊地大司教は、神学校の正確な場所も、いつ開校するのかも知っていない、として「福音宣教省の決定に困惑させられている」という趣旨の声明を8月15日に出した。
 大司教は、「神学校が東京大司教区のどこかで設立されるということを一方的に発表した書簡をフィローニ長官から受け取った」と言う。書簡に添付された「神学校構想」は、目的を「新求道共同体に属す信徒に、アジアの福音伝道のための聖職となる準備をさせるため」としている。
 書簡は「アジア大陸の福音宣教に深く関わって来た司教、司祭、修道者の男女、信徒と協議して、アジアでの福音宣教のため教皇フランシスコの強い支持と共に、わたしはアジアのためのレデンプトリス・マーテル神学校を東京の首座と共に設立し、福音宣教省直属とする」としている
 菊地大司教は、自身を含め日本の高位聖職者がこの問題に関する協議のために呼ばれなかった、と驚きを示した。
 大司教は声明の中で、「わたしは、バチカンが承認した動きを否定したり、禁止はしない。規制したり排除もしない」と言う。しかし、「この神学校の歴史に対する反省や研究もなしに、日本で新求道共同体のためにだけの神学校再発足を理解することは困難だ」と付け加えた。
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◎バチカンと中国が司教任命について暫定合意
 バチカンと中国間で、カトリック教会についての共通関心をめぐり続けられてきた交渉で、北京で9月22日開かれたバチカンのアントワン・カミレーリ外務局次長と、中国の王超・外交部副部長による会談の中で、両代表が、司教の任命をめぐる暫定合意書に署名した。
 バチカン・ニュースは、暫定合意が、長い慎重な交渉を経た、段階的な双方の歩み寄りの成果によるもので、その具体化については定期的に評価を行うことが予定されている、としている。
 バチカン・ニュースは、この合意が当局の豊かで先見性ある対話プロセスの発展に寄与し、中国のカトリック教会の活動と、中国国民、そして世界平和に貢献するよう、双方の期待が表された、としている。
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◎ロシア正教会が『コンスタンチノープル総主教庁』と断絶
 ロシア正教会は10月15日、ベラルーシの首都ミンスクで教会会議を開き、ウクライナ正教会の独立に関する『コンスタンチノープル総主教庁』の決定を「違法」として拒否、同庁との正教会としての関係を「維持することが不可能になった」とする声明を出した。同庁がロシア正教会の管轄下にあったウクライナ正教会の独立手続きを始めたことに反発した。
 日本ハリストス正教会はロシア正教会の決定に従い、『コンスタンチノープル総主教庁』との関係を断絶する。10月18日、日本ハリストス正教会の総務部書記が声明で明らかにした。
 声明には、日本ハリストス正教会はモスクワ総主教座に所属する自治教会である以上、モスクワ総主教座の決定に従うと書かれている。
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◎「若者シノドス」10月28日終了
 「若者シノドス」が10月28日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂で教皇フランシスコと司教らが閉会ミサを行って終了した。
 「若者、信仰そして召命の識別」をテーマとした「世界代表司教会議」(シノドス)第15回通常総会」は、10月3日から28日までバチカンで開催された。
 各国の司教協議会や、東方典礼カトリック教会、教皇庁などから267人の司教が参加。日本からは札幌教区の勝谷太治司教が参加した。
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◎マザーテレサの修道会がインドの養子縁組制度に復帰
 マザー・テレサが創設した女子修道会『神の愛の宣教者会』がインドで運用されている「養子縁組斡旋制度」への復帰で10月29日、当局側と合意に達した。
 『神の愛の宣教者会』が東部ジャルカンド州ランチーで運営する施設で、女性職員1人と修道女1人が7月初め、乳児の売買に関わった疑いがあるとして逮捕された。
 同修道会は、「ランチーにある施設で起きたことにショックを受けている。あってはならないことだ」として、「このようなことはわたしたちの道徳的信条に反している。この問題について慎重に調査し、このようなことが二度と起きないようあらゆる必要な措置を講じる」と述べていた。
 同会は内部検証の結果、方針を改め、政府が制定した「養子縁組斡旋制度」に参加することにした。
 シスター・メアリー・プレマ・ピアリックなど同会代表団は、施設の育児担当者を全員、所轄する州政府に届け出ることに合意したことを明らかにした。
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◎『国際アムネスティ』がスーチー氏の賞を取り消し
 国際人権団体『アムネスティ・インターナショナル』(本部ロンドン)は11月12日、ミャンマーの事実上の指導者アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相(73)に授与していた同団体最高の栄誉「良心の大使賞」を取り消すと発表した。
 ノーベル平和賞受賞者の同氏は、自宅で軟禁状態にあった2009年に同賞を受賞した
 『アムネスティ・インターナショナル』は、ミャンマーの軍事弾圧から逃れた約70万人のイスラム系少数民族ロヒンギャのために、スー・チー氏が声を上げなかったことに「深く失望した」と理由を説明した。
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◎デビッド・ジャン氏に「資金洗浄」容疑、米誌CT報道
 米キリスト教保守派の有力誌『クリスチャニティ・トゥデイ』(CT)は11月16日、ニューヨーク市マンハッタン地区検察局が15日、運転資金を賄うための資金導入を図り、財務状況を実態より良いように見せるために、会計士事務所を偽造したとして『オリベット大学』を告発した、と報じた。
 『オリベット大学』は、韓国人のデビッド・ジャン牧師(69、ジャン・ジェヒョン=張在亨=ダビデ張とも)が創設した。
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◎バチカンが「薬物と依存症」国際会議
 バチカン(ローマ教皇庁)が「薬物と依存症」という国際会議を11月29日から12月1日まで主催した。
 教皇フランシスコによりバチカンに新設された『人間開発のための部署』が企画したもので、特に社会的に弱い人達に心を寄せたいという教皇の意向を反映したものと見られる。
 欧州、北・南米、オセアニア、アジア、アフリカから約500人が参加した。テーマの中心は薬物依存症問題であったが、薬物以外にも、インターネット、性行為、ギャンブルの依存症が取り上げられた。
 会議は、「薬物をめぐる法的な問題」「薬物以外の依存症問題」「予防教育と回復への取り組み」という3本柱で構成された。スピーカーが選出された国は、オーストリア、ポルトガル、イタリア、台湾、アイルランド、日本、米国、インド、スペイン、ウガンダ、ペルー、スウェーデン、ブラジル、アルゼンチン、ガーナ、フィリピン、オーストラリアの17カ国だった。
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◎中国がカトリック教会の管理強化へ、バチカン容認
 バチカン(ローマ教皇庁)が任命した司教による中国の政府非公認組織「地下教会」の2教区が12月16日までに、公認教会『中国天主教愛国会』に一本化された。中国が単独で任命していた7人の政府系司教を教皇フランシスコが追認して和解に達した。
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◎教皇が「2019年末に訪日」望む、広島・長崎訪問も
 教皇フランシスコは12月17日、バチカン(ローマ教皇庁)の執務室で前田万葉枢機卿(大阪大司教)、高見三明・長崎大司教、菊地功・東京大司教と接見した。教皇は、2019年10月から12月の間に、日本を訪れたい、と
教皇が2019年の終わりごろに被爆地長崎などを訪問する意向を示していることについて、前田万葉枢機卿(カトリック大阪大司教)が12月23日、訪日は「来年11月の後半になるのではないか」との見通しを示した。教皇は長崎で核兵器廃絶を訴える「平和アピール」を発表したい考えで、政治が果たすべき役割にも言及する可能性があると指摘した。
 教皇は被爆地広島、東京も訪ねる予定。日本滞在は2泊3日~4泊5日程度が見込まれ、今後調整を進める。前田枢機卿は「日程次第では長崎なら外海地区、県外なら原発事故があった福島、沖縄なども訪問先の選択肢になる」と語った。
 教皇は東京で天皇陛下や安倍晋三首相と面会する見通し。前田枢機卿は、4月30日の天皇陛下退位と翌日の新天皇即位に伴う「大嘗祭」が11月14~15日に催されることを含め国内、教皇双方のスケジュールを勘案すると、訪日は11月後半の可能性が高いと指摘した。
 前田枢機卿は「教皇は日本の高齢者の孤独死と若者の自殺も気にされている。この点についても何らかの形でメッセージを発信すると思う」と述べた。

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