世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1504信(2019.11.18)

  • 教皇は核廃絶に強いメッセージ、と時事通信に前田枢機卿
  • 教皇がミサに袴田さん招待、バチカン報道官
  • 「焼き場に立つ少年」は誰? 場所は? 続く調査
  • 教皇の来訪控え、タイの歓迎準備進む
  • ヒトラー時代想起させる「憎しみの文化」に教皇警告
  • 教皇、カンタベリー大主教と会見
  • 水の都ベネチアで記録的な高潮、サンマルコ大聖堂も浸水
  • ベネチアでまた高潮、サンマルコ広場を一時閉鎖
  • シリアのクルド人支配中心都市で同時攻撃、6人死亡
  • 《メディア展望》

 

◎教皇は核廃絶に強いメッセージ、と時事通信に前田枢機卿

 教皇フランシスコが11月23~26日の日程で来日し、被爆地などを訪問する。38年ぶりとなるローマ教皇来日に尽力した前田万葉枢機卿(70)=大阪大司教=は15日、「教皇は核兵器の使用だけでなく、保有・製造も『駄目だ』と言及するだろう」と語り、核兵器廃絶に向けた力強いメッセージが発信されることに期待感を示した。大阪市中央区で時事通信のインタビューに応じた。(CJC)


◎教皇がミサに袴田さん招待、バチカン報道官

 【CJC】共同通信によると、バチカン(ローマ教皇庁)の報道官は11月15日、今月下旬に訪日する教皇フランシスコが25日に執り行う東京ドームでのミサに、静岡県の一家4人強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌さん(83)=再審請求中=が招待されていると記者会見で明らかにした。面会の予定はないが、言葉を交わすなど短時間接触する可能性がある。

 カトリック教会は昨年、死刑を一切認めないとする立場を打ち出しており、教皇が、25日の安倍晋三首相との会談で死刑制度廃止を働き掛けるかどうかが注目される。袴田さんは東京拘置所で1984年に洗礼を受けた。


◎「焼き場に立つ少年」は誰? 場所は? 続く調査

 教皇フランシスコが11月24日、長崎市を訪れる。核兵器廃絶を訴える教皇が強い関心を寄せているのが、原爆投下後の長崎で撮影されたといわれる「焼き場に立つ少年」だ。戦争の悲惨さを強く訴え掛ける傑作として知られるが、被写体や撮影場所は特定されていない。教皇来崎で写真が注目を浴びる中、謎を解明しようとする動きが続いている。地元紙『長崎新聞』が16日報じた。

 「焼き場に立つ少年」は1945年9月に佐世保に上陸した米軍の従軍カメラマン、ジョー・オダネル氏が撮影した。死んだ幼子を背負い火葬場に現れた少年の姿をとらえている。

 教皇は2013年の就任以来、一貫して核兵器廃絶に積極的な姿勢を見せている。17年末ごろ、「焼き場に立つ少年」をカードに印刷し、「戦争がもたらすもの」との言葉を付けて広めるように指示した。

 教皇は24日、爆心地公園(長崎市松山町)で核兵器廃絶に向けたメッセージを発信する。教皇の傍らには「焼き場に立つ少年」のパネルが掲示される予定。

 美術研究者の故吉岡栄二郎氏は「焼き場に立つ少年」の調査を続け、成果をまとめた「『焼き場に立つ少年』は何処へ」(長崎新聞社)を13年に出版。撮影地は「爆心地から少なくとも3キロ以上離れた光景」と推定した。被写体の少年について、爆心地から10・5キロ離れた長崎市東部の戸石村(当時)に住んでいた「上戸明宏」という人物ではないか、という住民の証言も紹介した。

 長崎市の元小学校長、村岡正則さん(85)は、当時通っていた銭座国民学校で顔見知りだった児童が被写体の少年ではないかと考えている。

 1945年8月9日。村岡さんは爆心地から約1・6キロの銭座町2丁目で被爆した。両足と左腕にやけどを負い、現在の長崎市浜平付近にあった砲台跡に避難した。そこに少年も逃げてきていた。

 昨年1月、少年が特定されていないと知り、記憶をたどりながら調べ始めた。爆心地付近をはじめ、長崎市東部や諫早市にも範囲を広げて卒業名簿を調べたり、聞き取りをしたりしているが、有力な手掛かりは見つかっていない。

 長崎県保険医協会の本田孝也会長(63)も今年6月から写真について調査を開始。当時、戸石国民学校に通っていた住民に写真を見せると、複数の人が「見覚えがある」と答えた。卒業名簿や学年名簿に「上戸明宏」の名前はなかったが、彼の兄弟とみられる人物の名前は載っていた。

 長崎原爆資料館が所蔵する森医院(長崎市中里町)や中村医院(諫早市)の当時のカルテや死亡診断書も調査。原爆投下の翌日以降、爆心地付近から多くの人が逃げてきていて、1日50人以上の患者を診療し、被爆が原因で死亡した患者も多かったことが判明した。

 8月と10月には、長崎市の矢上地区にあったとされる赤痢など伝染病患者を収容した病院の跡地や、遺体の焼き場跡も現地調査した。長崎新聞によると、本田会長は「写真に写っている標柱など場所を特定できる有力な手掛かりを調べ、当時を知る人たちへの聞き取りも地道に進めたい」と語っている。(CJC)


◎教皇の来訪控え、タイの歓迎準備進む

 【CJC】タイでは、教皇フランシスコの11月20~23日の訪問を前に、歓迎の準備が進んでいる。

 首都バンコクのプラハルタイ修道院では、10人あまりの修道女や裁縫師らが2カ月にわたり、教皇や同行する聖職者らのために、最高級の絹布を用いて200着を超える祭服を仕立てた。完成した最も重要な教皇のための2着の祭服は、横に並べて誇らしげに飾られている。AFP通信が報じた。

 プラハルタイ修道院は、絹が有名な同国で、何世代にもわたりオーダーメードの祭服を仕立ててきた。

 教皇はタイ訪問に際し、国王ラーマ10世やプラユット・チャンオチャ首相と面会し、二つのミサを司式する。その後、日本へ向かい、東京、長崎、広島を訪れ、26日に日本を離れる予定。


◎ヒトラー時代想起させる「憎しみの文化」に教皇警告

 【CJC】米メディア『CNN』がローマから伝えるところでは、教皇フランシスコは11月15日、ユダヤ人や性的少数者を標的にした一部の出来事を伝え聞くとヒトラーの時代が想起されるとの心境を打ち明けた。

 ローマで開かれている刑事法の国際団体の会合で演説したもので、教皇はこの中で「公共の秩序や政府に責任がある人物による一部の演説を耳にした時、ヒトラーの1934年あるいは36年の演説を思い出させる」と指摘した。

 「ユダヤ人やジプシー、同性愛指向の人々を迫害したナチズムの典型的な行動に等しく、使い捨て文化や憎しみの文化の抜きん出た否定的なモデルを意味する」というもので、これらの現象が現在、再び表面化しているとし、市民社会や宗教的な社会は油断せず、このような退化と妥協するような事態は避けるべきだ、と訴えた。

 教皇は13日にも、反ユダヤ主義について「人間やキリスト教徒にふさわしくない」との考えを示していた。


◎教皇、カンタベリー大主教と会見

 【CJC】教皇フランシスコは、11月13日午後、英国国教会のジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教を迎え会談した。

 教皇と大主教は、世界のキリスト教徒の現状や、南スーダン情勢をはじめとする、いくつかの国際問題について意見を交換した。

 会談の終わりに、南スーダンが、ウガンダのエンテベで署名した合意に沿って、今後100日以内に統一暫定政府を立ち上げることができるならば、教皇と大主教は揃って同国を訪れたいとの意欲を示した。


◎水の都ベネチアで記録的な高潮、サンマルコ大聖堂も浸水

 【CJC】イタリア北部の古都ベネチアは11月12日夜、過去50年で最高水位の高潮「アクアアルタ」に見舞われた。

 潮の監視センターによると、水位は最高で187センチに達し、記録がある1923年以降では、66年の194センチに次ぐものとなった。

 海抜が低い地域にあるサンマルコ広場は特に影響が大きく、同広場にあるサンマルコ大聖堂は入り口付近が水に漬かった。

 沿岸警備隊はボートを出して救出活動に当たっている。イタリアの報道によると、自宅が浸水した際に感電した78歳の住民が死亡した。

 イタリア政府は14日、異例の高潮に見舞われたベネチアに非常事態を宣言した。ユネスコ(UNESCO)の世界遺産にも登録されている同市では教会や商店、住宅が浸水し、被害総額は数億ユーロ(数百億円)相当とみられている。


◎ベネチアでまた高潮、サンマルコ広場を一時閉鎖

 【CJC】イタリア北部ベネチアで11月15日、新たに異例の高潮が発生し、ルイジ・ブルニャーロ市長はサンマルコ広場の閉鎖を命じた。イタリア政府は前日、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産にも登録されている同市に非常事態宣言を発令していた。

 ベネチア地域を襲った強い暴風雨により、水位は15日正午前に154センチを記録。12日に記録した過去50年間の最高水位187センチよりは低いものの、危険な水準に達した。

 午後になって水位が下がり、数日間は低水位と予想されたため、サンマルコ広場は再び開放された。

 市内の教会や店舗、民家は、異例の激しい「アクアアルタ(イタリア語で高潮の意味)」の影響で浸水被害を受けている。

 イタリア政府は、悪天候による洪水被害を受け、2000万ユーロ(約24億円)の財政援助を発令した。16日には強風の恐れがあるとしてベネチア地域に非常警報を出した。

 ダリオ・フランチェスキーニ文化財・文化活動相は、高潮で50カ所以上の教会も被害を受けたと明らかにした。


◎シリアのクルド人支配中心都市で同時攻撃、6人死亡

 【CJC】シリア北東部のクルド人支配地域の中心都市となっているカミシリで11月11日、爆弾が3カ所で同時に爆発し、少なくとも民間人6人が死亡した、とAFP通信が報じている。

 直前には、イスラム過激派組織『イスラム国』(英語略称=IS)がカミシリで活動していた米国人のカトリック司祭を殺害したと発表したが、同時攻撃に関する犯行声明はこれまでのところ出ていない、という。

 シリアのクルド人支配地域で少数派のキリスト教徒らを支援している在仏団体『ルーブル・ドリエント』は、同司祭の身元について、ジョセフ・ハンナ・イブラヒム司祭だと確認している。

 在英の『シリア人権監視団』によるとイブラヒム司祭は、シリア東部デリゾール県へ教会再建の視察に向かう途上で、同行していた父親と一緒に銃撃された。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(11月17日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇メッセージ=「貧しい人のための世界祈願日」=受け入れ、支え、希望を
★近づく「教皇訪日ミサ」=障害者参加できる環境に=カ障連の要望 ほぼ整う
★麹町教会で受刑者のためのミサ=「罪を犯した人も同じ神様に造られた人間」=東京
★「えきゅぷろ!」開催=青年のためのエキュメニカルの集い
★「みことばを祈る集い」="祈りの実践"続け15年=信徒ら実り味わう=鹿児島

 

 =KiriShin(11月11日)=https://www.kirishin.com
★【次世代牧師座談会】後編 神学の学びと教会の未来 教派問わず取り組むべき課題とは?
★即位儀式・大嘗祭は「神道行事」=抗議の署名6200筆を提出
★「大嘗祭」に際して日基教団各教区が声明
★第25回日本福音功労賞に阿部志郎、下稲葉康之、横田武幸の3氏
★フィリピン教会協議会への指摘にWCCが懸念と警告

 

 =クリスチャン新聞(11月17日)=https://クリスチャン新聞.com
★大阪で「祈りの祭典2019」=エドモンド・テオ牧師=香港の現状に「教会は福音で応えたい」=「アーメンと心合わせたとき、天と地は一つに」
★「あなたは愛されている」=第5回ジョイジョイキッズ&ファミリーフェス=ワトトチルドレンズクワイヤーが特別参加
★宮城県丸森町、大崎市鹿島台町に食料支援=初期段階後の支援の在り方模索=いのちのパン/恵泉キリスト教会仙南チャペル
★終活イベントで島田裕巳氏ら登壇=キリスト教葬儀の可能性模索=ライフエンディングフェア2019
★外国語教会合同で第2回合同礼拝=世界から日本、日本から世界へ宣教

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